気軽にトークしましょう(ヘンプリ編)   作:黒桐饅頭

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EP1. 妙花×ソフりん

【柊一郎】

「というわけで、おふたりにはトークをしてもらいます」

 

【妙花】

「…………」

 

【ソフりん】

「…………」

 

【柊一郎】

「…………」

 

【柊一郎】

「なにこの空気」

 

【ソフりん】

「いやそうなるだろ」

 

【妙花】

「いきなりなんだってんだ柊一郎。わけが分かんねぇぞ」

 

【柊一郎】

「二人ってあまり交流ないでしょ」

 

【妙花】

「……まぁ、そうかもな」

 

【ソフりん】

「たしかに波多江と話す機会は多くなかったかもな」

 

【妙花】

「元囚人と元看守長の間柄だからなぁ。そもそも多いのも変な話じゃねぇか?」

 

【柊一郎】

「でもソフりんって伊栖未とはまあまあ話してるじゃん。ノアはともかく」

 

【ソフりん】

「……そうかもな。黒鐘と直接しゃべることはそれなりにあったかもしれない。ノアはともかく」

 

【妙花】

「だからこうして交流の少ねぇ奴ら同士でトークさせて親睦でも深めようって魂胆か?」

 

【柊一郎】

「いや、とくに目的はない。ただその人たちにトークしてほしいだけ。それだけ」

 

【妙花】

「…………」

 

【ソフりん】

「…………」

 

【柊一郎】

「わかった?」

 

【妙花】

「わかった? って、手前なぁ……」

 

【ソフりん】

「やりたいことはわかった。だが、なんで私たちふたりなんだ」

 

【柊一郎】

「さっき言った交流が少なそうっていうのもあるけど、ふたりって性格が真っ直ぐなとこ共通してるから。しっかりしたトークしてくれそうと思って」

 

【妙花】

「…………」

 

【ソフりん】

「…………」

 

【妙花】

「くっくっ、そうかい。そう言われちゃあ仕方ねぇな」

 

【ソフりん】

「……そう褒められると悪い気はしないな。そういうことならわかった。やろうか、波多江」

 

【妙花】

「あぁ、よろしく頼むよ」

 

【柊一郎】

「ソフりんの場合は普通って言った方が正しいか」

 

【ソフりん】

「黙れ。帰るぞ」

 

【妙花】

「あんまソフりんいじめんじゃねぇよ。で、何話せばいいんだ。フリートークでもしろってか?」

 

【柊一郎】

「さすがにそれだと大変だから、オレの方でトークテーマをいくつか用意してきた」

 

【妙花】

「へぇ、やりやすくて助かるよ」

 

【ソフりん】

「その方が話しやすくていいな…………それより湊、お前が司会なのか」

 

【柊一郎】

「オレ以外で他に適任はいないんじゃないかと」

 

【ソフりん】

「……それもそうだな」

 

【妙花】

「で、テーマってのはなんだ?」

 

【柊一郎】

「内容はその都度発表してくから。数は三つくらい。長すぎても良くないし」

 

【妙花】

「あいよ」

 

【ソフりん】

「わかった」

 

【柊一郎】

「というわけで、最初のトークテーマはこちら」

 

■テーマ1:『プリズンはどうだった?』

 

【妙花】

「…………ちょっといいか」

 

【柊一郎】

「なに」

 

【妙花】

「一応聞くが、某トーク番組みてぇなノリでやるつもりじゃねぇだろうな」

 

【柊一郎】

「まさか。頭おかっぱじゃないし」

 

【ソフりん】

「やめろ。そういうこと言うな」

 

【妙花】

「ならいい。じゃあ好きにやっていいんだな?」

 

【柊一郎】

「うん。たまにオレも口挟むかもしれないけど」

 

【妙花】

「あいわかった。…………と言ってもなぁ、プリズンなんていつの話だって気もするが」

 

