B世界にて、文乃が畔家でお世話になる様子を描いたお話です。
時系列は「ぬきたし2」共通ルート途中です。
淳之介たちがA世界から転移してくる前後の辺りを想定しています。
★場所:畔家
【美岬】
「――お母さん。前に話したとおり、こちらがその文乃ちゃんです」
【文乃】
「……本日よりお世話になります、琴寄文乃と申します」
【文乃】
「至らぬ点が多々ございます故、なにかとご迷惑をお掛けするかと存じますが、何卒よろしくお願い申し上げます……」
【史子】
「もーいいのよぉ! そんな堅くならないで! こっちがかしこまっちゃうわよ!」
【文乃】
「…………えっ、と……」
【史子】
「……美岬から話は聞いてるわ、文乃ちゃん。事情は聞いたりしないから、今日から自分の家だと思ってゆっくりしてちょうだいね?」
【文乃】
「……ありがとう存じます。……では、お邪魔致します」
【美岬】
「ところで、夕飯はできてるんですか?」
【史子】
「もちろん! 文乃ちゃんが来るって言うから、今晩は奮発して焼肉よ!」
【美岬】
「よっしゃ!」
【史子】
「……一人で全部食べるんじゃないわよ?」
【美岬】
「わ、分かってますよ……! 文乃ちゃんにお腹いっぱい食べてもらうためですからね!」
【文乃】
「……お心遣い、大変感謝致します。しかしながら、そのような御馳走は久しい故、あまり――」
【史子】
「大丈夫よ! 若いんだからガツガツいけるわよ! 多分!」
【美岬】
「そうですよ! 畔家じゃ一人につき、最低でも10人前は当然ですからね!」
【文乃】
「10人前……」
◆
【史子】
「へぇ……B等部の3年生だったのねえ。大人っぽい雰囲気だから、ちょっと意外」
【文乃】
「勿体なきお言葉にございます…………もぐもぐ……」
【美岬】
「どうです? 美味しいでしょう? 畔家直伝のタレを使っていますからね!」
【文乃】
「はい……とても美味しゅうございます……。このような絶品、口にするのはいつ以来でしょう……」
【史子】
「もー大げさなんだから、文乃ちゃんは。ただのおばさん料理よ。こんなのでよければいくらでも食べてちょうだい」
【文乃】
「はい……本当に、ありがとうございます」
【美岬】
「ところで、お母さん。文乃ちゃんの部屋はあの空き部屋でいいですよね?」
【史子】
「えぇ、いいわよ。どうせ帰ってくるわけでもないし」
【文乃】
「……あの。失礼かと存じますが、『帰ってくるわけでもない』とは、いったい……?」
【史子】
「そういえばまだ言ってなかったわね。えっと、うちは5人姉妹でね、一番上のお姉ちゃんがお嫁に行ったから一部屋空いてるのよ」
【美岬】
「ですので、文乃ちゃんにはそこを使ってもらおうかなって話になってまして」
【史子】
「残りの3人はまだこっちにいるのよ。みんな働いてるんだけど、最近本島に異動になったから……実は今、畔家は閑散としてるのよねぇ」
【美岬】
「そこで文乃ちゃんが家に住んでくれるという話になったので、こちらとしても好都合なんですよ! 寂しくなった家が明るくなりそうで!」
【文乃】
「……そうで、ございましたか」
【美岬】
「ちなみにお姉ちゃんたちっていつになったら帰ってくるんでしたっけ? 文乃ちゃん紹介したいんですけど」
【史子】
「それがわからないって。お仕事かなり忙しいようだから、帰ってくるのは当分先じゃないかしら」
【美岬】
「あらら、それは残念です。妹ができたと自慢してやろうと思ったのですが」
【史子】
「まったくよ。畔家の新たな末っ子誕生のお祝いをしたいのにねぇ……」
【文乃】
「末っ子……」
【史子】
「あら、私たちはもうそういう認識よ、文乃ちゃん? 畔家の六女としてよろしくね?」
【文乃】
「……しょ、承知致しました。不束者ではございますが、どうぞ何卒……」
【美岬】
「今日は初日ですし、今晩はわたしの部屋で一緒に寝ませんか? 同じ年頃の女の子同士、寝る前にいろいろお話しましょう?」
【文乃】
「……はい! 是非!」
【史子】
「楽しそうねぇ……。お母さんも混ざっちゃおうかしら?」
【美岬】
「”同じ年頃”って話聞いてなかったんですか? だいたいその歳で女子って――」
【史子】
「はい肉とご飯は没収。味噌汁だけで済ませなさい」
