不屈の悪魔   作:車道

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遠い国から来たボディガード その②

 ジョルノたちと合流したブチャラティが最初に行ったのは承太郎となのはの拘束だった。

ブチャラティはジョルノのスタンドの生命を生み出す能力で太く成長する(つる)植物を作らせて、二人が腕を動かせないように巻き付かせた。

 

 スティッキィ・フィンガーズの能力でジッパーを作って腕を使えなくすれば確実に無力化できるのだが、近距離パワー型のスタンド使いに近づくのは反撃される恐れがあると考えて安全策をとったのだ。

 

 もっとも、拘束そのものにスタンドを無力化できるような効果はない。

少しでも行動を縛るための苦肉の策に過ぎないが、やらないよりはマシだろうと判断しての行動だった。

 

「ぼくのゴールド・エクスペリエンスで生み出した生命には攻撃しないほうがいい。

もし攻撃したら、そのまま自分自身への攻撃となり命とりになる」

「康一くんからの報告どおりの能力だな。

分かった。下手な動きはしないで黙って指示に従おう、汐華初流乃(しおばなはるの)

「……コーイチ、だって? おまえはコーイチ・ヒロセの関係者なのか?

それに、ぼくの本名を知っている……あなたたちは一体何者なんだ」

 

 拘束されて4人のスタンド使いに囲まれているにも関わらず、承太郎は冷や汗一つ流さずに冷静さを保っている。

自分の情報が広まるには時期が早すぎると思ったジョルノは考えを巡らせている。

 

 自分がパッショーネに入団してから、まだ5日しか経っていない。

そもそも康一と最初に出会ったのは入団するより前だ。

しかも完全に偶然としか思えない遭遇だった。あれは演技ではなかった。

 

 別件で自分のことを追いかけていたのか?

だが、自分を追いかけてきたと言う割には、探るような態度は見られない。

パッショーネの手の者ではないという可能性は高まったが、同時に余計に事態が複雑化したようにジョルノは感じた。

 

「ジョルノよォ~~~。オメーが、あのやたら図体がでかいオッサンと因縁があるのは今はカンケーないだろ。

優先するべきは、こいつらの目的を聞き出すことじゃあねえのか?」

「それに時間がない。ひとまず納骨堂から出て、こいつらに尋問をした後で今後どうするかみんなで話し合いたい」

「おい、おめーら! もし5メートル以内に近づいたら、オレとミスタのスタンドで蜂の巣にしてやるからなッ!」

 

 ナランチャ・ギルガの背後から垂直にラジコンサイズの戦闘機が飛び上がる。

航空力学を無視して、ナランチャの頭上で浮いている戦闘機こそ彼のスタンド──エアロスミスだ。

 

 グイード・ミスタも6人のスタンド──セックス・ピストルズを両手で構えた回転式拳銃(リボルバー)に移動させ、戦闘準備を整えた。

 

 少しでも妙な動きをしたら即座に攻撃できるようにミスタは拳銃を突きつける。

ナランチャもエアロスミスの機銃の照準を合わせて鋭い目つきで睨んでいる。

 

 ピリピリとした刺すような視線を背後から向けられているが、承太郎となのはは顔色一つ変えずに指示に従って、ゆっくりと階段を昇っていった。

 

 

 

 2001年4月2日の午前6時過ぎ、朝焼けに染まる空を背景に尋問は始まった。

ブチャラティたちが帰ってくるのをボートの側で待っていたレオーネ・アバッキオとパンナコッタ・フーゴは、見知らぬ人物を連れて帰ってきたのを見て驚いている。

 

 イタリア人と比べても見劣りしないどころか、この場にいる誰よりもガタイのいい承太郎はともかく、見るからに荒事に向いていなさそうな少女まで拘束しているのだ。

二人ともブチャラティの判断に異論を唱えるつもりはないが、内心ではそこまでする必要があるのだろうかと思っていた。

 

 それに加えて、本来はボスに引き渡すはずだったトリッシュを抱えて帰ってきたのもおかしい。

ブチャラティとジョルノを除いたチームメンバーはブチャラティに今すぐにでも問いかけたいと思っているが、正体の分からない二人組への対処を優先して(こら)えている。

 

