空疎創作論破   作:あるぺす

9 / 12
はじめての創作論破小説です。

▶︎当作品は、ゲームおよびアニメ“ダンガンロンパ”の
 世界観をお借りした創作論破作品です。
 本家作品の設定を元に、独自解釈を多大に加えた世界で
 物語が進行していきます。ご留意ください。


第四話 【結集戦】

 

 

 

 

【挿絵表示】

 

 

 

 

 

 

 

▶︎PM 15:44-ノルウェー-スヴァールバル諸島-スピッツベルゲン島-ピラミデン

 

 

 

「……これで全員だ」

 

 

 

傷橋綴離。

 

祓戸蒐子。

 

狗縊即身。

 

シーナ・キャラマウィ。

 

蓮仰想慈。

 

刺国為澄。

 

安楽襲尊。

 

ナナレア・リメス。

 

 

 

「ん、じゃあこっちのドア閉めるぞ」

 

 

 

ジラルド・コンテスティ。

 

ラニエロ・ストルキオ。

 

 

 

「座標の入力……完了」

 

 

 

コンラート・ヘルター。

 

罰丸封鎖。

 

そして——九道集子。

 

 

 

「よし。自動操縦、開始」

 

 

 

それぞれ応急処置を終えたイルヴィアとカラスザは

九道と罰丸が使用した隠し通路を用い、このピラミデンの地——

トリグラフ基地で命を落とした全ての人間の遺体を

ジラルドとラニエロが乗っていたヘリに積み込み、ひとまずの目的地として

ノルウェーのアーケシュフース県、バールムにあるFimbul本部の座標をセット。

 

自動操縦のコマンドを入力すると、自身らはピラミデンを訪れる際に使用した

未来機関のヘリへと乗り込んだ。同様にFimbul本部の座標をセットし、自動操縦を開始。

程なくして、2機のヘリが静かに駆動を開始する。

 

 

 

 

 

 

「……ふぅ」

 

満身創痍のイルヴィアが、使い物にならなくなった右腕を支えながら座席にもたれ、

小さくなっていくトリグラフ基地に視線を落とす。

 

この短期間に発生した凄惨な出来事の数々が脳裏を駆け巡るが、

彼女の思考は既に次の課題へと向いていた。

 

九道によって実行されたと思われる、ウイルスの拡散。

目下最大の課題は、なんとしてでもこれを阻止することだ。

 

睡魔を振り払い、隣の座席のカラスザを振り返る。

先刻九道に刃を向けたことから察するに、少なくとも彼は、自身の敵ではないだろう——

 

そんな推測のもと、イルヴィアはカラスザと改めて話をしようと声を掛けた。

 

「なぁ、お前は——」

 

しかし。

 

「ん……あぁ、悪、ぃ……」

 

カラスザは彼女の呼び掛けに応える間も無く、沈むように意識を失ってしまった。

 

 

 

 

 

「—————————」

 

深層意識の底にある、あの懐かしの景色の中……再び、“彼ら”が対面する。

 

部屋に入ったカラスザの目に入ったのは、

窓の向こうの夜闇に浮かぶ月を眺める鴉座の姿だった。

 

『……終わったのか?』

 

窓に反射した彼と目を合わせ、カラスザが答える。

 

「あぁ。“終わった”よ。

奴は死んだが、目的はしっかり果たしやがった。不完全な形ではあるけどな」

 

その言葉を聞き届け、鴉座が振り返る。

 

『お前は——最初から、九道の計画に加担する気なんてなかったんだな?』

 

カラスザは一瞬目を丸くするが、すぐに平静を装った。

 

「んー……厳密には違うが、まぁその認識でいいよ。それより今は——」

 

『あぁ。ここから、どうするか……』

 

カラスザはソファに背中から倒れ込むと、あえて冗談めかして言った。

 

「このまま放っておけば、ウイルスは全世界に拡散。

ゆっくり時間をかけて、人間は絶滅していくだろうな。

そうでなくても、遅かれ早かれ戦争に突入だ。行き着く先は——」

 

『言うな』

 

鴉座の想像以上に強い語気に、思わず押し黙る。然る後、彼の考えを察して口を開いた。

 

「へぇ。“まだ間に合う”ってか?」

 

『あぁ。計画の発動は許してしまったが、

この状況が奴にとって“不完全なもの”であるのなら、付け入る隙はあるはずだ』

 

鴉座の決意に満ちた瞳を見て、カラスザもまた歯を見せて微笑んだ。

 

「——いよいよ正念場だな。

そういうことなら、あとは任せるぜ。オレは疲れたから寝る」

 

彼がそう言って瞳を閉じると同時に、

窓の外の景色から夜の帳が取り払われ、眩い陽光が2人を照らす。

 

次第に部屋が一面の白に包まれ、やがて——

 

 

 

 

