リコリス・リコイル 運命を切り開く者たち 【リメイク】 作:hayato0121
無事にライセンスの更新を終えた俺だったが、その後に待っていたのは井ノ上さんの復帰は認めないという楠木さんとフキからの厳しい言葉だった。それを聞いてショックを受けた井ノ上さんはその場から走り去り、千束もそれを追いかけていった。
その後は俺も楠木さん達に言いたいことを言って訓練所を出ると急いで井ノ上さんと千束のことを追いかけた。
2人を探し回っていると話し声が聞こえてきたので施設内の噴水広場に到着するとそこには井ノ上さんを抱き上げながら嬉しそうに回ってる千束の姿があった。
何やってるんだアイツら?
「誰かの期待に応える為に悲しくなるなんてつまんないって! 居場所はある。お店のみんなとの時間を試してみない? それでもここが良ければ戻ってきたらいい。遅くない、まだ途中だよチャンスは必ずくる。その時、したいことを選べばいい」
「したいこと・・・・」
「そ!私はいつもやりたいこと最・優・先! まぁ、それで失敗も多いんだけど・・・・」
「全くだ!」
俺が話に割り込むと千束と井ノ上さんは同時に俺の方を見てきた。
「その失敗の尻拭いをする俺の身にもなってほしいもんだよホントに・・・・」
「遅い! 何してたの?」
「楠木さん達に文句言ってきた」
「なら良し!」
ならってなんだよならって・・・・
「そんじゃ私はたきなに酷いこと言ったアイツらをブチのめしたいのでちょっと行ってきますよ」
「程々にしとけよ」
「わかってるわかってる!」
そう言って千束は模擬戦が行われるキルハウスルームへと向かった。
それから数分が経過して千束がいなくなった後も井ノ上さんは動くことなくその場のベンチに座ったままジッとしていたので俺はそんな彼女の隣に座った。
「行かないのか?」
「どうして私が? 蓮さんが行けばいいじゃないですか」
「それじゃ意味ないだろ。アイツはいま井ノ上さんの為に頑張ってるんだから行くなら俺じゃなくて君だ」
「私のことは放っておいてください」
「そんなわけにいくかよ。井ノ上さんは俺達の大事な仲間だ。仲間が苦しんでるのを放っておけるわけないだろ」
「蓮さんにはわかりませんよ! 居場所を失った私の気持ちなんて・・・・」
「居場所か・・・・それならわかるよ。これまでに2回も俺は居場所を失ったことがあるからさ」
「え?」
俺がそう言うと井ノ上さんは驚いた表情をしたまま隣にいる俺の方を見てきた。
「俺は両親を事故で失った。けどそれは犯罪を犯した奴が警察から逃げてる途中で俺と両親が乗ってる車に突っ込んできたからだ。その所為で両親は死んで俺は初めて居場所を失った。それから俺はDAの施設に引き取られてリリベルとして活動を始めた。あの時の犯罪者みたいな奴らを皆殺しにするためにな・・・・」
「蓮さん・・・・」
あの頃の俺は殺意剥き出しだった。両親を殺した犯罪者が許せない!同じように犯罪を犯す奴らが許せない! だから殺す! 殺して殺して殺しまくる! あの頃の俺はそんなことばかり考えてて、その為に射撃の練習ばっかりやってた。
でもそのおかげで今の射撃による実力が身についたんだけどな。
「そんな時に俺は電波塔事件で千束に出会ったんだ。リリベルの上司から千束のことは聞いてたけど、俺の標的はあくまで犯罪者やテロリストだった。だから俺には千束のことが撃てなかった。俺にはアイツを撃つ理由がなかったからな。その後のことは井ノ上さんも知っての通り、俺は千束を庇って大怪我してリリベルとしての居場所を失った。これで俺が居場所を失うのは二度目だった。」
「・・・・・・・・」
井ノ上さんは黙って俺の話を聞いてくれていた。そっからの俺は前に井ノ上さんに話した通り、自分が死にかけたり、病院で悲しむの遺族の姿を見たりして、人を殺すのをやめたんだよな・・・・
「けど、そんな俺に千束は居場所をくれた。千束が、先生が俺を受け入れてくれたから今の俺がある。俺が今ここにいるのは千束達のおかげなんだ。」
俺はどうしても井ノ上さんに知ってほしかったんだ。居場所は一度失ってもまた新しく作れるってことを・・・・
「井ノ上さん、後は君次第だ」
「私次第、ですか?」
「あぁ、俺達は絶対に井ノ上さんを見捨てないし拒まない! あとは君が俺達を受け入れてさえくれればそこが君の居場所になる。千束も言ってたろ?遅くない、チャンスは必ずくるって、だから・・・・」
「・・・・まだ、間に合うでしょうか?」
俺が最後まで言い終える前に井ノ上さんの口が開いた。
「あぁ、まだ間に合う。井ノ上さんは井ノ上さんのやりたい事をやればいい。俺も応援するから」
「・・・・わかりました」
そう言うと井ノ上さんは立ち上がり歩き出した。
「井ノ上さん!」
俺がそう叫ぶと井ノ上さんは歩くのを止めて俺の方へ振り向いてくれた。
「いってらっしゃい!」
「・・・・いってきます」
井ノ上さんはそう言うと再び歩き出した。
それから井ノ上さんは千束達の模擬戦に乱入してフキに殴られた分をやり返すと千束との息の合った連携により模擬戦は千束と井ノ上さんの勝利で幕を閉じた。
その様子を上の部屋から見ていた楠木さんのところへ俺はやってきた。
「お前達の入れ知恵か?」
「俺はただ、井ノ上さんのやりたい事をやればいいって言っただけですよ」
楠木さんからの質問に俺は素直に答えた。