【ソフりん】

「湊が投獄される前から私たちはいたからな」

 

【妙花】

「あぁ。ソフりんは看守長、アタシは囚人共をまとめる顔役、って立場がはっきり別れてた。懐かしいよ」

 

【ソフりん】

「レクリエーションルームにいるのは分かってたが……時々賭博を開いてただろ。あれ看守も立ち会わせないといけないから大変だったんだぞ」

 

【妙花】

「くっくっ、そりゃ悪かったよ。でもよ、プリズンは娯楽が少ねぇだろ。娯楽に飢えて暴れるやつだっていたかもしれねぇ」

 

【ソフりん】

「まぁ、それは」

 

【妙花】

「たまに賭博でも開けばそういったやつらを抑えれる。そうすりゃ、あったかもしれねぇ暴動を無くせるわけだ。結果的にやっこさん達の仕事も減る。違うかい?」

 

【ソフりん】

「…………言われてみればそうかもな。あの頃は忙しくて大変だったから、結果的に仕事が減ったのであればそれは助かったよ」

 

【妙花】

「だろ?」

 

【ソフりん】

「ありがとうと言うのもおかしい話だが、感謝はする」

 

【妙花】

「気にすんな。こっちも暇だったからよ。たまにあの部屋で漫画とか読んで時間をつぶしてたんだ」

 

【ソフりん】

「……お前ら、そんなことしてたのか」

 

【妙花】

「うまくバレねぇようにな。やっこさんらに見つからねぇよういろいろ工夫したもんさ」

 

【ソフりん】

「……はぁ、今更だからいいが。とはいえ、見抜けないこっちの問題でもある。一方的に責めるのもな」

 

【妙花】

「相変わらず真面目だねぇ。あん時のお前さん、いつ倒れるか分からねぇって顔してたぞ? ノアも相当心配してたからな」

 

【ソフりん】

「分かってる。心配かけてすまなかった。私も私で色々抱えていたんだ」

 

【妙花】

「あのかんぴょう女と似非シスターに仕事押し付けられてたんだろ? それも理不尽に。しゃあねぇよ」

 

【ソフりん】

「そうだな……どう考えても私がやることじゃないのに強引に振ってきたからなあのふたり。…………思い出したら腹立ってきた」

 

【妙花】

「――……でもよ、運命は変わったじゃねぇか。――とある新入の存在でな」

 

【ソフりん】

「……湊」

 

【柊一郎】

「オレのお陰か」

 

【妙花】

「調子乗んじゃねぇ。きっかけではあるかもしんねぇが、何から何まで手前だけの力でソフりんが変わったわけじゃねぇだろ」

 

【ソフりん】

「でも湊が動いてくれたおかげで変われたのも確かだ。ノアにも散々言われたが、私はあのプリズンで働くのは向いてなかった。それが今はこうして、プリズンを辞めて好きな演劇を仕事にやれている。感謝してるよ」

 

【柊一郎】

「ソフりん……」

 

【ソフりん】

「…………」

 

【妙花】

「…………」

 

【柊一郎】

「…………」

 

【柊一郎】

「…………プリズンって辞(・)め(・)さ(・)せ(・)ら(・)れ(・)た(・)んじゃなかったっけ」

 

【妙花】

「…………」

 

【ソフりん】

「…………」

 

【柊一郎】

「…………」

 

【ソフりん】

「――――どっちでもいいだろうが別に!!!!」

 

【妙花】

「トークに水を差す司会なんて初めて見たぞ」

 

【柊一郎】

「たしか水城」

 

【ソフりん】

「だからいいだろそのことは!!!!」

 

【妙花】

「……もう次のテーマにいかねぇか?」

 

【柊一郎】

「そうしよっか」

 

【ソフりん】

「…………」

 

【妙花】

「…………」

 

【妙花】

「最初のトークがこんなんでいいのか……?」

 

■テーマ2:『もし同級生だったらどう?』

 

