リコリス・リコイル 運命を切り開く者たち 【リメイク】 作:hayato0121
今まで長いことお待たせしてしまっていましたが、何とか早めに投稿できました。
俺とクルミはリコリコ店内でニュースを観ていた。
『地下鉄脱線事故から今日で一ヶ月が経ちました』
「お? やってるなぁ」
『事故のあった駅は未だに復旧できず・・・・』
俺が千束とたきなと一緒に買い物に出かけた日に起きた事故から一ヶ月が経過した。
あの日俺達が駅前で見かけたのはこの地下鉄脱線事故がその駅で起きたからであった。
だがそれは“表向き”の事で本当はDAが配備したサードリコリス達とテロリストが銃撃戦を繰り広げたのだと俺達は先生を通じて後から知った。
その後は俺も楠木さんや一真さんを通じて独自に調査を進めていったが、わかったのは犯人が例の銃取引事件と関係がありそうだというだけでその後の足取りはつかめていない。
「この社長も気の毒ですね」
そこへ洗濯物を持ってたきなが2階から降りてきた。
「この社長は何にも知らないんだろうなぁ」
と呑気な事を言うクルミは煎餅を食べながらテレビを観ていた。
「知らない方がいい事もあるんだよ。知った事で辛い思いをする事だってあるかもしれないからな」
「蓮さん?」
俺はそれを身を持って味わっている。けど後悔はない。何故ならそのおかげで首を突っ込む事が出来ているんだからな
「あの?」
「ん?」
俺が声のする方を向くとたきなが心配そうな表情でこちらを見ていてクルミも食べるのを中断して俺の顔を見ていた。
「大丈夫ですか?」
「何かあったのか?」
「え? いや何でもないよ」
「そうですか?」
たきなとクルミは俺を心配してくれたようだが俺は全然大丈夫だ。
うん、大丈夫。
その後もいつも通りにリコリコでの仕事を終えた俺達は千束に召集されて閉店後にリコリコ店内に集まっていた。
「ではみんな! 今回の依頼内容を説明しよう! とっても楽しいお仕事ですよ!」
どうやら外部から仕事の依頼がきたらしく千束がタブレットを片手に持ってめちゃくちゃ張り切っていた。
「ミズキさんが説明しないのですか? 私もう読みましたけど」
「同じく」
「今回やたら乗り気なのよ」
「ちょいちょいちょい! そこ! 私語はしない! そしてそこのリス!」
俺がたきなやミズキさんと話をしていると千束に注意されてしまった。そして千束の視線は2階でVRゴーグルをしながら端末を操作しているクルミへと向けられた。
「ゲームしてない?」
「聞いてるよ」
千束の言葉にクルミはちゃんと返事を返してきた。どうやらこちらの声は聞こえているらしい。
「んん! 依頼人は72歳男性、日本人、過去に妻子を何者かに殺害されて自分も命を狙われた為にアメリカで長らく避難していた。現在は筋、き、き、きん・・・・」
「筋萎縮性側索硬化症」
千束は難しい漢字を読むのは苦手だからな。それをクルミが代わりに読んでくれた。
その病気は体を動かすのに必要な筋肉が徐々にやせていき、力が入らなくなるのがその病気の症状らしい。
「自分では動けないのでは?」
「そう! 去年余命宣告を受けた事で最後に故郷の日本、それも東京を観て周りたいって」
「観光、ですか?」
「泣ける話でしょう? 要するにまだ命を狙われている可能性がある為、ボディーガードします!」
まぁ確かに余命宣告を受けて最後に故郷を見たいという気持ちは理解出来なくもない。
「何故狙われているのですか?」
「それがさっぱり、大企業の重役で敵が多すぎるのよ。その分報酬はたっぷりだから」
「日本に来てすぐ狙われるとも思えないけどね。行く場所はこっちに任せるらしくて私がバッチリプランを考えるから」
「旅のしおりでも作ろうか?」
「それだ!」
そうして話は纏ってその依頼人を迎える準備が始まった。
しかし、俺にはどうしても引っかかる部分があった。
「(最後に故郷を観たいというのはわかる。けど何で行く場所はこっちに任せるなんて事になるんだ? 普通に考えたらずっと日本から離れていたんだから自分が行きたかった場所、又は思い出の場所に行こうとするのが普通のはず・・・・でもそれをせずにこっちに丸投げするようなやり方、まるで俺達を試しているような・・・・依頼人の目的は何なんだ?)」
色々考えたが今の段階でその答えを出す事は出来なかった。
その日の夜、たきなとミズキさんが帰った後、千束は畳のある客間でリコリコに泊まること前提で旅のしおりを作っていた。
「ほいお疲れ」
「蓮?」
しおりに必要な資料を纏めていた千束に俺は珈琲の差し入れを渡した。
「どうだ? 旅のしおりは?」
「もうたいへーん。資料を纏めるのもだけど、それをガイドする側としてちゃんと説明しないといけないから覚えなきゃいけない事も多くてさ・・・・もう困っちゃう」