 

 

「……ッ! あぁ——」

 

目を覚ました鴉座が自身の存在を確かめるようにその顔や腕に触れ、

大きく息を吐いた。それに気付いたイルヴィアが、冷静に問う。

 

「ん、起きたか……今はどっちの鴉座だ?」

 

「俺だ。今の……あぁ、どう説明すれば……」

 

こめかみを押さえ眉を顰める鴉座。イルヴィアは彼の肩に手を置き、落ち着くよう諭す。

 

「分かった、大丈夫だ。どういう原理かは知らないが、今はいい」

 

彼……“彼ら”の人格形成については、今この状況において火急の案件ではない。

 

「悪い……」

 

「謝るな。とにかく今優先すべきは、ウイルスによる被害を最小限に抑えることと、

コンラートが仕掛けたプログラムの無害化。

それと……信じがたいが、戦争の勃発を未然に防ぐことだ」

 

イルヴィアの言葉を聞き、鴉座が普段の冷静さを取り戻す。

 

「そうだな……Fimbulと合流したら、すぐに」

 

「あぁ」

 

イルヴィアは短く答えると、ヘリに備え付けられていた無線機に手を伸ばし、

Fimbulの本部へと通信を繋いだ。

 

「……私だ。あぁ、落ち着いて聞いてくれ——」

 

彼女はひとつずつ、努めて冷静に……ピラミデンで発生した一連の出来事、

及び九道が企てていた計画についての情報を無線機の向こうの隊員に共有した。

加えて、回収した九道のスマートフォンに残っていたメッセージや連絡先をもとに、

ウイルスの保管拠点や拡散手段の特定を急がせる。

 

「そうだ。それと——」

 

一瞬口を閉じ、鴉座に視線を向けた。

 

「……?」

 

「……特定に関しては、MI6にも協力要請を。あぁ……そうだな。頼んだぞ」

 

イルヴィアが通信を終え、機内が沈黙に包まれる。

 

「………………」

 

プロペラの駆動音を響かせながら、2機のヘリがノルウェー海上空を進んで行く。

 

彼らが目指すFimbul本部では、

イルヴィアの指示を受けた隊員たちが慌ただしく行動を開始していた。

 

 

 

 

 

 

▶︎PM 17:53-ノルウェー-アーケシュフース県-バールム-Fimbul本部

 

 

 

離陸から約2時間後。

Fimbul本部のヘリポートに到着した鴉座とイルヴィアを、

先程彼女と無線でやり取りをした隊員が駆け足で迎える。

 

「久しぶりだな」

 

「よくお戻りで。それから……お悔やみを」

 

そう言って顔に影を落とす隊員の肩を、イルヴィアが軽く叩く。

 

「——皆の遺体を頼む。丁重にな」

 

平静を装ってはいるものの、彼女の顔にも薄い影が差していた。

 

「はい——あぁ、君が……鴉座諒名だね」

 

「……初めまして」

 

先を急ぐイルヴィアを目で追いながら、隊員が鴉座と握手を交わす。

 

「言いたいことは色々あるが、今は後回しだ。どうぞこっちへ」

 

3人は足早にヘリポートから本部の建物へと入り、

今現在動ける隊員たちでごった返している作戦室へと向かった。

 

 

 

 

 

 

案内を終えた隊員がヘリポートに戻るのと入れ替わるように、

作戦室の奥から歩いてきた別の隊員が2人と足並みを揃える。

大きなデスクの前に立つと、挨拶や前置きもそこそこに、

すぐに本題へと入った。2人も調子を合わせ、集中して聞く体制になる。

 

「ウイルスの保管施設は全世界に5箇所。

MI6の協力もあり、すぐに特定できました。こちらです」

 

隊員がデスクに広げた資料に目を通し、イルヴィアがそのうちの一枚を手に取る。

 

「クリーヴランド、メキシコシティ、東京、ダマスカス、オスロ……かなりバラついてるな」

 

「はい。ただ……」

 

資料を提供した隊員が、ばつの悪そうな顔をする。

 

「どうか、しましたか……?」

 

心配げに問う鴉座と言葉の続きを待つイルヴィアを交互に見やり、隊員が重い口を開く。

 

「……この中で最も大規模な施設は、

メキシコシティの保管施設なのですが……

そこで先ほど、大きな爆発が発生したようで、その——」

 

「ウイルスが?」

 

鴉座の声色が緊張感を帯びる。

 

「恐らく。現在未来機関や、近郊に逗留していた元・77期生数名、

現地の警察や医療機関が対処にあたっていますが……

狭い範囲とはいえ、パンデミックは避けられないかと」

 

「なんてことだ……他の施設は?」

 

イルヴィアが資料をデスクに戻して腕を組む。

彼女の声からも、事態がより一層深刻であることが窺える。

 

