【淳之介】
「今回は3年生組にトークをしてもらいます」
【ヒナミ】
「おぉ! やっとお呼ばれだね! 嬉しいね!」
【文乃】
「…………」
【礼】
「はぁ~……! 小さい子たちでいっぱいだぁ……! なんだここは!? そういう店か!?」
【ヒナミ】
「小さい子じゃありませんけど!」
【淳之介】
「ただのトーク企画です」
【礼】
「……まぁ、一応桐香様や郁子から淳之介司会のトーク企画があるとは聞いてたけど、こういう感じなんだな」
【ヒナミ】
「そうだね。新鮮な感じでお姉さんもいいと思うね」
【淳之介】
「それにしても、わたちゃんと礼先輩は受験勉強でお忙しいのに、今日は来てくれてありがとうございます」
【ヒナミ】
「何言ってるのさ! 可愛い後輩のためとあればいつでも駆けつけるさ! それにみんなでトークなんて楽しそうだしね!」
【礼】
「そうだよ。勉強の息抜きにもちょうどいいからな。存分に楽しませてもらうよ淳之介」
【淳之介】
「そう言っていただけると助かります。じゃあ今日は」
【文乃】
「あ、あの、淳之介さん……」
【淳之介】
「ん? どうした文乃」
【文乃】
「さ、3年生組というお話ですけど……わたしだけ、学年が違うのでは?」
【ヒナミ】
「それは私も気になってたね。どういうことなんだろうね」
【淳之介】
「何言ってるんだ。文乃も3年生じゃないか」
【文乃】
「……え?」
【礼】
「お前大丈夫か?ドスケベのしすぎで頭が」
【淳之介】
「B等部の」
【文乃】
「…………」
【礼】
「…………」
【ヒナミ】
「……な、なるほどな?」
【淳之介】
「え。なんかまずかったですか」
【礼】
「『3年生』の部分を共通項にするって…………ちょっと強引すぎないか?」
【文乃】
「それだけの理由でわたしをお呼びいただいたということなのでしょうか……」
【ヒナミ】
「文乃ちゃんが来てくれるのは嬉しいけど、ちょっと理由がねぇ」
【淳之介】
「べ、別にそういうつもりじゃないですよ! それは後から気づいただけで他に理由はありますから!」
【ヒナミ】
「他のりゆー?」
【淳之介】
「ほら、文乃はヒナミと同じNLNSで交流がありますけど、礼先輩とはあまりないでしょう?」
【礼】
「あぁ……それはたしかに。あまり喋ってるとは言えないな」
【文乃】
「では、糺川さんとの親睦を深めるために……?」
【淳之介】
「あぁ。本来の目的は3人でトークをしてもらいたいというだけなんだが、せっかくなら交流が少ない人同士で一緒になった方がいいかなって思ったんだ」
【文乃】
「……淳之介さん。お心遣い感謝いたします」
【礼】
「粋な計らいじゃないか。そういうことなら今日はよろしくな。文乃」
【文乃】
「はい。こちらこそよろしくお願いします。糺川さん」
【ヒナミ】
「うんうん良いことだね! なにか困ったトキがあったら私がサポートするからね!」
【淳之介】
「わたちゃんも最近は礼先輩とあまり話せてなかったでしょう。お互い受験勉強で忙しかったでしょうから」
【ヒナミ】
「ううんそんなことはないよ。よく礼ちゃんに勉強を教えるためにお部屋に遊びに行ったりしてるからね」
【文乃】
「糺川さんのお部屋へ……?」
【礼】
「あぁ。よく付きっきりで勉強を教えてもらってるんだ。受験ともなるとやることが多いし、お互い色々共有をな」
【文乃】
「ヒナミさんはご自身の勉強はよろしいのですか……?」
【ヒナミ】
「へーきだよ! 家でずっとひとりで勉強してても息が詰まるからね! それに、教えることもまた勉強だからね!」
【文乃】
「……そうでございますか。
【ヒナミ】
「それで淳くん。トークってどうすればいいのかな」
【淳之介】
「俺がトークテーマを用意しているのでそれに沿ってお話していただければ大丈夫です」
【礼】
「そっか。淳之介が司会だからそうなるのか」
【淳之介】
「はい。数は3つあるので。内容はその時その時で発表します」
