空疎創作論破   作:あるぺす

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はじめての創作論破小説です。

▶︎当作品は、ゲームおよびアニメ“ダンガンロンパ”の
 世界観をお借りした創作論破作品です。
 本家作品の設定を元に、独自解釈を多大に加えた世界で
 物語が進行していきます。ご留意ください。


第空話(後編) 【PYRAMIDEN】

 

【挿絵表示】

 

 

 

 

 

 

 

▶︎09:05-日本-希望ヶ峰学園

 

 

 

その巨大な学園は、都会のど真ん中の一等地にそびえ立っていた。

 

“私立 希望ヶ峰学園”——

数年前、この世界を絶望と混乱に陥れた忌まわしき事件の爆心地となった学園だ。

現在は改築が進み、かつて予備学科の校舎として使用されていた建物は、以前

海上プラント施設で発生したコロシアイを経て新体制となった未来機関の拠点となっている。

 

今日ここで執り行われるのは、俺たち——学園長に“特務生”として選出され、

世界各地の復興支援活動に従事してきた10人の生徒を、

この新しい希望ヶ峰学園の一期生として迎える入学式だ。

それと……そんな俺たちの功績を讃えるためのセレモニーも行われるとかなんとか。

荷が重いというか、少し気負ってしまうが……。

 

そんなことを思いながら校門へと続く道を進んでいると、隣を歩いていた傷橋が肘で

俺の横腹を小突いてきた。

 

「何を心配しているんだい諒名。大丈夫、みんな歓迎してくれるって。

キミは完全に絶望から解放された、恩赦ももらったんだしさ、気楽に行こうぜ」

 

「……そうだな、努力するよ」

 

下手な笑顔で返してから正面に向き直ると、見覚えのある人影が校門前で立っていた。

 

「おはよう綴離、それに諒名も——ふふ、いい顔してる。

更生に成功したっていうのは本当みたいね、元気だった?」

 

俺たち特務生のまとめ役にして“超高校級の指揮官”——ナナレア・リメスその人だ。

後ろに控えているのは、彼女の護衛を務める安楽襲尊。相変わらず怖い顔だな……。

 

「傷橋のおかげだ。他のみんなは?」

 

「もう体育館に集まってるわ。こっちよ」

 

踵を返したナナレアの後に続き、俺と傷橋も体育館へと向かう。さすがに希望ヶ峰学園の

新たな始まりの場だけあって世界からの注目度も高いらしく、道中で見かけた駐車場には

世界各国の報道機関の車が停まっていた。

中国にオーストラリア、イタリア、ブラジル——すごいな。

 

 

 

 

 

 

▶︎09:16-希望ヶ峰学園-体育館

 

 

 

ナナレアの案内で体育館に入ると、そこは学園関係者や報道陣など、

多くの人でごった返していた。

出入り口などのドア付近に立っているのは——TDCの隊員か。

この会場の警備はナナレアが担当しているらしい、安心だな。

 

「……いよッ! 久しぶりだな諒名! 綴離も元気そうだな」

 

「うおっ……刺国か。あぁ、久しぶり。驚かすなよ……」

 

「為澄じゃ〜ん、おひさ〜!」

 

いきなりガバッと肩を組んできたのは、いつの間にか俺の後ろに近づいていたらしい

“超高校級の工学者”刺国為澄。知り合った時からフレンドリーな奴だったが、

なんだか前よりグイグイくるようになってるな……

俺が更生に成功したことを知ったから、とかだろうか。

 

「ちっと痩せたんじゃねーの諒名? ちゃんと食ってるか?」

 

「大丈夫だよ、心配ありがとう。腹を触るな腹を——あぁ傷橋もやめろやめろ!」

 

「——相変わらず仲良しだね、三人とも。食べる? デーツ」

 

「更生したとは聞いていたが、ここまで柔らかい表情を見せるようになるとはな。

正直言って気味が悪——なんでもない。壮健なようで何よりだ、鴉座」

 

俺と刺国と傷橋がじゃれて(?)いるところに、干したデーツをつまんでいるシーナと、

いつものことながら物々しい重装備に身を包んだイルヴィアが声を掛けてきた。

 

「まぁ……なんとかな。二人も変わりないようでよかっ——あぁデーツ。

ありがとう……あー、二人とも元気そうでよかった」

 

シーナは俺の返事を聞いているのか聞いていないのか、デーツを

2,3粒握らせてきたかと思ったらふらふらと報道陣が集まっている方へと歩いていき、

またデーツを配り始めた。妖精か?

 

「——お前も、あれぐらいマイペースになったほうがいいかもな」

 

言いながらイルヴィアが俺の肩をぽんぽんと叩き、シーナとは別の方向へ歩いていく。

そして彼女とすれ違うようにして、蓮仰がこちらにやって来た。

刺国はいつの間にか遠くに行っていた。不具合を起こしたステージ照明の

取り換えを手助けしているらしい。

 

「やァ二人とも、久しぶり。時差や寒暖差にはもう慣れたかな?」

 

「時差はそうでもないが、湿気がちょっとな」

 

「あっちはずっとカラッとしてたからね〜。てか想慈、髪型変えた?