「そっか、でも楽しいんだろ?」
「勿論! 東京観光楽しんでもらえたら良いなぁ」
千束はいつもそうだ。自分の事よりも誰かの為に頑張れる。お前のそういう所を俺は尊敬するよ。
「ん? どうしたの蓮? 私の顔に何かついてる?」
「いや何でもない。しおり作り俺も手伝うよ」
「ホント!? ありがとう! 最初なんだけどさ、水上バスで移動しようと思ってるんだけどね・・・・」
それから俺達はお互いに案を出し合いながら一緒にしおり作りをして納得のいく物が完成した。
そして依頼人がリコリコへやって来る日が訪れた。外に黒い大きな車が到着し、店の扉が開けられた。
「お待ちしておりました・・・・あっ」
千束が出迎えようとすると黒いスーツとサングラスをかけたSPらしき男性に続いて特殊な車椅子に乗って目にゴーグルをつけたお爺さんが店内にやって来た。
「遠い所、ようこそ」
先生が挨拶をすると車椅子の端につけられた酸素濃縮器のような機械を通じて空気がお爺さんに送られている音が聞こえてきた。
『少し早かったですかね? 楽しみだったもので』
「あっ、いえ、準備万端ですよ! 旅のしおりも完璧です!」
SPさんの隣に並んでいた俺、千束、たきなの3人の方を向いてきたお爺さんに千束は必死に考えて完成させた旅のしおりを見せた。
「千束、データで渡そうか?」
「え? あっ・・・・」
クルミの気遣いを聞いた千束も最初は何の事かわからかったがお爺さんの力の入っていない両手を見て、その手ではしおりを持って開く事も出来ないと理解した。
『助かります。後はこの方達にお願いするので下がっていいですよ』
お爺さんにそう言われたSPはリコリコを出て車に乗って走り去って行った。
クルミがしおりをデータ化して車椅子につけられた端末に送信する準備をしている間に俺達はお爺さんと話をしていた。
『今や機械に生かされているのです。おかしく思うでしょ?』
「そんな事ないですよ。私も同じですから、ここに・・・・」
そう言って千束は胸の中心に両手でハートの形を作った。
『ペースメイカーですか?』
「いえ、まるごと機械なんです」
「えっ?」
『人工心臓ですか』
千束の言葉にたきなが反応し、クルミも作業しながら顔だけ千束の方を見ていた。
そういえば2人は知らなかったんだっけな。
「アンタのは毛でも生えてんだろうね」
「機械に毛は生えねぇっての」
「え? どういうこと「よし、出来たぞ」」
ミズキさんと千束が話してる所にたきながどういう事か説明を求めようとしてたけどクルミの言葉で遮られた。
まぁいきなりそんな事言われたら誰だって驚くよな
『おぉ、これは素晴らしい!』
「では、東京観光出発!」
そう言って千束は依頼人である松下さんの車椅子を押して外へ出て行った。
「あの、千束の今の話って・・・・」
「ん?」
「たきな、行くよ!」
「あっ、はい!」
「ミズキ車!」
たきなが俺達に千束の事を聞こうとしてきたけど千束に呼ばれてたきなは千束を追いかけて行った。
「言ってなかったの?」
「千束に任せればいい」
「まぁ、そうなりますよね」
「僕にも説明しろ」
それからミズキさんの車に松下さんを乗せた千束達は隅田川を走る水上バスに乗る為にその乗り場へと向かった。
そこからは千束とたきなが松下さんと一緒に水上バスに乗って東京観光がスタート。
千束達が東京観光している間、俺とミズキさんは怪しい奴がいないかを別々の離れた場所で警戒していた。
それからは順調に水上バスで浅草方面に移動して雷門近くの仲見世通りを通って浅草を観光した。通信で聞いていたが、水上バスでも浅草でも千束がちゃんと観光案内のガイドが出来ているようで俺は一安心していた。
「あれ? 蓮じゃないか?」
「一真さん!? どうしてここに?」
俺は浅草の雷門付近でビートチェイサーに跨った状態で周辺の警戒をしていると警察官で俺の師匠でもある天童一真さんに出会った。
「どうしたんですか? こんな所で?」
「仕事だ仕事。さっきまで阿部さん達と一緒に例の地下鉄脱線事故があったホームに潜り込んでたんだよ」
「ええっ!? 大丈夫だったんですか!?」
「何とかな、危うく見つかる所だった。何で警察が不法侵入しなくちゃいけないんだか・・・・」
「あははは・・・・何かすいません」
すいません、多分それDA関連の人達だと思います。ホントすいません。
「それで、何か新しい情報は手に入りましたか?」
「いいや、何も見つからなかった。証拠になりそうな物は全て回収済みって事なんだろうな」
「そうですか・・・・」
まぁDAが証拠を残すようなヘマをするとは思えないけどな
「んで、そっちはここで何してるんだ?」
