自身に特訓を課してくれた師匠である『闇刃』クレムトの協力を取り付け、彼女は一路フレリアへと向かう決断をする
自分達だけではグラドを止める事など出来ないと理解しているからだ
だが、ルネスのある街に到着した彼女は彼女が思うよりも遥かに今の状況が悪い事を目の当たりにする事となる
クレムトさん、街が見えてきましたよ!
…アメリア、構えろ
えっ?
アメリアが少し先に見える街に少し楽しそうな声を出すが、クレムトはそんな彼女に冷たく言い放つ
…それは
そして彼女は見た
…なに、あれ?
街の入り口付近に集、いや群がる異形の影を
…ふむ、古い書物で見た事があるな
スケルトンとやらか?
クレムトはその影の正体をアメリアにもわかる様に口に出す
スケルトン、ですか?
ああ。確かこの大陸に聖石で封じられているとされる魔王とやらの下僕の一種だったか?
…しかし解せんな。この様な奴を見るのは初めてではないが、此処まで数が集まっている所を見るのは俺も初めてだ
クレムトはこの光景に危険なものを感じる
…アメリア。もしも俺の読んだ書物が正しいならば、スケルトンだけでは無いと思う
ゾンビにマミー。ビグルにバールと言った魔物もいるかもしれん
スケルトンは武器を操る骨の魔物。ゾンビとマミーは人型の異形。ビグルは空を飛ぶ一つ目の魔物。バールは蜘蛛だ
警戒しろ
は、はいっ!
クレムトの言葉にアメリアは気を引き締める
出来るならば街中に侵入させるのを防ぐ
後々面倒だからな
そう言いながら、クレムトは亡霊戦士を召喚する
亡霊戦士は術者のレベルによってその能力がかなり異なる
アメリアが走り込みの時に召喚されたものはかなり手加減して召喚したからあのレベルだった
亡霊戦士 レベル12
HP1 力13 技12 速さ11 幸運0 守備0 魔防0 移動5
斧C 手斧
亡霊戦士は一度でも攻撃を受ければ消滅する
だが、装備も含めて召喚出来る上に倒されたとしても術者がまた召喚出来る為に『ゾンビ戦術』が出来る
今回クレムトは敵が多数である事を踏まえて、間接攻撃も可能な手斧装備の亡霊戦士を召喚した
アメリア(見習い兵士)レベル7
ステータスは前話参照
槍E ほそみの槍 特効薬×3 傷薬×2
クレムト(サモナー)レベル5
ステータスは前々話参照
闇A リザイア×3
因みに傷薬も特効薬も軟膏タイプのものであり、一般的には3回分とされている
クレムトは生命吸収戦術なので自身の特効薬もアメリアに持たせていた
…傭兵クレムト
意外と過保護であった
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ついてこい、アメリア
はいっ!
亡霊戦士は街の入り口付近に群がっている魔物達にけしかけ、クレムトとアメリアは街から少し離れた所にいるゾンビやビグル、マミーを倒すべく動き出した
前に出るなよ、今のお前だと集中攻撃には耐えられんからな!
はい、分かりました!
クレムトもリザイアで魔物を薙ぎ払い、可能な限り魔物達の攻撃の矛先を自身に向ける。魔道士でありながら、クレムトが高い物理攻撃に対して耐性を持つのは魔法による障壁を展開しているからだ
流石に布衣一つで頑健な鎧を見に纏う騎士などと同じ防御力など望むべくも無いのだから
アメリアはクレムトから訓練終了祝いに渡された軽鎧を装備しており、それなりの防御力を持ちながらも四肢の動きやすさも確保している
やあっ!
アメリアはゾンビに槍を突き入れ、直ぐに槍を抜くと間合いをとる
ゾンビも反射的に反撃するが、そこにアメリアの姿はなくその攻撃は虚しく空を切る結果に終わる
やあああっっ!!
そしてアメリアの二撃目により、ゾンビはその動きを鈍らせ地に伏せると動かなくなる
街の入り口付近に群がっていたスケルトン達を亡霊戦士は誘引する事に成功し、そのまま少しずつその数を削りながらクレムト達の方へと魔物達を引き寄せる
当たれば死ぬと言ったが「当たらなければどうという事はない!」という事でもあるのだ
…片付いたか。大丈夫か、アメリア?
は、はい。大丈夫です
夥しい数の魔物達の亡骸の中にクレムトとアメリアの2人は立っていた
このままで良いんですか?
