夢見た者、夢を捨てた者   作:鞍馬エル

19 / 20
夢はいつか醒める
温かな、熱い時は終わるのだ


そして冷たく、辛い現実が始まる
逃げる事は許されない



 決別の時

ジャハナ王国に到着したエイリークはジャハナ王国に対して傭兵クレムトを軍使として派遣する

 

これに対してフォルデは危険だとエイリークに進言するが、エイリークは

 

 

クレムトさんはジストさん達やヨシュアさんから聞いた話ではジャハナの衛士長であるカーライルさんとも親交があると聞きました

私達はジャハナ王国側に対して身の証すら立てる事が難しい状況です。…フォルデ、私達は自国の民を置き去りにしてこの様な事をやっているのです

女王イシュメア様は民の事を思いジャハナを発展させてきた人物ですよ?私達に好意を持つと思いますか?

 

…それは

 

…時間が惜しい。ならエイリーク様とフォルデとやらも来れば良いさ

勿論それなりの事を言われると覚悟した上で、な?

 

 

 

クレムトの言葉によりエイリークとフォルデも女王イシュメアに面会する事となった

 

 

 

 

----

 

 

…よく戻りました、クレムト

よくお越しになりましたね、エイリーク王女とルネスの騎士。私はイシュメア。このジャハナを治めています

 

お久しゅうございます。女王陛下

今回軍使として参りましたのはケセルダの阿呆がグラドによる聖石破壊に加担している事を知らせんが為に参じた次第

カーライル殿が居られるとは言え、警戒は必要かと愚考する次第です

 

…妙な事だ

ルネスはグラドの侵攻により陥落。現在はグラドの暴政に民が喘いでいると聞く。が、本来国を守るべき其方等や次期国王であるエフラム王子はグラド本国に攻め入っている

はっきり申し上げるならば、理解に苦しむな。その様な話はありがたいが、それこそ貴殿等が世話になっているフレリアからの使者で事足りよう

陛下、私としては信用するに値せぬ者達かと存じます

 

っ!

 

敵を追い払うまでは理解出来よう

が、敵国に攻め入って何とする?しかも借り受けた軍勢で

皇帝の首を獲ればそれで何もかもが終わるとでも思っているのか?…貴殿等はそうではなかったと言うに

 

カーライルは目を細め、エイリークとフォルデに問いかける

 

一度離れた民心が戻るとでも思っているのか?

王族を守るのが騎士として正しいと言うならば、ルネスは滅んで当然であろう

 

…まぁ正直に申し上げるとカーライル殿の言う事に賛同しますな

ジャハナに伝手もなく、どうやって寧ろ自分が居なければ女王陛下に謁見するつもりだったのやら

あと、ルネス騎士はどうやら排他的な様ですからな。…相手に対して露骨過ぎるのですわ

…さて、少し気になる事があります故席を外しますわ

 

分かりました

…クレムト、今更言うことではありませんがあまり無茶はしない様に

 

…承知した

無法者の対処は任せる

 

イシュメアとカーライルの言葉を背に、クレムトは自身のすべき仕事をこなすべく動き始める

 

 

----

 

 

 

よう、待ってたぜケセルダ

 

…ちっ、よりにもよってクレムト。テメェかよ

 

ジャハナ関係者のみが知る隠し通路の中で『闇刃』と『虎目石』は再会を果たす

 

 

アイアスの野郎はどうした?

 

はっ、敵を前に動かなかった臆病者に用はねぇよ

 

変わらねえな、お前は

グラドに与して聖石を叩き割ってどうする?おおかた身の程を弁えない阿呆が聖石に何かを求めたんだろうが

神は人を救わない。人こそが人を救うんだよ

 

俺は王になる。今ならまだ見逃してやっても構わないぜ、クレムトよぉ

 

ほざけ

お前とは腐れ縁だったし、それなりに友情も感じてはいるが傭兵としてやる事は変わらん

…死ね、ケセルダ。お前の亡骸の側でお前の為に涙くらいは流してやるさ

 

…ちっ、亡霊戦士を既に呼び出してやがったか

 

勝ちは全てに優先する

お前を殺して、魔王の僕も皆殺しにする。寂しくはないだろうよ

 

 

そう告げたクレムトから発せられる圧力が目に見えて強まっていく

 

 

…加減なしかよ

 

テメェを殺すのに加減なんざ失礼だろう?

この前面白いものを手に入れたんでな?お前相手なら切っても構わんだろ?

 

 

クレムト(サマナー)レベル15

HP49 魔力30 技29 速さ28 幸運24 守備24 魔防30

リザイア、ルナ、フェンリル

 

亡霊戦士(バーサーカー)レベル12

HP1 力25 技22 速さ20 幸運0 守備0 魔防0

トマホーク、キラーアクス、ソードキラー

 

ケセルダ(勇者)レベル12

HP56 力24 技24 速さ26 幸運13 守備26 魔防12

キラーアクス、勇者の剣

 

 

…ちっ、バケモンがよ

 

おいおい。今更何言ってやがる

『知識の化け物』それが俺にお前が付けた呼び名だったろうに

名残惜しいが、死ねケセルダ。心配するな、後から同じグラドの将軍達を送ってやるよ。魔王の僕どもと共にあちらで遊ぶと良い

 

明らかに以前とは違う実力を感じ取ったケセルダは悪態をつくが、クレムトは全く動じる事なく薄く笑うだけ

 

 

行くぜっ!

