不屈の悪魔   作:車道

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目的地はサルディニア! コスタ・ズメラルダ その②

「それで、どうするんだ? 燃料にも限界があるんだ。早いとこ飛び降りてほしいんだが」

「もう少しだけ! もう少しだけ待ってくれ!」

 

 決心がつかないのか、中々動こうとしないミスタを承太郎が急かす。

 彼らの背中にはパラシュートが背負われている。その様子を、わたしは亀の中の天窓から眺めていた。

 

 ブチャラティたちと話し合った結果、パッショーネの監視の目をできるだけ掻い潜るため、飛行機は着陸させずにパラシュートを使って島に降りるという流れになった。

 

 トリッシュとわたしはぶっつけ本番でスカイダイビングに挑戦するのは危ないという判断で『亀』の中に退避することになり、チームを代表してブチャラティも見張るために『亀』の中にいる。

 そこまでは良いのだが、飛び降りる直前になってミスタがビビりだしたのだ。

 

「決心がつかないのなら『亀』の中に入ったらいいのでは?」

「オレが『亀』の中に入ったら『4人』になっちまうだろうがッ! 

 3人や5人ならいいが……4人だけは駄目なんだよォ───ッ!」

 

 ジョルノの現実的な提案をミスタは一蹴(いっしゅう)する。

 子供のように駄々をこねるミスタに一同は怒りもせず、ただただ呆れている。

 

 ブチャラティチームはブチャラティ、ナランチャ、アバッキオ、ミスタ、ジョルノの5人。

 それにわたしと承太郎、トリッシュを加えたら8人になってしまうので、ミスタのジンクスとやらに引っかかりやすいのは分かるが……この調子で、よくギャングとしてやっていけていたな。

 

「誰かオレと一緒に『亀』に入ってくれよ。そしたら5人になるんだ!」

「オレ、実はスカイダイビングやってみたかったんだよなァ~~~」

「金を払ってやろうとしたら、安くても20万リラ(1万2千円)ぐらいかかるからな。いい機会なんだ、飛んでみろよ」

 

 ナランチャとアバッキオは飛び降りるのに乗り気で、一緒に亀に入ってやるつもりは無いようだ。

 もしくはミスタをからかっているだけなのかもしれないが……遊んでないで早く飛び降りてほしい。

 

 ジョルノは口を挟まずに『亀』を手に持ったまま最後尾でミスタたちの様子を眺めている。

 この流れでジョルノが『亀』に来たら最悪なので、ミスタにはさっさと決断してもらいたいんだが。

 

 そんなことを考えながら、わたしはL字型のソファの真ん中あたりに座って、じっと上を見上げていた。

 

 外の様子を確認していると、肘掛けの付いた1人掛けのソファに座って雑誌を読みながらペリエ(炭酸水)を飲んでいたトリッシュが、わたしの人ひとり分ほど隣に座っているブチャラティに話しかけた。

 

「あたしがミスタの代わりに飛んだほうがいいんじゃないの?」

「その服装でスカイダイビングはやめておいたほうがいい。

 きみが出るぐらいなら、オレとミスタが交代するほうがまだマシだが……それはできる限り避けたい」

 

 ブチャラティチームは近距離パワー型のスタンド使いが少ない。

 力強さと素早さを兼ね備えているのは、ブチャラティのスティッキィ・フィンガーズぐらいだ。

 ジョルノのゴールド・エクスペリエンスもレクイエムとしか戦ったことはないが、素早さだけならそれなりのものがある。

 

 ジョルノが『亀』に入らないのは、承太郎とわたしを警戒して『亀』の中と外で近距離パワー型のスタンド使いを最低一人ずつ配置しておきたいという思惑があるからだろう。

 

 実際には、我がキング・クリムゾンをも凌駕する基礎能力を持つスタープラチナを相手するのは難しいだろうが、堅実な考えではある。

 

