曇らせ愉悦部VS曇らせ許さないマン   作:コ↑コ↓ナッツ

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黒の魔女

 

 

広々としたフランの自室でお茶をする双子とメイドのリオン

 

「今日はリオンを護衛にして次の標的の街を下見してくるからレミィは家でゆっくりしてて」

 

エミリーは一瞬固まり瞬きをした

 

「お姉様、私もご一緒します」

 

「リオンなら私を担いで騎士団から逃げる事も難しくないでしょ?それに毎回襲われた場所に白髪で目立つ双子が居るのもそのうち魔女だと疑われるかもしれないし」

 

「...お姉様、私に何か隠し事でも?」

 

双子の感か女の感か、

フランが心配より妹を突き離す事が目的だとすぐに察知した

 

(まさかお姉様がリオンと逢引きを?)

 

エミリーはリオンを鋭く睨むと笑顔で手を小さく振り返してくる

 

(リオンは女顔で油断していたけど結局男だったという訳ね、お姉様に近づく男は私が排除しなきゃ)

 

「騎士団も活発に動いてるようだし万が一、レミィの正体がバレたらこの家はお終い、だから大事な場面以外はリオンを連れて行こうと考えているわ」

 

「...わかりましたお姉様」

 

エミリーは席を立ち静かに部屋から退出した

 

「フランお嬢様、妹さん機嫌悪くなったっすね」

 

「勘弁してくださいリオンさ〜ん...2人の時はフランでお願いします」

 

「一気に小物臭くなったすねフラン...」

 

ジト目で見つめるリオンの肩にフランは手を置きエミリーが座っていた場所に座らせる

 

「私ずっと不安だったんです、死んだと思ったら異世界の貴族の家に女として生まれ変わって、家を持ち直さないと妹が可哀想ですし」

 

「気持ちは分かるっす、貴族は大変そうっすからね」

 

「それに私は魔力の保有量が多くても出力する事ができないんです」

 

「フランは魔法が使えないんすか?」

 

「初級魔法なら使えますがそれ以上の魔法を発動すると魔力の出力に身体が耐えられなくて死んじゃいます」

 

「だから妹さんが俺と勝負したんすね」

 

「本来、妹のエミリーは初級魔法しか扱えない程の魔力しかないんですが私から魔力を受け取ればリオンさんも体験した通りの実力です」

 

「なるほどっすねぇ」

 

「まさに双子2人で1つという感じなんですが...」

 

「なんですが?」

 

「エミリーは私の死顔を見たいらしく、毎日死んでほしいとのことで...」

 

「怖ッ!?マジの魔女じゃないすかッ!」

 

「蘇生魔法で生き返りはしますが死ぬ時は本当に苦しいんですよねぇ...」

 

「村を襲った罰っすよ、この世界もお天道様は見てるっす」

 

フランは机にダラっと預けた体の姿勢を正す

 

「リオンさんは私の計画をどう思いますか?」

 

「お家の事情は知っていますし犠牲者は出ていないとの事ですが、魔女の襲撃はもう止めてください」

 

初めて見る真剣なリオンの顔にフランも

頭を垂れる

 

「申し訳ないです...私も異世界だからと調子に乗っていました...」

 

「まぁ魔女の件はもう十分っすよ!後は健全な内政を続ければ結果は出ると思うっす!」

 

「はい!フランさん!やっぱり故郷の人が居ると思うと心強いです!」

 

感極まってフランはリオンの手を握ったが

その様子を壁に出来た小さな穴から静かに見ている者が居た

 

 

(お姉様ッ!?リオンの手なんか握ってッ!!)

 

 

__

 

 

無精髭を生やした鈴木は固いベッドで寝転び

ただ時が経つのを待っていた

 

コツコツ

 

「お前は...」

 

スキュアは魔女が次に襲う目星を付けた街の牢屋に異常が無いか確かめに来たのだが

 

「村で魔女は敵では無いと言っていた男だな?」

 

初めて聞くその意見に

スキュアは何か引っ掛かりを感じていた

 

「俺を殴った騎士団か、此処から出せ」

 

鈴木はゆっくりと立ち鉄格子の前に立つ

 

「無断で罪人を牢から出す騎士団などこの世に居ると思うか?」

 

「それがお前だ、さもなければ今度は死人が出るぞ」

 

スキュアは呆れた顔で言い放つ

 

「何度も言わせるな、死人は既に出ている」

 

「騎士団では魔女に勝てない」

 

スキュアはグッと鉄格子を掴むと

過去の記憶が甦った

 

『見てみてー!ドラゴン30匹殺してきたよ!』

 

金髪ツインテールの少女は無邪気な顔で笑う

 

「七聖人には頼らない...」

 

「俺が居れば魔女は無力化できる」

 

「...狂人め」

 

「嘘ではない、俺を魔女の前に出すだけでいい、戯言ならそのまま見捨て殺せ」

 

「本気なのか?」

 

「俺はずっと本気だ、曇らせは絶対に許さない」

 

スキュアは男が何を見据えているのか分からない

だが何か信念を持った強い瞳をしている事は感じとれた

 

「分かった、その代わり私の側から離れる事は許さんがいいな?」

 

「問題ない」

 

__

 

 

「鈴木さんには悪い事しちゃったなぁ」

 

「謝れば許してくれるっすよ、たぶん」

 

フランとリオンは鈴木を解放する為に街に来ていた

 

「キモオタとか言っちゃったし...私も前世はキモオタだったから悦に浸っちゃって...」

 

「同族嫌悪すか?そもそも鈴木さんってオタクなんすかねぇ?」

 

雑談しながら牢屋のある地下に到着するが鈴木の姿が見えない

 

「鈴木さん脱走してます...」

 

「まじすか...もしかしたら鈴木さんからこちらに来るかもっすよ」

 

「転生者の居場所が分かるでしたよね?」

 

「そうっす、厳密に言うとTS曇らせ要素が無いと反応しないらしいっすけど」

 

「どうしましょうか...とりあえずこの街の宿で待ってみますか?」

 

「そうっすね、馬車で疲れたしゆっくり待ちますか」

 

 

突如街中で幾つもの悲鳴があがる

 

 

「なんすかッ!?」

 

「あれは...!!」

 

 

目の前で大量のグールから襲われる人達

 

リオンはすぐ様グール達に飛びかかり頭を砕いていく

 

「冗談きついっすよマジでッ!!」

 

「どうして...レミィ!?」

 

街の様子を遥か上空から見下ろす黒いドレスと仮面を付けた魔女

 

「お姉様...人は殺さないと約束をしましたね...」

 

エミリーは狂ったように笑う

 

「私だけを想うお姉様さえ殺せれば私は満たされたのに...」

 

「お姉様が男にうつつを抜かすなら、全員殺してお姉様だけ生き返らせましょう」

 

「そして私だけに愛情を向けながらまた...」

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