クアンタの活躍をもっと見たかった男の妄想   作:二兎

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 前回、たくさんの感想ありがとうございました。

 これからも、よろしくお願いします。



クアンタの活躍をもっと見たかった男の妄想2

 

1、ラルさんR35の思うところ

 

 

 ガンプラバトルにおいて、その機体性能は原作でのスペックに左右されない。

 

 大切なのはビルダーとしての技術、発想と、そうして組み上げたガンプラを操るファイターの手腕である。

 

 もちろん、才能も必要ではあるだろう。

 

 しかし、キットの製作にかけた情熱と、バトルに費やした時間や経験値が噛み合えば誰しもが、例え原作で低スペックとされている機体でも高みを目指せる。

 

 それこそがガンプラバトルの醍醐味であり、多くのビルダーを惹き付けてやまない魅力の一つだ。

 

 故に、ザクやジムがガンダムタイプを打倒することも珍しくはないし、ジェガンがデビルガンダムを圧倒するなんて事態も起こり得る。

 

 そう。原作で設定された機体性能はさして重要ではなく、全てはビルダー達の手腕と、ガンプラに対する愛次第。

 

 それこそガンプラバトルに携わる者が多く共有する前提であり、強者になる為の絶対条件だ。

 

 

 が、それを踏まえても尚、今ランバ・ラルが見つめるガンプラ世界大会予選の録画映像に映る機体は、規格外と呼ぶしか他に言い表しようのないものだった。

 

 ダブルオークアンタ。操るはイラブ・ソラ。

 

 第二ピリオドにて、セイ達を苦しめた巨大ザクを一撃の下に葬り去ったことに始まり、予選ピリオドを残す所あと一ピリオドとした今も、圧倒的強さでの全勝を勝ち取っている、今大会の超新星。

 

 ディスチャージシステムや、マイクロウェーブなど、各ビルダー達がエネルギー増加の為に様々な工夫を凝らす中で、外部エネルギーに頼ることなくそれ以上のエネルギー量を実現するガンプラの性能もさることながら、それを操るファイターとしての手腕も決して他のトップビルダー達から見劣りしていない。

 

 不可解なまでに高スペックな機体と、それを自身の体の延長のように扱うファイターの技巧を兼ね備えたからこその規格外。

 

 ならばそれは、どれ程の愛や発想、時間を、機体の完成度と、ファイターとしての技術を研磨する為だけに費やした結果だというのか?

 

 ガンプラバトルの第一人者を自負するラルをもってしても想像し難い情熱の結実が、まさに今大会で吹き荒れるダブルオークアンタのこの進撃の嵐なのだとすれば……。

 

 

 「これ程のビルダーが、今まで埋もれていたというのか」

 

 

 唸る。

 

 聞けば、イラブ・ソラは現高校二年生だという。

 

 若くして、しかし間違いなく、全ビルダーたちに立ち塞がる中で最大の障害となった少年。

 

 その彼の挙動を、何一つとして見逃すまいとラルは画面を注視しする。

 

 先から流れているのは、蹂躙といっても過言ではない光景だ。

 

 

 第三ピリオドの射撃では、その素早さと正確さで、メイジンと変わらぬタイムを叩き出し。

 

 第四ピリオドの玉入れでは、相手チームの玉をソードビットなる武装で入れる前に全て破壊するという機転と狡猾さを見せ付け。

 

 第五ピリオドの三対三バトルでは、ノリスケ選手操るアルヴァトーレを中に潜むアルヴァアロンが外に出る間も与えず、他二機諸共に剣一本で三枚におろし。

 

 第六ピリオドのオリジナルウェポンバトルでは、引き当てたウェポンであるメリケンサックで、対戦相手のイナクトを、パトリック・マネキン選手が泣くまで殴るのを止めずにフルボッコにした。

 

 

 「これはひどい」

 

 

 そして録画映像の最後、第七ピリオドのガンプラレースで、ダブルオークアンタの開幕GNバスターライフルが他の出場選手の機体全てを消し炭にするのを見終えて、ラルはそう呟いた。

 

 頬に冷たい汗が流れるのを感じながら脳裏に浮かべるのは、ラル自身が応援しているセイ、レイジペアの事である。

 

 第七ピリオドを終えて、今のところは彼等も全勝中。

 

 第八ピリオドを待たずに、決勝トーナメントへの出場を決めている。

 

 が、今のままの彼等がこのイラブ・ソラと戦うことになれば、敗北は免れないだろう。

 

 トーナメントで上手く別の山に別れ、その間に彼等が強敵に揉まれ成長してくれれば、あるいは……。と言ったところか。

 