 対ディアボロ戦を想定して一時的に『空条承太郎とその仲間には攻撃できない』命令を解除して、この2年で何度か承太郎と模擬戦をしているが、スタンド同士の格闘戦での勝率は、ややこちらのほうが負け越している。

 

 パワーとスピードはそれほど劣っていないのだが、精密な動きの差が大きい。

 エピタフ込みでなんとか正面から戦えているが、時を飛ばしてもカウンターの時止めで逃げられるので、最終的にスタンド同士の殴り合いになってしまう。

 

 承太郎相手にわたしが戦った場合は、時を飛ばした状態で血の水圧カッターを放つぐらいしか具体的な勝ち筋はない。

 模擬戦で殺しにかかるわけにはいかないので実行には移していないが、ディアボロが同じ技を使える場合は承太郎のほうが不利だろう。

 

 もっとも、わたしが一緒にいればエピタフを妨害できるのは実証済みだ。

 承太郎のスタンド能力はまだ広まっていないので、こちらが有利というのは変わりない。

 

 時たま雑誌から目を離し、こちらを見ているトリッシュの視線を受け流しながら待っていると、ようやく『亀』の外の状況が動き出したようだ。

 

「さっきも言ったが、おれは何度かスカイダイビングをやったことがある。

 人気の少ない開けた場所に向かって先導するから、説明したとおりに付いて来てくれ」

「ま、待てって! まだ心の準備がああああああッ!?」

 

 待ちきれなくなった承太郎がミスタの腰をスタープラチナで掴んで強引に飛び降りてしまった。

 機内に残された一同は、徐々に小さくなっていくミスタの叫び声を追いかけるように次々に飛び降りていく。

 

 その様子を眺めていると急に天窓から外の様子が見えなくなった。

 ジョルノが『亀』を落とさないように服の内側に入れたのだろう。

 それにしてもボートに乗る前から思っていたのだが、承太郎とミスタはあまり相性が良くないのだろうか……? 

 

 

 

 なんだかんだで全員無事にサルディニア島に上陸できた。

 ミスタはあんなにビビっていたのが嘘のように平気そうな顔をしている。

 尻込みしていただけで、実際に飛んでみたら意外と平気だったようだ。

 

 承太郎が『紙』から取り出した高級な部類に入る5人乗りの乗用車にブチャラティ、ナランチャ、トリッシュの3人が乗り込み、残ったメンバーは『亀』の中で待機することになった。

 

 8人全員が乗れる大きさのミニバンやマイクロバスも用意していたが、不用意に目立つ必要もないということでリゾート地を走っていてもおかしくないグレードの車を選択したのだ。

 

 運転はブチャラティが担当して、助手席に座ったトリッシュの記憶を頼りにソリッドとドナテラが出会った場所を探すという計画だ。

 後部座席ではナランチャがスタンドのレーダーを展開しながら尾行されていないか警戒している。

 

 本当はミスタや承太郎も『亀』の外で警戒したほうがいいのだが、4人だとミスタが嫌がり5人だと承太郎がデカすぎて窮屈になりすぎるということで、索敵能力の高いナランチャが選ばれた。

 

 とりあえず、一度近場の街に行って昼食をとったあとにコスタ・ズメラルダ(エメラルド海岸)へと向かう計画にはわたしも賛成している。

 ディアボロがすでに動いているのなら、エメラルド海岸から一番近い空港のある街であるオルビアに向かっている頃合いだろう。

 もしかしたらすでに到着していて先回りしている可能性もあるが、その場合は追い詰める手間が省けるので願ったり叶ったりだ。

 

 ただし、この段階でディアボロを排除してしまうと別の問題が発生するので手放しには喜べない。

 ボスの座を乗っ取るだけならディアボロを排除したあとにブチャラティにわたしの情報をぶちまければいいのだが、チョコラータの抑えがなくなって動きが読めなくなる恐れがあるのだ。

 

 あの男はディアボロに忠誠を誓っていない。命令にこそ従うが機会さえあればディアボロを殺して好き勝手しようとするだろう。

 目の上のたんこぶだったディアボロがいなくなれば、ヤツが暴走するのは目に見えている。

 

