「スキュアちゃん結局黒の魔女逃したの?やっぱり私がチョイチョイってやっつけた方が良くない?」
輝くような黄色の髪を2つに纏めた若女は心配そうな声でスキュアの肩をポンポンと叩いた
(貴方はまだ自分の立場を分かっていないのか...)
肉付きの良い太ももに白のニーハイ
胸は控えめながら軍帽を斜めに被り
7つの剣が円に並んだ白の刺繍『
規律を舐めているとしか言えない服の着方にスキュアは苛立ちを覚えるが小言を言っている場合では無い
「ティオルーク様がこの場を離れた際に王宮に何かあったでは済まされないのです」
スキュアの側に居たはずのティオルークは
いつの間にか窓際に脚をかけて座っていた
「めちゃ暇なんだよね...どう?前みたいに一狩り行く?」
「はぁ...
「スキュアちゃんは変わりすぎだって!!いい加減愛称に戻してよぉ」
スキュアは黙って資料をティオルークに渡す
「魔女の件もですが、隣国ガビンに拠点を置いていた盗賊団が幾つか壊滅、それを危惧してか他の盗賊団が次々と我々アルトラン国に流れていってるそうです」
ティオルークは資料を流し見するとポイッと放り投げた
「どうせ私はお留守番だし見る意味ないじゃん」
「まぁ...騎士団の仕事ですから」
頬を膨らませズカズカと部屋から出て行くティオルークをスキュアは拳を握りしめて見送った
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黒の軍服を着た糸目白髪の青年は地図を広げ確認した後
リンカーン国の王が居る王座へと向かう
北東に位置する国 『アリヴィア』
東に位置する国 『リンカーン』
南東に位置する国 『シーテスク』
南に位置する国 『アルトラン』
南西に位置する国 『ガビン』
西に位置する国 『カーリィ』
北西に位置する国 『オグニアス』
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「予言の方はいかがでしたでしょうか?」
白髪の青年アレイスターは首を垂れ膝立ちの状態でリンカーン国の王
『フェブルス・リンカーン・サリステラ』
に問いかけた
「的中した、黒の魔女が炎帝と呼ばれる
「魔女はもう危険ではないでしょう、そして次は
フェブルス王は訝しむ
「またアルトラン国か...この先我が国にも災はあるのか?」
アレイスターは表情の読めない糸目のまま王に告げた
「この国に害を成すものは
フェブルス王は側近に何かを伝え
兵士がアレイスターに紙の束を渡し確認すると
紙には一面にビッシリと女性の名前で埋め尽くされていた
「我が国全ての教会で調べてきた修道女の名前だ、褒美はこれでいいんだな?」
「感謝致しますフェブルス王」
「本当はお前の考えている事を全て知りたいが、嫌われたくないのでな」
「えぇ、私もこの国の事を嫌いになりたくありません」
バチバチとした視線を笑顔で交わしアレイスターは王との謁見を終えた
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冒険者ギルドの掲示板に多数の冒険者が群がり中はお祭り騒ぎになっていた
「おいおい!5年ぶりのSSランク依頼だぞ!?」
「しかもBランク冒険者以上なら参加人数無制限、討伐したら1人辺り金貨30枚だぜッ!!」
ピョコピョコとジャンプしメルも大きな討伐依頼の黒龍の絵を確認する
「セラフィ!!勿論行くよね!?」
「金貨30枚はかなり魅力的ね...だけどメルを連れて大丈夫かなぁ」
メルは誇らしげにポケットの中からAランク冒険者の証の赤いバッジを取り出した
「BからAランク冒険者に上がったのは誰のおかげかなぁー?」
セラフィはメルを軽々と持ち上げて肩車すると人の多いギルドから離れた
(最近男の人も怖がらないし、よく生意気な口を聞く様になったけどいい傾向なのかな?)
「まぁメルが居たらどうにかなるかな」
「よっしっ!!異世界感出てきたぁッ♪」
...
掲示板の前でほっそりとした眼鏡の男も黒龍の絵を眺めていた
「TS転生者から曇らされた哀れな龍か...」
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200年前
大陸中心にある小さな村の近くに
全長20mの手負いの赤龍が不時着した
偶々空から落ちてくる所を見かけた村娘は1人で龍が落ちた森に入って行ったが
「やばッ!!前やってた狩りゲーのモンスターにソックリ!!」
「小娘...ワシが怖くないのか?」
「この龍めっちゃ喋るやん!!」
魔物を飼い慣らすのが趣味だった村娘は龍を手名付けようと試みるが
「お願い、背中に一回だけ乗せてくれん?」
「人間を乗せる訳なかろう」
「ケチザウルス!メスにモテんぞッ!!」
「ワシはメスじゃあぁぁッ!!」
「メスは緑じゃねぇのッ!?」
...
....
.....
時は流れ冷え込む冬の季節
村娘は赤龍の背中に乗り傷の深い翼に薬草を塗り込んでいた
「翼の傷全然治らんね」
「ワシの体内の龍玉が抜き取られたからな、魔法が使えないワシはただのトカゲだ」
「なにネガティブになってんの?こちとら水洗トイレの文明社会からボットン便所じゃい」
「また理解できぬ事を...魔力が潤沢なお前を食いちぎったら龍玉も生成できるのだがな」
「私ガリガリだし、たぶんまずいよ?」
「肉の話では無い...」
...
.....
.......
手負いの赤龍は7人の超越者に包囲されていた
「龍玉を持ったドラゴンを他に知らないか?」
「教える筈が無かろう」
「ちぇっ見逃してやったのに、新しく龍玉が復活するとかは無かったかぁ」
「龍玉が体内で出来るまでに200年は掛かるとされています、短時間ではやはり無駄でしたね」
「あれ?リオ、お客さん?」
村娘が赤龍に近づくと咆哮を上げた
「近づくなッ汚らしい小娘がァァァァ」
衝撃波が周囲に散らばると村娘は吹き飛ばされ意識を失う
「ワシを殺してさっさとここから離れろ」
「うるせぇなぁ...ん?あそこで倒れてる女の魔力量やばくね?」
「あぁ、生まれが良ければ優秀な戦士になれただろう」
「この魔力量でしたら龍玉が生成できるかもしれませんね」
「お!天才じゃん、食わせてみる?」
「人間共...まさか...外道な事はよせッ!!」
「ほいっ♪あーん」
新たに龍玉が抜かれた赤龍の死体は
そのまま放置され周囲は呪われた地となった
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※硬貨レート
金貨1枚=半月生活できる
銀貨1枚=3食分
銅貨1枚=1食分