噂や古い書物には幾つか記載がありましたが、竜神族というものは実在していたのですな?サレフ殿
…驚いたものだ
どうやら貴殿は
険しい山道を先導しているサレフと自身の召喚した亡霊戦士と共に警戒にあたっているクレムトは話をしていた
最初こそ話に興じるつもりのなかったサレフであったが、傭兵でありながらも深い知識を持つクレムト。特に聖石については知らなかったが、魔物や魔王。はては他の大陸の知識すら多少とは言え有している彼に興味を持った
一部で言われているものはどちらかと言うと、蔑称でしょう。流石にそれを知っている身としては口にする気はありませんよ
クレムトは昔、ある大陸についての本を読んだ事があった。その大陸は竜が支配しており、時を経て一部の者達が力と姿を捨てて人となった。と
しかし長い時を重ねて、いつしか人が大陸の多勢を占める事となり、それとの共存を是と竜族は己の力を石に封じ込め、人との共存を選んだと。その後紆余曲折あって、人との共存を選んだ筈の者達が権力者達の都合により竜族ではなく、マムクートと呼ばれ石を奪われたりするなどして迫害されたと
意味は同じであろうとも、言葉の選び方1つで相手の受け取り方は違いますからね。特に自分の様な仕事をしていると
…そうなのかも知れないな
クレムトの苦笑混じりの言葉にサレフも苦笑いしながら同意した
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エイリーク、警戒するのは必要だが余り気を張り詰め過ぎるな
それではすぐ消耗してしまい意味がない
…すみません、ヒーニアス王子
先行しているサレフ殿とクレムトが周囲を警戒している
勿論油断してはならないが
ヒーニアスはエイリークを気遣い声をかける
…あの、ヒーニアス王子
なんだろうか?
クレムトさんの事、信用しているのですね
エイリークからの思わぬ言葉に
彼は傭兵だ。今はアメリアが雇い主だと聞くが、信用出来ないというのなら彼女にそれを素直に伝えるべきだと私は思うが
根本的な価値観が違うのは当たり前だろう。しかも聞く話によればルネス国内の状況を知っていると言う。…どうしても君達ルネス王国関係者に対して厳しくなるのは避けられないと思うのだが
…そう、かも知れませんね
ヒーニアスの言葉にエイリークは表情を暗くする
…何を言われたのかは知らないが、知らないと言うことを素直に突きつけてくる人間は貴重なものだ
えっ?
ヒーニアスの言葉にエイリークは彼の方を見た
私も君も国こそ違うが同じ王族だ。残念な事だが、私達のする事ひとつひとつが大きな影響力を持ってしまう
自分がしたいからと言って周囲の意見を聞かなかったり、自分勝手に動く様になれば周囲からの信を失う
…そう、ですね
だが、多くの者はそれに対して何かを言う事はない
彼等は見定めているのだ。この人物はどの様な人物なのか?とな
ヒーニアスの言葉にエイリークは顔色を悪くする
…恐らく今君が考えている通りだろう
そんな中で異論を唱えてくれる人物がどれだけ有難いものなのか?分かるのではないか?
…はい
余り言いたくはないが、既にエフラムに対するフレリア国内の有力者からの心象は最悪だ。その判断を正そうとしなかった騎士達も
はっきり言おう。ルネスの未来を救えるのはエイリーク、君に掛かっている
話をしてみると良い。君が思う以上にクレムトは国や民の事が見えている人物だからな
…ありがとうございます。ヒーニアス王子
エイリークのその言葉を聞くとヒーニアスはその場を離れた
よろしいのですか、ヒーニアス王子
酷な話だが、父上は既にエフラムに期待する事をやめている
何せ、グラド領内への逆侵攻などと言ったところで良い未来が待っているはずもない
エイリークから離れたヒーニアスにギリアムが話しかける
レンバールへ向かうと決めたエイリークに付けたギリアム、ヴァネッサ、モルダの3人
戦力的な意味や盟友ファードに対する義理もあった
だが、それと共に3人には異なる役割があったのである
性格が真っ直ぐで、素直なヴァネッサはそのまま
人生経験の豊富で、その職業柄相談なども数多く受けてきたモルダは精神的なケアを
そして、ギリアムはエイリークやルネス騎士などを
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兄を心配する妹
なるほどそれは素晴らしい事だろう
仮にそれが何の責務のない一般人であれば、誰しもその姿を讃え力を貸すのかも知れない
しかし、エイリークはルネス王国から逃れてきた唯一の王族。本来ならば、独力である程度戦えるエフラムよりも抵抗すら出来ない民を思うべきであった
もし仮にヘイデンがその様な状況にあり、息子や娘が危機に晒されていたとしても、動かせる戦力がないのであれば国を、民を優先するだろう
息子や娘達がエイリークの立場になり、自身がエフラムの様な状況にあったとしてもヘイデンは自らの救援よりも混乱する民や国を優先させる
それが王族の責務であり、そうであるからこそ、大きな権力を持ち国を動かす立場にあるのだ
故にこの時点でヘイデンはエイリークとルネス国内
若くして将軍の地位にある、とはゼトの評価
確かに若くしてその地位にあるのは評価されて良いところだ。だが、将軍ともなれば兵士や隊長などよりも広い視点で物事を見なければならない
国家に対する高い忠誠や高い武力、或いは指揮能力
などと言うのは寧ろあって当然
それ以上を求められるのが将軍だとヘイデンは考える
自分の働きが
軍の動きが
国や民にとってどの様な意味を持つのか?