「現状動きはありません。メキシコ以外の施設は、

別の方法でウイルスを拡散させるつもりのようで。

それと……オスロの施設は幸運なことに、

ここからさほど距離がありませんでしたので、既に部隊のひとつを向かわせています」

 

「早いな、流石だ。では……メキシコ以外の施設の拡散方法について、詳しく」

 

促された隊員が、ズレた眼鏡を直しつつ腰から提げていた

タブレット端末を起動し、イルヴィアに手渡す。

 

「えぇと……こちらを。この動いているアイコンが、

ウイルスを積んだトラックや貨物船。貨物列車に……ジェット機。

どうやら、これらが指定の地点や空域に到着し次第爆破し、

ウイルスを辺りに撒き散らす算段のようです」

 

「指定地点到着までの猶予は?」

 

「最短で4時間ほど。長いものでも、6時間あるかないかです」

 

隊員の額を汗が伝う。

画面上の世界地図を見つめ思案するイルヴィアに、鴉座が声を掛けた。

 

「どうする?」

 

彼女は画面から目を離し、暫し作戦室を見回す。そして隊員に向き直り、簡潔に指示を出した。

 

「——米軍と、日本の警視庁に連絡を。

動かせる人員が少ないのは承知の上だ。全ての情報を共有して、協力を仰げ」

 

得心いった顔で頷いた眼鏡隊員。

するとその横から、やり取りを聞いていたらしい他の若い隊員が話に入ってきた。

 

「そういうことなら、イタリアのTDCにも応援を依頼しては? 彼らであれば——」

 

“TDC”という組織の名を聞き、鴉座とイルヴィアの表情が曇る。

 

「……そういえば、伝えていなかったな」

 

「何を、です?」

 

困惑する隊員に、イルヴィアが告げる。

 

 

 

「TDCは……壊滅した。まさかと思うだろうがな。九道たちの仕業だ」

 

 

 

一瞬の沈黙の後、隊員の檄が飛ぶ。

 

「そんな……おい、TDC本部の監視カメラ映像のログを出せ! アクセスできるか!?」

 

「え、は……はい——」

 

凄まれたMI6の女性局員が手早くPCのキーボードを叩き、

デュアルモニターいっぱいにTDCの監視カメラ映像が表示された。

最新のログを再生すると、九道が語っていたところの“皆殺し”の一部始終が、

克明に捉えられていた。

 

「………………」

 

「マジかよ……」

 

その凄惨な映像を見届け、絶句するMI6局員。

映像へのアクセスを求めた隊員の顔も、すっかり青ざめてしまっている。

それは鴉座とイルヴィアも例外ではなく……

2人とも、先程よりも確実に顔色が悪くなっていた。

 

しかしイルヴィアは隊長として、

動揺する素振りを見せることなく、改めて隊員たちに告げる。

 

「残念だが真実だ。他に頼れる組織もない以上——ん。諒名、どうした?」

 

イルヴィアの視界の端で、鴉座がモニターの一部を凝視していた。

 

 

 

「あぁ、少し気になる所が……もう一度、最初から再生できますか?」

 

 

 

「? えぇ……」

 

局員が映像を戻し、再び再生ボタンを押下する。

 

「—————————」

 

他の皆が目を細めたり、顔を背けたりする中……

鴉座は、その凄惨な映像をためつすがめつ、隅から隅まで検分する。

そして、映像が中盤に差し掛かった頃。

 

「——! そこで止めてください。この部分、拡大できますか?」

 

そう言って、

映像の中でTDCの隊員のひとりが手に持っているファイルのようなものを指差した。

 

「これ? ちょっと待っててね……ん、これは……名簿?」

 

鴉座が指差した部分を拡大、精細化すると、

それは数名の人間の名前が書き記された名簿のようだった。

局員が明度とコントラストを上げて解読が可能になったのとほぼ同時に、

イルヴィアが口を開いた。

 

「待て。ここにある名前——見覚えがあるぞ。

オスロでテロを起こした残党の連中だ。こっちは……どこかの反政府組織か?」

 

イルヴィアの言葉に、先程の若い隊員が身を乗り出して鴉座の肩に顎を乗せ、

モニターを注視する。なにせ彼は、例の入学式での爆破テロが発生する少し前、

彼女と蓮仰による残党確保作戦に同行した隊員だ。

 

「本当だ。でも、どうしてTDCに……?」

 

肩の隊員はあくまで無視し、鴉座が問い掛ける。

 

「イルヴィア。九道が言っていたこと、覚えてるか?」

 

「……TDCは、私たちを助け出そうと動いていた。

そのせいで、九道たちに殺されてしまった……だったか。ん、まさか……」

 

鴉座が、何かを察した様子のイルヴィアに向き直る。

肩の隊員はあえなく振り落とされた。

 

 

 