【ソフりん】

「同級生?」

 

【妙花】

「学校も歳も一緒だったらどういう間柄だったと思うか、ってことか」

 

【柊一郎】

「そういうこと」

 

【妙花】

「……手前も知ってるだろ。アタシは高校中退なんだぞ」

 

【ソフりん】

「私も七ヶ浜を中退しているからな……イメージするのが難しいな」

 

【柊一郎】

「そんな性根がしっかりしてるにもかかわらず中退してしまった者同士だからこそ、同級生だったらなんか気が合うんじゃないかなと」

 

【妙花】

「なるほど、そういうことか。ちっとばかし引っかかる言い方だけど」

 

【ソフりん】

「境遇が少し似てるからもしかしたら、ってことか。引っかかる言い方だったが」

 

【妙花】

「境遇が似てると言ってもなぁ……アタシはヤクザ、ソフりんはカタギだ。どうかと思うぞ」

 

【ソフりん】

「そもそも波多江はどうして中退したんだ。理由を聞いてもいいか?」

 

【妙花】

「つまらねぇ話だよ。当時は大人しい引っ込み思案ってキャラで通ってたんだが、組の抗争が絡んじまってな。どうしても学校を辞めなきゃいけなくなったんだよ」

 

【ソフりん】

「そうだったのか……。でも、私も学校では比較的に大人しい方だったぞ。カースト上位の人たちほど明るいわけでもなかった」

 

【妙花】

「へぇ、昔プリズンで淫スタ見せてもらったときの印象からすればもう少し和気藹々としてたもんかと思ってたが」

 

【ソフりん】

「全然。友人はそれなりにいたが、演劇に没頭してたからよく遊びにいったわけでもないし。趣味の話も、猫だったりお洒落なカフェだったり。そんなところだよ」

 

【妙花】

「……そうか」

 

【ソフりん】

「まぁ、だからよく周りに"普通"って言われるんだけどな。見た目に反して中身が平凡だったから」

 

【妙花】

「…………」

 

【ソフりん】

「…………」

 

【柊一郎】

「フ」

 

【ソフりん】

「お前いま笑ったか?」

 

【柊一郎】

「滅相もない」

 

【ソフりん】

「……誰かこの司会変えてくれないか」

 

【妙花】

「(アタシも一瞬脳裏をよぎったがここは黙っておいた方がいいな)」

 

【妙花】

「……アタシも学校ではそこいらの学生と同じようなもんだった。きっとクラスメイトだったら案外仲良くしてたんじゃねぇか? アタシら」

 

【ソフりん】

「……そうか? 大人しいのは波多江の素じゃないんだろう? 元とは言えヤクザの組長なんだから、もっと豪快なんじゃないのか」

 

【妙花】

「そんなことはねぇ。アタシもアタシで本当は心を抑えてたんだよ。組長って立場だから仕方ねぇ、と自分に言い聞かせてな」

 

【柊一郎】

「でも今はこうしてイラストレーターをしてくれてる」

 

【妙花】

「あぁ。本当は絵を描くのが好きだったからな。立場があっただけで、本来はいたってそこいらの女子と一緒だよ」

 

【ソフりん】

「……そうか。もしかしたら休み時間とか話してたかもしれないな」

 

【妙花】

「かもな。猫の絵はもちろん、空の絵だって描いたこともある。案外話がはずんでたかもしれねぇぞ」

 

【ソフりん】

「休み時間が終わっても話し続けて授業が始まったことに気づかないパターンか」

 

【妙花】

「で、先公に叱られる。情景が浮かぶよ」

 

【ソフりん】

「ちなみに成績は」

 

【妙花】

「普通より少し下。目立たねぇようにするためにな」

 

【ソフりん】

「私も……学科は違うだろうが、良い方というわけではなかった。あのときはノアの呪縛もあってな。必死に努力してもがいてたよ」

 