【文乃】
「承知致しました。本日は何卒宜しくお願い致します」
【礼】
「相変わらず文乃は堅いな。もっと適当でいいんじゃないか?」
【淳之介】
「そうだぞ。気軽にトークしてくれればいいから」
【文乃】
「……はい。わかりました」
【ヒナミ】
「じゃあ最初のテーマいってみよっか!」
■テーマ1:『普段はどんな交流してる?』
【ヒナミ】
「いかにも最初って感じだね」
【礼】
「というかさっき色々話してしまった気もするが……」
【淳之介】
「ヒナミと礼先輩が最近は受験勉強ってことぐらいでしょう。まだ色々あると思いますけど」
【礼】
「それもそうか。じゃあ私の方から聞きたいんだが、ヒナミと文乃はNLNSではどうしてるんだ?」
【文乃】
「時折橘家へ遊びにいらしていただけるので、一緒にお料理等をしております」
【ヒナミ】
「そうだね。文乃ちゃんとってもお料理上手だからね。美味しい和食の作り方とか教えてもらってるね」
【礼】
「そうなのか。片桐もたしか上手かったよな」
【文乃】
「奈々瀬さんもお上手ですが毎日いらっしゃるというわけではございませんので、主にわたしがヒナミさんに料理を教えております」
【ヒナミ】
「奈々瀬ちゃんは家庭料理、文乃ちゃんは本格和風料理って感じだよね」
【文乃】
「もったいないお言葉でございます。わたしの料理はいたって一般的な和食でございます」
【ヒナミ】
「そんなことないよ! 高級なお料理屋さんでよく出るようなごはんばっかりだよ!」
【礼】
「そんなに美味しいのか?」
【ヒナミ】
「うん! 特にね、塩加減がぜつみょーでね! とっても食べやすい上に美味だから最高なんだね!」
【礼】
「淳之介。橘家を今度から料亭と呼んでもいいか?」
【淳之介】
「意味が分からないので却下です」
【文乃】
「料理は塩加減が肝要です。濃すぎると病気に繋がる恐れがあり、かと言って薄すぎても美味とは言えません」
【ヒナミ】
「私もお家でよくお料理するからね。文乃ちゃんのお陰でお母さんたちにも美味しいってよく褒められるようになったから感謝してるよ」
【文乃】
「お役に立てたようで何よりでございます……」
【礼】
「いいなぁ。今度から文乃にSS寮にご飯作りに来てもらおうかなぁ……」
【淳之介】
「うちの文乃は家事代行業者じゃありません」
【文乃】
「あれはお金がかかりますからね……」
【ヒナミ】
「文乃ちゃんはSS寮に入ったトキあったっけ?」
【文乃】
「いえ、一度もございません」
【淳之介】
「いきなり来たら桐香も萎縮するだろうからなぁ……」
【礼】
「SS寮はないがたまに生徒会室で顔を合わせるぞ」
【ヒナミ】
「生徒会室? 文乃ちゃんSSじゃないよな?」
【礼】
「本当にたまにだけど、経理の仕事をお願いするときがあるんだ。うちの経理、時々間違うことがあってな。その点、文乃は計算がかなり正確で仕事も速いからとても助かってるよ」
【ヒナミ】
「そ、そんなことしてたんだな?」
【文乃】
「おそらく経理担当の方は表計算ソフトの使い方を正確に理解できていないと思われます。まずは基礎を覚えてから取り組むようご指導いただければと」
【ヒナミ】
「できるキャリアウーマンだ……!」
【礼】
「肝に銘じるよ。…………文乃にこのままSSに入ってもらえればなぁ」
【文乃】
「いえ。わたくしにはNLNSという」
【礼】
「分かってる、冗談だよ。それにしても、NLNSは優秀な人間が多くて羨ましいよ」
【淳之介】
「NLNSは優秀な人材ばかりですからね」
【礼】
「今そう言っただろ……。話聞いてるのか?」
【ヒナミ】
「奈々瀬ちゃんも文乃ちゃんも頭良いからね!」
【礼】
「ヒナミもそうだろ。それに、ヒナミは近接攻撃、文乃は遠距離攻撃と隙が無い陣形で、どっちも強いときた。本当に苦労したよ」
【ヒナミ】
「文乃ちゃんのスナイパー射撃は随一だからね! とってもちょーほーしたね!」