【美岬】
「うわーんそんなぁーー……!!」
【文乃】
「…………楽しいご家族……で、ございますね」
【美岬】
「文乃ちゃん……そのカルビ、食べないならいただきます!」
【史子】
「明日夕飯抜きにするわよ」
【美岬】
「調子に乗ってホントすみませんでした」
◆
【美岬】
「――ここが、文乃ちゃんのお部屋です」
【文乃】
「なんと……! 立派なお部屋……!」
【美岬】
「ただの洋室ですよ。4.5帖しかないので手狭かもしれませんけど、許してくださいね」
【文乃】
「とんでもございません……。十分に広いかと存じます……」
【美岬】
「ベッドはそれ使ってくださいね。姉が使っていたベッドですけど、きちんと掃除はしてありますので、安心して使ってください」
【文乃】
「…………クローゼットも、空になっております」
【美岬】
「お嫁に行く際に全部持っていきましたからね……。そこも好きに使っていいですよ」
【文乃】
「ありがとうございます。……しかし、このお家は廊下が長いのですね。なかなか見ない構造かと」
【美岬】
「この家ってお母さんたちが住み始めた頃からあるんですけど、それから2回改装してるんですよ。ほら、うちって5人姉妹ですから、人が増えるごとに部屋を増築した結果、今のような形になったんです」
【文乃】
「なるほど……たしか、廊下の突き当たりにも玄関がありましたね。勝手口でしょうか?」
【美岬】
「そうですね。基本的にわたし以外は全員そこから出入りしてます。そのほうが部屋から近いので」
【文乃】
「言われてみれば、正面玄関からだとお部屋まで距離がございます。……しかし、美岬さんのお部屋もそうだと思うのですが――」
【美岬】
「わたしは普通に正面玄関から出入りしますよ?」
【文乃】
「……なぜ故?」
【美岬】
「台所の前を通れますし、ついでにつまみ食いできるからですよ!」
【文乃】
「そ、そうなんですね……?」
【美岬】
「それに、さっき見たと思いますが、台所の向かいが和室で炬燵があったでしょう? 冬になると、帰ってきたらそのまま炬燵に入ってぬくぬくできるんですよ! ……あっ! 今、『豚が炬燵で丸くなる』と思いましたね! 失礼な!」
【文乃】
「……い、いったい、なんのお話でしょうか……?」
【美岬】
「……まぁ、炬燵はともかく、文乃ちゃんには和室を使わせてあげたかったんですけどね。あいにくここしか空いてなかったもので、すみません」
【文乃】
「いえ、お部屋を与えていただけただけで大変感謝しております。……それに、和室にそこまでこだわりがあるというわけではございませんので……」
【美岬】
「そうなんですか? ちなみにわたし、ちょっと前までは2番目の姉と一緒に、隣の和室で過ごしてたんですよ?」
【文乃】
「……そうだったのですか。姉妹仲睦まじいようで、朗らかな気分にございます」
【美岬】
「えぇ……まぁ、わたしがいい歳になってからは、さすがに同じ部屋なのはちょっとどうなのってことで、この部屋の向かいに移ったんですけど」
【文乃】
「あっ……そ、その、美岬さんの部屋……お邪魔してもよろしいでしょうか?」
【美岬】
「どうぞどうぞ。どうせ今日はわたしの部屋で寝てもらうわけですから、荷物置いて来てください。こっちです」
★場所:美岬の部屋
【文乃】
「ここが……美岬さんの……」
【美岬】
「なにも面白いものなんてありませんよ? 普通の部屋ですから」
【文乃】
「…………『20時』……いえ、『24時以降食べない!!!』とは――」
【美岬】
「
【文乃】
「さ、左様でございますか……」
【文乃】
「……お荷物は、あまり多くないのですね」
【美岬】
「どちらかというと食費にすべて消えるので、あまりものを部屋に置かないんですよ」
【文乃】
「……美岬さんは読書がお趣味だったと記憶しておりますが、本はどちらに……」
【美岬】
「机の引き出しとクローゼットに収納しています。文庫本がほとんどなので、本棚が要るほどじゃないんですよ」
【文乃】
「な、なるほど……」
【???】
『ち〇こハメ』
【文乃】
「!!! い、今のはいったい……?」
【美岬】
「……あぁ、これですよこれ。急に驚かせてすみません」
【文乃】
「……そ、それは」
【美岬】