そこまで意識して貰わねばならないとすら思っている
民あっての国であり、また軍なのだ
逆はない
故にギリアムへと密命を下したのだ
ルネスの次代を担う者の器量を見よ
と
道中、エイリークという人物を見てギリアムは
経験こそ足らぬものの、民を慈しみ他者との対話を是とする好人物
と評する事になる
…まぁ中にはコインの裏表で契約を裏切る様な理解不能な傭兵もいたりしたのだが
レンバールにおいて、確かにゼトはオルソンの真意を見抜きエイリークを守った。それに関しては
流石はルネスの将軍。エイリーク王女の側にある事を認められるだけの事はある
と感心したものだ
…しかしその評価はエフラム達と共にフレリアへと帰還するまでの間という非常に短いものであったのだが
ギリアムからの報告と今までの2人やルネス騎士の在り方
そして方針をエフラムとエイリークがそれぞれ打ち出した時点でヘイデンの中の結論は半ば定まっていた
ルネスは友邦として相応しからず
と
エフラムはグラド攻めを主張したにも関わらず、僅か2名の騎士すらも妹であるエイリークに付けた
確かにヘイデンはフレリア軍をエフラムに付けるとは言ったが、グラド領侵攻などヘイデンとしては論外であり、
それを理解していたならば、エフラムは自身の騎士を手放してはならないはずだ
加えて、大国グラドのしかも領土侵攻となれば犠牲が皆無となるはずも無いだろう
その犠牲は誰が受ける?
…そうフレリア騎士だ
自国を守る為、自国の為に命を落としたならばまだ遺族も納得しよう
それが最早名ばかりとなった国家の王族主導による作戦。しかも常道とはかけ離れた奇策などとも到底言えない様なもの。それで家族が、友人が命を落とした
そう聞いてどれだけの人間が納得しようか?
その不満は誰に向けられる?
エフラムやルネスに向けたところで届くはずも無い。となればその判断を支持した
これ程までに滑稽な事もそうそう無い
フレリアの軍務卿は
…王の命とあらば従いましょう
ですが、陛下。仮にグラドを倒せたとして、我がフレリアにとって好ましい事は何一つありませぬぞ
とヘイデンに告げている
内務卿もまた
グラド王都まで侵攻し、国王ウィガルドを討つ
まさに狂人の発想ですな。そもそも、たった6人しかいないルネス王国関係者にグラド王都侵攻までの何が負担出来るのでしょうか?
武器や食糧全てが此方の負担になるのでは?
更に各地を『一時的に制圧』したとして、それをどうするとエフラム王子はお考えなのか?
軍事的な空白地帯を作れば、そこに賊徒や魔物が入り込む事も考えられます。グラド市民の怨嗟は間違いなく兵力の殆どを受け持つ我等に向きましょうぞ
と苦言を呈していた
仮にグラドを倒せたとしても、ルネス王都を取り戻せたとしても。我がフレリアはルネス復興に対して一切の支援をせぬ
そうヘイデンは決定した
苦しむ民を放置しておいて、都合が良い時だけ民を守る
などと言うのは決して認められてはならないのだから
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まだエイリークはギリギリのところにいる
ターナの親友である以上、多少なりとも気にかけるさ
そうヒーニアスはギリアムに語る。が、エフラムとヒーニアスは親友でありライバルだ
だからこそ、ヒーニアスは武芸にばかりかまけていたエフラムに日頃から冷たい言い方をしていた
言わなくては分からないでは次期後継者として余りにも不適格だろう。見る機会は山とあったのだから
個人の武勇においてヒーニアスは劣っていたしても、王族としての自覚や責任に対するものは負ける訳にはいかない。自身の選択1つで多くの者達の人生が変わるのだから
その自覚がエフラムに無いのならば、自身のライバル足り得ない
そうヒーニアスは思っていた
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原作において、エフラムはグラド王都を攻略後エイリークの危機を聞いてジャハナへと向かっている
が、感情面や戦略面から考えて正しいとしても政治的な面からすると間違いであると言えるのではないだろうか?