「恐らくだが、TDCは俺たちの救出を行うにあたって、

彼らの力を借りようとしていたんだろう。不完全洗脳に、

九道が言っていたような暴動もあって……

今の俺たち同様、頼れる組織はほとんどなかっただろうからな。

この手の“悪い奴ら”に白羽の矢が立つのも、道理といえば道理だ」

 

 

 

 

 

 

▶︎ 数日前-AM 07:51-イタリア-ローマ-TDC本部庁舎

 

〜中略〜

 

「——助けに行きましょう」

 

「そうしたいが……うちの隊員たちは残党の連中の対処で手一杯だぞ。

他の組織に応援を乞おうにも——何かいい案でもあるのか?」

 

不安げな声に、しかしピエトロは不敵に微笑んだ。

リベリオの肩から手を離し、携帯を操作しながら口を開く。

 

「確かに今の世界、この状況で、協力を頼めるような組織はほとんどない。

警察にも軍にも頼れない。

“善い奴ら”はみんな忙しいですからね……だったら誰に力を借りるか——」

 

「…………?」

 

怪訝な顔のリベリオの目を見て、ピエトロが言い放った。

 

「——“悪い奴ら”ですよ」

 

 

 

 

 

 

「——よし、そういうことなら……」

 

何か確信を得た表情のイルヴィアが周りにいた隊員やMI6局員を集め、

その中心にモニターを移動させた。

 

そして、今までとは違う張りのある声で、一同に指示を飛ばす。

 

 

 

「至急、この名簿に記載されている人物たちが現在収監されている施設に連絡。

情報の共有を行い、減刑を条件に協力を要請しろ。

戦力は大いに越したことはない。使えるものは、全て使う。そして——」

 

 

 

イルヴィアは改めて鴉座と目を見合わせて浅く頷き、皆に向き直る。

 

 

 

「そして……4つの施設を制圧し、6時間以内にウイルスの拡散を阻止する。必ずな」

 

 

 

「了解」

 

「分かりました。至急連絡を——」

 

「さーてやりますかぁ!」

 

言うが早いか、隊員たちはPCや通信機を手に取り、

次々と各施設への連絡を開始した。

その他の面々も忙しなく行動を開始し、事態が前へと進んで行く。

 

「……よし、じゃあ私たちも——」

 

「あぁ。こうしちゃいられない、すぐにでも……ッと」

 

勇み足で作戦室を出ようとした鴉座が、バランスを崩して転倒しそうになる。

寸前で先程の若い隊員が手を貸し、なんとか立て直した。

 

 

 

「怪我人が無茶すんなって。ただでさえ——」

 

 

 

鴉座を立たせながら、隊員の脳裏に……先刻他の隊員から伝え聞いた、

ピラミデンでの一連の出来事についての情報がフラッシュバックする。

 

「ただでさえ、死ぬほど辛い思いしてきたんだ。今はとにかく……身体休めとけ」

 

「……、はい——」

 

「そうだな。鴉座は待機していた方がいいだろう、私は——」

 

——と。

言いながら作戦室を出ようと歩き出したイルヴィアの左腕を、若い隊員がそっと引き留める。

 

 

 

「隊長もですよ。つか、隊長の方が酷い怪我してんじゃないですか……

気持ちは分かりますけど、行かせるわけにはいきませんよ」

 

 

 

「なぜだ。片腕だけでも前線には立てる。何より、隊長として——」

 

隊員はイルヴィアの言葉を遮るように手を離し、大きく息を吐いた。

そして2人の顔を見据え、声のトーンを落として告げる。

 

 

 

「なぜってそりゃ……子供を守るのが、大人の役目——ですから」

 

 

 

予想だにしていなかった返答に、イルヴィアも鴉座も押し黙ってしまう。

慌ただしい作戦室の中、この3人の間にだけは、静かな空気が流れていた。

 

隊員が手近な所にあった椅子を引き寄せて腰掛け、続ける。

 

 

 

「2人とも、“超高校級の才能”を持ってるとはいえ、まだ高校生——

もっと言や、まだ子供なんすよ。確かに今までは、その才能を使って、

大人以上の活躍を続けて来たかも知んないすけど……

今回ばっかは話が別です、危険すぎる。

もしここで2人が死んだら、ピラミデンで殺された子たちの死や絶望は、

きっと……すぐに忘れ去られちまう」

 

 

 

「………………」

 

「それは——」

 

 

 

「2人には、生きていてほしいんすよ。彼らの死や絶望を、

風化させないために。だから……こっから先は、俺たち大人が請け負います」

 

 

 

隊員の言葉を聞いた2人が、深く頷いた。

 

 

 

「あぁ……そうだな、分かったよ。私たちは……ここで出来ることをやろう」

 

「……だな。では、施設の制圧と、拡散の阻止は——」

 

 

 

隊員が立ち上がり、グッとサムズアップする。

 

 

 

「あぁ。後は俺たちに任せとけ!」

 

 

 

 

 

 

▶︎PM 19:11-ノルウェー-オスロ郊外

 

 

 

日没を過ぎ、薄闇に包まれ始めたオスロ市街。その街並みを眼下に臨む山道を、

1台のピックアップトラックが法定速度などお構いなしに、

土煙と砂利を巻き上げながら驀進していた。乗っているのは男性が2人、女性が1人の計3人。

大きなカーブに差し掛かったところで、運転手の男が怒号を飛ばす。

 

「なんだって俺たちがFimbulの連中の手伝いなんかしなきゃなんねーんだ!?