「ハメドリくんの人形ですよ。知りません? ショッピングモールで普通に売ってますよ?」
【文乃】
「あ、あまり訪れませんので……。それより、その人形から奇妙な音……声? が、聞こえたのですが……」
【美岬】
「それはですね。これ、ランダムなタイミングで鳴き出すんですよ。慣れてない人にとっては心臓に悪いですね」
【文乃】
「……あの、就寝する際、気が散るのでは?」
【美岬】
「たしか電波時計が内蔵されてるので、こっちで設定すれば決まった時間帯は鳴かないようにできるんです。さすがに寝るときまで鳴かれたら困りますからね。うざいですし」
【ハメドリくん人形?】
『ま〇こハメ』
【文乃】
「…………」
【文乃】
「…………そ、そうでございますか」
【美岬】
「まぁ、誕生日プレゼントで買ってもらったものですので、大事にはしてるんですけど。お値段もけっこう高かったようですし」
【文乃】
「……この島の住民の皆さんも、お持ちなのでしょうか」
【美岬】
「どうなんでしょう……ネットでのレビューは低めですからね。『ハメドリくんがうざい』とか、そんなのばっかですよ。いつものことなのに、なにを今更って感じですけど」
【文乃】
「ご自身で購入されたにもかかわらず、そのような評価はいかがなものかと……」
【美岬】
「ランダムと言いましたけど、一応お腹押しても鳴くんですよ? ほら」
【ハメドリくん人形?】
『セッ〇スパコ』
【文乃】
「…………」
【美岬】
「……そういえば、別のハメドリくん人形がこの家にもう何個かありましたね。姉がもう使わなくなったと言って、どこかにしまってたのを思い出しました」
【文乃】
「ご姉妹の皆様もお持ちだったのですね……」
【美岬】
「よかったら持ってきますよ? 文乃ちゃんのお部屋にも置き――」
【文乃】
「結構です」
【美岬】
「即答」
■数日後
★場所:NLNS(現"トリ公")の秘密基地
【美岬】
「――というわけで、文乃ちゃんはもう完全に畔家の一員ですね! 改姓したいぐらいですよ!」
【奈々瀬】
「『畔文乃』……どうも、しっくりこないわねぇ……」
【ヒナミ】
「でも、テストでお名前書く時間短くなりそうだし、悪くないかもね!」
【文乃】
「そ、そういう問題なのでしょうか……?」
【奈々瀬】
「……ま、でも馴染んでるそうだし、一安心ね。美岬の家って広いからすごく助かるのだわ……」
【文乃】
「はい。お陰様でお部屋も与えていただき、至れり尽くせりにございます」
【ヒナミ】
「美岬ちゃんの家ってすごいんだな。もし私の家で暮らすことになってたら、私と一緒の部屋で過ごすことになってたかもな……。もう空き部屋ないんだよねぇ」
【奈々瀬】
「アタシもそうね。両親は仕事で家を空けることが多いからゆっくりはできるかもだけど、部屋はあまりないのよねぇ……」
【美岬】
「たまにわたしの部屋に来てもらって一緒に寝ることあるんですよ。……知ってましたか? 文乃ちゃんの寝息ってすっごく静かなんです! もはや死んでるのかと思うくらい!」
【奈々瀬】
「その例えはどうなのよ……」
【文乃】
「一方で、美岬さんは稀にいびきをかかれております……」
【奈々瀬】
「家主が迷惑かけてんじゃないの……」
【美岬】
「睡眠時無呼吸症候群の可能性があるのかもしれませんね」
【ヒナミ】
「じ、自覚はあるんだな……?」
【奈々瀬】
「……それって、食べ過ぎとかで喉に脂肪が溜まってなるやつだっけ?」
【美岬】
「えっ! 喉に脂肪がつくことなんてあるんですか!? てっきりお腹と胸に全ていってるものかと……!」
【奈々瀬】
「その認識はどう考えてもおかしいでしょ……。まぁ、美岬の胸が大きいのはそのせいもあるのかもしれないけど」
【美岬】
「とはいえ、その分お腹の脂肪もひどいことになってきてますし、喜んでいいものではありませんね……」
【ヒナミ】
「巨乳〇ね!」
【文乃】
「無礼承知で申し上げます。大変贅沢な考えかと存じます……!」
【奈々瀬】
「せ、切実なのだわ……」
【美岬】
「……なるほど! ”
【文乃】
「…………」
【奈々瀬】
「怒ってもいいのよ?」
【文乃】
「い、いえ。美岬さんは今のわたくしの主人にございます故、そのようなことは……。それに、毎日大変美味なお食事を頂いておりますので、不満を吐くなど、とんでもございません……!」
