【仮題】RTA操作受付中の飛龍ちゃん(くん) 作:棚町薫の妻
ぎゃ〜〜〜っはっはっはっは!という汚い笑い声と、ガラスの割れる音や何かが壊れる音が聞こえてくる
ここはジャヤという島の、ある酒場。海賊がよく立ち寄るこの島では、喧嘩や乱闘は珍しいことではないが、今日は少し違った
ハイエナのベラミーに目をつけられた麦わら帽子を被る青年とそのクルーは、反撃することのないまま殴られ続けた
彼の、このケンカは絶対に買うな、という言葉から違うことなく無抵抗のままでいる
「ルフィ!!ゾロ!!!何やってんのよこんな奴ら相手にっ!!」
彼らの仲間と思われるオレンジ色の髪の女からも悲痛な叫び声が聞こえてくる
そんな混沌とした店内に、新たに一人の客が入ってくる
まだ少女とも言えるような体躯と、それに釣り合わないほどの巨大なバックを背負いカウンターへと向う
「..ぁあ?オイ嬢ちゃん、見ての通りこっちは取り込み中なんだ。痛い目見たくなかったら...」
サーキースと呼ばれた男がククリ刀を近づけ、少女に対して脅しをかけた瞬間
「邪魔だ」
と、言葉とともに彼の顎に掠るように腕を動かした
「?」
周りがその行動に疑問を持ち、同時にあの少女がサーキースに斬り刻まれるのを幻視したが、その瞬間は訪れなかった
バタリ、と白目を向き倒れるサーキースを後目に少女は何事もなかったかのようにカウンターへと寄る
「いつものを」
「あ、あぁ」
背負っていた巨大なバックと代金ををマスターへ渡し、座りもせず立ち尽くす
そんな、二人以外の時が止まったような空間で、最初に動いたのはベラミーだった
「スプリング...!」
カウンターの方向を向いている少女に、完全に死角からの全力の一撃。サーキースを一瞬でのした相手に油断せず有利な立ち位置からの攻撃だった、が
ヌルリ、とまるで後ろに目があるような、攻撃がくるとわかっていたかのようにあっさりと避け
「...遅いっ」
ドン!!!と顔に拳の跡が残るほど強く殴り、バーの床にめり込ませた
「おまちどお。あー、あんまり壊さんでくれると助かるんだが」
「すまない。これで直してくれ」
パンパンになったバックと交換で修理代を払い、倒した二人に何をするでもなく少女は立ち去ろうとする
「ね、ねぇ!ちょっと待って!」
そんな少女をオレンジ色の女が引き止める
「なんだ。さっきの邪魔をしたことなら謝るが」
「いえ逆よ!スカッとしたわ、ありがとう。ほら!あんたらもいいなさい!」
彼女は麦わら帽子と緑髪の彼らに促すが、何を言うでもなく少女のほうをじっと見ている
「もうっ!と、とにかくありがと。あともしかしてなんだけど、"空島"の事について知ってることあったりしない?」
「空島、か」
少女は少しだけ考える素振りを見せた
「あ、ううんごめんね変なこと聞いて」
「いや、俺から言えることは特にないだけだ」
(...俺?)
「話を聞きたいんだったらこの島の反対側、森がある方へ行ってみるといい。...じゃあな」
「あっ、行っちゃった。不思議な子だったわね」
オレンジ色の彼女、ナミがしみじみとそう呟くと、ようやく後ろの彼らも喋り始めた
「不思議と言うよりかは、不気味なやつだったな」
「ちょっとゾロ!あんた助けてもらっておいて何言ってるのよ!」
「助けてほしいだなんて言った覚えはねぇ」
「全くもう、あんた達は変な意地張っちゃって!...ちょっとルフィ、どうかしたの?」
ルフィと呼ばれた麦わら帽子を被る青年は、グッと自分の拳を握ると、ゾロと呼ばれた緑髪の男に聞いた
「ゾロ、あいつのパンチ見えたか?」
「...最初のは見えた。二回目は見えねぇ」
「え、ウソ。あんた達でも見えないほど早いパンチだったってこと?あの子って一体...」
「取り敢えず、イイヤツだ!ししし!」
「って事があったのよ。このケガはその時についたもの」
場所は変わり、彼等の船であるメリー号内
「へぇ〜、ルフィもゾロも見えなかったパンチを打つ女の子ね。にわかには信じがてぇが」
ウソップと呼ばれる、鼻が妙に長い青年が疑問を吐く
「んんっ♡きっとプリティ〜でキューティ〜なリトル・プリンセスに違いぬゎい!是非おれも会って見たいものだぁ!」
少女に対して少し危ない発言をする特徴的なまゆげを持つ彼は、この船のコックであるサンジ
「会って殴られてこい、ぐるまゆげ」
「あんだとクソマリモ!そんなのご褒美だろうが!」
「その反応はきめぇよ...」
「そうだ、"空島"の話は聞けたのか?」
ピンク色の帽子を被った二足歩行のタヌ、トナカイであるチョッパーがそう聞く
「うん、聞けたというか聞けなかったというか」
「おい、何もったいぶってんだよ。なんかわかったなら教えてくれよ」
「教えてくれよ〜」
「教えてくれったってね、直接的な話は何も聞けなかったのよ。さっき話した女の子以外は、名前を出しただけで大爆笑...」
「何だよ。じゃあ何もわかってないってことかよ」
「ただ、空島の話をしてくれる人が居るらしいのよ。この島の反対側に」
「何だよ!じゃあ早くそいつに話を聞きに行こうぜ!」
「でもこの島の全貌がわからないのよ。途中で地図を見つけてくれば良かったわ」
「あら、丁度良かったかしら。ハイ」
「ああっ♡お帰りロビンちゃん!」
「ロビン、丁度良かったってのは?」
「おっ!!宝の地図だっ!!」
「ただの地図だろ。丁度良かったって事はこの地図もしかして」
「ええ。この島の地図よ」
「「さすがロビンちゃん♡(おねえさま!)」」
「その女の子が言っているのは恐らく地図のバツ印のところよ。そこではジャヤの
「「はみ出しもの?」」
「名前は『モンブラン・クリケット』
夢を語りこの街を追われた男。空島の手がかりがあるんじゃない?」
「うし!そうと決まれば行くぞ!そのモンブランクリケーキとか言うやつのところに!」
「モンブラン・クリケットな」
ベラミーとサーキースは数分の時短になるので、ルフィ達の男気とティーチ君の見せ場をつぶしてしまいまいますが、仕方ないね♂