ONE PIECE FILM:DREAM   作:霧乃

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幕の後

 

 

 

海軍の議事の間では今日も世界の平和の為に多くの将校が話し合っていた。

 

今日の会議は先日起きたエレジアの事件。

 

映像を見、聞いた者を眠りに落とすという過去に類を見ない事件であり、

世界規模で被害者のいる事件だけにその扱いは殊更に大きい。

 

そして議題はその首謀者と目される人物にうつる。

 

 

「“うたうたい”のウタ!エレジアから特殊な電伝虫を使用し世界中に向けその能力を発信。

 その力によって世界中のファンを眠りに落とし危機に陥れた…あまりに危険です!」

 

 

ブランニュー准将はウタの事件のあらましを簡潔に説明。

その危険性を高らかに叫ぶ。

 

 

「ただ、現在はエレジアで使用された特殊な電伝虫は回収されており、

 世界中のその歌声を響かせる方法が無くなったため危険度は多少低下。

 …されど起こした事件の重大性。能力の危険性を加味して懸賞金3億ベリーとします!」

 

 

その案を聞き、一人の海軍将校が手をあげ、異を唱える。

 

 

「うたうたいは赤髪海賊団の一員らしい。もう少し上げても構わないのでないか?

 件の事件の終わり際に黄猿、藤虎両大将と現場近海で赤髪海賊団が激突しかけたのだろう?」

「現場で救助に当たっていたモモンガ中将からの報告では別の化け物が出たらしいじゃないか。

 初動で億という高額を懸けるのは好ましくない。むしろ下げてもいいのではないか?」

「その化け物は既に打倒されたそうだ。むしろその化け物が黒幕でありウタは巻き込まれた被害者の一人ではないのか?」

 

 

その後も喧々諤々と意見が交わされるが最終的に初期案で決定された。

 

このウタの手配書は何故かは分からないが多くの人間が欲しがり、

海軍が手配書を販売するという謎の現象が発生するがそれはまた別の話。

 

 

「では次の議題です。“うたうたい”のウタのニューシングル「頑張れ海軍音頭」の売れ行きですが…!」

 

 

今日も海軍は世界平和の為に頑張っている。

 

 

 

 

 

偉大なる航路、新世界のドコカの港。

 

物資の補給の為に停泊しているサニー号からウタとチョッパーが降りてくる。

 

 

「シャンクスめ…また私を置いてった!」

「まーた言ってる。ビブルカードは預けられてるんだし、会いに行こうと思えば行けるんじゃないか?」

「流石の私もこの海を一人で渡り歩く自信はないなァ…」

 

 

船より大きな海蛇がサニー号の横を自由に泳ぐ様を見れば、ウタも無理は言えなかった。

 

あの日シャンクス達はエレジアに接近していた海軍大将の船を撃退するために麦わらの一味より先にエレジアを出港。

 

 

『一緒に行こうと聞いて嫌と言われちゃあ俺達も無理は言えねぇな』

 

 

などと笑いながら先に旅立っていったらしい。

 

 

「ルフィが会いに行くんだしちょうどいいんじゃないか?」

「それはそうなんだけどさァ…」

 

 

そんなウタ達をサニー号の甲板から見るナミ・ロビンは、

 

 

「…あっち的には多分男所帯に置いときたくなかったんじゃ?」

「それもあるだろうし、多分同年代と冒険させたかったのかしらね。

 ウタさんは随分長い事あの島に閉じ込められていたのだし」

「かもね…って、何あれ」

 

 

そうこう眺めている港にド派手な船が突っ込んでくる。

その船はドクロマークの帆を持った海賊船だ。

 

ガラの悪い男達が武器を手に船から飛び降り、港にいる人達を襲おうとしていた。

 

それを見逃すまいとウタとチョッパーは、

 

 

「悪党だ!行くぞォチョッパ-!」

「…ウタは時々ルフィに似てるよな」

 

 

そう走っていくのをナミとロビンは見た。

 

 

「ああ、もう。こっちに一言言ってから行きなさいよ…!ルフィ――ッ!」

 

 

 

 

 

―――幸せな私は困ってる人を救う。世界に笑顔と夢を。幸せになったなら夢を見て。

 

 

 