【文乃】
「特別なことは何もしておりませんので……」
【礼】
「よく言うよ。こっちは大変だったんだぞ」
【ヒナミ】
「でもホントにごめんね礼ちゃん……。いっぱい怪我しちゃったよね……?」
【礼】
「そんなことはないよヒナミ。私の場合は精々かすり傷程度だから。家で自分で手当して治る程度だよ」
【ヒナミ】
「そういや礼ちゃんのお家の消毒液とばんそーこーそろそろ無くなりそうだったよね。そのうちお買い物に行かないとだね」
【礼】
「そんなに気にしなくていいよ。それぐらいなら自分でも買えるから」
【文乃】
「ヒナミさん、よくご存じですね」
【ヒナミ】
「何度も通ってるからね! 冷蔵庫の中身に、お風呂にあるシャンプーやリンスの種類に、本棚に何の本がそろってるかも分かってるよ!」
【淳之介】
「通い妻じゃん……」
【礼】
「それは違うぞ淳之介。私が妻だ」
【淳之介】
「何言ってるの?」
【文乃】
「じゅ、淳之介さん……! わ、わたしは…!」
【淳之介】
「のらなくていいから。それに、その言葉の続きは…………またいつかな」
【文乃】
「~~~っ! もうっ! 淳之介さん!」
【礼】
「ヒナミこっちも負けてられないぞ! 私たちも今からイチャイチャするぞ!」
【ヒナミ】
「うん! いっぱいぎゅーってしてあげるね! ほら、ぎゅーっ!」
【礼】
「はわわわわ! た、たまらん……! 萌え死ぬ……! というか死んだ…!!」
【淳之介】
「何がしたかったの?」
【文乃】
「淳之介さん。"交流"とはそういう……」
【淳之介】
「違うから!!」
【ヒナミ】
「なんか盛り上がってきたね! いい感じだし次のテーマいってみよっか!」
【礼】
「も、盛り上がっ……! ふおおおぉぉぉぁぁぁ!!」
【文乃】
「糺川さんはどうなされたのでしょうか」
【淳之介】
「気が触れたんだと思う」
■テーマ2:『趣味はどう?』
【ヒナミ】
「なるほどねぇ趣味ねぇ」
【淳之介】
「思い返せばこういう話してなかったので」
【文乃】
「わたしはよく編み物をしておりますね……」
【礼】
「編み物?」
【ヒナミ】
「そうだったね! 文乃ちゃん集中したら何時間でも編めるもんね!」
【礼】
「それはすごいな……。服とか編んでるのか?」
【文乃】
「はい。最近は、その……じゅ、淳之介さんの服を……」
【礼】
「……またイチャつくとこを見せられるとは思ってなかったなぁ、淳之介ぇ?」
【淳之介】
「さっきまで狂ってた人に言われたくないです」
【ヒナミ】
「最近は少し涼しくなってきたから温かい服作ってるんだよね?」
【文乃】
「お風邪を召されませぬようにと……」
【淳之介】
「文乃は本当に上手いんですよ! それで、今度作ってくれる服に『鮭』の柄を入れてもらうよう頼んでるんです!」
【礼】
「…………あ、あぁ。そう、なんだな……」
【ヒナミ】
「淳くんはお魚さん大好きだもんねぇ」
【文乃】
「…………」
【淳之介】
「なぁ文乃!」
【文乃】
「…………」
【ヒナミ】
「トークなのに黙っちゃった」
【礼】
「……ヒ、ヒナミはどうなんだっけ? たしかバストアップがどうとか」
【ヒナミ】
「そうなんだよねぇ。頑張ってるのにちっとも大きくならないんだよぉ……うぅ」
【文乃】
「えくささいず等をやられてるのですか?」
【ヒナミ】
「最近はヨガをやってるね。こう、やって…………コブラのポーズ! とか」
【礼】
「私もそれたまにやるぞ。運動後のストレッチにも良いしな」
【ヒナミ】
「あとは、そうだねぇ……。大豆をよく摂るようにしてるねぇ」
【文乃】
「と言いますと、豆乳や納豆等でしょうか?」
【ヒナミ】
「うん。いそふらぼんが効果あるって聞くからね。他にも豆腐とかきなこも食べるね」
【礼】
「でもイソフラボンって摂りすぎても良くないから程々にしないといけないぞ」
【文乃】
「あとは、ボロンという栄養も摂取されるとよろしいかと……」
【礼】
