男の少ない世界で、王子様系女子と仲良くなる話   作:岳鳥翁

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気まま気まま


連続投稿が……気まま??


第3話

「やあ、麗しいレディ達。今日はずいぶんと積極的にアピールしてくれるんだね?」

 

「「「「きゃぁ~! (みかど)様ぁ~!」」」」

 

 

 翌日、学校へ登校して窓から校庭を見ているとそんな声が下から響いてきた。

 何だ何だと窓を開けてこっそり顔を覗かせてみれば、どこかで見たことあるような長身金髪ショートの女子が、実に気障ったらしいことを言って女子たちにチヤホヤとされていた。

 

「なんだ、あれは……」

 

「ん? なんだ、如月は知らないのか」

 

「お、神崎君。よすよ~すおはよざま~す」

 

 なんだその挨拶は、と怪訝な目で見られたのだが、そんな言葉は無視だ無視。

 で、あれは? と聞いてみれば、彼はフンと鼻を鳴らして視線を窓の下の光景に向ける。

 

「この学校だと有名みたいだぞ。確か(みかど)(あき)といったか? 俺たちの先輩にあたる二年だそうだが……見ての通り、女のくせに俺たち男子のまねごとをする変人だ。だがまあ、あれがいることで俺たち男子に向く目が減っていることも事実。評価はしている」

 

「へぇ……よく調べてるね」

 

「なに、我が神崎家のメイド隊に調べさせればすぐだ。……もっとも、やたらと褒美をせがんでくるのが玉に瑕だがな」

 

 何か苦々しい思い出でもあるのだろうか。露骨に嫌そうな顔をする神崎君。

 だがそれもほんの一瞬のことで、彼はすぐに表情を戻した。

 

「同じ女であればこそだな。俺たち男子があのような態度をとれば、瞬く間に食い物にされるぞ」

 

「うーん、それはそうだね。考えただけでもゾッとしそうだ」

 

「……ここ数日で何となく把握はしているが……如月、やはりお前は少し抜けているんじゃないか?」

 

「ご心配なく。これでも危機管理はちゃんとしてるよ。もっとも、学校でも好きに動いている神崎君ほどじゃないけどね」

 

 そういうと、フンッと鼻で笑って見せる神崎君。「お前が真面目すぎるんだよ」とだけ言い残してその場を去ってしまった。

 

「真面目、ねぇ~」

 

 とくにそれほど考えて動いているわけではないが、やはり前世での倫理観というのは俺に対してかなり大きい影響を与えていると言える。

 だが、今更変えられないし変えようとも思わない。

 

 まあ、締めるところさえ締めていれば大丈夫だ。

 

「レディ達、そんなに焦らなくてもみんなの僕はどこにも逃げないさ。時間が許す限り、僕に甘えるといい」

 

「「「「きゃぁ~!!! (みかど)様ぁ~!!!」」」」

 

 ……にしても

 

「面白いなぁ……昨日と同一人物だとはとてもとても……」

 

 あそこであれだけ格好よく決めている人物が、昨日屋上で泣き言零してた上に、それを聞かれたと知ってとんでもなく動揺していた。なんて、いったい誰が信じるのか。

 

 やめようにもやめられない、と言ってはいたが、確かに周りの女子があの調子じゃやめたところで意味がない……どころか、むしろマイナスか?

 先ほど神崎君が言ってたように、彼女がいるからこそある程度女子からの目が緩和されていることもまあ事実ではあるのだろう。

 それがなくなれば、あの帝先輩のファンとかは暴走するかもだし、その一部が男子に目を向けて勢いそのままにとかもあり得ない話ではない。

 

 そんなわけで、先輩には頑張ってほしいものだ。

 

 

 そこまで考えたところで、ちょうど始業のチャイムが鳴った。

 

「ま、俺が考えても仕方ないか」

 

 やめだやめだぁ~、とクラスメイトと同じように席に着く。

 さて、今日は神崎君帰宅RTAはいったい何秒を記録するのだろうか。

 

 

 

 

 

 意外にも、今日は帰宅すらせずに大人しかった神崎君に内心でぶー垂れつつも、俺は料理人に持たされた弁当をもって屋上へとやってきていた。

 ここはここで、雨さえ降らなければいい場所なのだ。

 

「やっぱうめぇわ」

 

 特に唐揚げとか最高だね、と弁当箱の中身に舌鼓を打っていると昨日と同じくまたギィッと屋上の扉が開いた。

 

 まーた誰か来たのかぁと一度食事を止めて静かにしているのだが、屋上へやってきたその人物は静かな様子。

 何かこっそりとしなければならない理由でもあるのだろうか。

 