「あんたらは、どうやってかは分からないが()()()()()()()()()()()()オレを助けてくれた。そのことについては礼を言う。

だが、それだけで『信用』はできない。まずは、おまえたちの名前と所属、目的を教えてもらおうか」

()()()()()()()()()()()()……? どういうことなんだ、ブチャラティ! ()()()()()()()()()!? あんたは!」

「そのことについては後で必ず説明する。だから、もう少しだけ(こら)えてくれ、アバッキオ」

 

 今置かれている状況に不安を覚えているアバッキオが、他のメンバーの考えを代弁して、ボートの中にトリッシュを寝かせていたブチャラティに問いかけた。

 

 ブチャラティも本当は先延ばしなどしたくはない。

今すぐにでも説明したいと思っているが、ボスを裏切ったと聞けば確実にアバッキオたちは混乱する。

 

 そんな状態で尋問などできるはずがない。だから、あえてブチャラティは現状の説明を後回しにしているのだ。

なぜか()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()ジョルノにブチャラティが視線を送ると、無言で頷き返された。

 

 ジョルノはブチャラティがボスを裏切ったことを既に悟っていた。

その上で、彼はブチャラティに同行するつもりでいるのだ。

ジョルノの夢はギャングスターになって街にのさばる不条理な悪を浄化することである。

今回の一件は、ボスを蹴落とすチャンスだと捉えていた。

 

「おれの名前はジョータロー・クージョー……こっちの子供はナノハ・タカマチ。

おれたちはスピードワゴン(SPW)財団という組織の関係者だ。名前ぐらいは聞いたことがあるだろう」

()()()()ワゴン財団ン~~~? そんなの聞いたことねーよ。なあ、フーゴは知ってる?」

()()()()ではなく()()()()だよ、ナランチャ。

SPW財団はアメリカのテキサス州ダラスに本拠地を置く世界有数の民間のシンクタンク(総合研究機関)ですね。

イタリアではパッショーネのほうが影響力がありますが、()()()()()()()世界規模の影響力を持つ巨大組織です」

 

 無知なナランチャにフーゴがSPW財団の概要を説明する。

フーゴは、なるべく分かりやすいように優しく言い聞かせているが、ナランチャは興味なさげに頷くだけだった。

 

 アメリカのテキサス州なんてどこにあるか知らないし、シンクタンクという単語にいたっては生まれて初めて聞いたナランチャにとって、フーゴの説明は難解過ぎたのだ。

 

 SPW財団の名は非常に有名である。活動内容はともかく名前ぐらいならナランチャ以外のメンバーは全員知っているぐらいには知名度が高い。

 アメリカからは遠く離れたイタリアでもニュース番組や新聞で度々(たびたび)名前が出るのだが、ナランチャはその手の話題に興味が無いので一切知らなかった。

 

「おれは正式にSPW財団に在籍している。言葉だけで信用できないならSPW財団の本部に問い合わせれば確認が取れるだろう」

「……その必要はない。裏社会に属している一定以上の立場の人物は、全員あんたのことを知っている。SPW財団に在籍しているということもな。

オレも名前や容姿は聞いたことがあるが……SPW財団はパッショーネと戦争でもするつもりなのか?」

 

 ブチャラティは、かつて上司だったパッショーネの幹部──ポルポから絶対に戦ってはならない相手として、承太郎に関する情報を伝えられていた。

もし姿を見かけたら、すぐに組織の情報分析チームに報告しろと念押しされていたため、深く記憶に刻まれていたのだ。

 

 承太郎は海洋学者としての仕事をしながら、SPW財団のエージェントとしても活動している。

明らかにスタンド使いが関わっているであろう事案を解決するために世界を飛び回っているのだ。

 

 意図的にスタンド使いを量産していたパッショーネほどではないが、裏社会の組織に在籍しているスタンド使いは数多くいる。

 裏社会の掟を破ったスタンド使いは、基本的に裏社会の秩序を守るスタンド使いが秘密裏(ひみつり)に始末している。

だが稀に裏社会のスタンド使いでも対処しきれない、非常に強力なスタンド使いが現れる。

 