だって事実だし・・・・
「ハァ・・・・これで問題児が一人増えたことになるわけか・・・・」
「文句は受け付けませんよ。楠木さんが井ノ上さんを追い出したからこんなことになったんですからね」
「・・・・フン、好きにしろ。私はどうなっても知らんからな」
「わかりました。んじゃ、俺はそろそろ行きますね」
そう言って俺はその場を後にした。
そして全てが終わった頃には日も沈んで夕方になっていた。
「蓮! たきな! 帰りの車来たって〜っ!」
「わかったから落ち着け!」
「いま行きます!」
帰りの車を待っていた千束が渡り廊下から声をかけてくると俺と井ノ上さんはそれに返事をして移動を開始した。
そしたらペイントと井ノ上さんに殴られた痕が残ったフキが立っていた。
「おぉフキ、お疲れ」
「うるさい! お前、模擬戦なんだぞ。後ろから撃てばよかったんだ。それを突っ込んできて殴るなんて馬鹿げてる」
「・・・・これでおあいこですね」
「っ・・・・」
その時の井ノ上さんは今まで見せたことのない笑顔でフキに自身の気持ちを伝えた。
俺も井ノ上さんのあんな笑顔を見たのは初めてだった。
「やっぱりお前、使い物にならないリコリスだよ!命令違反に独断行動! 二度と戻って来んじゃねぇ!」
そう言い残してフキは去っていった。
あれ、内心ではめちゃくちゃ悔しがってるだろうなぁ・・・・
フキはああ見えてかなりの負けず嫌いなのを俺は知ってる。何せいつもフキと千束が張り合ってるのを見てきたからな。
「んじゃ、俺達も行こうぜ井ノ上さん」
「はい・・・・あの!」
「ん? どうした?」
すると井ノ上さんが歩き出した俺の後ろから話しかけてきた。
「その・・・・今度から私のこと、名前で呼んでくれませんか?」
「え? 名前?」
「はい。これからはちゃんとリコリコの一員として頑張っていこうと思ってるんですけど、千束達はみんな私を名前で呼んでくれるのに蓮さんだけが苗字で呼ぶっていうのは何か違和感があって・・・・」
そんなことを考えてたのか・・・・
井ノ上さんは恥ずかしいのか目を逸らしながら色々と理由をつけて名前で呼んでほしいと頼んできた。
きっと彼女なりに色々考えてたんだろうな。理由とかなしで普通に名前で呼んでほしいって頼めばいいのに律儀というか何というか・・・・まぁそういうところが井ノ上さん、いや、"たきな"らしいんだけどさ。
「わかったよたきな。改めて、これからよろしくな」
「っ! はい! よろしくお願いします。蓮さん!」
「おーい! 早くしないとおいてっちゃうぞ〜っ!」
そして千束に呼ばれた俺達は帰りの車に乗って駅まで送ってもらうとそのまま帰りの電車に乗って移動していた。
その時の席だが、今回は今朝とは違って窓際にはたきなが座っていて、その横には千束が座っている。その正面の席には今回は俺が座る形になっていた。
「たきなさ・・・・」
「何です?」
「私を狙って撃っただろ?」
「きっと避けると思いましたから」
そういながら千束がたきなに飴を渡すと窓から外を見ていたたきなは千束の方を向かずにその飴を受け取って食べた。
「おう・・・・」
「非常識な人ですよ、千束も、そして蓮さんも・・・・」
おぉ、さっき気づいたけど呼び方が千束さんから千束になってる。
それだけたきなが俺達に心を許してくれてるってことなのかな?
だとしたら嬉しいかぎりだ。
けど・・・・
「俺もかい!」
「でも、スカッとしたな!」
「・・・・えぇ」
うわぁ、たきなのしてやったりって顔初めて見た。何かホントに良い表情するようになったなぁ・・・・
とそんなことを考えていると少しだけ笑ってしまった。
「ん? どったの蓮?」
「何がおかしかったですか?」
「いや別に、ただ、たきなが満足してるみたいだから良かったなって思っただけだよ」
「そうですか」
「え? ちょっと待って! 蓮っていつの間にたきなの事を名前で呼ぶようになったの!?」
「えぇっと・・・・」
「秘密です」
「えぇ〜っ! 教えてよぉ!たきなぁ〜っ!私達相棒でしょ?」
俺がどう説明しようか考えているとたきなが先に秘密と答えてくれたが、千束はその答えに納得していなかった。
「『親しき中にも礼儀あり』ですよ」
「まぁそういうことだ・・・・」
「そんなぁ〜っ!」
そんな感じで千束が落ち込んでいるとクルミから連絡がきた。
「お? おぉ! 見てみ」
「ん?」
「どれどれ?」
そこにはボドゲ会の二次会をやってるから来ないかという誘いのメッセージがきていた。
「どうする?」
「俺は行くけどたきなはどうする?」
「そうですね・・・・私も行きます」
「よぉし! そうと決まったら早速返信じゃ!」
そう言って千束はたきなを真ん中にして俺達3人でピースしている画像と共に俺達の『3人で行くぜ!』という参戦の意味を込めたメッセージを送った。
その時のたきなのピースサインはどこかぎこちなかったけど、それはこれから変わっていければいいかって思った俺は千束とたきなを連れてリコリコへ戻ると、その日は夜までみんなで楽しく遊んだ。
そして、その日の出来事は俺にとっては忘れられない思い出の一つとなった。
次回は前回予告した通り、オリジナルストーリーを1話やってからアニメ4話の内容をやる予定ですのでお楽しみ。
この小説が面白いと思ったら、感想、評価、お気に入り登録をよろしくお願いします!