「俺達も仕事ですよ。訳ありで狙われている人のボディガードをしてます」
「なるほどね・・・・」
『蓮、千束達が移動したぞ。お前も早く移動しろ』
俺が一真さんと話していたらクルミが通信を送ってきた。
「あぁ、わかった」
「どうした?」
「いえ、仕事の話です。すいません俺もう行きますね」
「そうか、気をつけてな」
「はい。それじゃあ」
そう言って俺はビートチェイサーを走らせてその場を後にした。
〜たきなサイド〜
私達は江戸城を目指して再び水上バスで移動しています。
確かに任務は大事ですけど、それと同じくらい今の私には気になる事がありました。
『今日は暑いですね。ちょっと中で休ませてもらいます』
松下さんが中に入ったのを確認した私は自販機で売っていたコーラを2本買って1本を千束に渡した。
「どうぞ」
「ありがとう」
「喜んでもらえてるみたいですね」
「私、良いガイドだって。才能あるかも」
「依頼者の警護が優先ですよ」
「そうだね。そうだった」
私は今朝話してた人工心臓の話がどうしても気になっていて、自然と視線が千束の胸へと向かっていた。
「なになに?」
「今朝の話、本当なんですか?」
「あぁ、胸の事ね・・・・本当だよ。鼓動なくてビックリしたけど凄いのよこれ」
そんなに凄いなんて・・・・ちょっと触ってみようかな
そう思った私の手は無意識に千束の胸へと伸びていた。
「えっ、ちょいちょいちょい!」
「確かめようと思って」
「良いけど公衆の面前で乳を触るな!」
そう言われた私は千束の胸を触るのを諦めました。
〜たきなサイドアウト〜
千束達が江戸城を観光している途中でクルミから通信が入った。
『さっきからついてきてる奴、ジン、暗殺者、その静かな仕事ぶりから『サイレント・ジン』とも呼ばれてるベテランの殺し屋だとさ』
『サイレント?』
『知り合いか?』
『15年前まで警備会社で共に裏の仕事を担当していた。私がリコリスの訓練教官にスカウトされる前だ』
へぇ、先生の同僚って事になるのか?
『どんな奴?』
『本物だ。サイレント、確かに声を聞いた事がないな』
『30m先に確認、こっちは顔がバレてない。発信機付けに行くよ』
「俺も念の為フォローにまわります。千束、たきな、少しここから離れるから松下さんを頼む」
『わかった』
『了解です』
そう言って俺はビートチェイサーを走らせてミズキさんのフォローへと向かった。
『上から確認できない。ミズキの方からは?』
『柱の横で止まった・・・・あっ・・・・くそっ! バレてる!』
「なっ!」
ヤベェ!
クルミのドローンがジンに撃ち落とされたらしく、俺はビートチェイサーのスピードを道路交通法ギリギリまで加速させてミズキさんの所へ向かった。
『ジンはまずいな』
『予定変更、ミズキと予備のドローンでジンを見つけ次第、蓮には攻撃に出てもらう。千束達は依頼人をそこから非難させろ』
『そっちが美術館出たら車まわすよ』
『・・・・わかった』
千束の奴、ちょっと納得いかなそうな反応してたけど松下さんの安全を最優先にする以上仕方ないって感じか・・・・たく、せっかく考えた観光プランが台無しだチクショー!
『ミズキ急げ。ドローンがなきゃ何も出来ないぞ』
『ハァ・・・・ハァ・・・・アンタも、現場に来てサポートしなさいよ・・・・うっ!』
通信を聞いているとミズキさんの方で何か異変が起きたように感じた。
『どうした?』
『ジンだ!』
なっ!? もしかしてこっちの動きを読んで先回りしてたのか?
俺は急いでミズキさんの所へ向かった。
そして俺が目撃したのはバイクのヘルメットを被った黒いコートを着た男の前で倒れているミズキさんの姿だった。
ミズキさん!
ビートチェイサーで向かってくる俺の存在に気づいたジンはミズキさんを放置して近くに止めていたバイクに乗って走り去っていった。
それを見ながら俺はミズキさんの近くでビートチェイサーを止めてミズキさんの身体を揺さぶりながら声をかけた。
「ミズキさん? ミズキさん! 大丈夫ですか!?」
「うぅ・・・・」
良かった、息はある。それに奴もまだ遠くには行ってないはずだ、絶対に逃がさねぇ!
「こちら蓮、ミズキさんを発見しました。どうやら気絶させられているだけみたいです。このままジンを追います!」
『待て蓮、深追いするな』
「今ならまだ追えます。ここで見失ったらそれこそこっちが不利ですよ!」
俺は先生と通信しながらミズキさんを近くで寝かせると再びビートチェイサーを走らせた。
・・・・いた!
そしてビートチェイサーを走らせながら俺は義眼を使って遠くでバイクに乗るジンの位置を補足すると奴を全力で追いかけた。
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