【奈々瀬】
「それとこれとは話が別じゃないかしら……」
【ヒナミ】
「……そういえば、文乃ちゃん。ちょっと気になってたんだけど」
【文乃】
「……なんでございましょう」
【ヒナミ】
「え、えっと。勘違いだったらごめんなさいなんだけど……その、最近少しぽっちゃりしてきたんじゃないかな?」
【文乃】
「…………えっ」
【奈々瀬】
「あー……実はアタシもちょっと思ってたのよね。気を悪くしたらごめんなさい。こう……お顔のラインが、ちょっとね」
【美岬】
「そうですか? あまりそうは見えませんけど」
【文乃】
「そ、そうです……! 気のせいかと思われます……!」
【ヒナミ】
「あ。思ったより強情なんだな」
【奈々瀬】
「美岬……文乃に変なもの食べさせてないでしょうね?」
【美岬】
「滅相もない! 至って普通の食事ですよ! ……ちょっと量が多いかもしれませんけど」
【奈々瀬】
「それね」
【ヒナミ】
「ご飯に関する美岬ちゃんの『ちょっと』はあまり信用できないからねぇ」
【美岬】
「えっ、そんなこと言います? ……文乃ちゃん、もしかして――」
【文乃】
「そ、そんなことはございませぬ! て……適量よりほんのわずかに多い程度で、大変満足にございます……!」
【美岬】
「……そうですか。それならよかったです」
【ヒナミ】
「…………ねぇねぇ、奈々瀬ちゃん。どう思う?」
【奈々瀬】
「気を遣ってるわね。たとえわずかなことでも、家主に反抗するような真似はできない……そんなところかしら」
【ヒナミ】
「文乃ちゃん真面目だからねぇ…………でも、このままだとちょっと心配なんだな」
【奈々瀬】
「そのうちお腹だけ美岬に、なんてことになったら目も当てられないわね……」
【美岬】
「なんか失礼なお話が聞こえた気がしたんですけど、二人でなにをしゃべってるんです?」
【ヒナミ】
「な、なんでもないんだな! どうぞ、お気になさらずいただければ幸いです」
【文乃】
「…………」
【奈々瀬】
「……とにかく、責任持って文乃の健康管理に努めなさいってこと。いいわね?」
【美岬】
「ご心配なさらなくても大丈夫ですよ! これでも畔家は全員健康体ですから! 大船に乗ったつもりで任せてください!」
【ヒナミ】
「泥船の間違いじゃないといいんだけどねぇ」
【美岬】
「だれが『豚小屋』ですか!」
【ヒナミ】
「い、言ってないな……?」
■同日 夜
★場所:畔家
【史子】
「――あら、二人共お帰りなさい! ねぇ、これ見て! すごいでしょ!」
【文乃】
「……す、すごい量のお寿司にございますね……」
【美岬】
「うっひょぉーーーー!!! ど、どうしたんですかこれ!? 今日の夕飯ですか!?」
【史子】
「臨時収入で懐が温まってねぇ。近所のお寿司屋さんも今日安売りしてたところだから、せっかくだし、一気に買っちゃった♪」
【美岬】
「ナイス母上!!!!」
【文乃】
「…………」
【美岬】
「……どうしました? さすがの文乃ちゃんも大量の寿司を目の前に唖然ですか? 『アヘェ……』ならわかりますけど」
【史子】
「それはどうかと思うわ」
【文乃】
「い、いえ。なんでもございませぬ。……毎日このような御馳走をいただき、誠にありがとう存じます」
【史子】
「もー気にしないでったら! 今晩はこれ、三人占めできるのよ! いやぁ、テンション上がるわね!」
【文乃】
「そう……ですね。大変嬉しゅう、ございます」
【美岬】
「お母さん……”
【史子】
「は?」
【美岬】
「えっ。冷たい」
■同日 入浴後
【文乃】
「美岬さん。お風呂のほう上がりましたので、次どうぞ」
【美岬】
「あ、はーい! 着替え取ってきますね!」
【文乃】
「…………」
【文乃】
「…………」
【文乃】
「…………体重、計……」
【文乃】
「…………」
【文乃】
「(※↑本当に太ったのか気になるため今の体重を確認したいと思っている)」
【文乃】
「…………っ! いざっ!」
【体重計】
『(本人の名誉及びプライバシー保護のため非表示)kg』
【文乃】
「……!!!! えっ……そ、そんな……!!!!」
【文乃】
「…………」
【文乃】
「…………こ、故障……かしら……」
