――ダスカ&ウオッカの部屋――
『トレーナーさんへ
はれて18歳になりました。口に出しては言えないけど、貴方の事が好きです。良ければこれからもずっと貴方の一番にして下さい。受け入れてもらえたなら、今夜うまぴょいでも構いません』
「か……書けたわ。四つ折りにして、あとはこれをトレーナーに渡すだけ。うう〜緊張するわね……」
『拝啓トレーナー様へ
とうとう18歳になりました。本気の気持ちを伝えるべく、こうして手紙にしたためています。約束した通り、今度は絶対に貴方のバイクに乗せて下さい』
「書けた……四つ折りにして、あとはこれをトレーナーに渡すだけだな。くうぅ、緊張してきたぜ」
「「あとはこれを封筒に包んで……ん?」」
「何、アンタが手紙書くなんて珍しいじゃない。明日は雨で重馬場かしら?」
「はあ? 俺だって手紙くらい書くだろ。お前こそそういうのはいつもLANEで済ませてんのにどうしたんだよ?」
「ア、アンタには関係ないでしょ? ふんっ、どうせ相手はアンタのトレーナーでしょ? 大方バイクに乗せてとか、ガキ臭い事書いたんでしょ」
「は、はあ? ちげえし! お、お前こそわざわざそんなの書くってことはトレーナーだろ? アタシと付き合って下さいなんて少女漫画みたいなこと書いてたりしてな」
「は、はあ? そ、そんなわけないでしょ! バッカみたい。ホントアンタって脳筋なんだから」
「はあ? 誰が脳筋だよ。恋愛脳ウマ娘にだけは言われたくねえよ」
「恋愛脳ウマ娘って……そ、そう……よくも言ってくれたわね。覚悟はできてるのかしら?」
「そりゃこっちのセリフだろ。今日こそ決着つけてやるよ」
――リアルファイト後――
「はあ……はあ……も、もう止めねえか? フジ先輩に怒られちまう」
「はあ……はあ……ええそうね。まったくもう……部屋がめちゃくちゃじゃない。手紙もどこかにいっちゃってるし……ああ手元にあったわね」
「俺のは……ああこれだな。もうちゃっちゃと封筒に入れようぜ。片付けはそれからでいいだろ?」
「ええそうね」
――翌日夜――
「手紙……読ませてもらったよ、スカーレット」
「ふ、ふーん。そう……そ、それで、アンタの返事は?」
「わからない……というより僕そんな約束したっけ?」
「はあ? URAファイナルの時に言ったでしょ? アタシの隣にいていいのはアンタだけだって。それを忘れたとは言わせないわよ?」
「あれそういう意味だったの!? てっきり僕は……」
「もう! ごちゃごちゃ煩いわね。早く返事を聞かせてくれないかしら?」
「も、もちろん君が望むんなら……け、けど僕こういうのやったことなくて」
「あらそう? アタシもそうだから――って、何言わせるのよ」
「資格も持って無いんだけど」
「トレーナーはアタシの期待に応えてくれた……資格なんてそれで十分よ。後はアンタの気持ち次第だから」
「そうか……わかった。なら今度も君の期待に応えてみせるよ」
「う、うん……それで今夜は……」
「ああ、早速帰って調べてみるよ。最短で取れるように頑張るから。じゃ、僕はこれで!」
「は? えっ……? 何、最短って……結婚式場?」
――同時刻――
「手紙……読ませてもらったよ、ウオッカ」
「あ、ああ……それで、返事は?」
「正直……迷っている。ずっとお前を見てきたからな。不思議な気分だ」
「けど俺はもう18歳になった。この意味がわかるだろ? トレーナー!」
「ああ、わかってる。けど本当に俺でいいのか?」
「URAファイナルのときに言っただろ? 俺の隣を共に走るのはアンタだけだって。忘れたなんて言わせねえぜ」
「そうか……あれはそういう意味だったのか」
「もういいだろ? 早く返事を聞かせてくれよ!」
「わかった、OKだ。早速今夜、ってことでいいのか?」
「えっ? あ、ああ……もちろん。トレーナーが良ければ大歓迎だぜ」
「そう急がなくてもな。嫌なら止めてもいいんだぞ?」
「何言ってんだよ。ずっとこの日を楽しみにしてたんだぜ? 今更ビビってなんかいねえ! どんと来いだ!」
「そうか、わかった」
「へへっ、楽しみだな。一体どんな気持ちに――って。え? トレーナー……何か顔が近、い――!? んん!? んんんんんーーー……………………っぷはあっ! はあっ……はっ…………え? な……何で? 何で俺、トレーナーとキ、キスなんかして……」
「ああ……いいな、その顔…………唇を重ねてようやく気付いたよ。自分の本当の気持ちに。ふふ、悪いが今日は帰すつもりはないからな、ウオッカ!」
「ふえ? ちょっと待って、待っ―――!」
――翌日――
「うーん、トレーナーったら全然電話に出ないじゃない。ウオッカの奴も昨日は帰って来なかったし……一体どうなってんのよ」
「うっす、ただいま……」
「お帰り、昨日どこに行ってたのよ? ホントに心配……はしてないけど、ってアンタ、凄い疲れてるみたいだけど、何かあったの?」
「何でもない……ちょっとトレーナーの部屋に行ってた……」
「と、トレーナーの? ふ、ふーん。それで、いつものバイク談義で盛り上がったってわけね?」
「ううん、違う。俺……初めてだったんだ。なのにトレーナーってば凄く激しくてさ。もう無理だよって何度も言ってんのにお構いなしに求めてこられて」
「へ……? あ、アンタ……何言って……」
「最後なんかもう自分が自分でないみたいに溶けきっちゃってさ、すっかり敏感になったところを触りながらトレーナーが言うんだよ。『明日からはこっちも重点的にトレーニングしていくからな』って。それ聞いた瞬間また自分の身体がびくってなってさ……」
「…………」
「……おとといは恋愛脳ウマ娘なんて言って悪かったよ。レースやバイクよりも凄くて気持ちいいものがあるだなんて思わなかったんだ……」
「そ、そう……」
「あ、悪い。トレーナーからだ? ――え? 今から? で、でもさっき終わったとこなのに―――う、うん。そんなに言うなら……わかったよ。じゃあ下で待ってて…………悪い。ちょっとトレーナーと打ち合わせしてくるから」
「う、うん……行ってらっしゃい」
「ああ……お前もトレーナーと上手くいくといいな。じゃあ」
「…………」
「……」
「…………ああーーもう! 何この敗北感! 昨日と全然違うじゃない! 何がどうなってんのよ〜!」
「〜♪」
「あーもうイライラするわね。こんな時に誰……ってトレーナーじゃない。もしかして式場が見つかったのかしら……はい、どうしたの? いい所見つかった?」
「ああ! 見つけたよ。ここなら最短9日でいけるって。実はもう現地に来てるんだ」
「え、そうなの? う、嬉しいけど9日は流石にちょっと早過ぎじゃない?」
「少しでも早い方がいいんだよね? で、説明を聞いたら取得後一年間は二人乗りは許可されないみたいでさ。だから友人のツテを通じていまサーキットの予約を申しこんだんだけど」
「式場の話はどうしたオラァ!」
「ええっ!?」
――その後、何やかんや行ったサーキットはそれなりに楽しかったとか