 それにディアボロがどう動くのかも読みきれない部分がある。

 オレは少しでも情報を隠蔽するために、わざわざオルビアにある当日でも泊まれる宿を利用して、石碑を見張るためにタクシーを使って移動していた。

 

 ポートレートを撮影した場所は高級リゾート地からほど近いため、事前に予約していなければ近場のホテルに泊まるのは難しい。

 パッショーネの力を利用すれば泊まるのは難しくないが確実に目立ってしまうので、そのような回りくどい手段を選んでいた。

 

 あのときとは違って飛行機は墜落していない。ニュースでも、わたしたちの乗っていた飛行機のことは話題になっていない。

 暗殺チームのリゾット・ネエロがサルディニアに来るより早く調査は終わると思うが……何事もなくポルナレフと連絡が取れることを祈るしかない。

 

 それよりも今はこの状況を何とかしたい。体調が悪いわけでもないのに寒気が止まらないうえ、体が勝手に震えるのだ。

 それもこれも、全ては隣に座っているジョルノのせいだ。

 

『亀』の中の部屋は30畳程度の広さしかないが、それぞれが離れて座るぐらいの余裕はある。

 ジョルノとしては真剣に見張っているのだろうが、わたしの隣を選ぶなど嫌がらせとしか思えない。

 

「気分が悪そうですが、大丈夫ですか? 顔色が真っ青ですよ」

「……大丈夫だから放っておいてくれ」

 

 気分が悪いのはおまえのせいだと言ってやりたいが、そんなことを言ったら間違いなく理由を追求される。

 落ち着け、コイツはオレを殺したジョルノ・ジョバァーナとは別人だ。

 スタンドの矢に選ばれておらずレクイエムも使えない()()()()()()()だ。

 

 深く息を吸って吐くのを何度か繰り返して、ようやく体の震えが止まった。

 そうだ……わたしは過去を乗り越えるために、いつまでもレクイエムの影に怯えている自分を変えるためにここに来たんだ。

 恐怖と向き合わなくてはならないのだ。

 

 ジョルノを視界に入れないように下に向けていた顔を上げると、承太郎がやっといつもの調子に戻ったかと言いたげな顔でこちらを見ていた。

 

「おまえたちも薄々勘付いているとは思うが、なのはは見た目通りのヤワな性格はしていない。

 勝手に立ち直るだろうから心配するだけ無駄だ。……なのは、予知はどうなっている?」

「……鉄分と磁力を操作するリゾットというスタンド使いに襲われる予知が見えた。

 もっとも確定した未来というわけではないから襲われるかは不確かだが、警戒はしておいたほうがいいだろう」

 

 背格好やスタンド能力をざっとまとめて紙に書き起こしてジョルノに手渡す。

 そのままジョルノは上半身だけ『亀』の外に出して、ブチャラティに報告しに行った。

 

 ブチャラティは暗殺チームの人数と名前は把握していたようで、リゾットがチームの最後の一人だとすぐに理解した。

 ブチャラティは参考にするとだけ言っていたが、それで十分だ。

 

 親衛隊も含めて知っている情報を全て明かしてもいいのだが、あまり一気に情報を出しすぎたら怪しまれるので、あえて小出しにしている。

 現状でも本当に未来予知なのか疑われているだろうが、ディアボロを追い詰めるまでの言い訳なので最終的にバレても構わない。

 

 さすがの情報分析チームも、わたしたちの足取りを完全に掴むには数日はかかるだろう。

 あの水上飛行機は父が適当な航路を通って逃げながら、最終的にアドリア海沖にいる輝之介が機体ごと回収する予定だ。

 

 SPW財団からのレンタルなので、ジョセフは墜落させても構わないと言っていたが可能なら無傷で持ち帰りたい。

 さすがに32億円もする飛行機を使い捨てるほど思い切った計画は立てていない。

 