いいじゃないかおさげ。よく似合ってる」

 

「ふふん。ありがとう」

 

傷橋の褒め言葉に気を良くし、

ゆったりと縛ったおさげ髪をつまみゆらゆらさせる蓮仰。

飄々としているように見えて、意外と乗せられやすいんだよな、こいつ。

 

「彼女さんたちとはどう? 仲良くしてるかい?」

 

「あー……ついこの前博物館に行ったよ、彼と彼女と三人でね。ほぼ貸切状態。

ほら、不完全洗脳のアレで人がほとんどいないから——少し不謹慎かな」

 

「いいんじゃないか? 楽しんでも。塞ぎ込んで何もしないよりはずっと健康的だ」

 

「……ありがとう諒名、そう思うことにするよ。じゃ」

 

「外の監視があるから」と一旦体育館を出た蓮仰を手を振って見送り、

いよいよ開会式まであと10分。俺と傷橋は指定された座席に腰を落ち着かせた——と、

俺の斜め前の座席に、見覚えのある後頭部が。

 

「あぁ……あ、狗縊……久しぶり、だな。

この前はハーブありがとう、おかげで快眠——」

 

気だるそうに振り返った傷橋が放つその蛇を思わせる鋭い視線に、

言葉が途切れてしまった。安楽襲とはまた違った怖さだ……。

 

「そ、よかったね。必要になったら連絡して。

くれぐれも直接来るような真似はしないように……あんたに言ってんだけど? 傷橋」

 

「んふふ、検討だけしておこう」

 

「チッ」

 

仲が良いのか悪いのか、いや決定的に悪いんだろうが……

なぜかテンポのいいやり取りをする二人だった。傷橋は彼女が自分のことを

嫌っていると知った上でこういう言葉選びをしているらしいのだが、

心を開かせるための技術の一つとかなのだろうか。

素人からすると、単に神経を逆撫でしているようにしか見えないのだが……。

 

と、正面に向き直ろうとしたところで、

彼女の二つ隣の席に座っていた祓戸と目が合った。軽く会釈するが、

真顔のまま無視されてしまった。そういえば祓戸は、

俺が“超高校級の捜索者”として特務生に選出される事に対して、ナナレアや学園長に

直談判するほど反対していた覚えがある。こうして更生に成功したとはいえ、

未だ信頼に足る人間とは思われていないということか。

 

「——皆様ご着席ください。間もなく開会式を開始いたします」

 

少し複雑な心境でいると、スピーカーから着席を促すアナウンスが流れた。

先ほどまでの騒々しさが収まり、いかにも式典らしい空気に包まれる。

外の監視から戻った蓮仰も席につき、俺たち特務生も開会式の始まりを待つ。

 

「——想慈、外の状況は?」

 

「少なくとも半径3km以内に不審物や不審な人影はなし。

校舎内も安全だ、大丈夫だよ」

 

「ありがとう。ご苦労様」

 

「えー、それでは只今より——」

 

蓮仰とナナレアの短いやりとりが終わったタイミングで、

いよいよ開会式が始まった。

 

希望ヶ峰学園の新たな歴史が、ここから始まる。

 

 

 

 

 

 

「……このように、彼らの尽力と献身によって世界は活力を取り戻しつつあります。

不完全洗脳の治療プログラムの完成も間近だ。各々が希望を持って、前に進もうと——」

 

開会式が終わり、本格的に式が始まってから1時間弱、入学式のプログラムも

終盤というところ。学園長は俺たちが世界各地で復興支援活動に従事している様子を

撮影した写真をスクリーンに写しつつ、その功績と現地の人々からの感謝の声、

今後の展望などについての話をしていた。皆が聴き入り、報道陣のフラッシュが焚かれる。

 

「………………」

 

少し眠くなってきたな、などと思いつつなんの気なしに隣を見ると、

蓮仰が少し怖い目つきで学園長の顔——ではなく、

彼の立っているステージの奥の方を凝視していた。

どうしたんだ?どんどん目つきが鋭くなって……。

 

「……蓮仰? どうし——」

 

俺が声を掛けようとした——その瞬間。

 

「……ッ! みんな伏せろォ!!」

 

「えっ」

 

蓮仰が立ち上がって叫ぶと同時に、耳をつんざくような爆発音。

そして、身を焼くような熱い風。

気づいた時には、先ほどまで椅子に座っていた俺の身体は、硬い床に叩きつけられていた。

 

「……あッ——」

 

痛みで声が出ず、爆発に伴い発生した濃い煙のせいで呼吸もままならない。

 

 

 

 

 

 