これから寝るって時によォ!!」

 

荒々しくハンドルを繰る彼に、助手席の男が冷静に答える。

構えた双眼鏡の先には、市街地の大通りを猛スピードで進む大型のトラックが1台。

 

「仕方ないだろ。あのトラックを止めなきゃ、最悪ヨーロッパが終わる。

そうなりゃ俺たちもまとめてお陀仏だ。それに、

協力すれば減刑してくれるってんだから、文句言わずもっとスピード出せよ」

 

「そうそう」と同調しながら、唯一の女性メンバーが後部座席から顔を出す。

 

「死んだら絶望できなくなっちゃうからね~」

 

3人とも上下同色の作業着に、首元や腕には生々しい傷跡。

作業着の胸の部分には彼らの“所属”を示すアルファベットと数字が刻まれていた。

 

「そういうことだ」

 

頷く男の首には、既に塞がれているものの、くっきりと銃撃痕が残っていた。

他ならぬイルヴィアと蓮仰がツーマンセルを組み参加した作戦において、

彼女に撃ち抜かれた時の傷だ。

 

そう。彼らは、その時にFimbulと相対し、

拘束の後収監された絶望の残党の面々であり、

TDCが力を借りようとしていた“悪い奴ら”の筆頭だ。

その内の3人が今回、Fimbulからの減刑を条件とした協力要請に応じ、

ウイルスの拡散を阻止するための部隊として、こうして作戦への参加を決めた。

 

「一理あるのが悔しいぜ畜生ォ!! こっから飛ばすぞ、舌噛むなよお前ら——!!」

 

トラックが指定地点に到着するまでの猶予は、あと約5時間。

男がアクセルを思い切り踏み込み、山道を物凄い速度で突っ走る。

 

 

 

 

 

 

▶︎AM 01:13(現地時間)-日本-東京-警視庁

 

 

 

その頃。警視庁の会議室では、各部署から日本警察が誇る精鋭たちが一堂に介していた。

不完全洗脳により現場を退いている警視総監に代わり、警視庁副総監が皆の前に立つ。

 

 

 

「黙祷」

 

 

 

会議室最前部に置かれたデスクの上には蓮仰の顔写真と、

ノースポールの花束が添えられていた。黙祷を終え、皆が席につく。

 

「先ほどノルウェーのFimbulから連絡があった通り、事態は予断を許さない。

我々がすべきことは、このウイルス保管施設の制圧、並びに……

東京湾への航行を始めた、ウイルスを積んだ貨物船を止めることだ。

至急、海上自衛隊にも応援要請を。動ける人間を全てかき集めろ!」

 

副総監の脇に立っていた参事官が、眼鏡を掛け直しながら付け加える。

 

「この一年間、東京の治安は、彼の眼によって保たれていたと言っても過言ではない。

船からのウイルス拡散を許せば、東京、日本だけでなく、

アジア全域が大混乱に見舞われる。彼の……特務生の献身を無駄にするな。ベストを尽くせ」

 

冷静ながらも確かな熱が込められた言葉に一同が威勢の良い声で応え、即時散開。

 

「……見守っていてくれよ」

 

ひとり残った副総監は蓮仰の写真に敬礼をし、静かに会議室を後にした。

 

 

 

 

 

 

▶︎PM 14:23(現地時間)-アメリカ-オハイオ州-クリーヴランド

 

 

 

一方アメリカでは、Fimbulからの協力要請を受けた陸軍の装甲車が列を成し、

クリーヴランドにある保管施設を目指していた。

車内では上官が地図を広げ、参加するメンバーとの作戦会議を行っている最中だ。

 

「目的地はここだ。クリーヴランド郊外、一見するとただの民家だが、

地下がウイルスの保管施設になっている」

 

「相変わらずすごいですね、MI6の特定技術……」

 

感心する若い隊員に、隣に座っていた古参の隊員が解説する。

 

「なんでも、今回の件で命を落とした工作員の子が以前、

残党の連中を追うために作ったプログラムらしい。

吐きそうなほど精緻なシステムだってんで、使いこなせる人間はMI6の中でも、

彼女含めて一握りしかいないんだと」

 