 とはいえ今回の計画で用意した物やかかった経費や人件費を合わせると50億円は超えているだろう。

 水上飛行機が用意してきた物の中では一番高額だが、違法性の高い物も色々と持ち込んでいる。

 

 入手経路の関係で露見したらアメリカとイタリアの国際問題になるので、()()()()()()()()()()()()()()以外では使うつもりはない切り札だ。

 ポケットに入れている切り札の入った『紙』のことを思い浮かべていると、天窓の外からトリッシュの興奮した声が聞こえてきた。

 

「すごい、写真やテレビでしか見たことなかったけど本当にエメラルド色なのね!」

「海水浴のシーズンにはまだ早いが、砂浜にはそれなりに観光客の姿が見えるな。これなら観光客のフリをして行動できそうだ」

「だけどさあ、ブチャラティ。人が多いとレーダーの反応が多すぎて精度が落ちるぜ」

「レーダーはあくまで目安だからな。怪しい動きをしている反応さえ見分けられれば問題はない」

 

 コスタ・ズメラルダとはサルディニア島の北東部を一纏めにした名称だ。

 トリッシュはドナテラがサルディニアのコスタ・ズメラルダへバカンスに行っていたという話と、ディアボロが撮影したドナテラと石碑と白い建物が写ったポートレートしか知らない。

 

 ブチャラティたちは詳しい場所を知らないので、オルビアから北上しながら海岸線を調べて回るしかない。

 飛行機や車での移動時間が多かったため、日が暮れるまでにポートレートの場所にたどり着ける可能性は低い。

 

 それでも明日には見つけられるだろう。明日見つけられたとしても、オレの記憶より2日早く動いていることになる。

 これならディアボロの準備時間も相当に削ることができるはずだ。

 

 結局、この日はポートレートの場所を見つけられずに日が暮れた。

 一旦オルビアまで戻ったわたしたちは、適当なホテルで一晩休んで翌日に向けて休息を取ることにしたのだった。

 

 

 

 翌日、午前中の早い時間から海岸線を4時間ほど北上していたわたしたちは、ついにポートレートの場所を発見した。

 リゾットのスタンド能力──血液の鉄分を操作して攻撃してくる技を警戒して、わたしたちはそれぞれ距離を取って周囲を警戒することになった。

 

 石碑をリプレイしているアバッキオの側には、大抵の事態に時を止めて対応できる承太郎が付いている。

 崖の上からジョルノとブチャラティがアバッキオの周囲を監視しており、ナランチャとミスタはレーダーを頼りにリゾットが透明になって潜んでないか探している。

 

 そして残ったわたしとトリッシュはナランチャとミスタがカバーできる範囲で待機している。

 スタンド使いとして目覚めていないトリッシュと、戦闘能力が不明確なわたしは『亀』の中にいたほうが安全だとブチャラティは主張していた。

 

 だが、『亀』をリゾットに殺されたら中にいる人物がどうなるか分からないとジョルノが提案して全員で話し合った結果、トリッシュとわたしも『亀』の外で待機することになったのだ。

 わたしの10秒後の予知(エピタフ)が絶対に当たると実証したのも大きいだろう。

 

「ナランチャ、レーダーの反応はどうだ」

「野ネズミとかカエルばかりで人間大の呼吸の反応は見当たんねえ。

 やっぱり予知はハズレでリゾットとかいう暗殺者は来ねーんじゃないの?」

「馬鹿みてーに全部の反応を見るんじゃあねえぞ。

 ブチャラティが言っていたように、()()()()()()()()だけを見張ればいいんだ」

 

 エアロスミスの二酸化炭素レーダーを使いこなせていないナランチャにミスタが索敵方法を言い聞かせている。

 ナランチャのエアロスミスならスタンド能力で背景と同化したリゾットも簡単に見つけられるのだが、この様子を見ていると少し不安になってくるな。

 

 念のために髪を下ろして定期的にエピタフを使っているが、今のところ危なげな未来は見えていない。

 時飛ばしと比べたらエピタフはスタンドパワーの消費が少ないとはいえ、現在と未来を同時に処理するのは頭が疲れる。

 