――5分ほど気を失っていただろうか。

ふらつく頭を押さえながら、なんとか立ち上がる。

 

「諒名……」

 

声のした方に目をやると、怪我をしたらしい右腕を庇うように押さえつ立ち尽くす傷橋と、

その隣でコートに付いた煤を払っているナナレアの姿。

周りをよく見ると、他の特務生の面々やTDCの隊員たちもなんとか無事だったようで、

俺も含め、自然とナナレアを中心に集合した。

 

突如発生した爆発に珍しく動揺しているナナレアがしばし思案し、俺たちに向けて告げる。

 

「——みんな無事ね。とにかく今は……できることをしましょう。人命救助を最優先に」

 

俺たちは彼女の言葉に小さく頷き、各々行動を開始した。

 

祓戸は当局への通報と、学園の監視カメラ映像の確認。

ナナレアと安楽襲、刺国、TDCの隊員が鉄骨やコンクリート塊を撤去しながらの救助作業。

俺と傷橋、シーナ、蓮仰は瓦礫の山と化した体育館からの避難誘導を行い、

狗縊とイルヴィアが怪我人の応急手当てを行った。

 

そして、ほどなくして到着した救助隊と消防に現場を引き継ぎ、

俺たちは爆発の影響をほとんど受けていなかった

校舎2階の空き教室に身を寄せ、身体を休めることにした。

 

 

 

 

 

 

「調子はどう? 諒名」

 

「あぁ、もう大丈夫だ。傷橋こそ、腕は平気なのか?」

 

「あーうん。さっき即身が手当てしてくれてね。血も止まったし、全然大丈夫!」

 

「なんだかんだで優しいよな、狗縊」

 

「ね〜」

 

空き教室の隅の方で俺と傷橋が話していると、先ほど「少し出てくる」

と言い席を外していたナナレアと安楽襲が、

捜査当局や救助隊から借りたという資料を手にして戻ってきた。

 

「被害の詳細が分かったわ。ちょっと集まってくれる?」

 

呼びかけられ、教室の中央に集合する一同。

ナナレアが資料を机の上に広げ、説明を始める。

 

「まず使用された爆弾は、時限式のプラスチック爆弾。

手製のもので、入手ルートの特定は難しそう」

 

「——タイマーのランプに、ボクがもっと早く気づいていれば……」

 

「自己卑下はやめなさい、想慈。貴方が声をあげたから、

私たちや会場にいた人々はすぐに動くことができたし、

幸運なことに、死者も出なかったんだから」

 

「そうだね。ありがとう……」

 

「それで、怪我人の数は?」

 

イルヴィアに促され、今度は安楽襲が資料を手にする。

 

「軽傷者が84人、重傷者は33人。いずれも命に別状はない——が、

学園長は至近距離で爆風を受けたようで、九死に一生を得たが意識不明の重体だ。

つい先ほど、ICUに搬送された」

 

「さすがは元“超高校級の幸運”……でも、大丈夫なんです?

ここに書いてある怪我の状態からして、だいぶ……」

 

「心配ないわ蒐子。学園長の担当医は77期生にいた、元“超高校級の保健委員”よ。

あの先輩に任せておけば、まず助かるでしょう」

 

「そりゃ安心だ——って、77期の先輩方って今、贖罪がどうのって船旅の途中なんじゃ?」

 

「これも立派な贖罪よ——さて、現状分かっている事はこれぐらいね。

後のことは捜査当局に任せて、今日の所は解散しましょう。みんな……疲れてるでしょうし」

 

説明を終え、疲弊した表情で「ふぅ……」とため息をつくナナレア。

そんな彼女にシーナが無言でデーツを5,6粒握らせ、またふらりとどこかに去っていく。

方角的には救助隊の人々が待機している場所に向かって行ったように見える。

やっぱり妖精だな、あいつ。

 

「……疲れたな」

 

俺と傷橋は他の皆に挨拶を済ませると、

ナナレアが手配したという学園からほど近い宿泊施設に向かった。

部屋に入りシャワーを済ませ、傷橋のアロマを焚いて、ベッドに倒れ込む。

そして俺は眠気を感じる間もなく、深い眠りへと落ちていった。

 

 

 

 

 

 

▶︎00:13-???-???-???

