夢見た者、夢を捨てた者   作:鞍馬エル

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山奥にある砦跡でラーチェルと思わぬ再会を果たしたエイリーク
彼女の魔物討伐と民を思う気持ちにクレムトから言われた事を思い出していたが、彼女は既に進む以外の道が残されていなかった

ポカラの里
そう呼ばれている秘境にある里
此処でエイリークは自身の知る事のなかった歴史に触れる事になる


 竜とヒト

…此処が

 

もう少し北に行けば里に着く…話はそこで聞くと良い

サレフはそうエイリークに告げる

 

 

エイリーク様!魔物です

そうフォルデは声を上げる

 

 

魔物達との戦いが始まる

 

 

 

 

----

 

 

亡国の王女。まぁこんなものか

クレムトは冷ややかな目でエイリークを見ていた。元よりクレムトがこの大陸の中で真っ当だと思っているのはフレリア、ロストン、ジャハナのみ

グラドのウィガルドは民政に優れる統治者であったと聞くが、ルネス侵攻の結果行なわれたという人事でクレムトの中の評価は一気に下がった

 

 

グラド三将

『黒曜石』のデュッセル

『日長石』のグレン

『蛍石』のセライナ

 

過去グラドからの依頼において、セライナとは面識があったが国王に対して、国家に対して忠誠の高く領民にたいする意識も高い好人物と見えた。噂通りならばデュッセル、グレンも好人物なのだろうと思う程度にはグラドにも好感を抱いていた

 

『月長石』のヴァルター

『虎目石』のケセルダ

『血碧石』のアーヴ

追加された面々を見てグラドが狂ったとクレムトは確信する

 

ケセルダは言うに及ばず

ヴァルターもかつて傭兵仲間から話を聞いている分において、マトモとは言い難い

アーヴについては知らないが、上記の2人と同じ時期にグラド六将のして認められている以上マトモとは思い難い

 

しかも占領したはずのルネスは荒廃したままとカルチノで聞いている

 

 

まぁ元よりたかが勝軍風情が行ったところでマトモに相手をされる訳もない

ルネスがマトモに機能している、或いはルネスの騎士団がまだそれなりの規模を有しているならば成程将軍という立場にも意味があろう

 

 

が残った騎士はフランツ(見習い程度のレベル)カイルにフォルデ(無謀とも言えるやり方に意見も出来ない)程度

その上、自分が信頼する騎士の裏切り一つ察せられない王子と理想と現実の折り合いすらつけられない王女ときた

 

悍ましい想像だが、仮に彼等から依頼を受けたとすれば一顧だにせず断るだろう

守る者の優先順位すらマトモに付けられない連中にかける時間も預ける命もクレムトは持っていないのだから

アメリアにも、カルチノを出る前に言っている

 

 

アメリア。お前もそろそろ戦える様になってきた

依頼は一先ずジャハナに着くまでとさせて貰う。…流石に(おつむ)の悪過ぎる連中と同一視されたくは無いんでな

 

…はい

 

 

クレムトは傭兵だが、少なくともジャハナの傭兵としての意識はある

たかがコイントスの結果如きで依頼を裏切る様な阿呆とは違う

このままエイリーク達と同道すれば、周囲は祖国すら満足に守ろうともしない連中にジャハナの傭兵が協力した

と見られかねない。ジスト達はヒーニアス王子が雇った傭兵で、マリカもそれに含まれると見えるだろうし、ヒーニアスならばその辺の配慮くらいはしてくれるだろうとクレムトは思っている

が、クレムトの依頼主はアメリア。どうしてもエイリークの方が目立ってしまう以上、クレムトの雇い主が彼女に見られる可能性はある

 

傷つけたく無いと言いながら剣を取り

民を守ると言いながら祖国の民に思いを馳せない

 

言っては何だが、まだグラドによる大陸制覇という大風呂敷を広げているウィガルドの方が国の事を考えているとも見えなくも無い

勿論聖石を砕いている時点で擁護不可能だが

 

 

知らぬは罪では無い。…が、目を背けるのは罪なんだが

別にゼトやルネスの騎士如き(・・)に疑いの目を向けられたところでクレムトには痛くも痒くも無い

力も無い。意識も自覚も無い

そんな騎士擬きに言われたところでクレムトは揺らぐつもりはないのだから

 

 

だから、クレムトは冷たく見つめるだけ

 

 

----

 

 

こんな狭い道で魔物に襲われるのは面倒、ですね

 

気をつけて下さい、ルーテ。どうも飛行系の魔物が多い様です!