「へぇ〜」と、若い隊員。弛緩しかけた空気に上官が手を鳴らして喝を入れ、皆が背筋を伸ばす。

 

「お喋りはそこまで。あと10分ほどで目的地だ、TDCとの合同訓練を思い出せ」

 

“人類史上最大最悪の絶望的事件”以降、米軍は戦力増強を目的として、

TDCとの情報交換や合同訓練を行っていた過去を持つ。

 

「………………」

 

当時の指揮官はナナレアの兄。

彼は“人類史上最大最悪の絶望的事件”の最中に命を落とし、

その役職を引き継いだナナレア、そして彼女に救われTDCのゲリラコマンドとなった

安楽襲もまた、罰丸の凶刃に命を奪われた。

 

 

 

「指揮官と尊くんの無念は……我々が晴らす」

 

 

 

 

 

 

▶︎PM 14:26(現地時間)-アメリカ-オハイオ州-デイトン-ライト・パターソン空軍基地

 

 

 

陸軍が施設を目指す中、空軍所属の面々も出発の準備を進めていた。

基地の格納庫で、2人の隊員が装備を確認しつつ、作戦内容について話し合っている。

 

「ウイルスを積んだジェット機はクリーヴランドから離陸後、

速度を保ったまま飛行中。指定空域への到着まで、およそ3時間半だ。それまでに——」

 

後輩隊員が、Fimbulから送られてきた資料を片手に確認する。

 

「当該機を補足し、格納ハッチから機内に侵入。

操縦権を奪取して、安全地帯に着陸させる……と。

なかなかハードっすね……てか、ハッチから機内に侵入って、どうやって?

自分の乗ってる機体から乗り移るってことですよね……?」

 

不安を口にする後輩に、ベテラン隊員が

格納庫の奥から何やら大きなスーツのようなものを持ってきて見せた。

 

「あぁ、これを使ってな」

 

腕全体と脇腹の間に頑丈な皮膜が装着され、

バックパックに飛行補助機構が備え付けられたそれは、

最新鋭のフライトスーツのようだった。しかも、ただのフライトスーツではない。

所々にメタリックなラインが走っているそれを見て、後輩隊員が何かを察する。

 

「……それ、もしかして」

 

 

 

「あぁ。彼がまだ特務生に選ばれる前……MITに在籍していた時に、

彼から技術提供を受けて作られた装備のひとつだ。

つい最近ようやく完成したんだが、その矢先にあの爆破テロが発生。

完成品を見せてやれなかったのが——残念でならない」

 

 

 

格納庫の扉から差し込む日の光を受けて輝くメタルパーツに、思わず目を細める。

 

 

 

「必ず成功させましょう……必ず」

 

 

 

顔を上げた彼に、ベテラン隊員が微笑みながら頷く。

 

「あぁ、出発だ」

 

フライトスーツを着用した2人がコックピットに乗り込み、ヘルメットを装着。

戦闘機のエンジンを点火し、1機、2機と続けて離陸した。

 

 

 

 

 

 

▶︎ PM 21:31(現地時間)-シリア-ダマスカス

 

 

 

ぼんやりと浮かぶ月の光に照らされた、ダマスカス西部の荒涼とした山岳地帯。

街を見下ろす開けた土地に、二十数名の男たちが集まっていた。

皆一様に物々しい装備に身を包み、顔の下半分を大判のスカーフで隠している。

 

その内の13人——TDCのリストにあった、かつてエジプトで活動していた

反政府武装組織“B28”のリーダーを務める男が、隣に立つ長髪の男に問い掛ける。

 

「これで全員ですか?」

 

男は慣れない手つきで拳銃に弾を込めつつ答えた。

 

「まだ足りないと?」

 

長髪の男の名は、アフマド・サファー。

TDCの名簿にオスロの残党たち同様その名を連ねていた、

“人類史上最大最悪の絶望的事件”の混乱に乗じて武器の違法な取引などの

悪徳ビジネスを展開していた、ヨルダンの王子だ。シーナと刺国によって邸宅を急襲され、

その後はアンマンの刑務所に収監されていたが——

今回、Fimbulからの協力要請を渋々承諾。過去にビジネスパートナーとして

繋がりのあった傭兵や退役軍人を招集し、作戦に参加した。

 

「万全を期すならば、もうあと100人は欲しかったところですね……さておき、急ぎましょう。

王子と皆さんは、保管施設の制圧を。貨物列車の進行は、我々が阻止します」

 

アイコンタクトで指示を受けた13人が、リーダーの男の元に集まる。

 

「その人数で大丈夫なのか?」

 

保管施設へと向かうために用意した走行車に乗り込みながら問うサファーに、

男は余裕のある口調で答える。

 

「問題ありませんよ、皆優秀ですから。それに——」

 

「それに?」

 