【文乃】
「…………もう、一回……!!」
【体重計】
『(同上)kg』
【文乃】
「…………ほ、本当に……!?」
【文乃】
「……や、やっぱり食べ過ぎ……なのかしら……?」
●SE:浴室のドアが開く音
【美岬】
「さぁってお風呂…………ん、文乃ちゃん? どうしたんですか、体重計なんて乗って……? それに、すごい顔してますけど……」
【文乃】
「…………」
【文乃】
「…………美岬さん」
【美岬】
「はい?」
【文乃】
「この体重計…………盛っておられます!! なんと不届きな……!!」
【美岬】
「ちょっとなに言ってるか分からないです」
■数日後 夜
★場所:美岬の部屋
【美岬】
「――あのー……文乃ちゃん?」
【文乃】
「……なんでございましょう」
【美岬】
「……やっぱり、どこか体調悪いんじゃないですか? 今朝もご飯を擦り切れ2杯しか食べてませんし、夕飯も――」
【文乃】
「わたしは気づいたのです。無自覚に自分を甘やかしていたこと、ご厚意をただただ拝受するだけの卑しい豚と化していたことを……!」
【美岬】
「……なんか心が痛い気もしますけど……えっと、つまり……?」
【文乃】
「これはわたくし自身の問題です。美岬さんがお気になさる必要はございません」
【美岬】
「よ、よくわかりませんが……てっきり、今日の学園でのことで、なにか悩んでいるのかと思ったんですけど……違いました?」
【文乃】
「……学園?」
【美岬】
「ほら今日、あの”性帝”の人が声を掛けてきたじゃないですか。それで『近日中、”性帝的直接指導”を受けるかもしれませぬ……!』みたいに怯えてるんじゃないかと……」
【文乃】
「……性帝」
【美岬】
「おぼえてます? あの変にカッコつけてマントしてる、背の高い副会長の人ですよ。まあ、お顔は正直好みなんですけど? でも、どうも態度が…………文乃ちゃん?」
【文乃】
「…………美岬さんは」
【美岬】
「……??」
【文乃】
「美岬さんは、あの方のこと……お嫌いになられますか?」
【美岬】
「え、いや、別に嫌いってわけじゃありませんけど……」
【文乃】
「…………あの方は、わたしたちの味方になってくれる可能性があると……そう、考えております」
【美岬】
「……えっ!? なに言ってるんですか文乃ちゃん! SSの、それに性帝ですよ! いったいどうやって味方になるって言うんですか!?」
【文乃】
「もちろん、その点については存じ上げております。…………しかし、
【美岬】
「……? いったいなにを気にして――」
【文乃】
「……
【美岬】
「えっ……それって」
【文乃】
「…………」
【美岬】
「……そういえば、性帝には妹がどうとか…………っ!! も、もしかして…………!!」
【文乃】
「あくまでわたくしの
【美岬】
「……そうですね。でも、このことは明日みなさんにお話してみてもいいかもしれませんね。誰かなにかしら知っているかもしれませんし」
【文乃】
「はい。事態が少しでも好転すればよいのですが……」
【美岬】
「…………」
【美岬】
「……ま、今は気にしても仕方ありませんよ! 『明日の膣は明日イク』って言うじゃないですか!」
【文乃】
「そうでございますね」
【美岬】
「あれ? ツッコんでくれない……」
【文乃】
「……今日は、美岬さんのお部屋で寝てもよろしいでしょうか?」
【美岬】
「……もちろん、いいですよ! 今晩は景気付けに面白いものを見せてあげます!」
【文乃】
「……と、仰いますと?」
【美岬】
「実はですね……この前、ア〇ルの力を強める万力トレーニングをしていたんですけど、そしたら管楽器のような音色で『ド』の音が出たんですよ!」
【文乃】
「…………」
【美岬】
「ですので、今晩はそれを披露しようと思いまして……! このままアナマン(ア〇ル万力トレーニングの略)し続けて、そのうち『レ』や『ミ』も出して見せます! あ、『
【文乃】
「…………」
【美岬】
「…………もしかして、こういうのあまり好きじゃ――」
【文乃】
「大変素晴らしいかと存じます……!! さすがは美岬さん、芸者にございます……!! 是非お見せいただけますでしょうか……!! ふんすっ……!!」
【美岬】
「文乃ちゃんって意外とノリ良いですよね」