 

分かっています。アスレイこそ油断しない様に!

 

 

ガーゴイルやビグルの対処におわれるルーテとアスレイ

ルーテは理魔法を操る魔道士であり、アスレイは光魔法を使う修道士

魔法に対する耐性の低いガーゴイルならば優位に戦える反面、近付かれると物理攻撃に弱い2人は不利となる

 

この辺は闇魔法使いであるシャーマンやドルイド、或いはクレムトの様なサモナーの方が良かったりする

闇魔法使いは威力に優れる闇魔法を行使し、物理攻撃に対しても障壁によるそれなりの耐久力を持っているから

 

…まぁそのクレムトは別働隊なのだが

 

 

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実はエイリークの補佐に就いているフォルデが意図的にエイリークから離した、しかも少し危険な場所にクレムトを常に配置している

まぁフォルデからすれば信用ならない傭兵、しかも腕の立つ者ともなればそれなりに扱いたくなるのは道理だろう

 

…まぁ、それを見て周囲の者達がどの様な印象を受けるのか?についてまでは考慮していないみたいだが

 

 

フランツを除くゼト達ルネス騎士はクレムトに良い感情を抱いていない。それ自体はどうでも良い事だが、少なくとも現時点においてクレムトは一度たりとも自軍に対して不利益を齎した事はない

寧ろある程度他者と関わろうとする程度には問題なく過ごそうという意思は見えてくる

 

信用ならないならば、それを素直に伝えるなり軍から追い出すなりすれば良い

にも関わらず、上手い事利用だけしようとするフォルデのやり方は徐々にたが確実に不信感を高めていった

 

 

これはフォルデが悪いと言うよりも、人の使い方を彼等が知らない為に起きたものと言えるだろう

ゼトは一応将軍職にあるが、あくまで指揮した事があるのはルネス王国軍(身内)のみであり、傭兵や友邦の兵を率いた経験はない

敢えて言えばレンバールまでの道のりがそうだったとも言えなくはないが、その殆どは民間人。従軍経験があるのは精々ガルシアとヨシュアくらいだろう。一応、ギリアム達フレリアの人間には一定の配慮をしていただろうが

 

しかし、王子付きの騎士であるフォルデにその様な経験がある訳もなく、寧ろ王子付きの騎士のまとめ役はオルソンが担っていた

 

 

言ってしまえば、ゼトがフレリアに戻る時の最適解はカイルとフォルデを供に付け、ギリアム達フレリアの者にエイリークの補佐を頼むべきだったのかも知れない

フランツはエイリークの側に置いていても問題ないだろうが

 

 

はっきり言えば、他国の人間も含む混成部隊を指揮するには王族も含めてルネス王国軍関係者には相応しい人材は居なかったと言えるだろう

…元々その様な意識があるのかすらも怪しいところだが

 

 

 

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クレムトと同じ傭兵であるジスト達はクレムトの扱いについて不満を口にする事こそ無かったが、素直な感想を言えば気持ちの良いものではなかったりする。確かに傭兵故に扱いが悪い事もあるだろうが、少なくとも亡国の、しかもその国を取り戻す事を後回しにして他国を気にかけるお人好しと敵の本拠地を大した戦力もないままに攻め入ろうなどという狂人に雇われたいとは思わないし、関わりたいとすら思わない

 

ルネスの者達は知らない事だが、クレムトはジャハナの傭兵ギルドにおいてもかなり有名な人物。その温厚(味方や市民に対しては)な人柄と

文句を言いながらも傭兵としての世間体と気にする珍しい人物でもあった

 

衛士隊隊長であるカーライルをして

 

 

…出来るならば戦いたく無い手合いだな

と言わしめる程の実力と実績を持つ

 

まぁ、自重を止めるとバーサーカーレベルの亡霊戦士(使い捨ての駒)を無制限に叩き込んでくる上に攻防一体のバ火力闇魔法をぶちかますクレムトと相手をしたいと思える人物は中々居ないだろうが

しかも亡霊戦士は壁も扉も関係なく動き回り、しかもそれが見聞きした情報はクレムトに筒抜けというクソ仕様がこれに加わる

 

ただでさえ『勝つ為ならば手を選ばない』クレムトに位置情報など渡したらどうなるかなど考えるまでも無い

 

効率良く、如何に敵対者を速やかに排除するか?

 

 

その血も通わない様な冷酷無比こそが、闇の刃クレムトの真骨頂なのだから

 

 

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ターナ様、お気をつけ下さい!