 

ケセルダはそれでもクレムトに飛びかかった

もう引き返せない所まで来てしまっている事を知っているから

 

 

 

----

 

 

 

 

…けっ、届かねえか

 

これでも傭兵として研鑽は怠ってないからな

将軍なんぞになって満足しているお前には分からんかも知れんが

さらばだ友よ

 

血溜まりに伏したケセルダを見下ろし、クレムトはそう告げる

 

 

…テメェを引き入れなかった事が一番のミスだったんだろうな

………やれやれだぜ

 

クレムトのルナを受ける直前ケセルダは笑い、そして死んだ

 

 

 

 

この大陸に流通している闇魔法にも同名の魔法があるが、クレムトの持つソレは胡散臭い商人が言うにはエレブなる所の物らしい

実際扱い易さは段違いであり、クレムト自身の優れた技量とルナの扱い易さが相まって相手に絶死の一撃を見舞う

 

 

聖魔のルナは命中補正が50に対して烈火のルナの命中補正は95。控え目に言ってあたおかであろう。加えて必殺20ときた。ルナ自身に攻撃能力はないもの、クレムトの場合は基礎攻撃力30であり、防御無視。その上クレムト自身高い素早さを持つので追撃あり

つまりほぼ確定で60ダメージとなる

 

かなり鍛え上げられた体力が無ければ、クレムトの前に屍を晒すだけとなるのです

 

 

 

 

 

…馬鹿野郎が

夢の為に現実(いま)を殺すなんざ、阿呆のやる事だろうがよ

 

その場に沈んだ男の声が虚しく響いた

 

 

 

----

 

 

 

…エイリーク様

申し訳ありませんでした

 

…いえ、今となってはどうしようもない事です

ですが、フォルデ。覚悟はしておいて下さい。…私達は目の前の事に囚われすぎて民の事が見えていなかったのですから

私も兄上も。そしてゼトも貴方達も

 

 

 

 

ジャハナの女王イシュメアと衛士長カーライルとの会談は終わった

エイリーク達の好意には感謝するが、どの様な理由あれど民を後回しにする様な方策を是とする現在のルネス王国残党にジャハナから援助する事はない

…但し此処までグラドによる聖石破壊を知らせにきた事に対して、補給物資の供出は認めるとした

 

なおこの決定に対してジャハナの文官筆頭を務める人物は

 

 

恐れながら女王陛下

グラドによる聖石破壊についてはフレリアのヴェルニの塔がグラド軍によって攻撃された時点で判明しておりました

…自らがよって立つモノの意味すらも解せぬ残党風情(・・・・)に我等ジャハナの民の為に使うべき物資を与えるのには賛同しかねます

 

とエイリークとフォルデの目の前で発言している

 

 

守るべき民もない国など滑稽に過ぎる

エフラム王子がグラドを倒さんとしたのは、真に大陸の為か?

…私にはそうは見えぬよ。ただやり場のない怒りや憎悪を敵にぶつけて憂さを晴らそうとしているだけではないか?

他国に戦力を依存しておいて、良くもまぁ戦略などを示せたものだ。私ならば恥ずかしくて口も開けんよ

 

と侮蔑を隠す事なく、エイリークとフォルデに向けたのである

そしてそれをイシュメアとカーライルは止める事も叱責する事も終ぞなかった

 

 

なおヨシュアについては

 

 

…あの子が選んだ道です

もうアレの居場所はジャハナにはありません。それを選んだのですから

 

とイシュメアは完全に突き放している

 

 

 

----

 

 

これからルネスへ戻ります。手遅れかも知れませんが、やらない訳にはいかないでしょうから

 

はい。必ず

 

 

…エイリーク、済まないが我々フレリアが協力出来るのは此処までとなる。……父からそう指示が来た

 

…そうですか。ありがとうございます、ヒーニアス王子にターナ

ギリアムにヴァネッサにモルダ司祭。あなた方には長い事助けられてきました。私が此処にいるのはあなた達の力あっての事と思っています。どうかお元気で

…ヘイデン様には私がフレリアに感謝していると伝えて貰えますか?

 

…無論伝えよう

エフラムはどう思っているのかもう分からんが、エイリーク一つ忠告しておこう

君が思う以上にルネスの民は傷付いている。目に見えるものだけを見るな。想像力を働かせてみる事だ

 

 

そして、ヒーニアス、ターナ、ギリアム、ヴァネッサ、モルダはエイリーク達の元から離れた

 

 

----

 

 

 

エイリーク様!大変です

グラド軍が南に展開していると

 

フランツ、それは本当か?

 

フォルデ。直ぐに準備を

ジャハナ王都内で戦闘をする訳にはいきません。砂漠に出て戦いましょう

 

…分かりました

 

 

そしてエイリーク達は月長石ヴァルターの軍団とケセルダの軍と戦う事となった

 

 

 

 

 




という訳でジャハナでの戦闘は回避出来ましたが、フレリア勢の離脱となります


なお、これだけではない模様

エイリークはクレムトと話をするか?

  • する
  • しない
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。