 そういったときに承太郎に話が回ってくる。

SPW財団は実際のところ、研究や超能力者の保護のために資金力や権力に物を言わせて非合法な活動を行うことがある。

 その一環で表社会では対処できない事態に対応するため、SPW財団は裏社会の治安を守るために動いている組織と協力関係を築いている。

 

 裏社会の秩序を乱すスタンド使いに対する最終兵器──それが空条承太郎なのだ。

スタンド能力の詳細は口止めされているため広まっていないが、彼が非常に強力なスタンド使いであるという話は、ある程度裏社会に属している人物なら誰でも知っている。

 

「そうならないように、おれたちはここに来た。

そもそもの目的はトリッシュ・ウナの救出と移送だったんだが、手短に説明するとしよう」

 

 手首を切り落とされ大量に出血した影響で目を覚まさないトリッシュに視線を向けながら、承太郎はイタリアまで来た経緯を説明し始めた。

 

 

 

 事の発端は、ドナテラの(ささ)やかな願いだった。

死ぬ間際、ドナテラからトリッシュを託すためにソリッド・ナーゾという男を探して欲しいと頼まれたティオレは、SPW財団に協力を仰いだのだ。

 

 ドナテラが世話になっていた恩師であるティオレは、娘の病気(HGS)の関係でSPW財団と繋がりがあった。

福祉活動などのために多額の寄付をSPW財団にしているティオレの頼みを無下(むげ)にはできなかった。

 

 SPW財団の捜査網や人員を駆使してソリッドについて探った結果、見つけてはならない真実を把握してしまった。

ソリッド・ナーゾという名前は、パッショーネのボスを探る者を釣り上げるための疑似餌の一つだったのだ。

 

 幸いにも関わっていたエージェントは早期に手を引いてイタリア国外に脱出したため無事だったが、トリッシュの保護にまで手が回らなかった。

国外に逃がそうとSPW財団が動いたときには既に手遅れで、トリッシュはパッショーネの者に拉致されてしまっていた。

 

 それだけなら承太郎が動くような事態にはならない。

SPW財団のエージェントはスタンド使いの数こそ多くないが、退役軍人や元諜報員といった優秀な非スタンド使いの人材が揃っている。

通常の非合法組織相手なら、決して遅れを取ったりはしない。

 

 だが、イタリアで行方不明になっている承太郎の友人──ジャン=ピエール・ポルナレフが追っていた相手とソリッドが同一人物かもしれないという可能性が浮上して話が変わった。

 

 ポルナレフは手練(てだれ)のスタンド使いだ。

スタープラチナの時止めやキング・クリムゾンの時飛ばしのような強大な能力こそ持っていないが、幼少期より鍛え上げてきた経験と判断力は承太郎も一目置いている。

 

 そんな男を人知れず葬りされる相手となると、強力なスタンド使いである可能性が非常に高い。

そこでSPW財団は『ものを紙にできるスタンド使い』の手を借りて、承太郎となのはをイタリアに密入国させた。

 

 その後は『特定の人物の居場所を念写できるスタンド』と『遠い未来と近い未来を予知できるスタンド』の能力を併用して、トリッシュが移送されるであろう場所を割り出して先回りしていた──というカバーストーリー(作り話)を、さも真実であるかのように語った。

 

 

 

 これらの情報は真実も含まれるが、ほとんどの要素がでっち上げの作り話である。

ティオレとSPW財団に関わりがあるのは事実だが、ソリッドを探しているという噂を流した後は軽く探っただけで捜査を打ち切っている。

 

 そもそもドナテラは実際には死んでいない。

特殊な素材で作った人形に同化させたサーフィスをドナテラの遺体だと偽って土葬したことで、トリッシュの目を誤魔化したのだ。

今はSPW財団の本部で保護されている。

 

 トリッシュの行方は、なのはの記憶を基に先回りさせたSPW財団のエージェントたちの監視で把握していた。

それらの情報は暗号化された衛星通信で集約されている。

 