混乱や魔物などによる恐怖に怯えるルネスの民からすれば、一刻も早く自分達に迫る脅威を取り除いて欲しいだろう
グラド討伐が終わったのならば、早く自分達を助けに来てほしい
そう思ってしまうのでなかろうか?
にも関わらず、ジャハナに向かい結果としてロストン以外の大陸にある全ての国家を巡ったにも関わらず、肝心のルネスは後回しという割とおかしな行軍ルートとなったのだ
ルネス国民がそれを知らなければ良いだろうが、仮に知ってしまえば王家に対する信頼は失墜すると考えるのはおかしな事だろうか?
人によっては、家族や友人。もしかしたら生まれ育った場所すらも失ったかも知れないのに
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妹ターナよりも、フレリアの民に近い所で考えているヒーニアスにはとてもではないが今のエフラムがルネス王になって安定するとは思えない。…が、
カルチノのパブロによる混乱があった事も考えれば、早期のルネスとの関係解消はグラドとの関係悪化なども加味するとフレリアの外交姿勢に対してジャハナ、ロストンから疑義を持たれかねない
故にエイリークに対してルネス復興に注力させ、それをフレリアが支援する形とする事で体裁を保とう。そう判断した
…せざるを得ないのだ
…これからが試練の時だ。エイリーク、君に期待させてもらおう
そうヒーニアスは呟いた
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砦跡、か?
ああ。これだけの規模なら、一夜を明かす事は出来るだろう
先行していたクレムトとサレフは朽ち果てた砦跡を見つける
…里まではまだそれなりの距離がある
此処で休息を取るべきだと思う
となると、中にいる連中には退場してもらわないとならないな
サレフの言葉にクレムトは索敵に出していた亡霊戦士を一度送還すると、凄味のある笑顔でそう言った
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魔物か
最近増えたみたいね
…被害も増えてるってクレムトが言ってた気がする
カルチノでエイリーク達に合流したジスト傭兵団のジスト、テティスそしてマリカはクレムトからの連絡を受けて周囲を警戒しながらも雑談に興じていた
どうにも最近増えたと思ったが、まさか聖石が破壊されているなんて思わなかったな
そうね。しかもクレムトが話し合いの中で出た情報を纏めると
…グラドの聖石も既に無い可能性が高い
そう言ってた。…流石に冗談では済まない話だと思うけど
何せ不確定な話なら、アイツはそれをしっかりと口にするからな。…アイツの中では有り得る話と見てるんだろうが
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既にフレリアのみならず、グラドの聖石も失われていると考えた方が良いだろう。魔物増加やその活動が活性化した時期を考えるとフレリアの聖石が失われる前に、もう1段階あると考えた方が自然だと思えるからな
との不愉快そうにクレムトは話していた
それに対して
ならルネスの聖石の可能性はねぇのか?
既にルネスはグラドによって滅んだ様なものだろう?
とジストなりの疑問を口にしたが
ルーテ、エイリーク殿達に俺達よりも早く加わっていた魔道士だが、彼女が言うにはグラドの闇魔法使い。それにエフラム王子付きのグラドに通じていたらしい騎士がエイリークの指輪を狙っていたらしい
たかが国を捨てた亡国の王女の持つ装飾品一つにグラドが拘る理由もないと思う
となれば、何らかの形で封印なりされているのでは無いか?
とクレムトは彼なりの考えを話している
…とにかくまずは目の前の魔物を倒す
テティスはユアンを、マリカと俺は砦跡内に入って数を減らす!
分かったわ
…分かった
そして彼等は動き出す
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エイリーク達が砦跡に突入しようとしていた頃
まぁ!魔物だらけではありませんか!
ラーチェル様お気をつけを
なに、自分がいる限りラーチェル様には指一本触れさせませぬからな!
と大陸各地で魔物を倒して回っている少女ラーチェルとその護衛の巨漢の男ドズラは既に魔物達と戦っていた
ラーチェルは馬を駆りながら杖で味方を癒やすトルバトール
ドズラはその膂力と高い技量から繰り出される圧倒的な破壊力で相手を粉砕するバーサーカー
んもぅ、こんな時にレナックは何処に行きましたの?
とラーチェルは不満そうな声を上げた
カルチノ出身のレナック。彼は大陸各地を回ってラーチェルが行なっている魔物退治と彼女の奔放さに疲れ果てて、隙を見て離れていたのだがそれを彼女は知らなかった
ガハハ、ご安心を!ラーチェル様の身の安全は必ず守りますからな!
魔物を一撃の元に沈めるドズラはそう豪快に笑い飛ばした。彼女の不安を吹き飛ばす様に
そう、ですわね。頼みましたわよ、ドズラ!