【妙花】

「てことはもし学科も一緒だったら互いに勉強教え合ってたりしてたんじゃねぇか?」

 

【ソフりん】

「あり得るな。私は経済方面も多少興味があったから、数学や公民分野なら教えてたかもしれないな」

 

【妙花】

「アタシもそうかもしれねぇ。ヤクザは数字や金勘定、世間の動向に聡くなきゃいけねぇからな。その辺の科目は抑えてたよ」

 

【ソフりん】

「じゃあなんだ。教え合うと言うより、テストで成績を競い合ってたんじゃないか」

 

【妙花】

「くっくっ、あるなそれ。たかが1点2点の差で一喜一憂してな。満点じゃねぇとこりゃ勝てねぇ、ってか」

 

【ソフりん】

「波多江は頭が切れる。本気を出されたら私なんか負けるだろうさ」

 

【妙花】

「そうすぐ卑屈になんじゃねぇよ。ちっと似てるかもと思ったが、そこはアタシと違うよ」

 

【ソフりん】

「……そうだな。私の悪い癖だ」

 

【妙花】

「もし本当の友人(ダチ)だったらよ、多分アタシは"発破"かけてるぞ。『下向いてんじゃねぇ!!』ってな」

 

【ソフりん】

「………波多江のような友人がいたら、もっと違ってたのかもしれないな」

 

【妙花】

「そう言ってくれるとありがたいよ。だがな、仮にアタシがソフりんのクラスメイトだったとしても、どうにもしてやれねぇことが一つある」

 

【ソフりん】

「……なんだ?」

 

【妙花】

「――……ノアの暴走行為からの保護」

 

【ソフりん】

「…………」

 

【妙花】

「…………」

 

【ソフりん】

「……波多江でも無理か?」

 

【妙花】

「おそらくな。話を聞く限りじゃ気味が悪くて仕方ねぇ。恫喝でどうにかなる状態でもなかったようだからな」

 

【ソフりん】

「あの時のノアは完全に子どもというか、周りがまったく見えてない状態だったからなぁ……」

 

【柊一郎】

「ちなみに今でもソフりん絡みになるとバーサーカーモードになる」

 

【妙花】

「姉狂いってか」

 

【柊一郎】

「そういうこと」

 

【ソフりん】

「もういい歳なんだからそろそろ落ち着いてほしいんだが……まだそんな感じなのか」

 

【妙花】

「相変わらずだよ。その辺はなんも変わんねぇ」

 

【柊一郎】

「ソフりんの方がいい歳でしょ」

 

【ソフりん】

「ちょっとこっち来いお前。今日という今日は本当に殴るから歯を食いしばれ」

 

【柊一郎】

「助けて妙花」

 

【妙花】

「じゃあさっさと最後のトークテーマに入ればいいだろうが。いい加減煽るのは止めねぇか」

 

【柊一郎】

「ソフりん。次で最後だから」

 

【ソフりん】

「お前本当に覚えてろよ」

 

■テーマ3:『恋愛、結婚についてどう思う?』

 

【柊一郎】

「…………」

 

【ソフりん】

「…………」

 

【妙花】

「…………」

 

【妙花】

「…………なぁ」

 

【柊一郎】

「どしたの」

 

【妙花】

「……このテーマ、本当に柊一郎が考えたのか?」

 

【柊一郎】

「うん。トークの定番って感じしない?」

 

【ソフりん】

「そうかもしれんが……恋愛に結婚と言ってもなぁ」

 

【妙花】

「恋愛はともかく結婚ってなんだ。アタシらはそういう間柄じゃねぇだろ。運命共同体って堅く誓っておいて、なんでこんな話を」

 

【柊一郎】

「グー〇ン〇ーボを参考にしました」

 

【妙花】

「数秒前と言ってること違ぇじゃねぇか」

 

【ソフりん】

「いい加減すぎるだろお前」

 

【柊一郎】

「だって女性の会話の定番ってオレよくわかんないし」

 

