アクタージュのママの人   作:色々残念

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ちょっと匿名で他の話を書いていたので、此方は放置していましたが、一段落したので此方も書き始めようかと思います


石杖綱吉と共演者の演技その3

流れるように日本を渡り歩き、三味線を弾いていた青年は、様々な出会いをしながら自分だけの音を探していく。

 

ある時、青年は自分の母に見つかってしまい、母に従うスーツの男達によって強制的に連れてこられた三味線の大会で三味線を弾くことになった。

 

その大会で最初は祖父から受け継いだ演奏をしていた青年だったが、演奏の途中から祖父とは関係ない自分だけの音で三味線を弾いていたようだ。

 

それは自分だけの音を探している青年にとっては必要なことであったのだろう。

 

しかし審査している最中に演奏が変わってしまったことは減点の対象となっていたらしい。

 

それでも3位という好成績を残した青年だが、青年の母親は3位という成績にも、青年が自分の音を奏でたことにも納得していなかったようである。

 

青年が祖父から受け継いだ演奏を続けていれば減点されることなく1位となり、優勝していた可能性は高かったからだ。

 

祖父から青年が受け継いだ音だけに価値があると思っていて、青年だけの音を認めていないからこそ、青年の母親は、息子に恥をかかされたと判断したことは確実だった。

 

「あたしに恥かかせやがって」

 

青年にだけ聞こえる声でそう言った青年の母親は、3位の表彰盾を青年に渡す瞬間にわざと落として割ってしまう。

 

そんなことをされても特に青年が怒ったりしないのは、母親自体にも表彰されることにも青年は興味がないからであるのは間違いない。

 

青年にとっては自分の音を掴めたような気がすることだけが、大事なことだった。

 

母親からの仕打ちにも、3位だったことも気にせず自分だけの音を探していく青年が映されて、この映画の1場面は終わる。

 

料理が好きな少年の母親、それだけ聞くと悪いことではないように思えるが、実際問題ちゃんと食べられるものを作ってくれるかどうかが問題となると、少年は思っていた。

 

「今日は私がご飯作るから」

 

母親のその一言が、この家庭で少年が1番聞きたくない言葉であるようだ。

 

「まずは準備をしないとね」

 

楽しげに鼻歌を歌いながら様々なものを買い込んでいく母親を、それは本当に料理に必要なものなのかという顔で見ていた少年。

 

山のようにものを抱えて家に帰ってきた母親と、これから何が起こるのか覚悟していた少年は、キッチンに2人で移動した。

 

「まずは卵を混ぜます!」

 

そう言いながら卵を割らずに殻ごとドリルでかき混ぜ始めた母親。

 

始まった、と思った少年は、もう止められないと諦めてしまっていたみたいだ。

 

「次は粉を入れます!」

 

殻ごとかき混ぜられた卵に様々な粉が入っていくと、母親は再びドリルでかき混ぜていく。

 

ついでに絶対に真似しないでくださいというテロップが大きく表示される。

 

明らかに食べられない粉が大量に入っていても、母さんの料理だから仕方ないと少年は完全に諦めていた。

 

「次は、よく膨らむように色々入れます!」

 

卵と粉が混ざったところに膨らむようなものとして様々なものが入れられていたが、その中に風船が入っていたことは間違いない。

 

「母さん、何で風船まで入ってんの!?」

 

流石にそれはスルー出来なかったのか、風船が入っていたことを突っ込んだ少年。

 

「風船は膨らむでしょ、だから入れときゃ膨らむわよ!」

 

母親は、少年に言葉を返している間も作業の手は止まらずに動いていく。

 

「次は、これを焼きます!」

 

オーブンに押し込むように混ぜた物体を入れていく母親。

 

絶対に真似しないでくださいというテロップは全く消えずに映っている。

 

「結局何作ってたの母さん」

 

「ケーキよ」

 

少年からの問いに答えた母親は何故か自慢気な顔をしていた。

 

爆発したオーブン、キッチンで倒れ伏す少年と母親の前にオーブンから飛び出した四角い何かが転がってくる。

 

「さあ、このケーキを持っていきなさい」

 

息子である少年に向かって、拾い上げたケーキのような何かを差し出す母親。

 

「母さん、それは嫌です。勘弁してください」

 

普通に断った少年は、まだ死にたくないですと言わんばかりな顔をしていたようだ。

 

「それは残念ね、じゃあ勿体ないし庭石にでもするわ。結構固いみたいだから」

 

その言葉通り、翌日には庭に置かれて庭石になっていた四角いケーキのような何か。

 

しかも四角いケーキのような何かが置かれている場所は、全く草が生えていない。

 

それを見た少年は、やっぱり食べられるものじゃなかったか、と思いながら遠い目をした。

 

絶対に真似しないでくださいというテロップと、食べられるものは今回一切使っていませんというテロップが大きく表示されて、デスクッキングという題名だったこの回のドラマの話は終わる。

 

自分の子どもを自分の二週目だと考えている母親は、子どもが自分の思い通りにならないとヒステリックに喚いて怒鳴り散らした。

 

母親である自分が思う通りに髪を伸ばさせて、自分が思う通りの学校に行かせ、自分が思う通りの進路に進ませようとする母親。

 

それは母親の自分が出来なかったことを子どもにやらせることで、満足感を得る為の行為であり、子どもの意思など全く考えていない。

 

自分だけが満足できればそれでいいと考えている自己中心的な母親の子に生まれた子ども。

 

それでも子どもは成長していき、母親に対して自分の意見を言うようになった。

 

子どもが自分の二週目から離れていくことを嫌がる母親と違い、自分の道を自分で決めようとする子どもは、確実に親離れしていることは間違いない。

 

最終的には母親と住んでいた家を出ていき、一人暮らしを始める子どもは、母親から完全に独立していた。

 

「離れていく、私が私から」

 

そんな子どもを見て母親が言った言葉が、これであり、母親の方が子どもに依存していたということになるだろう。

 

それで今回のドラマのこの話は終わりとなった。

 

画面に映っていた石杖綱吉と共演者の演技を見ていた三坂七生は、こんな嫌な母親の演技もできる綱吉は相変わらず演技の幅が広いと思っていたようだ。

 

3種類の別ベクトルで実際にいたら嫌な母親を見事に演じてるけど違和感は全くない、とも考えていた三坂七生。

 

まあ、最初と最後の母親はイラッときたけど、真ん中の料理がヤバい母親は、コミカルな演技してたから面白かったと三坂七生は思い出し笑いをしていたようだ。

 

「確かにあのテロップは必要かもね。真似されたら困るし、食べられるもの無駄にしてたら色々言われるから」

 

デスクッキングで頻繁に表示されていたあのテロップのことを思い出して、石杖綱吉が演じていた母親のことも思い出し、やっぱり三坂七生は笑っていた。

 

「料理する度、思い出しちゃうかも」

 

そう言った三坂七生は、壊滅的な料理下手な母親を演じてた石杖綱吉を思い出したらツボに入ってしまって、しばらく笑いが止まらなかったらしい。

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