男の名は、ハサネイン・アーリム。

 

 

 

「血の繋がりはないにせよ、愛する娘が愛した世界に危機が迫っているのなら——

父として、大人として……負けるわけにはいきませんからね」

 

 

 

生後一年と経たずに両親に捨てられ、餓死寸前だったシーナ・キャラマウィを拾い、

強く心優しい人間に育て上げた、彼女の父親だ。

 

 

 

 

 

 

▶︎ PM 13:48(現地時間)-メキシコ-メキシコシティ-ポランコ地区

 

 

 

保管施設の爆発から2時間ほどが経過した現場では依然として、

防護服とガスマスクに身を包んだ未来機関や元・77期生、現地の医療機関による

消火、救助、除染作業が続けられていた。

 

優秀なメカニックの活躍により瓦礫の撤去はスムーズに進み、拡散したウイルスへの感染、

及び症状の発症が確認された人間は既に近隣の病院に搬送されている。

 

“南米出血熱”のウイルス群を掛け合わせたソレへの感染により

もたらされる症状はまさに“凄惨”の一言に尽きる痛々しいものであり、

とめどなく流れ出る血液を目にしてパニック状態に陥る感染者がほとんどであった。しかし——

 

 

 

 

 

 

「—————————」

 

患者たちが臥している病床は水を打ったように静かであり、

彼らの精神はパニック状態どころか、むしろ通常時よりもリラックスしていた。

治療を行う医師たちも、余裕を持って仕事に取り組んでいる。

治療は長期的なものになるだろうが、命を救うこと自体は可能である、

というのが院長の判断だった。

 

そんな病床から離れた休憩スペースから、嬉しそうな声が聞こえてきた。

 

「すごいんですね、アロマの効果って……

これで治療にも専念できるというものです。助かりましたよ!」

 

そう感謝を述べているのは、この病院の副院長を務める女性。

彼女の対面に座っているのは、学園での爆破テロ以降、

暴動が激化したブラジルからこのメキシコへと避難してきていた、

ある小学校の教員の女性だ。保管施設での爆発が起きた際に偶然現場近くに居合わせ、

救助活動に参加していた。

 

当初この病床の患者たちは酷いパニック状態で、

とても治療などできる状況ではなかったが、救助活動の最中、

未来機関とFimbulの通信機越しの会話が耳に入った彼女はその瞬間、

“自分が今やるべき事”を理解し、持ち合わせていた特製のアロマを病院に提供。

その甲斐あって、患者たちを落ち着かせる事に成功したのだ。

 

 

 

「よかった……ブラジルにいた頃、彼女が子供たちへの講義が終わった後に、

時々分けてくださってたんです。“教師職は疲れるだろうから”って……

結局忙しくて、なかなか使う機会に恵まれなかったんですけど——

これも巡り合わせ、でしょうか」

 

 

 

彼女の手の中の小瓶には、狗縊の手書きでアロマの用法や用量、

使用上の注意が書き記されていた。自他共に認める人間嫌いであった彼女だったが、

この教員の女性や彼女が受け持つクラスの子供たちのことは、

少なからず好意的に捉えていたようだ。

 

未来ある後輩として。また、その子供たちを見守る役割を持つ教師として。

 

 

 

「彼女も喜んでますよ、きっと」

 

 

 

「——そうですね、きっと」

 

 

 

 

 

 

▶︎ PM 20:52-ノルウェー-アーケシュフース県-バールム-Fimbul本部

 

 

 

世界各地でウイルスの保管施設制圧、及び拡散阻止のための作戦が開始される中、

Fimbulの本部では鴉座とイルヴィアが、ウイルスへの対処同様速やかに

取り組むべき問題である“コンラートが仕掛けたプログラムの無害化”と

“戦争勃発の阻止”のため、ある人物と連絡を取っていた。

 

 

 

「——は、はいぃ……」

 

 

 

「初めてお話しますね。特務生の鴉座諒名です」

 

電話の相手は、爆破テロによって重傷を負った学園長の治療を担当している

元・77期生、“超高校級の保健委員”として学園に在籍していた、彼女だ。

 

「え! あぁ……無事、だったんですね……! よかったぁ——」

 

「……えぇ、なんとか。ところで、学園長の容体は?」

 

「こっちも大丈夫ですぅ。つい先日、目を覚まして……

もちろん、まだまだ絶対安静ですけど——」

 

「それは良かった……それで、ですね」

 

鴉座が声のトーンを下げ、大きく息を吐く。

 

 

 

「……?」

 

 

 

 

 

鴉座は、爆破テロ以降、ピラミデンの地で何が起きたのか……

その顛末と、九道が企てていた計画の実態、そしてそれを阻止すべく

今現在行われている作戦について——

自身の持ち得るすべての情報を、彼女に伝えた。

 