【妙花】

「…………」

 

【ソフりん】

「…………」

 

【柊一郎】

「オレの周り女性多いけど、女性の社会とか知ってるわけじゃないから」

 

【妙花】

「…………わかったよ。しかし言われてみりゃ、柊一郎以外の男に惚れてた自分もいたかもしれねぇんだよな。もしかしたら」

 

【柊一郎】

「…………」

 

【妙花】

「……なんだ、嫉妬でもしてんのか? ……心配すんなよ。アタシはよ……手前のそばを離れたりはしねぇ」

 

【柊一郎】

「妙花……」

 

【妙花】

「……よせよ。照れるじゃねぇか」

 

【柊一郎】

「…………」

 

【妙花】

「…………」

 

【ソフりん】

「…………」

 

【ソフりん】

「…………私がいること忘れてないか?」

 

【柊一郎】

「ごめんねソフりん」

 

【妙花】

「すまねぇ。ちっとばかし周りが見えなくなっちまってた」

 

【ソフりん】

「いいんだ。結婚以前に彼氏すらできたことないおばさんだからな……ははっ」

 

【柊一郎】

「ソフりんってそんな卑屈キャラだったっけ」

 

【妙花】

「主に手前のせいだろうが」

 

【柊一郎】

「でもソフりんも理想の男性とかいるでしょ」

 

【ソフりん】

「……まぁ。いないこともない」

 

【妙花】

「ほぅ。そいつは興味あるね。聞かせてくれよ」

 

【ソフりん】

「そうだな……容姿はそこまで気にしないがすらっとしてればなお良いかな。遊びまわったりしない誠実さがほしい。デートのときは向こうから手をつないでくれるような人がいいな」

 

【妙花】

「…………」

 

【ソフりん】

「…………」

 

【妙花】

「…………ソフり――」

 

【ソフりん】

「分かってる、言わなくていい。普通だよ。世の女性ならみんなが思うことだろうさ」

 

【妙花】

「いや、そうは――」

 

【ソフりん】

「でも仕方ないだろう!? 本当に彼氏の一人もできなかったんだから! ありきたりかもしれんが夢見てもいいだろう!」

 

【妙花】

「…………あ、あぁ。そうだな」

 

【ソフりん】

「…………」

 

【ソフりん】

「…………すまん、冷静さを欠いた。気を悪くしたなら許してほしい」

 

【妙花】

「…………構わねぇよ。気にすんな」

 

【妙花】

「…………」

 

【妙花】

「(……このテーマ難しくねぇか?)」

 

【ソフりん】

「そういう波多江はどうなんだ。もし湊と出会ってなかったら実際どうしてたんだ?」

 

【妙花】

「どうだったろうなぁ……。組の計らいで見合いとかさせられてたかもしれねぇ。そしたらよく知りもしねぇ野郎と結婚、なんてな」

 

【柊一郎】

「…………」

 

【妙花】

「なんて顔してんだ手前。さっきもそうだったがもしもの話だっつってんだろうが」

 

【ソフりん】

「でも、ヤクザも大変なんだな。相手も選べないのか」

 

【妙花】

「メンツが商売の仕事だからな。結婚となりゃどうしても組のメンツが関わってくる。融通が利かねぇこともあんだよ。お陰様で、柊一郎と出会うまでは恋愛って感情をよくわかってなかったよ」

 

【ソフりん】

「そうか……やっぱり出会いか」

 

【妙花】

「劇団所属なんだろ? いねぇのか。気になる男は」

 

【ソフりん】

「役者の人だから容姿が整った男の人は多いよ。でも今のところはそんな人いないな。ただの同僚だよ」

 

【妙花】

「やっぱきっかけがねぇとそうそう上手く事は運ばないのかねぇ」

 

【ソフりん】

「恋愛自体もそうだが、結婚生活のイメージもあまり浮かばないんだよな。私の場合」

 