 やがてカタンッ、カタンッと今度はこの給水タンクがある場所に上るための梯子に足をかけている音。

 あ、これ見つかるわと思ったのも束の間、下からヌッと顔を覗かせた人物は俺の顔を見て一言。

 

 

「いたぁぁー----!!!!!!」

 

「……ええ、はい。いますが何か?」

 

「どれだけ探したと思ってるのよ!! ……お、思ってるんですか!」

 

「いや、敬語に直さなくてもいいですよ。先輩ですし」

 

「え……あ、そう? お、おかしいなクラスの男子はこうしろっていうのに……」

 

 ぶつぶつと何かを呟きながら現れたのは件の人物でもある帝先輩であった。

 口ぶりからして、どうやら俺のことを探していたらしい。

 

 彼女は俺の言葉に少し首を傾げていたのだが、違う違うと首を振って改めて俺に向き直った。

 

「そうじゃなくて! あの後すっごく探したのよ!? わ、私がどれほど焦ったか……!」

 

「別に俺のせいじゃないですよね。それに、勝手に来て勝手に愚痴零して勝手に自滅してたのはあなたなので俺は何も悪くないですよね?」

 

「うぐっ……た、確かにそうだけども……そ、それとこれとは話が違うのよ!」

 

「何も違いませんね。俺の何が悪いのか説明できます?」

 

 その言葉にまたしても押し黙る帝先輩。

 だって誰がどう見ても俺の責任なんて皆無だろう。先にここにいたのは俺だ。それを後から来た人間がとやかく言う資格などない……!

 あと、反応面白いからからかっている面も多少はあるが。

 

「……そ、それにしても君。女子と一緒なのに随分と余裕だね……」

 

「知ってます? 先輩。女子が恐ろしいのは群れながら我先にと襲い掛かってくる獣であるからであって、話し合いができる一人の状態であれば問題ないんですよ。一対一なら、男のほうが力もありますからね」

 

「ふ、ふーん……でももしかしたら、私の力が強くて押し倒されちゃうかもよ?」

 

「退学とその後の社会生活をかけてまで実行するような、破滅願望のある馬鹿には見えませんよ。それに、俺に何かあれば周辺の鎮圧部隊が武器を片手に大勢来ますので、その覚悟があればどうぞ」

 

「……や、やめておくわ」

 

「英断ですね」

 

 はぁ……と溜息を吐く先輩を無視して、先ほど箸を止めていた食事を再開する。

 どうやら先輩はもう食べてきたらしく、まだ用があるのか付近へと腰を下ろした。

 

「……あの、何かまだ御用で?」

 

「え、いや別に……ただ、今から戻っても昼休みが終わるまでしんどいだけだから……」

 

「……ああ、なるほど」

 

 つまるところ、このまま戻ればまたあの気障ったらしい王子様キャラを演じなければならないわけだ。

 だから、できるだけその時間を短くしたいから他の女子から身を隠しておきたい、と。

 

「ご、ごめんね? 迷惑だった……?」

 

「まあ、あまりいい気はしませんがね。ただ、そういう事情なら、いたらいいのでは? 俺は食事が終わり次第帰りますし」

 

「そ、そう……?」

 

「ええ。ただ、ここは俺にとっても大事なベストプレイス。もしこの場所と俺について誰かに漏らすようなことがあれば、先輩の昨日の痴態とあることないこと諸々を学内に吹聴しておきます」

 

「男子の君がやるとシャレにならないんだけど!?」

 

 ここまで話していてわかったことであるが、この先輩本当にこの世界の女子なのか? と思ってしまうくらいには違和感しかない。

 自慢ではないが、そこそこの名家に生まれてそこそこ整った容姿で生まれた俺だ。思春期の女子であれば、それなりにじろじろと遠慮なく見てきたりするのだが……この先輩にそういうのは感じられない。

 

 昨日の愚痴を聞く限りではそういう願望がないわけではないのだろうが……何だろう、前世の思春期の女子みたいなものをどことなく感じるようにも思える。

 

 あれだ、男子に対する執着が他と比べてもそこまで高くない、みたいな? 感覚だから詳しくはわからんが。

 

 まあでもこれだけ脅しをかけていれば、下手なことはしないはずだ。俺にもこの先輩にも一つの得もないからな。

 

 なら、ここのことがこれ以上広まらないようにするのがベストだろう。先輩を追い出してもいいのだが、ストレスでポロリされても俺が困るしな。

 

 というわけで、この俺の居城であるここで時間をつぶす許可をやろうではないか。

 

 

 学校の施設だけどね!




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