いま戦い、跡形もなくガンプラを吹き飛ばされれば、とても決勝トーナメントには間に合わない。

 

 そうならない為にも、まずはこれから始まる第八ピリオドにて、セイたちがダブルオークアンタと戦う羽目にならない事を天に祈ろうではないか。

 

 もしかすれば、何かの拍子に、ダブルオークアンタが敗北することもあるかもしれない。

 

 と、そこまで考えて首を振る。

 

 何が起こるのかわからないのがガンプラバトル。

 

 それでも、敗北は有り得ないと確信できる程に、このダブルオークアンタは強い。

 

 

 「メイジン・カワグチや、アイラ・ユルキアイネンでも勝てるかどうか」

 

 

 口から溢れたのは、強豪たちを並べた上での純粋な戦力評価。

 

 考えるに、ラルが応援するセイたちの優勝への一番の近道は強敵同士、お互い潰し合ってくれる事だ。

 

 だが、ラルはそうなって欲しいなどとは露とも思わないし、セイ達とてそんなことは欠片も望まないであろう。

 

 自力での、実力での勝利こそがビルダーとしての誉れであることを、彼らはしっかりと理解してくれている。

 

 

 だからこそラルも、そんな彼らに優勝して欲しいのだ。

 

 

 そして、その願いに彼が少しでも手を貸せる事があるとすれば、それはセイたちにダブルオークアンタの弱点を見つけ、何かしら伝えてやることくらいだろう。

 

 

 「うむ。ではもう一度最初から」

 

 

 そう決意して、ラルは録画を巻き戻す。

 

 ダブルオークアンタの残虐ファイト映像から、少しでも攻略の糸口を見つける為に。

 

 

 

 

 2、ライナーの勇姿 あるいは伊達男の苦悩

 

 

 『これでもそこそこ腕は立つ。修羅場もいくつかぬけてきた。そういうものだけに働く勘がある。その勘が言ってる。オレは第八ピリオドで死ぬ。』

 

 

 第八ピリオドの組み合わせが決まった場で、リカルド・フェリーニに、ある男が告げた言葉である。

 

 リカルドへの恋人をとられたことに対する復讐が叶わなかったその男は、実に口惜しそうにしながらも、彼にそう告げ去っていった。

 

 ガンプラバトルで死ぬも何もないだろうが、気持ちは分からないでもない。

 

 男の名はライナー・チョマー。

 

 既に決勝への道が閉ざされていながらも、リカルドへの復讐を果たす為だけに第八ピリオドに全ての望みを懸けた男。

 

 同時に、その運命の第八ピリオドで、ダブルオークアンタの対戦相手に選ばれてしまった、最も運のない男でもある。

 

 

 そして、当日。

 

 

 『決勝には行けなかったが、このオレにもドイツ代表の意地がある! イラブ・ソラ。このとっておきのシュピーゲルで、お前のガンプラにせめて一太刀ぃいっ!』

 

 『その意気や良し! 来い!』

 

 『うぉおおおっ! コード麒麟!!』

 

 『っ、速い! ならば……』

 

 『いける、いけるぞ! 覚えておけイラブ・ソラ! お前を倒した男の名を! オレはライナー! ライナー、』

 

 『トランザム!!』

 

 『ちょ、ま!?』

 

 

 《勝者、イラブ・ソラ》

 

 

 『ああ、名前は覚えておこう。ライナー・ちょま』

 

 「ライナーが死んだ!」

 

 「この人でなしィ!!」

 

 

 ライナーの頑張りに比して悲惨な結末に、観客席からも悲鳴が飛び交う。

 

 ここまでがクアンタと戦った勇者たちの大体のテンプレである。

 

 

 その一部始終を見ていた上で、リカルドは思う。

 

 幾度か戦った自分だからわかるが、ライナーは決して弱くない。

 

 そのライナーがとっておきとまで宣言したシュピーゲルも、それに相応しい良機だった。

 

 実際、自分がフェニーチェで戦っていたのなら、負けはなくとも苦戦は免れなかったに違いない。

 

 そう素直に称賛出来るくらいに、今日のライナーは気迫が違った。強かった。

 

 

 「なら、それを苦もなく倒しちまうアイツはなんだ?」

 

 

 苦々しく自問するも、本当はわかっている。

 

 もう一度言うが、今日のライナー強かった。ただ、相手が悪すぎたのだ。

 

 最初から答など出ていたではないか。

 

 ライナーのシュピーゲルに一撃すら許さなかったクアンタという機体が、更に途方も無い化け物だったというだけのことだと。

 

 つまりそれは、優勝を目指す限り、リカルドの前にもいつかあの化け物が立ち塞がるということでもある。

 

 