 

 

 

「…………」

 

極北の地。見渡す限りの白い大地を、マグライトを片手に進む男が一人。

先日、スイスのジュネーヴで不完全洗脳治療プログラムの開発責任者を殺害した、

コンラート・ヘルターである。古い地図を照らしつつ、目的地へと歩みを進める。

 

「……ここだな」

 

およそ3時間の道のりを経て、彼は目的地へと到着した。岩肌に直接設えられた、

重厚な鉄の扉。薄く張った氷を手で擦って落とすと、キリル文字で書かれた文言が現れた。

その下には、数字を入力するためのキーボードを備えた装置。

コンラートが地図の裏側を見ながら8桁の数字を入力すると、

扉が唸るような音を立てて開いていく。

 

「よし——」

 

コンラートは周囲を警戒しつつ奥へと入り、扉を閉めた。

 

 

 

 

 

 

▶︎11:20-日本-希望ヶ峰学園敷地内-未来機関本部新庁舎

 

 

 

「先日発生した爆破テロの続報です。

容疑者と見られる男が現場から立ち去る映像が公開されました。名前は——」

 

「容疑者の名前は、コンラート・ヘルター。未来機関の現役職員よ」

 

爆破テロから一夜明け、俺たち特務生はかつて予備学科の校舎だった建物を改装して

建てられた未来機関の新庁舎に集合していた。

壁のモニターではどのチャンネルでも件のテロについての速報が流れている。

容疑者について報じるキャスターの声に被せるように、

ナナレアが捜査当局から預かったという写真と資料をテーブルに置く。

 

「蒐子が捜査に参加してくれていたおかげで、

早い段階で容疑者を特定することができてよかったわ。

ありがとうね蒐子。貴女も疲れてたでしょうに……」

 

「お安い御用ですとも。んで、奴さんの情報ですが……

“人類史上最大最悪の絶望的事件”の影響で、難民として塔和シティに

身を寄せていたみたいですな。そこで未来機関の活動を

積極的に支援していたようです。で、事件が沈静化して、

未来機関が新体制になったタイミングで、正式にスカウトを受けて職員になった、と」

 

手短に説明を済ませた祓戸に、イルヴィアが質問を投げかける。

 

「——では、このコンラートという男は、

絶望の残党ではないのだよな。なぜこんなテロを?」

 

「その辺はさっぱりです。経歴からしても、学園長や未来機関を恨んでいるようには

見えませんし——つか、んなことよりもっとデカい問題がですね……」

 

言いながら、祓戸がナナレアに目配せをする。

 

「えぇ。正直、“人類史上最大最悪の絶望的事件”の再来——

と言っても差し支えないレベルの問題。

これはメディアにも共有していない情報だから、口外厳禁よ」

 

“人類史上最大最悪の絶望的事件”の再来。その言葉に俺をはじめその場にいた全員が

息を呑み、空気が一気に張り詰める。

 

「“絶望のビデオ”と“自殺ビデオ”が、奪われたわ」

 

「——————!?」

 

絶望のビデオとは、“人類史上最大最悪の絶望的事件”の発端となった、

77期生を絶望に堕とす際に使用されたという映像だ。そして自殺ビデオは、

未来機関が体制の一新を余儀なくされた事件——機関の所有する海上プラント施設で

行われたコロシアイの際に用いられた、視聴した人間を自殺に追い込む映像だ。

でも、なぜ……。

 

「盗まれたァ!? つか、なんでンなモンが学園に置いてあんだよ!

そんな危険物、回収した時すぐにブチ壊しときゃ——」

 

刺国が身を乗り出し、ナナレアに詰め寄る。近づき過ぎだ。

安楽襲がすごい顔してるぞ……。

 

「その辺り、未来機関や学園は慎重だったみたいでね。2本のビデオを解析して、

不完全洗脳を治療するプログラムに応用できないかと考えていたみたいなの。

でも結果は不発……それでデータを抹消することに決まったらしいんだけど、

それがつい先々日の夜で、入学式を終えた後に取り掛かる予定だったそうよ」

 

「は。タイミング最悪……」

 

狗縊がシーナの膝の上でぽつりと呟く。ん?膝の上?

 

「しかも」と、ナナレアが続ける。

 

「もっと最悪なのは、昨日のテロのことが公になってから、

世界各地で沈静化していた絶望の残党の動きが、再び活発化し始めてるってこと」

 

曰く、“人類史上最大最悪の絶望的事件”が沈静化し、希望ヶ峰学園の再興以降

“希望の象徴”や“英雄”として在り続けていた学園長が死にかけている、

という事実が絶望の残党たちを焚き付け、各地で大小様々な

暴動が発生し始めているとのことだった。

 

「昨日の夜からサイレンの音がすごかったのはそれかぁ……

おかげで全然眠れなかったよ……」

 

目を擦りながら小さくあくびをする傷橋。ひどく疲れていたからだろうか、

俺は全然気づかなかったな……。

 

「絶望の残党、か……そっちの対処も大事だけど、目下最大の問題は——」

 

組んでいた腕を解いて資料を手繰り寄せる蓮仰に、イルヴィアが続ける。

 

「この男——コンラートの追跡と、2本のビデオの奪取だな。

ナナレア、すぐに捜査当局に連絡を……」

 

「了解……と、言いたい所だけど、それは難しそうね。絶望の残党の動きは、

昨日の夜から加速度的に激しさとその範囲を拡大している。各国の警察や軍も

フル稼働で対処中だけど、ただでさえ不完全洗脳の影響で人手が足りない上に、

残党の連中は勢いを増すばかりだから、割ける人員はほとんど残ってないわ。

もちろん状況が落ち着き次第、こっちにサポートを

要請することはできるでしょうけど……」

 

暫しの沈黙。

爆破テロに、2本のビデオが奪われたという事実。

そして、再び活動を始めた絶望の残党。

立て続けに提示される絶望的な現実に、場の空気が沈んでゆく。

 

「ん〜……じゃあ」

 

——と、沈黙を破ったのは、刺国の声だった。

 

「オレたちでやるしかないんじゃねーの?