―――私は笑いながら歌おう。誰かに、皆に夢を魅せよう。

 

 

 

―――私は夢の終わりじゃなくて、始まりなんだって。誰かに続いてもらうためにそう歌うの。

 

 

 

 

 

「私は赤髪海賊団 音楽家 ウタ!」

「今は麦わら海賊団のゲストだろ」

「腰を折らないでよチョッパー。…こほん。覚悟しろ悪党!」

 

 

胸を張って名乗り上げる。恰好は付かないけれど。

 

ウタちゃーんという歓声が聞こえ、ウタはそれに応えて手を振り笑いながら、

 

 

 

 

「『私は最強』!」

 

 

 

 

片手を天に突き上げ、ウタは歌いあげる。

 

私は今日も生きてるよと。

 

 

「チョッパー!あなたの夢は何!」

「え!?」

 

 

ウタの突然の問いにチョッパーは戸惑いながら、

 

 

「柔力強化!…俺は、万能薬になる!」

 

 

体を戦いに適した形に変化させ、ごろつきを蹴散らしながら叫ぶ。

 

 

「ナミ!ロビン!貴方達の夢は?」

「え!?そういうノリ?私は自分の目で見た世界中の海図を描くこと!」

「ふふ…私は歴史を解き明かすことかしら」

 

 

甲板で騒ぎを見て、慌てて駆け付けたナミとロビン。

 

 

「フレッシュファイヤー!何の騒ぎだこりゃ!」

「ロボなのにわかんないの?」

「ロボにだって…ロボニダッテワカラナイコトハアル」

「ロボっぽい!」

 

 

カラカラ笑いあう。

 

 

「フランキー!貴方の夢は?」

「んん!スゥーパァー!サニー号と俺達がどんな難事も乗り越えて海の果てへ辿りつくのを見届ける事さぁ!」

 

 

フランキーはいつものポーズで決めながら叫んだ。

 

そんな事をしているうちに近く忍び寄っていたごろつきが

どこからともなく飛んできた弾に当たり植物で拘束される。

 

 

「ウソップ!貴方の夢は?」

「俺はぁ!勇敢なる海の戦士になる事さぁ!」

「がんばれよウソップ!いつも援護ありがと!」

「とぉぜん!でもなんか俺の扱い雑じゃない?」

 

 

突然暴風のように風がなる。

 

ごろつき達の船の甲板から何十人もの人影が飛び、2人の人影がこちらへ飛んでくる。

 

 

「退屈しのぎのもならねぇな」

「また道を間違えやがってこのクソ剣士!ナミさんやロビンさんウタちゃんに何かあったらどうする気だ」

「あいつらならどうとでもするだろうがよ。やるかクソコック!」

「はーいやめやめ!ゾロ!サンジ!貴方たちの夢は?」

 

 

ウタは睨みあう二人に割って入り、別の方向へ誘導する。

 

 

「あん?…世界一の剣豪!」

「ああ今日も可憐だウタちゅあぁん。…伝説の「オールブルー」を見つける事!」

 

 

飛び出していく二人を見送りながら、こういうノリはいいになァとウタ。

 

 

「ふ、今日こそ叶う気がします。ウタさんパンツ見せても…」

「嫌」

「手厳しぃ―――!ヨホホ!」

 

 

ふざけているが、ありがたい人だ。

 

 

「ブルック、あなたの夢は?」

「古き友に土産話を片手に会いに行く事です!」

「おーいお前ら!何してんだ?」

 

 

空からルフィが降ってくる。

 

 

「夢は新時代!世界を、歌と!笑顔と!夢で満たしたい!」

 

 

ウタは夢を叫ぶ。負けてたまるものかと。

 

あの新時代は間違っていなかったけど間違っていた。

終わらせたあの夢の為にも、もっと素晴らしい夢を叶えるのだと。

 

 

「ルフィ!アンタの夢は?」

 

 

ルフィはニヤリと笑って。

 

 

 

「海賊王に、俺はなる!」

 

 

 










これにてONE PIECE FILM:DREAMはおしまい。

愚痴交じりの稚拙な文章をここまで読んでいただいた貴方に最上の感謝を。

女の子が笑ってハッピーエンド。
陳腐でいい。少年漫画ってそういうもんでしょう?
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