 複数の思考を同時にできるような人間でなければ、予知能力の連続使用は負担が大きい。

 少し頭を休ませるために岩に腰掛けてエピタフを解除して海を眺めていると、トリッシュが隣までやってきて声をかけてきた。

 

「ねえ、ナノハ……あなたって、あたしの母さんと友達だったのよね。どういう経緯で知り合ったの?」

「わたしの父がドナテラの友人と仲が良くてその関係で偶然、見舞いに行くことになったのがキッカケだった。

 会った当日から、どういうわけか気に入られてしまっただけで、付き合いが長いわけじゃあない」

 

 ドナテラが海鳴市や杜王町を観光していたのは隠しているため、記録上は1日しか顔を合わせていないことになる。

 実際は一週間以上の付き合いなのだが、それでも気に入られすぎている気がしてならない。

 

「でも、ナノハが会った日から母さん、急に明るくなったのよね。

 多分だけど、母さんが明るくなったのはナノハのおかげだと思うの。だから、お礼が言いたくて」

「わたしは大したことはしていない。それに礼を言われる筋合いもない。全てが終われば、()()()()()()()が待っているんだからな」

 

 ドナテラを治療したのも、トリッシュを守っているのも全ては自分のためだ。

 わたしがやりたいと思ったからやっただけだ。

 貸しを作るためでも、感謝されるためでもない。ただの自己満足に過ぎない。

 

 だから、わたしは自分がディアボロの記憶を持っているとドナテラとトリッシュに教えるつもりはない。

 彼女たちの人生に遺恨を残すために、手を貸したわけではないのだ。

 

「もっと良いこと……? それって──」

「何だテメーはッ! こっちにこれ以上近寄るのなら、脳天に銃弾を叩き込むぞ!」

 

 トリッシュの声に被さるように、ミスタの大声が波音しか聞こえない岩場に響き渡った。

 これは……トリッシュとの会話を続ける暇はなさそうだな。岩から飛び降りて足早にミスタたちの下へ向かう。

 

 ミスタとナランチャは水着姿の一般人と思わしき男と向かい合っていた。カルネを送り込んできたという予想は外れたようだ。

 

 本土から離れているとはいえサルディニア島はイタリアではシチリア島の次に大きな島だ。

 本体の死後、怨念のエネルギーで動き続けるスタンド──ノトーリアス・B・I・G(ビッグ)を160万の人々が住んでいて観光地としても有名なサルディニアに送り込むのは、ディアボロにとっても最終手段だろう。

 

「ミスタ、なんか変だぜコイツ! 口元はホッチキスみてーな金具で固定されてるし、手足にも金属の輪っかが埋め込まれてて血まみれだ」

「クソ、近づくんじゃあねえッ! セックス・ピストルズッ!」

 

 壊れたおもちゃのロボットのように足を止めない水着の男の足を撃ち抜こうと、ミスタが拳銃の引き金を引いた。

 3発の銃弾に乗ってピストルズが発射される。見当違いな方向に飛んだ銃弾をピストルズが蹴って、強引に射線を変えた。

 

 しかし、ミスタの放った銃弾は弾道がねじ曲がり、水着の男には当たらず地面にめりこんだ。

 この能力はまさか……リゾットのスタンド──メタリカの磁力操作か!? 

 

「その場を離れろ! そこはすでに敵の射程距離内だッ!」

 

 もしあの水着の男の背後にリゾットが隠れているのだとしたら、すでにミスタとナランチャはヤツの射程距離内に入ってしまっている。

 予知をしながら咄嗟に忠告するが、二人の動きは鈍かった。

 

 やはりというべきか、出会って2日しか経っていない相手を信用しきれなかったのだろう。

 わたしはただただ、予知のとおりに血を吹き出して倒れゆくミスタとナランチャを見ていることしかできなかった。




誤字脱字、表記のぶれ、おかしな日本語、展開の矛盾を指摘していただける国語の先生をお待ちしております。

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