その……コンラートとかいうヤツの追跡と、ビデオを取り戻すっての」

 

皆が驚いた顔で刺国を見る。

「オレたちで」とは、「ここにいる10人で」という意味だろうが……。

 

刺国の言葉を受けたナナレアが、深呼吸した後に頷き、口を開く。

 

「そうね。私たちで……私たちなら、可能だと思うわ。みんなはどう?」

 

安楽襲はもちろん、イルヴィアやシーナ、祓戸、蓮仰の

いわゆる“戦える”組は賛成の意を表した。

 

で、狗縊は……。

 

「……行くよ。また世界ブッ壊されんのは、さすがに嫌だし」

 

どうやら参加するようだ。声色から、相当頭にキていることが伺える。

 

「俺も行くよ。で……どうする? 傷橋。危険そうだし、お前は……」

 

「……いや、行くよ。言っただろ? 諒名は私が守る。忘れちゃったかな?」

 

「初めて会った日だろ? 覚えてるよ、頼りにしてる。

お前は精神的に、俺は物理的に互いを守る」

 

「そういうこと。さて、

これで全員参加でカチコミを仕掛けに行くことになったわけだが……場所は?」

 

傷橋の問いに、ナナレアが目配せで答える。目線の先には、

いつの間にか席を外して部屋の奥で資料片手にPCを操作している祓戸の姿が。

30秒ほど置いて、用事を終えたらしい祓戸がキャスター付きのオフィスチェアに

座ったままこちらにスイーっと移動してきた。

 

「はいこちら、コンラートの現在地の座標でございまーす」

 

PCの画面を皆に見えるように開き、得意げな笑顔を見せる。この短時間で、

いや。昨日から続けていたという捜査もあってのことなんだろうが……すごいな。

 

「ここは?」

 

「——あぁ、ピラミデンか。隠れるには最適かもな」

 

PCの画面を凝視するナナレアの後ろから、イルヴィアが割り込む。

ピラミデン……初めて聞く地名だ。

 

「ノルウェー領のスヴァールバル諸島の一つ、スピッツベルゲン島にある廃墟街だ。

元々は旧ソ連の炭鉱街として栄えていたが、98年に閉鎖。以降はずっと無人のままだ。

それほど険しくない地形だが、海風に体温を奪われる。

服装には気をつけろ。しっかり着込め」

 

「寒そ……シーナ、私が動けなくなったら運んでね」

 

「任せな〜」

 

「——それじゃあ各自、必要なものを用意しましょう。イルヴィアの言うように、

寒さ対策も忘れずにね。尊、ヘリの使用許可を取ってきてくれる?」

 

「直ちに」

 

「それじゃあ準備ができ次第、屋上に集合よ。みんな……よろしくね」

 

 

 

 

 

 

約30分後、準備を終えた俺たちは屋上に集合し、未来機関の所有する

大型のヘリに乗り込んだ。皆思い思いの物資を持ち込み、緊張、興奮、不安……

それぞれの面持ちで出発に備えている。

俺の携行品は、マグライトと方位磁石、スマートフォン。

そして捜索活動の時の道具一式と、アーミーナイフだ。

 

最後に乗り込んだナナレアがドアを閉め、ヘリにピラミデンの座標を入力。

自動操縦に切り替え、プロペラが駆動を始める。

 

コンラート・ヘルター……彼はなぜ爆破テロを起こしたのか、そして、

2本のビデオを使って何をするつもりなのか。

 

追跡と奪取、そして解明のため、俺たちは一路、ピラミデンへと向かった。

 

 

 

 

 

 

▶︎08:23-ノルウェー-スヴァールバル諸島-スピッツベルゲン島-ピラミデン

 

20時間以上ものフライトを終え、俺たちはようやくピラミデンへと降り立った。

地面は雪と氷に覆われ、所々に見える岩肌も鉄のように冷たく凍りついている。

吐く息は白く、イルヴィアの言っていた通り吹き付ける海風が体温を容赦なく

奪ってくる。あまり長居はしないほうが良さそうだな。

 

「みんなお疲れ様。じゃあ早速だけど——為澄、よろしく」

 

「おう! んじゃ、始めるぜ……」

 