 記憶通りにブチャラティチームが動いていると判明した時点で、承太郎となのははディアボロより先に移動して教会の納骨堂にあらかじめ作っていた隠し部屋に潜んでいたのだ。

 

 パッショーネの情報網は強大だが、SPW財団も短期間ならすり抜けられるだけの力を持っている。

SPW財団が探りを入れているとパッショーネの情報分析チームが把握した頃には、エージェントは全員国外に逃げ延びているだろう。

 

 それらしい理由付けの為に具体例を出しただけで、エニグマ以外のスタンド能力の説明も半分は嘘である。

ジョセフのスタンド──ハーミット・パープルはジョースター一族の血縁者相手か、物理的な手がかりがある場合しか念写能力を使えない。

 

 なのはのエピタフも予知できる時間が多少は伸びたが、それでも10秒が限界だ。

前世(ディアボロ)の記憶を誤魔化すために、遠い未来も予知できることにしているだけである。

 

 ブチャラティたちには承太郎の説明した過程が真実かどうか確かめる手段が存在しない。

語った過程が噓か本当かはともかく、トリッシュの居場所を突き止めて先回りしていたという結果しか現状では分からない。

 

「話の筋は通っているようだが……トリッシュをボスの手から逃す手段は用意できているのか?」

「おれたちを密入国させた『ものを紙にできるスタンド使い』がアドリア海沖の船上で待機している。

そいつのスタンド能力でトリッシュを『紙』にして、クロアチアからアメリカまで飛行機で移送するつもりだ。

アメリカにあるSPW財団の本部ならパッショーネも手が届かないだろう」

「おい、ブチャラティ! 御託(ごたく)はいいから、さっさとオレの質問に答えろッ!

 あんたは……あんたは、()()()()()()()んじゃあないのかッ!」

 

 話が長引き、このままでははぐらかされるではないかと危惧したアバッキオが、ブチャラティと承太郎の会話に割って入る。

アバッキオの核心を突く質問に、ブチャラティチームの面々は顔を青くして冷や汗を流した。

彼らは組織がどれほど恐ろしい存在か理解している。

 

 金も権力も後ろ盾もない下っ端の彼らが組織から逃れるのは不可能だ。

状況から考えて裏切ったとしか思えないが、もしかしたら不幸な事故か些細(ささい)な行き違いがあったのかもしれない。

ブチャラティの返答は、そんな僅かながらの希望を打ち砕く一言だった。

 

「分かった……話は途中だが単刀直入に言おう。アバッキオの予想は正しい。

()()()()()()()()()()ッ! おまえたちとは、ここで別れるッ!

 これから、おまえたちがオレと一緒に行動すればッ!

 おまえたちもオレと同じ『裏切り者』になってしまうからだ!」

 

 ブチャラティの発言は彼らが頭の片隅で予想していた通りの内容だった。

だからといって驚かないわけがない。あらかじめ理解していたジョルノと部外者の承太郎となのは、当事者のブチャラティを除いた面々は口をポカンと開けて放心している。

 

 数秒の沈黙の後、おもむろにナランチャがエアロスミスの機銃を承太郎に向けると、大声で叫びながら殺意をむき出しにした。

 

「そうか……テメーらが、テメーらが妨害したせいで、ブチャラティは任務を失敗したんだなッ!

 殺してやる! 殺してやるぜェ~~! ジョータロー!」

「待て、ナランチャ! 彼らは悪くない! 彼らが現れたのは、()()()()()()()()なんだッ!」

 

 混乱のあまり、物事の前後関係を理解しきれなくなったナランチャはブチャラティの制止を振り切ってエアロスミスで攻撃しようと動き出してしまった。

まずは明らかに強者の風格を漂わせている承太郎から始末しようとしたのは、ナランチャの持つ天性の戦闘センスによるものだろう。

 

 空高く飛び上がったエアロスミスが、承太郎の死角である頭上から弾丸の雨をばら撒いた。

頭上からの面攻撃は近距離パワー型のスタンドと言えど防ぎ切るのは難しい。

だがナランチャの予想に反して機銃攻撃は成功しなかった。

 