【妙花】

「ソフりんなら良い奥さんになると思うぞ。けっこう一途なところがあるからな。ひたすら尽くすタイプじゃねぇか?」

 

【ソフりん】

「どうかな……旦那の嫌なとこ見てあっさり幻滅して冷めるかもしれないぞ。私」

 

【妙花】

「そういうところもひっくるめてよ、"愛"ってもんを覚えていくんじゃねぇのか? 結婚生活ってのは」

 

【ソフりん】

「え?」

 

【妙花】

「一緒に生活してりゃそういう嫌なとこってのはいくらでも見る。旦那の側からしてもそうだ。お互い様さ。時間をかけて相手のことを少しずつ理解し、互いを認め合っていくことで、結婚の良さを知っていくもんだと思うぞ」

 

【ソフりん】

「…………」

 

【妙花】

「…………」

 

【ソフりん】

「……さすが波多江だな。しっかりした結婚観だよ」

 

【妙花】

「といっても、他人の結婚生活を見てきたわけじゃねぇ。あくまで経験則によるもんだ」

 

【ソフりん】

「波多江は湊たちと一緒に生活してるもんな」

 

【妙花】

「あぁ、最初の頃は色々手を焼かされたもんさ。でもよ、長い時間一緒にいればそういうのも"いい"って思うようになるんだよ」

 

【ソフりん】

「そうか……経験者は違うな」

 

【妙花】

「あくまでアタシの場合の話だ。世の中の夫婦がみんなそうってわけじゃねぇ。うまくいかねぇとこだってある」

 

【ソフりん】

「…………」

 

【妙花】

「だからよ。アタシは結婚、恋愛の前に人(・)間(・)が大事だと思ってる。まずは一緒の時間を過ごしてみるのが重要なんじゃねぇか」

 

【ソフりん】

「……参考になるよ。まずは付き合ってみないと分からないか」

 

【妙花】

「だな。興味を持つとこから始める、でいいと思うぞ。何事も最初は関心を向けるとこからだからな」

 

【ソフりん】

「……ありがとう。少し頑張ってみるよ」

 

【妙花】

「健闘を祈るよ。上から目線ってわけじゃねぇが」

 

【柊一郎】

「姉さんもその辺いろいろ悩んでたみたいだから、オレも参考になった。すごくいい話だったと思う」

 

【ソフりん】

「柊菜子さんならすぐいい相手見つかりそうだけどな」

 

【妙花】

「それを言ったらお前さんもだよ。どっちも別嬪じゃねぇか」

 

【柊一郎】

「じゃあこの辺りで終了で。お疲れ様、ふたりとも」

 

【妙花】

「あいよ。充実した時間だった。たまにはこうやってじっくり話すの悪くねぇな。ありがとよ、ソフりん」

 

【ソフりん】

「いや、こちらこそ。大人になるとこういう機会ってあまりないからな。最初は不安だったが楽しかったよ。波多江だけじゃない。湊にも感謝してる」

 

【柊一郎】

「礼はいらない。元々自己満足のためだし」

 

【ソフりん】

「はっきり言うじゃんお前……」

 

【妙花】

「で、アタシらはこれで終わりか。よかったら帰りにメシでも食ってかねぇか?」

 

【ソフりん】

「いいな。賛成」

 

【柊一郎】

「別にいいけど大丈夫かな」

 

【妙花】

「あぁ? 何か不都合でもあんのか?」

 

【柊一郎】

「今日妙花とソフりんがふたりだけでトークする件、ノア知ってるけど」

 

【金・緑】

「「………………」」

 

【柊一郎】

「遅くなったら怪しまれないかな」

 

【妙花】

「…………」

 

【ソフりん】

「…………」

 

【妙花】

「…………ソフりん、帰るときついてきちゃくれねぇか。アタシらの仲だろ?」

 

【ソフりん】

「ぜったい嫌だ」

 

 

 

 

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