ナナレアの声を受けた刺国が、ナノメタル・デバイスを起動する。

粒子は滑らかに姿を変え、大型のドローンを構築した。

これを用いてピラミデンに点在する建物をスキャンし、コンラートの居場所を

突き止めようという算段らしい。地道に探す手間が省けてよかったと思う反面、

“超高校級の捜索者”としては、自分の手で探したかったという思いもあった。

 

 

 

 

 

 

「——お、ここだな」

 

捜索開始から約1時間半。

刺国のドローンが、岩肌にガッチリ設置された無骨な鉄製の扉の前で停止した。

この扉の向こうに、生体反応を探知したらしい。

ドローンが粒子に戻り、刺国の手に収まる。それを追い越すようにして

イルヴィアが扉に近づき、おもむろに取っ手に手をかけた。

 

「……開いてるな」

 

鈍い音を響かせながら、扉を開け放つ。その向こうは薄暗く、

通路が続いていることしか分からない。

 

「警戒して進むぞ……私が先頭を行く。ナナレアと安楽襲は殿を頼む」

 

「えぇ」

 

「分かった」

 

イルヴィアがライフルケースに収納していたショットガン“ベネリ・スーパーノヴァ”を

取り出し、滑らかな手つきで弾を込める。

そしてそれを構えると、慎重に通路を進んでいく。

 

 

 

 

 

 

50メートルほど進んだところで、開けた場所に出た。照明は灯っている。

コンクリ打ちっぱなしの、無機質な空間。ホテルで言うところの

ロビーのようなものだろうか。正方形の空間の中央付近には、

大きな鉄製のテーブルとパイプ椅子が数脚、

そしてテーブルの上には大型のブラウン管テレビ。そして——

 

「これは……」

 

イルヴィアが驚嘆の声をあげる。ブラウン管テレビの脇には、

俺たちが取り返しにきた、絶望のビデオと自殺ビデオ、それぞれの映像が入った

2本のUSBメモリが、バラバラに破壊された状態で放置されていた。

 

イルヴィアがそれを手に取ろうとした——その時。

 

「安心してくれ。見ての通り、そのビデオにもう世界を絶望に堕とすだけの力はない。

私にとっては価値のない代物だ……ただ感謝はしている。

君たちをここまでおびき寄せくれた」

 

テレビのスピーカーから、聞き覚えのない成人男性の声が発せられた。

驚いた俺たちはテレビから距離を置き、その画面を凝視する。

そしてほどなくして画面の電源がつき、一人の男が映し出された。

間違いない、この男こそが——

 

「コンラート・ヘルターね。学園で爆破テロを起こし、

このビデオを奪った理由を話しなさい。

“おびき寄せてくれた”って言ってたけど、どう言う意味?」

 

ナナレアが前に出てきて、画面の中のコンラートに質問を投げかける。

 

「そのままの意味だよ、指揮官。あの爆破も、そのビデオも……

君たちをここに呼ぶためのイベントでしかない」

 

「イベントだぁ!? 大勢に怪我させといて——」

 

「抑えて、為澄。それで——私たちをここに呼んで、どうするつもりなの?

身代金でも要求する?」

 

吠える刺国を手で制し、ナナレアが質問を重ねる。するとコンラートは、

不気味な笑みを浮かべ、言い放った。

 

「君たちには、ここでコロシアイをしてもらう」

 

 

 

 

 

 

コロシアイ。

その言葉が意味するところはつまり——

 

「なるほど。“人類史上最大最悪の絶望的事件”当時に学園長たちが

参加させられたっていうアレの模倣ね。イタリアでも似たような事件はあったけど、

ここまで大掛かりなものは初めてかもね」

 

「それに——」と、ナナレアが強気な口調で続ける。

 

「——私たちがそんなことをするとでも?

私たちの目的は、貴方を発見、拘束すること。悪いけど、

模倣犯のコロシアイなんかに付き合っている暇はないの」

 

ナナレアがぴしゃりと断言する。そうとも、俺たちはコロシアイなどしない。

している暇などないのだ。今こうしている間にも、世界各地で絶望の残党たちが

勢力を拡大し続けているのだから。

早く、一分一秒でも早くこの男を拘束して戻らなければ。

 

「——いや、コロシアイは必ず起きるさ」

 

コンラートが言い残して画面から姿を消すと、すぐに映像が切り替わった。

 

 

 

 

 

 

画面に現れたのは、夜の森を映し出している監視カメラ映像だ。

ややあって、画角の外から戦闘服とタクティカルベストを着込んだ男が現れた。銃を持っている。

 

「——ッ、これは……私の父だ。この映像はなんだ?」

 

驚嘆するイルヴィアの声に答える者はなく、映像の再生は続く。

男が画角外にいる誰かと話している。

幾度かの問答の後、イルヴィアの父が突然銃を構えた。

すると相手の男も画角内に入ってきて、構えた銃を蹴りで払い落とす。

 