「ボロン?」
【文乃】
「ミネラルの一種にございます。キャベツや林檎、海藻類等に含まれておりますね」
【ヒナミ】
「いそふらぼんとどう違うのかな?」
【文乃】
「ボロンは胸の脂肪だけを増やしてくれる働きがございます」
【ヒナミ】
「おお! それは良いね!」
【文乃】
「しかし熱に弱いため、可能な限り生で摂取することをおすすめします」
【礼】
「よく知ってるな。文乃も実践してるのか?」
【文乃】
「えぇ……」
【礼】
「…………」
【文乃】
「…………」
【ヒナミ】
「あ、また黙っちゃった」
【礼】
「……で、でも参考になったよ! 私も今夜は生キャベツでも食べてみようかな!」
【ヒナミ】
「礼ちゃんは十分おっきいでしょ! だったらそのおっぱい分けてよぉ!」
【文乃】
「そうですそうです……!」
【淳之介】
「切実なんだなぁ……」
【礼】
「じ、自信はある方だけど……ほら! 畔だってかなり大きいだろ!」
【淳之介】
「あれは過食の影響による産物なので別物です」
【礼】
「さらっとひどいこというなお前……」
【文乃】
「ところで、糺川さんはどうなのでしょうか」
【礼】
「私は主にゲームだな。FPS以外ならなんでもやるぞ」
【文乃】
「そういえば少し前に皆さんでゲームしましたね……」
【ヒナミ】
「マタブラだね!」
【淳之介】
「それ本当になんなの?」
【礼】
「たしか……私はよくジョー〇ーを使ってたが、文乃が強くてほとんど勝てなかったな」
【淳之介】
「大丈夫……?」
【ヒナミ】
「私は〇ムラ/〇カリを使ってたね! 使い分けるのがなかなか難しかったね!」
【淳之介】
「胃が痛くなってきたんだけど……」
【文乃】
「わたくしにはパル〇ナのご加護がある故」
【淳之介】
「他の話しない?」
【ヒナミ】
「ちょっと前のことだけど懐かしいねぇ……。あ、懐かしいと言えばあれを持ってきてたんだよ。ちょっと待っててね」
【文乃】
「?」
【礼】
「あれ?」
【ヒナミ】
「……ほら、これこれ!」
【淳之介】
「なにそれ?」
【ヒナミ】
「んほぉボタン!」
【淳之介】
「なにそれ」
【礼】
「あぁ昔流行ったなぁそれ……。テレビでよく見たよ」
【ヒナミ】
「これを1回押すとね!」
【んほぉボタン】
『んほぉ!!』
【淳之介】
「男の声なのか……」
【礼】
「押すと『んほぉ!!』と叫ぶんだよな。淳之介知らないのか?」
【淳之介】
「知りたくなかったです」
【文乃】
「19んほぉに達すると絶頂する仕組みなんですよね……!」
【淳之介】
「なんで知ってるの?」
【ヒナミ】
「ちょっと試してみよっか」
【んほぉボタン】
『んほぉ!!』
【んほぉボタン】
『んほぉ!!』
【んほぉボタン】
『んほぉ!!』
【んほぉボタン】
『んほぉ!!』
【んほぉボタン】
『んほぉ!!』
【んほぉボタン】
『んほぉ!!』
【んほぉボタン】
『んほぉ!!』
【んほぉボタン】
『んほぉ!!』
【淳之介】
「これ何の時間?」
【んほぉボタン】
『んほぉ!!』
【んほぉボタン】
『んほぉ!!』
【んほぉボタン】
『んほぉ!!』
【んほぉボタン】
『んほぉ!!』
【んほぉボタン】
『んほぉ!!』
【んほぉボタン】
『んほぉ!!』
【んほぉボタン】
『んほぉ!!』
【んほぉボタン】
『んほぉ!!』
【んほぉボタン】
『んほぉ!!』
【んほぉボタン】
『んほおおおおおおおおおおぉぉ!!』
【ヒナミ・礼・文乃】
「「「あっはははははは!!!(ぬっへっへっへっへ……!)」」」
【淳之介】
「はい次行きます」
■テーマ3:『勉強の方はどう?』
【礼】
「さっきとの温度差がすごいな」
【淳之介】
「笑ってた人が言うの?」
【文乃】
「勉学の話題ですか……」
【ヒナミ】
「ねぇねぇ淳くん」
【淳之介】
「どうしました?」
【ヒナミ】
「これってたしか前回と前々回もやってたよね? 淳くんってお勉強好きだったっけ?」
