虚圏の王 ~バラガンおじさん~ 作:ペロペロペルニダ
下ネタはいつもよりだいぶ少ないですが、いつもよりだいぶふざけてます。
「そう何度も立ち入れると思わないでくれまして?」
かつてバラガン・ルイゼンバーンが治めていた虚夜宮の一角、現在は第3十刃、ティア・ハリベルが管理する第三虚夜宮の前にてハリベルの従属官である第3従属官の1人、シィアン・スンスンは扉の前で懲りずにまた第三虚夜宮にやってきたバラガンを門前払いしていた。
スンスンもまた、バラガンに強く恨みを持っている。ハリベルと違ってスンスンでは逆立ちしてもバラガンに勝てないがだからと言ってこんな奴に頭を下げたりビビったりするなんて死んでもスンスンは嫌であった。
なので従属官でありながら直接の上司でも無い第2十刃に強気に立ち向かっていた。
「儂が何処でお茶を飲もうと儂の勝手だ」
「いいえ、ここはハリベル様の領域。ここで勝手が許されるのはハリベル様と藍染様だけですわ」
バラガンから出る従属官では絶対に辿り着けない領域の霊圧をスンスンは内心焦りながらも強気に立ち向かう。半殺しにされるかもしれない……が、自分の命惜しさにこいつをハリベルの領域へ踏み入れさせる訳には行かない。
「どうしても退く気は無いのじゃな?」
「……ええ、当然ですわ」
「どうしても?」
「ッ!……ええ、私は第3従属官が1人シィアン・スンスン。ハリベル様の領域を守る為なら例え十刃が相手だろうとここは通しませんわ!」
「…ふむ、ならば仕方が無いな」
バラガンは呆れたように肩を竦め……
「
「そう気に病む事ではありません。彼女の言っている事はご最も」
『セッカクノ夜ナンダ』『敢えて月の下で飲むのも悪くないだろう。』
第7十刃のゾマリ・ルルーと第9十刃のアーロニーロ・アルルエリに申し訳なさそうに謝罪していた。
「いや何でですの!?!?」
さっきからずっと黙っていたスンスンだが、とうとう我慢の限界が来たのかヒステリックに叫ぶ。さっきのバラガンとの小競り合いの時にもこのゾマリとアーロニーロはずっと傍で静観していたが、スンスンは敢えて無視していた。しかし、何故かバラガンとお茶飲み友達になっているという否定したい真実にスンスンはもう我慢出来なくなった。
「何で貴方達普通にお茶飲み友達になっていますの!?」
「どうした急に……もしかして入りたいのか?」
「違いますわ!!!」
そもそも傲慢な老人、最速で愛を語る奇人、顔面ホルマリン漬けの3人とお茶なんて飲めやしないだろう。むしろ胃の中の液体が逆流してくるだろう。
「貴方達3人が仲良くお茶を飲んでいる事に疑問を抱いてますの!」
「そりゃあお主……」
「儂ら3人はベストフレンドじゃかろう」
『俺達』『マブダチ』
「同じ愛の元に生きたのですから当然です」
バラガン、ゾマリ、アーロニーロは無表情で肩を組んでスンスンに露骨なズッ友アピールをして見せた。
「嘘でしょう!?!?」
「ちなみに先日グリムジョーを誘いましたが断られましたね」
「いや当然ですわよ!?」
『モシカシテ珈琲ノ方ガ』『好きだったかも知れない』
「そっちじゃねぇですわよ!!?」
「紅茶飲み友達、会員募集中じゃ。ほれ、会員届けやる」
「要らねぇですわよ!!!?」
バラガンから渡された会員届けをビリビリに引き裂いて虚圏の大地へと捨てるスンスン。
「ああ、そう言えば先日東仙様を会員に誘ったら承諾貰いました」
「嘘でしょう!?」
『テッキリセンブリ茶シカ飲マナイカト』『思ったんだがな』
「んな訳ねぇですわよ!? 東仙様を何だと思ってらして!?」
「とりあえず早く通してくれんかのぅ、紅茶冷めてしまう」
「通さねぇですわよ!? 何がとりあえずなのかしら!?」
その後1時間ほどスンスンはゾマリ、アーロニーロ、バラガンのお茶飲み友達軍団に粘ったが……
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
「ふむ、やはり第3虚夜宮で飲む紅茶は絶品じゃな」
「絶品かどうかは賛同しかねますが場所が変わると確かに味に変化が起きた様な気がします。これは思い込みか……否か……」
『おい、大丈夫かスンスン』『ダメダネェ、アレダケ騒イダカラ倒レテルヨ』
結局最後にスンスンは折れてしまい、倒れ伏して涙を流しながら馬鹿十刃共の侵入を許してしまったのであった。
「う、ううっ……も、申し訳ございませんわ……ハリベル様…」
現在不在の主に涙しながら許しをうわ言の様に呟き、乞うスンスン。本来ならばこれは主のハリベルには届かず愉快なバラガン共達の談笑と虚圏の夜空に消え失せるのだが……
「スンスン、よく持ちこたえた。」
「え?」
スンスンが顔を上げるとそこには敬愛する第3十刃のティア・ハリベル本人が居た。
見慣れた背中であり、つい10時間前には聞いたばかりの声なのにまるで100年の時を経て再会した母の様な安心感にスンスンはまたもや泣いてしまった。今度は悔し涙では無く、安心による子供らしい涙で……
「ん、おお! ハリベルでは無いか。どうじゃ、今度こそ一緒にお茶でもどうじゃ」
月夜を見ながら紅茶を嗜んでいたバラガンだが、ハリベルが来ていると否や嬉しそうにハリベルをお茶に誘う。
「紅茶を嗜みながら見る月夜もまた特段と美しく見えますよ」
『ソモソモコノ紅茶ガ』『とっても美味いな』
そしてハリベルと特段仲が良い訳ではないが、仲が悪くもないゾマリとアーロニーロもまたハリベルをお茶に誘う。
そんな彼らにハリベルは溜息を付きながらも歩み寄っていく。
「はぁ…やっぱり虚圏の夜は嫌いだな」
その姿は何処か、楽しそうで……
「討て『
殺意に満ち溢れていた。
「ぎゃああああああああああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!」
『ギャア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙』『ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ァァァァァァァ!!!!!!!』
『藍染様ばんざあああああああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぃぃ!!!!!!!』
まさしく津波と呼ぶに相応しい程の大量の水が怒涛の勢いでバカ三刃を飲み込み、はるか彼方虚圏の果てへと流し去って行った。
バカ共が波に飲まれて完全に見えなくなるまで流されたのを確認した後ハリベルは満足そうに踵を返し、虚夜宮内へと戻って行った。
その時のハリベルの表情を後にスンスンはこう語っている。
「長年ハリベル様に仕えてきましたがあんな可憐な少女が見せる様な楽しげで無邪気な笑顔初めて見ましたわ。相当苛立って居たからスッキリしたんでしょうね…」
ギン「水の無い虚圏で紅茶はどうやって作られたと思う?」
バラおじ「うーん……あ、分かった! ハリベルちゃんの水で作られてるんだね!」
フィンドール「
ハリベル「不正解だ、馬鹿者」