 

ありがとう、ヴァネッサ

山奥にあり、狭矮な山道の中での戦闘を強いられるエイリーク達にとって、空を駆ける事のできる天馬騎士(ペガサスナイト)の2人。フレリアの王女ターナと騎士ヴァネッサは心強い存在だった

 

何せ魔物達は険しい山を動き回れるものもいるのだ。戦場が狭い上に、複数人で迎撃出来る場所はそこまで多くない

魔物の動きを察知しつつ、出来る限り迎撃しやすい場所を探し味方につたえる

中々に難しい事であった

 

 

しかもエイリーク達の多くはこの様な状況での戦闘経験がなく、それもまた彼女達にとって不利に働く

 

 

なお、クレムトは地形効果を無視できる亡霊戦士を動かしていたが、流石に不信感を隠そうともしないフォルデに不快感を持っている為、割と適当に魔物達を潰して回っている

クレムトからすれば、別にエイリークやルネス騎士ども(・・)は上官でもなく雇い主でもない

アメリアの存在が無ければ、まず間違いなくジャハナへと戻っていただろう

 

 

それだけだった

 

 

----

 

 

 

エイリークは竜人族の事を里の者から聞き、今大陸がどれほど危機的状況にあるかを理解した

 

…とは言え、言ってしまえば秘境にある里の人間と一国の王女の視点が同じである訳もなく

また同じであってはならないのだが

 

年若いエイリークにそれを理解しろという方が寧ろ酷だったのかも知れない

 

 

----

 

 

 

エイリーク達がポカラの里で戦闘をしている頃、ゼトとカイルの2人は再度フレリアの王都を訪れていた

 

 

道中、数度に渡って魔物の群れと遭遇しており、2人は心身共に疲労が蓄積していた

 

 

 

 

…やはりフレリアからの戦力はお借り出来ませんか

 

借りると貴殿は言われるが、兵力を借りて返せば良い。という話では無いと理解しておられるか?

このフレリアにもグラドが攻め寄せて来た事がある以上、その防衛に戦力が必要なのは解ってもらえよう?

 

…勿論です

 

既にエフラム王子に軍を預けている。…その上、ルネス解放の為に更に我等に血を流せと?

貸した兵力に対して我々フレリアは何を用意してもらえますかな?

 

…それは

ゼトは相手の言葉に呆然とした。今の自分達がどの様な状況なのかを知っていながらその様な発言をする相手に対して

 

国が領民から税を集めるのは、国を支える為

故に国は領民を守る責務がある。騎士団は国に属するもの

であるならば、騎士は己の誇りよりも領民を守る事に必死にならねばならない

…にも関わらず、エフラム王子は敵を倒す事を選んだ

 

しかし、グラドを倒さねば

 

では、貴殿はこう言われるのですかな?

グラドを打ち倒すまでの間、無抵抗に死んでくれ

ゼトの言葉に冷ややかな声で言葉を返す

 

ルネス王国内のグラド軍を駆逐して、それからグラド本国へと兵を進めれば良い

その選択を選べない王子とその選択に思い至らなかった貴殿らをどうして我々フレリアが支援せねばならんのか?

その上何の対価も用意する事なく、また我等から兵力を借りようとする。…話にならん

そんな国の何処に価値がある?

帰れ。もう貴様らに語る事も期待する事もない

そう言われて、ゼトはフレリア王宮から追い出された

 

 

 

 

…これでは、どうしようもない

ゼトは一介の将軍に過ぎず、他国への繋がりなどない。かつて友好関係にあったグラドは敵であり、フレリアはルネスを切り捨てた

カルチノは間違いなく交渉の席にすら立てないだろう。ジャハナとロストンは遠方であり、行くまでには時間がかかる

 

しかし、ゼトが思いつく手段はもうこれしか無い

幸いと言うべきか、現在エイリーク達がジャハナに向かっている。グラドによる聖石破壊の警告を取っ掛かりとして、何とか支援を引き出す他にない

そうゼトは思い定めると、カイルと共にエイリーク達と合流すべくジャハナへと向かった

 

 

 

 




政治的な要素を取り入れた結果、ルネスがエライ事に(今更)
まぁ、分岐次第では更に悲惨なことになるんですけどねお客さん


なお、現在のクレムトとマトモな戦いになるのはドズラとサレフ位であり、そこに亡霊戦士が加わるとほぼ勝てなくなる模様

エイリークはクレムトと話をするか?

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