「き、消えただとォ!? どこだ、どこに行きやがった!」

「いい攻撃だったが、狙いが直線的すぎる。おれに攻撃を当てたいのなら跳弾を狙うべきだったな」

「後ろだ、ナランチャァ────ッ! あのヤロー、瞬間移動する能力でも使うのか? クソ、ピストルズで援護を──ッ!?」

 

 ナランチャの背後に時を止めて移動した承太郎は、スタープラチナを出したまま攻撃もせずに様子を見ている。

ついさっき船上で起きていた奇妙な現象のように瞬間的に移動したのを見て、ミスタは咄嗟(とっさ)に拳銃を撃とうとしたが、そこでようやく自分の身に起きた異常に気がついた。

 

 なんと拳銃から手を離した記憶はないのに両手が空になっていたのだ。

ホルスターにも拳銃は納まっていない。瞬間移動したかのように消え去ってしまった拳銃の行方はすぐに明らかになった。

ミスタの拳銃は承太郎のスタンドの右手に握られていたのだ。

 

「悪いが拳銃は奪わせてもらった。我々は君たちと敵対するつもりはないが、攻撃されたのなら当然反撃はする。

それより、()()()()()で無駄な時間を使っていていいのか?」

「……ジョータローの言うとおりです。彼がもし敵対するつもりだったのなら、ナランチャとミスタは今の一瞬で殺されていた。

それよりも……ブチャラティ、みんなに説明してください。もしかしたら、あなたに『ついてくる者』がいるかもしれない」

 

 慌てた様子で承太郎から距離を取るナランチャをよそ目に、ジョルノが状況を動かそうとブチャラティを急かした。

彼は無駄を嫌う性格をしている。このままでは無為に時間だけを浪費してしまうと思って、(なか)ば無理やり話を進めたのだ。

 

 アバッキオは急に場を仕切りだした新入り(ジョルノ)の行動に難色を示したが、話が進まないのも事実であるため眉をひそめるだけで胸ぐらを掴んだりはしなかった。

 

「……ボスは自らの手で自分の娘を始末するために、オレたちに彼女を『護衛』させた。

トリッシュには血のつながるボスの『正体』が分かるからだ。

それを知って、俺は許すことができなかった。そんなことを見てみぬふりをして、帰ってくることはできなかった。だから裏切った!」

 

 ブチャラティの行動が正しいか間違っているのか。

現状の情報だけで判断するなら明らかに間違っているだろう。

 

 フーゴはありえない選択をしたブチャラティを信じられなくなった。

ミスタはブチャラティの正気を疑った。

ナランチャはただただ黙り込んで立ち尽くしている。

アバッキオは危機的状況に陥ってると忠告している。

 

 助けが必要だ。ともに来るものがいるのなら、階段を降りてボートに乗ってくれとブチャラティが告げるが、誰しもが顔を背けて動こうとしない。

 

(そうだ、()()()()()()()()()。パッショーネに楯突(たてつ)こうなどと思うほうがおかしい。

予期はしていたが……ジョルノとブチャラティだけで、ディアボロと親衛隊を始末しなければならないかもしれない、か)

 

 顔を真っ青にしてダラダラと汗をにじませている彼らを見て、なのはは記憶の中で美化しすぎていたのかもしれないと思っていた。

 

 情に流されて血迷った選択をしたと非難しているフーゴの言葉を聞き流しながら、なのはは承太郎の隣に移動した。

彼女はアバッキオたちに冷たい視線を向けている。

 

 自分たちが干渉したせいで、本来の流れから変わりつつある自覚はある。

ジョルノとブチャラティしか協力してくれない可能性も考えてはいたが、それは最悪な場合の話である。

 

 なのはは彼らの気高き精神を尊敬していただけに、落胆もまた大きかった。

フーゴの意見に同意しだしたアバッキオの姿を見て、落胆は失望に変わりそうになった。

だが、すぐになのはは判断が早すぎたと知ることとなる。




誤字脱字、表記のぶれ、おかしな日本語、展開の矛盾を指摘していただける国語の先生をお待ちしております。

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