【礼】
「淳之介はボロカスだぞ」
【淳之介】
「あんたに言われたくはない」
【文乃】
「では何故……?」
【淳之介】
「わたちゃんと礼先輩は受験生だからちょうどいいかなってのと、あと文乃の勉強事情も気になるしな」
【ヒナミ】
「たしかに、文乃ちゃんはお勉強どんな感じなのかあまり知らないな」
【礼】
「たしか優秀なんじゃなかったか? かなり上位の方って」
【文乃】
「はい。何せわたしは……、その、じゅ淳之介さんの…………つ、妻(予定)として、恥じぬよう…………!」
【ヒナミ】
「おぉ! さすが文乃ちゃんだね! とってもしっかりしてるね!」
【淳之介】
「大丈夫だぞ。文乃なら何も恥ずかしいことなんてないんだぞ」
【礼】
「お前は恥じろ」
【文乃】
「時折淳之介さんと麻沙音さんに教えることもございます……」
【ヒナミ】
「A等部で習う範囲も理解してるんだね! すごいね!」
【淳之介】
「あぁ。文乃には本当にお世話になってるよ。いつもありがとうな」
【礼】
「この兄妹にプライドはないのか?」
【ヒナミ】
「こりゃ私たちも負けらんないね! 礼ちゃん!」
【礼】
「……あぁ。そうだな」
【ヒナミ】
「? どうしたの礼ちゃん?」
【礼】
「あぁいや、ここ最近あまり点数が伸びないからさ……ちょっと悩んでるんだよ」
【文乃】
「すらんぷ、というものでは?」
【礼】
「それは最初の頃からコツコツ頑張ってきてる人が陥るもので、元々あまり勉強してない私には当てはまらないよ」
【ヒナミ】
「うーん、点数が下がってるわけではないんだけどねぇ……」
【礼】
「まだ基礎の部分がいまいち理解できてないんだと思う。わざわざヒナミに付きっきりで教えてもらってるというのに……ごめんな、ヒナミ」
【ヒナミ】
「謝らなくていいよ礼ちゃん。私の教え方が下手なんだよ。こっちこそごめんね」
【文乃】
「ヒナミさんはたしか学年でもトップの方でしたよね……」
【礼】
「あぁ。全国模試でも上から数えた方が圧倒的に早い。そんなエリートに教わってるのに……どうしてもな」
【淳之介】
「わたちゃんってそんなにすごかったんだ」
【礼】
「ヒナミと一緒の大学に行きたいんだけどな……。ルームシェアして、一緒のキャンパスライフ。どうしても叶えたいんだ」
【ヒナミ】
「大丈夫だよ! まだ時間はあるよ! 問題を多くこなしてパターンをおぼえればいいんだよ!」
【礼】
「他の科目はそれでいいかもしれないけど…………数学がなぁ」
【文乃】
「数学……」
【淳之介】
「そっか。大の苦手なんですよね」
【礼】
「この前までは中学の範囲すらおぼつかなかったからな。でもヒナミのお陰で最近になってようやく受験数学のレベルに追いついたんだ」
【文乃】
「それは素晴らしいかと存じます……。ヒナミさんの教えによる効果と糺川さんの努力による賜物かと」
【礼】
「でも肝心の応用レベルがまだ全然解けなくて……。公式はおぼえたしどこで使えばいいのかは分かってるんだが、それ以上に思考力が試される」
【文乃】
「つまりそのような問題でどうしても躓いてしまう、ということでしょうか」
【礼】
「あぁ。これを何とかしない限りは合格点なんて夢の話さ……」
【ヒナミ】
「…………」
【文乃】
「…………」
【礼】
「正直希望が見えなくてな。最悪別の学部を受験しようかなと」
【ヒナミ】
「ダメだよ礼ちゃん!!」
【礼】
「ヒナミ……?」
【ヒナミ】
「せっかくここまできたのに諦めちゃダメだよ! いっしょの教室で講義受けようねって約束したでしょ!」
【礼】
「…………」
【ヒナミ】
「点数が上がらなくて落ち込んじゃうのはわかるよ。でもまだ何か月もあるんだよ? 今からハードル下げちゃうなんてもったいないと思うよ」
【礼】
「で、でも……」
【ヒナミ】
「私は礼ちゃんの家庭教師だよ? 礼ちゃんの点数が上がらないなら私の責任でもあるんだから。一人で悩まないで?」
