「姉様、誰かこちらに来ています」
店のテラスで優雅に紅茶を嗜むフランに
妹、エミリーは深刻な顔を見せる
「騎士団かしら?」
「違います、騎士団程度の魔力なら肌はひりつきません...」
フランは紅茶を置きクッキーを1つ摘む
「レミィが反応する程の実力者というわけね」
「私達の魔力は完全に隠蔽しています、それなのにどうやってこの場所が」
慌てるエミリーを宥める姉のフラン
「飛んで逃げるわよレミィ、空までは追ってこれないはず」
手を繋ぎ大量の魔力をエミリーに譲渡すると
目の色が青から赤に変化し瞳孔が開いた
すると
蝙蝠の様な翼が背中から生え
犬歯がより鋭く変化する
本来常人であれば大量の魔力を流し込まれると肉体が耐えられず崩壊するが
双子という相性のおかげかフランの莫大な魔力の受け皿としてエミリーは問題なく魔力を溜め込む事を可能としている…が
「お姉様...力が入りません...」
「レミィ?」
エミリーの瞳の色が赤から青い色に戻り
背中の羽はボロボロと崩れ落ちた
視線を感じ
テラス席から下を見下ろすとキモオタ(個人の感想)と目が合う
(この男...)
...
....
......
向かいの席には高価そうな純白の服で身を包んだ白髪の双子
そして痩けた眼鏡の冴えない男と男の娘(女)が隣同士席についた
「黒の魔女騒動はお前たちの仕業だな?」
「ただのお忍びで買い物している小娘ですが?」
「今時の小娘は棺桶にもお忍びするのか?」
「醜男がお姉様の事を…」
手が出そうになるエミリーをフランは手で抑制する
フランは目を細め最大限警戒した
(この男、レミィに偽装させた私の死体に気付いている?)
「レミィに何かしたのですか?」
「さぁな」
フランはエミリーに指の先に魔法で火を点けるように指示する
「つきましたお姉様」
人差し指の先で小さな火がユラユラと揺れる
「私の魔力だけ使えないのね」
「はい…お姉様の魔力を使おうとすると力が抜けていきます…」
(相手の魔法に何かしらの制限を掛ける魔法...もしくは幻覚...)
「もし私達が黒の魔女でしたらどうするおつもりで?」
「他人の心を曇らせるな」
「やめなかった場合は?」
「止めるまで説得する」
フランとエミリーは同時にフッと嘲笑した
「私達の家は民を道具としか見ない貴族の家に生まれ、税と飢えに苦しむ領民にお父様は憎まれながら病で亡くなりました」
フランに代わりエミリーが言葉を続ける
「お父様が死んだ後も私達ブッシュ家の評判は地の底」
「そこで黒の魔女を各地に襲わせ多額の支援金を援助し名誉挽回、勿論私達の領土の課税は減らし住みやすい領土に変えているわ」
リオンはギョッとした顔で双子を見る
「とんでもねぇ奴らっす…」
エミリーがリオンを睨みつけると肩を窄ませた
「お前達が魔女で村を襲おうならそれを止めるのは俺の仕事じゃない」
「「?」」
「俺は他人を曇らせるなと言っているんだ」
「お姉様。曇らせとはなんでしょうか?」
「私が魔女の脅威を演出する為に人を庇って毎回死ぬでしょ?それに対して住人が罪悪感を抱えることよ」
「…!お姉様の散り際が1番美しいというのにこの男はそれをやめろと?」
「あぁそうだ」
エミリーはフランに首を横に振る
「キモオタさんごめんなさいね、ここ行きつけの店なの」
エミリーは席を立つと手を二度叩いた
「一方的にやめろという交渉ほど馬鹿な取引はないわ」
フランは紅茶に手をかけると自警団が流れ込んでき鈴木とリオンを地べたに拘束した
「鈴木さんコイツらぶっ飛ばすよッ!!」
「街の真ん中だ、リオンは大人しくしていろ」
「やけに冷静ですね?牢はお好きですか?」
「この女ムカつくっすぅぅぅぅ!!」
鈴木とリオンは距離の離れた牢屋に別々に収容された