 「嫌になるぜ。……けどまあ、その前に今はレイジ達との勝負に集中しますか」

 

 

 知らず強張っていた肩の力を抜き、そうぼやく。

 

 軽い調子で、しかしその足取りは重く。リカルドは自身の対戦相手の待つ会場へと向かった。

 

 ガンプラベースの前に崩れ落ちる、ライナーの冥福を祈りながら。

 

 

 

 

 3、オリ主の器が知れる話

 

 

 ・クアンタさんが、X魔王より大魔王な件。

 

 ・武力介入出来すぎシリーズ。

 

 ・決勝はダブルオークアンタ対他全員で良いんじゃないかな。

 

 ・絶対に卑怯な手段で機体強化してるよ。チートだよ。

 

 ・だいたいクアンタって名前なんだよ? オリジナルにしても中ニ過ぎだわ。

 

 

 等々、あんまりと言えばあんまりな世界大会でのダブルオークアンタへの評価に、イラブ・ソラは凹んでいた。

 

 某掲示板などでは留学生の友人アーデくんが、自作PCのヴェーダたんを使いクアンタのステマを行ってくれてはいるものの、それも焼け石に水。

 

 いまやその扱いは、完璧なまでのヒールである。

 

 

 彼としては、クアンタの活躍が見たいと言う夢の為に駆け続けてきて、その結果としてたまたま無双できるくらい強くなってしまっただけなのだ。

 

 舐めプは他のビルダーの皆さんに失礼にあたるとも思い、常に敬意をもって全力で対戦相手を葬ってきた。

 

 が、それがこうも悪評に繋がるとは。

 

 そりゃあ、ハメを外し過ぎたかな。と思わないでもないが、前世からの夢がようやく叶ったのだから、多少は情状酌量の余地くらいあっていい筈だ。

 

 

 「ちくしょう」

 

 

 このままでは、わざわざ春日部から静岡にまで応援に来てくれているフェルトちゃんや、マリナお姉さんにも会わせる顔がないではないか。

 

 おやっさんは、そんな悪評は優勝して覆しちまえば良いんだ。と笑っていたが、彼はそこまで割り切れない。

 

 だいたい、ソラは大会外のところでも頑張ったのだ。

 

 特に、第ニピリオドのあとマシタ会長に、これ以上妨害をするのならレイジに全てバラすと脅したのは、原作知識がある故のファインプレイだと、個人的には思っていた。

 

 

 「それなのに……」

 

 

 誰もわかってくれない。わかりあいたい。よし対話しよう! と彼が思ったかは別にして、とにかくソラは涙した。

 

 が、

 

 

 「くそ、なにがチートだよ。まだ量子化すら見せてないのに」

 

 「その量子化なんだがな……」

 

 「うわ、おやっさん!? いきなり声かけないでくれよ」

 

 「いきなりじゃねぇよ。お前が泣いてるから……」

 

 「な、泣いてねーし! ってか、量子化がどうしたよ? ……まさかっ」

 

 「ああ、あの不思議な石、アリスタっつったか? あれの削りカスをクアンタのパーツに混ぜたりしてたらな、完璧に安定したぜ」

 

 「うおおお! 流石おやっさんだ!」

 

 「条件としちゃ、フィールド中のプラフスキー粒子がある一定量必要だが、トランザムならなんとかなるだろ」

 

 「おやっさん、まじイアン! さっそく実験しようぜ、実験!」

 

 「お、おう」

 

 

 凹んでいた事も、泣いていた事も、おやっさんからの吉報一つで忘却の彼方に捨て去ったソラは、この後、滅茶苦茶量子化した。

 

 そこに反省など、ない。

 

 

 

 

 4、おまけ 伏線らしきものと次回の被害者

 

 

 「そういやソラ、決勝トーナメント一回戦はフィンランド代表に決まったみたいだぞ。強敵だな」

 

 「え?」

 

 「あとお前、なんか目が金色に光ってて気持ち悪いんだが、なんだそれ?」

 

 「……え?」

 

 

 

 




 次回は、ちゃんと戦闘描写ありでクアンタ無双。のはず、たぶん。

 オリ主の強さを一生懸命描写してこいつぁ臭えぇ! とかなってしまうのが怖かったんで、そこはかとなくラスボスポジションっぽく収めてみた方がマシじゃね? とか浅慮してみました。

 あとなんか、各ピリオド全部真面目くさって書いてたらメチャ長くなってムリっぽかったので、こんな感じに書き直しました。

 やはり描写が足りませんでしょうか?

 いまはこれが精一杯なので、説明不足なとこは最終話までに少しずつ埋めていこうと思います。

 今回も、なにかしら感想いただけたら泣いて喜びまする。ありがとうございました。
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