【文乃】
「ヒナミさん……」
【ヒナミ】
「大丈夫だよ。ここまで頑張ってこれた礼ちゃんなら、あと一息ぐらい乗り越えられるよ」
【礼】
「…………」
【ヒナミ】
「SSとして、風紀委員長として、これまでどんなに嫌な事があっても一生懸命立ち向かってきたじゃない。だったら、受験勉強だってなんとかなるよ!」
【淳之介】
「そうですよ。礼先輩」
【礼】
「……淳之介?」
【淳之介】
「俺たちは昔は敵対関係でした。でもそこには、いつでも本気でどんな逆境も乗り越えようとする、熱く気概に溢れた頼れる先輩の姿が映っていました」
【淳之介】
「NLNSと直接戦ってたときだって、決して負けじと強く向かって来ていたでしょう」
【礼】
「…………」
【淳之介】
「そんな人が受験勉強なんかに負けるとは……俺には思えません」
【ヒナミ】
「淳くん……」
【淳之介】
「……なんて、頭の悪い俺が言えたことじゃないかもしれませんけどね」
【礼】
「いや。そんなことはない。ちょっと勇気が湧いてきたよ」
【ヒナミ】
「礼ちゃん!」
【礼】
「お前たちの言うとおりだ。知らないうちに弱気になってた。勉強というより、気持ちで負けてたのかもしれない」
【礼】
「…………ヒナミ」
【ヒナミ】
「うん」
【礼】
「あと数か月。これからもまた勉強を教えてくれるか?」
【ヒナミ】
「もちろんだよ! 礼ちゃんの専属講師だからね! 投げるわけないさ!」
【淳之介】
「…………」
【文乃】
「……淳之介さん?」
【淳之介】
「いや、俺も来年はあんな感じなのかなって」
【文乃】
「……そうですね。淳之介さんも来年は受験生ですものね」
【淳之介】
「あぁ。奈々瀬や郁子といっしょに必死になって勉強してるイメージが浮かぶよ」
【文乃】
「そうでございますね。美岬さんも忘れないでくださいね」
【淳之介】
「そういや文乃もこの前なんかの模試を受けてなかったか? たしかヒナミたちが受けるような全国模試じゃなかったか?」
【ヒナミ】
「えっ? そうなの文乃ちゃん?」
【文乃】
「実は密かに受けておりました。自分の今の実力を確かめたく……」
【礼】
「……それで、結果は?」
【文乃】
「総合でとっぷ10入りでございます……! ふんすっ……!」
【淳之介】
「……そんなことある?」
【ヒナミ】
「トップ10って文乃ちゃんすごいな! 私と変わらないぐらいだな!」
【礼】
「……なんか惨めになってきたな」
【淳之介】
「同感です」
【ヒナミ】
「ねぇねぇ文乃ちゃん。よかったらなんだけどさ」
【文乃】
「なんでございましょう?」
【ヒナミ】
「いっしょに礼ちゃんの家庭教師やらない? 文乃ちゃんもいればより勉強が捗ると思って!」
【文乃】
「家庭教師……」
【礼】
「…………」
【礼】
「……そうだな。是非ともお願いしたい。ヒナミに文乃がいれば百人力だよ」
【文乃】
「…………」
【文乃】
「…………承知いたしました」
【ヒナミ】
「よかった! よろしくね、文乃ちゃん!」
【礼】
「本当に助かるよ。これなら」
【文乃】
「かなり厳しくいきますがよろしいでしょうか」
【礼】
「……え」
【文乃】
「わたくしはヒナミさんのように優しくはございません。A判定組の上位に入れるよう徹底的に指導させていただきます」
【礼】
「え、えっと……」
【淳之介】
「文乃はスパルタなので頑張ってくださいね」
【ヒナミ】
「…………」
【ヒナミ】
「そうだね! 私も文乃ちゃんを見習うよ! 礼ちゃん、これからは心を鬼にしてビシバシ教えていくから覚悟してね!」
【礼】
「…………」
【礼】
「…………」
【礼】
「………淳之介」
【淳之介】
「はい」
【礼】
「ロリっ子たちが怖いよぉ~!! やっぱ無理ぃ~!! 助けてくれよぉ~!!」
【淳之介】
「音を上げるの早くない?」
【ロリっ子たち】
「「ロリじゃないですけどぉ!!」」
【んほぉボタン】
『んほぉ!!』