彼女はしばし絶句したが、泣き崩れるようなことはなかった。

医療に携わるものとして、また鴉座たちの先達として、“やるべき事”を理解していた。

 

「じ、じゃあ……いま私たちがすべきことは、その、

コンラート……さんが仕掛けたプログラムを無害化と——」

 

鴉座が携帯をスピーカーモードに切り替え、イルヴィアも会話に参加する。

 

「いつ起きてもおかしくない国家間戦争……

さらに言えば、その先にある核戦争の勃発を、今のうちに阻止することです」

 

再び、暫しの沈黙。そして——

 

 

 

「……プログラムの方は、なんとかなるかも、しれません」

 

 

 

弱々しくも芯のある声に、思わず鴉座が身を乗り出す。

 

「! 本当ですか?」

 

「はい。詳しいことは、

希望のビデオを作った本人に聞く必要がありますけど……

彼らが開発している治療プログラムに、

新世界プログラムを応用すれば……あるいは——」

 

その手があったか、とイルヴィアが口角を上げ、彼女に改めて依頼する。

 

「少しでも可能性があるなら、実行する価値はあるかと。お願いできますか?」

 

「は、はいぃ! すぐに連絡を……えと、WHOの番号は……」

 

イルヴィアの声に応えた彼女は、慌ただしく行動を開始した。

電話口の向こうで何かがぶつかる音や倒れる音がしたが、本当に大丈夫なのだろうか——

という一抹の不安もありつつ、鴉座とイルヴィアは通話を繋いだまま、

残りひとつの課題について考える。

 

「プログラムの無害化はなんとかなりそうだが、戦争の阻止は……」

 

頼りになる組織はそのほとんどがウイルス拡散阻止作戦に参加しており、

とても手助けを超える状況ではない。未来機関も多くの人員を

メキシコシティへと向かわせているうえ、

何より不完全洗脳による人員不足の影響が大き過ぎる。

 

「あぁ。こればかりはどうにも——」

 

「あっ、WHOへの連絡、つきまし……ひゃあっ!?」

 

通話に復帰しようとした彼女が、

誰かに割り込まれたのか、素っ頓狂な声をあげた。

 

「——?」

 

ややあって、彼女に代わって電話口に現れたのは——

 

 

 

 

 

 

「話は聞かせていただきました!

そういうことであれば、我がノヴォセリック王国の出番です!」

 

 

 

 

 

 

どこまでも届くような、思わず跪きたくなってしまうような——

 

そんな、凛々しい声。

 

 

 

「……陛下?」

 

 

 

イルヴィアの声に、彼女は凛々しくも柔和な声色で答えた。

曰く、丁度学園長の見舞いのために訪日しており、

病室に入ろうとした所で3人のやり取りが聞こえ、

居ても立ってもいられず——とのことだった。

ドア越しにピラミデンでの一件についての話を聞いた彼女の声は

僅かに震えていたが、元“超高校級の王女”としての威厳は失われていなかった。

 

「特務生の皆さん……まずは、お帰りなさい。

本当に、大変な思いをされましたね……」

 

鴉座とイルヴィアが、沈黙をもって答える。そして——

 

「ですから後は、わたくしたちにお任せを。

戦争なんて、絶対に起こさせません。“ことだま”の持つ力に不可能がないことは、

学園長ほどではありませんが……わたくしたちも、よく知っていますから!」

 

あのコロシアイから時が経ち、“超高級の王女”は、

ノヴォセリック王国の若き主君となっていた。

小国ながらも確実な影響力と才能を持つ彼女の言葉であれば、

他国の要人たちも無視はできないだろう。

 

至急話し合いの場を設け、

インドをはじめとした“準備”を進めている国々の首長たちを招集。

説得と交渉を行い、必ずや戦争の勃発を阻止してみせる——とのことだった。

 

「——ッ、はい……感謝します、陛下。それに、先生も」

 

「ふぇ!? せ、先生……だなんて、えへへ……」

 

“先生”と呼ばれ赤面した彼女だったが、

すぐに気を引き締め、電話口に向け力強く告げる。

 

 

 

「……ど、どうか、信じて待っていてくださいね……

必ず私たちが、なんとかしますから……!」

 

 

 

 

 

 

通話を終えた鴉座とイルヴィアが、窓の向こうをまっすぐ見据えながら、口を開く。

 

 

 

「大丈夫……だよな」

 

 

 

「信じよう。今の私たちに出来ることは、それしかない」

 

 

 

 

 

 

こうして彼らは、

 

陸で。

 

海で。

 

空で。

 

力によって。

 

また、言葉によって。

 

九道がもたらした脅威、やがて訪れる災禍から世界を守るべく——

志半ばでその命を奪われた特務生たちの献身を、技術を、想いを——

 

そのすべてを原動力として、動き出した。

 

 

 

 

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告