銃を蹴り払った人物は勢いそのままに懐に入り込むと、

手にしたナイフをその首に突き立てた。イルヴィアが思わず目を伏せる。

 

バッと鮮血が飛び散り——彼女の父はほどなくして息絶えた。

 

男がナイフを抜き、周囲を警戒しつつ立ち去ろうとする。

その時、監視カメラがその人物の顔を捉えていた。

 

“それ”を視認したイルヴィアは画面を見据えながら、ゆっくりと口を開く。

 

「——私がFimbulへの入隊を志願したのは、

父を殺した“絶望”の連中に復讐をするためだった。

父の死因は失血死。遺体の首には、大きな刺し傷があったそうだ」

 

言い終わると同時に、彼女は俺の方に向き直る。

 

 

「……鴉座、お前なのか?」

 

 

イルヴィアの消え入るような声に、俺は静かに答えた。

 

 

「——そうだ」

 

 

 

 

 

 

 

恩赦を得たからといって、過去の罪が消えてなくなるわけではない。記憶も同様だ。

傷橋の治療により、絶望に堕ちていた頃の自分と訣別することに成功したところで――

 

この“記憶”が消えることは、決してない。忘れることなどできるはずがない。

“あの頃”の俺が傷付けた人々のことは、一人残らず覚えている。

 

その罪と記憶を背負い、俺は生きていく。生きて、償い続けなければならない。しかし——

 

「そうか……」

 

現実は、そこまで都合の良いものではない。

 

呟きながらイルヴィアがショットガンを構え、俺の顔に銃口を向ける。

その瞳には涙と共に、明確な殺意が宿っていた。

皆が息を呑み、俺も覚悟を決めてイルヴィアの目を見据える。

 

 

「待って」

 

 

——と、唐突に傷橋が声をあげた。

イルヴィアは依然銃を構えたまま、視線を傷橋の方に向ける。

 

何かを察し、彼女もまた口を開く。

 

「傷橋……知っていたのか?」

 

「——もっと早く話しておくべきだった、と……後悔しているよ。

イルヴィア。銃を、下ろしてくれないか」

 

イルヴィアは傷橋の説得に応じることなく、引き金に指を掛ける。

 

 

「父の仇だ」

 

 

「イルヴィア——」

 

 

俺が彼女の名前を口にする間もなく……けたたましい銃声と共に、弾丸が放たれた。

 

 

 

 

 

 

「——驚いたな」

 

銃声の次に俺の耳に入ってきたのは、ノイズ混じりのコンラートの声だった。

結論から言うと、俺は撃たれなかった。イルヴィアは切磋に銃口の向きを変え、

ブラウン管テレビを撃ち抜いていた。ただ、スピーカーは無事だったようだ。

 

「——ッ、はぁ……私の動揺を誘い、鴉座を撃ち殺させ、

コロシアイを強制的に始めさせるつもりだったんだろうが……読みが外れたな」

 

涙を拭き、毅然とした態度でコンラートに食ってかかるイルヴィアが、さらに続ける。

 

「私の復讐心を利用しようなどという甘い考えは捨てることだな。こいつを殺したところで……」

 

と、再び俺の方に向き直る。

 

「……父は帰ってこない。虚しさが残るだけだ」

 

「は、優しいんだな。隊長……だが、心得ておくがいい。

いずれ必ず、コロシアイは起こる。かつてのものとは勝手が違うが……

まぁ、楽しんでくれ——あぁそうそう。ここでのコロシアイについての決まり事や

注意点を記したルールブックがこのテーブルの引き出しに入っている。

よく確認しておいてくれ。では私は失礼するよ」

 

「コロシアイは起こる」——コンラートが確信に満ちた声でそう言い残し、

スピーカーの電源も落ちた。空気は依然として張り詰めたまま、しばしの静寂が訪れる。

 

「イルヴィア……俺は……」

 

「鴉座、話したいことは山ほどあるだろうが、今はもっと優先すべきことがある」

 

「話は後で聞く——」そう言いながらイルヴィアはショットガンを

ライフルケースに格納し、テーブルの引き出しを探り、先ほどのコンラートの

話の中にあった“ルールブック”を見つけ出した。

 

A5サイズの、ハードカバーの手帳のような感じだ。

イルヴィアから皆の手に行き渡り、思い思いにページをめくる。

 

1ページ目には、このように記されていた。

 

【留意事項】

 

01:監視カメラ及びスピーカーの破壊行為を禁ずる。

02:他の参加者を殺害した者には施設からの脱出の権利が与えられるが、

自身が加害者だと他の参加者に知られてはならない。

03:施設内で殺人が起きた場合、その一定時間後に生存者の全員参加が

義務付けられる学級裁判を行う。

04:学級裁判で正しい加害者を指摘した場合、加害者だけが処刑される。

05:学級裁判で正しい加害者を指摘できなかった場合、

加害者だけが脱出となり、残りの生存者は全員処刑される。

06:施錠されている扉の破壊、及びピッキング行為を禁ずる。

07:午後8時から午前5時までを“夜時間”とし、夜時間中は

施設内の個室及び共有スペース以外の照明を消灯する。

08:生存者が残り2名になった時点で、コロシアイを終了する。

 