そんなドズラの姿を見てラーチェルは気分を持ち直した
だが、圧倒的多数に対して僅か2人。しかも、ラーチェルは戦う
如何にドズラが強かろうとも、1人が対応出来るのには限界があった
っ!ま、魔物!?
ラーチェルに気づかれぬ様に近づいていたスケルトンが一気にラーチェルとの間合いを詰めると、その持っていた剣を振り上げた
ラーチェル様!
ドズラもそれに気付くが、彼にも群がっていく魔物がいる
此処でドズラがラーチェルを助ける為に動けばそれらの魔物が彼女に襲い掛かるだろう
そこに
…やれやれ、無鉄砲なのが最近の流行りなのかね?
と呆れた様な声と共に剣を振り上げていたスケルトンは横に薙ぎ払われる
…え?
ラーチェルは気丈にも剣を振り上げたスケルトンを睨み付けていた為にそのスケルトンがあっさり倒された事に気が付き、そしてそれを成したであろう人物にも気がつく
こんな魔物巣窟にたった2人とか随分豪毅なお嬢さんもいたもんだ
…国を止めようとする村娘と言い、最近の若い娘の考え方は理解に苦しむが
そうぼやきながらも近づこうとする魔物達を魔法で一掃していく黒いフードを纏った人物
ラーチェルはクレムトとその時初めて出会ったのだ
何者かは知らんが、助太刀感謝する!
ドズラは魔物達を相手にしながら、そうクレムトに声をかけた
…あ、ありがとうございます。助かりましたわ
ドズラの声にラーチェルは御礼一つも言っていない事に気が付き慌ててそれを口にする
此方もこの砦跡の中の魔物を倒し切らないといけないものでな
言っては何だがついでだ。気にするな
クレムトの言葉はあんまりな物言いであったが、それに対してラーチェルもドズラも気にする事はない
どの様な事情であっても、目の前の人物は確かに自分達を助けてくれたのだから
ややあって
やあっ!
そう元気の良い声がラーチェルとドズラに聞こえた
クレムトさん!あっちはジストさん達でどうにかなるそうです!
…アメリアか。なら此処を守るぞ
はいっ!
赤い鎧を身に付けた少女アメリアが魔物達をその槍で倒しながら、クレムトの隣に立つ
明らかに重量のあるだろう鎧を身に纏っていながら、アメリアは魔物の攻撃を時に躱し、時にその鎧で受けながら魔物達を倒していく
先程まで魔物を積極的に倒していた筈のクレムトはそんな彼女を見守りながら、アメリアでは対処出来なさそうな魔物のみ倒す
その光景をラーチェルは羨ましそうに見つめていた
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ラーチェル!?どうして此処に?
何故と言われましても。私は魔物を倒して人々を守らたいのですから当たり前だと思いますわよ、エイリーク
砦跡での激戦を終えたラーチェルとドズラはクレムトとアメリアがいる軍勢がエイリーク達である事を聞き、彼女と再会した
無事で良かった
ドズラとクレムトさんとアメリアさんのお陰ですわ
…そう、ですか
ラーチェル、もし良かったら私達と一緒に来ませんか?魔物も多くなってきましたし
…そう、ですわね
流石にドズラと私だけでは少し辛いところもありますわね
エイリークの言葉にラーチェルは少し悩むと
分かりましたわ。私とドズラをあなたの軍に加えて下さいな
ありがとうございます、ラーチェル
ラーチェルとエイリークが話をしている裏では
怪我の具合は大丈夫ですか、ドズラ殿
おお、クレムト殿ではないか!なにこの程度の傷ならば問題ない!
ラーチェル嬢から聞きましたよ。大陸各地で魔物を退治して回っていると
中々思っても出来る事ではない。素晴らしい主人を持たれましたな
ガハハ、そう言ってもらえると嬉しいものだ
クレムトの言葉にドズラは嬉しそうに笑う
口にする奴は多いですが、それを実践。しかもあの歳で出来るものなぞそうは居ますまい
…
クレムトの言葉にドズラは表情を変えて、クレムトを見つめる
私は傭兵ですからな。各国の要人の名前くらいは把握しておかないと粗相があっては事なので
…中々に食えぬ御仁よな
生憎とジャハナの傭兵はそこらへんの
ドズラの殺気をぶつけられてもクレムトは一切動じない
…しかし、お主の実力は確かなもの
命を助けてくれたのも事実。信じよう、その言葉
殺すなら幾らでも方法はありますって
ガハハ、変な奴じゃのうクレムト殿は
そうクレムトとドズラは笑い合っていた
アメリアはレベルが上がった!
アメリア(アーマーナイト)レベル7
HP36 力19 技17 速さ16 幸運22 守備18 魔防14 移動5 体格8
槍C ほそみの槍 鉄の槍 傷薬×3 特効薬
エイリークはクレムトと話をするか?
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する
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しない