こいつ等は魔王フォデスの魔力によって生まれた存在と書いてあった
しばらくすれば、その形を失うらしいな
良かったです
クレムトの言葉にアメリアは安堵の息を吐く
うん?
だってこのまま魔物の死体が残ってしまってたら、また別の魔物を引き寄せるかも知れないと思ったので
クレムトはそのアメリアの言葉に
…他国の人間だぞ、ここの住民は?
そう怪訝な顔をして訊ねるが
それでもやっぱり生きていて欲しいって思うんです
アメリアは満足した様な笑顔をクレムトに向けていた
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アンタらが魔物を倒してくれたのか!
ありがとう、ありがとう
このままどうなる事かと
クレムトとアメリアは物資の補給の為に魔物達によって入り口を塞がれていた街の中に入る事にした
そこで2人を迎えたのは住民達からの感謝の声
…偶々だ。別にあの程度で感謝される謂れはない
アンタ傭兵か?もし良かったら少ないがコレを持って行ってくれないか?
クレムトの雰囲気で察した1人の住民がクレムトに金の入った袋を差し出す
別に人助けが趣味な訳ではないが、今のアンタらにこそコレは必要だろう?
少しばかりの食料と傷薬さえ貰えればそれでチャラにしておくさ
そう言ってクレムトは自身の要求を告げる
そ、そりゃあこっちとしては助かるが
言いたくは無いが、今のルネス国内は治安維持はおろか魔物退治も覚束ない有り様だ
少しでよければ戦い方の手解きくらいしてやれるから、それで自分達の身を守るべきだろう?
わ、分かった
直ぐに動ける連中を集めてくる!
クレムトの言葉に住民の1人は慌てて若い衆を集めに向かった
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…なんだかひどいですね
元々戦争で荒廃しているところに魔物までいたらどうにもならん
ルネスの王子とやらは戦上手と聞くが、統治者としては無能にも程があるだろうな
街を去ったアメリアとクレムトは歩きながら話をしていた
無能、ですか?
ああ。戦争である以上敵地に踏み込んで戦わねば領内が荒廃するだけ
敵の鋭鋒を砕いて敵の侵攻を挫くのは理解出来るが、敵側に逆侵攻をかけるなんざ狂人の発想だ
俺達傭兵ならば取りうる選択だろうが、守るべき土地と民がいる者のして良い選択では無いな
街でエフラム王子とその部下達がグラドのレンバールへと攻め寄せたと聞いた。が、誰しもそれに希望を見出してはいなかったのはアメリアにも分かった
このまま行けば間違いなくルネス国内は疲弊する
フレリアに併合されるつもりならばいざ知らず、これを放置し続ければまず間違いなくルネスは土台から腐り落ちるだろうさ
ジャハナの傭兵だからこそよく分かる
民に支持されない王族というものがどれだけ無様で情けないものなのかを
ウチにもいるんだよ
テメェの立場も役目も理解しねぇままにほっつき歩いているクソな王族がな
…ほっつき歩いているって、何処にいるかも分からないんですか?
明らかに不機嫌そうなクレムトにアメリアはおそるおそる訊ねる
知らんし、ジャハナの民ももう興味など持ってないだろうな
カーライルの奴なんぞ
女王陛下の御心を乱すなら、この手で斬る!
って言ってたからな
…でも王族なんです、よね?
間違えるなよ、アメリア
王族だから仰ぎ見られ尊敬されるんじゃ無い
王族として国に対して真剣に向き合うからこそ、民はそいつを王族として扱うんだ
砂漠の中にある国家という厳しい環境下にあるジャハナ
故にこそ民は必死になって国を守ろうと、支えようとし
女王であるイシュメアもまたジャハナの明日の為に懸命に努力しているのだ
どんな理由があろうとも、それに向き合おうとしなかった王子にジャハナの民が良い感情を持つ訳もない
帰属意識の低いクレムトですらそうなのだから
アメリアとクレムトは征く
平和な世を願いながら
という訳で所謂ランダムエンカウントイベントでした
聖魔においてかなり前面に出てきましたからね、魔物
それまでのシリーズはどちらかと言うと『人と人との戦争』に『人ならざるもの』が入っていた感じがあったのですが
まぁ、その結果魔物によって被害を受ける民草も増えたと思う訳ですよ
それらに対する私なりの考えが最初に書いたある意味救いのないルートだったんですが
本ルートにおいても、やはりルネス兄妹とジャハナの放蕩王子にはかなりキツい感じになると思います
そうならないルートはグラドルートしかないので(小声)
エイリークはクレムトと話をするか?
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する
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しない