「概ね、学園長たちが参加していたコロシアイと同じだね。

まァ、模倣犯なら当然と言えば当然か」

 

一通り読み終わったらしい蓮仰がルールブックをパタリと閉じる。

 

「……ま、関係ねーけどな! オレたちはコロシアイなんてしねーし、

第一、外に連絡して助けを呼べば——」

 

「それは無理。さっき試したけど、そもそも電波ないよ、ここ」

 

「あぁん」

 

狗縊から提示された無慈悲な現実に、刺国が情けない声で鳴きながら崩れ落ちる。

俺も自分のスマートフォンで試してみたが、狗縊の言う通り電波が

届いていないようで、電話はもちろん、ブラウザの閲覧もできそうにない。

 

「そんなに落ち込むことないでしょ、別に。

ようはさ、開ければいいんでしょ? 扉」

 

言いながら、腕のストレッチをしながら先ほど俺たちが入ってきた通路を進み、

あの鉄扉の方へと向かっていくシーナ。俺たちも後に続く。

 

言われてみればそうだ。彼女は“超高校級の義賊”。

鍵を開けるということに関して言えば、これ以上の適任はいない。

彼女に任せれば、この程度の扉はすぐに——

 

 

 

 

 

 

「だめかぁ……残念無念。ごめんね、みんな」

 

30分ほど格闘したものの、シーナが普段の盗みの際に使う多種多様な

道具や刺国のナノメタル・デバイスをもってしても、解錠はおろか、

とっかかりさえも見つけられなかった。

 

施設自体が相当古い物のようで、シンプル過ぎる造り故に隙がないのだろう、

というのがシーナと刺国の結論だった。

 

来た道を再び引き返し、テーブルを囲む形でパイプ椅子に腰掛ける。

 

「外部との連絡も不可能、出入り口の解錠も無理——か。

となると。次に私たちがすべきは……」

 

「——探索、しかないんじゃないか」

 

驚くべきことに、それは俺の口から発せられた言葉だった。

驚いたのはその内容ではなく、この状況で自発的に言葉を発した自分に対して、だ。

傷橋や皆の前で、自身が人を、それも特務生の仲間であるイルヴィアの父親を

殺害する映像を見せられたとあっては、肩身が狭くなるどころではない。

皆からの信用が地に落ちているのは肌感覚でわかる。

そんな俺の提案など、通るはずもなく——

 

「……そうね、探索をしましょう。徹底的に、隅から隅までね」

 

「ナナレア……」

 

「自分の意見が通るはずないと思った? まさか。

他のみんながどう思っているかは分からないけれど、少なくとも私は、

貴方を貴重な戦力の一人として頼りにしているのよ? 

“超高校級の捜索者”、鴉座諒名として、ね。今この場において大事なのは、

信頼と協力よ。思うところがあるのは痛いほど分かるけど、今は目の前の課題を、

手の届く範囲の事から一つずつクリアしていきましょう」

 

ナナレアの言葉に、皆が頷く。

イルヴィアは静かに俺の目を見るのみで、祓戸は微動だにしていないが……。

本心ではないのかもしれないし、一時的なものかもしれないが、

かつて道を踏み外した俺を改めてこうして受け入れてくれることに対しては感謝しかない。

 

そうだ、目の前の課題を、手の届く範囲の事からやっていこう。

 

全員で力を合わせて、

この施設から脱出するための手掛かりをなんとしても見つけるんだ。

 

「ありがとう。ベストを尽くすよ」

 

 

 

 

 

 

▶︎10:11-スイス-ジュネーヴ-WHO本部

 

 

 

WHO本部庁舎の一角にある、不完全洗脳治療プログラム開発研究室。

ここでは、不完全洗脳の原因となった“希望のビデオ”を制作、

放映した張本人である元“超高校級のアニメーター”の青年と、

各国から集まった優秀な科学者たちが日夜、不完全洗脳に陥った人々を

救うための治療プログラムを開発すべく研究を続けている。

 

「……ん」

 

研究室の奥でPCを用い文書を作成していた研究員の元に、

同研究室の責任者のドクターからメールが届いた。

 

件名欄には短く「完成した」の文字。

 

添付されているファイルを開くと、治療プログラムのアルゴリズムを

構築するためのコードや設計書が展開された。

 

この設計書通りに設計すれば、治療プログラムが完成するという事らしい。

長きにわたる研究員たちの成果を、ドクターが余す事なく

活かして製作した事が見てとれる、一分の隙もないアルゴリズムだ。

 

メールを受け取った研究員は、すぐに他の仲間たちと共に、プログラムの製作に取り掛かった。

 

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