アレンの冒険[世界は広いなぁ~]編   作:チョモランマ斉藤

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ふふ…コレはね…官能小説だよ

 

 

ジンさんとの模擬戦を終えた俺は再びギルドへと戻ってきた。

レベッカさんは俺とジンさんを見比べて首を傾げてを繰り返していたが、模擬戦の結果を報告するためにギルド内の事務所へと入っていった。

首は傾げたままだった。

 

 

「もう少ししたらプレートが出来る。これで晴れて冒険者となるわけだが、住む場所とかは決まっているのか?」

 

 

「住む場所……あっ」

 

 

2人でギルド内のイスに座ってレベッカさんを待つ。

俺としてはもうドキドキワクワクしているのだが、何気ないジンさんの質問に大事なことをすっかり忘れていた事を思い出した。

 

 

そうか!俺はこれからこの町で一人で暮らしていかないといけないんだ!

念願の冒険者になれることに浮かれすぎて衣食住全てをぶっ飛ばして今ここに座っているのだ。

 

 

「その様子だと、なにも決まっていないようだな」

 

 

「うぐ…浮かれすぎてまして…」

 

 

やっべぇ、どうしたものか。

大体俺はこの国のお金すら持っていない。

この国で月に1人で暮らしていくのに必要なお金ってのはどれくらいなんだろうか…。

こんなこと1人で悩んでいても仕方がないので、俺はジンさんに聞いてみる。

 

 

「ん?…そうだな、大体20万エル程有れば余裕を持って暮らしていけるのではないかな」

 

 

20万エル……わからぁん!それってどれくらい!?

というか魔王城に住んでいた頃から自分でお金なんて払ったこともねぇ!

とんだお坊ちゃんだったようだな俺ぇ!

 

 

「あの、大体1クエストでどれくらい稼げるものなんですか?」

 

 

「アレンの場合だとそうだな、今はまだ大体5千エルくらいかな。ランクが上がれば報酬も増える」

 

 

なぁるほど、つまり1日1回クエストをこなしていけばなんとか生活は出来るのか。

しかし、このギルドの人の多さを見る限りではクエストの取り合いになるのかなぁ…そのへんはどうなんだろう。

 

 

あ、そういえばリュックの中に魔の森で拾った綺麗な石があった。

べーやんが持って行けと言うから持ってきたけど。

もし売れそうなものなら容赦なく売っ払ってしまおう。価値が有るものなら良いけど、その辺で拾った石だしなぁ。

 

 

そんな事を考えていると、レベッカさんが戻ってきた。

 

 

「おーう。待たせたなプレートが出来たぜ」

 

 

ウッヒョー!!待ってましたぁ!!衣食住!?後々後々!んなもん今はどうでも良いわい!!見して見して!!

 

 

「はあ……カッコ良い……カッコ良すぎる……」

 

 

レベッカさんから受け取ったピカピカのプレートを掲げて見てみる。

これで俺はシュライグの冒険者となったのだ…素敵すぎる…うへへへ…。

 

 

「ジンさん、コイツ大丈夫か?」

 

 

「そっとしておいてやろう」

 

 

2人がなにやら言っているがそんな事今の俺には何一つとして関係が無かった。

うへへへ、うへへへへへへ。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

「おし、アレンこっち来い、色々説明してやんよ」

 

 

「え、でも自分で調べ「ああん?」…ありがとうございます助かります」

 

 

さっきまでと対応が違いすぎるレベッカさんに戸惑いながらも、レベッカさんの申し出はとてもありがたいことなので、素直に窓口に座る。

後ろにジンさんが控えてる。

 

 

レベッカさんの説明によると

 

 

アンタは今、アラドエル王国の住人となった訳だ。問題なんて起こしたら捕まるからな。ジンさんに迷惑かけるんじゃねーぞ!ね、ジンさん!へへっ

 

 

コホン…冒険者ってのは特殊な…まあ、職業って言って良いな。

ギルドに貼り出される住人やら国やらの依頼、クエストな。コレをこなして報酬を得るのが主な収入源だな。

 

 

アンタは一番下のランクであるFランクスタートだ。

今は受けられるクエストも少ないし貰える報酬も少ねーが、上のランクに昇格すりゃあ受けられるクエストと報酬も多くなる。

まぁ危険度も高くなるから気を付けな。

 

 

んで、プレートを見てみな。わかったから!ヘラヘラすんな!

Fって書いてある下に窪みが3つあるだろう?スターシステムって奴で、星が3つ溜まったら上のランクに昇格出来るからな。

 

 

昇格やらランクやらの詳しい説明はしばらくしたら新人冒険者達を集めた研修があるからそれに参加するといいぜ。

しばらくはジンさんに付いて回ると良い。ゼッテー迷惑かけんなよ!!

 

 

あ、あとアンタまだ定住してる場所ねーんだろ?住む場所決まったらもっかいギルドに来いよな。また書類とか書かねーといけねーんだ。

おすすめはナルベル通りだな。あの辺りは店も多いし治安も良いし家賃も安い。新人冒険者にうってつけだ。

 

 

以上!分かったか?分かったらレベッカ姉さんに感謝しな!

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

「まだ昼か…アレン、早速町を案内しようか」

 

 

「わあい!ジンさんあざーす!」

 

 

「えっ!良いな!アタシも行きた……った!何すんだよマリカ!」

 

 

レベッカさんからの説明も終わり、ジンさんのありがたい申し出に喜んで飛び付いた俺と、これまた付いてこようとしたレベッカさん。

しかし隣のマリカと呼ばれたエルフの女性に頭を叩かれていた。

流石にそれは許されなかったようだ。

 

恨めしそうに俺を睨むレベッカさんを置いて、俺達は町へ繰り出すのだった。

 

 

 

 

 

「はー…改めて凄い人だなぁ!」

 

 

「ここは王都からも近い大きな町だからな。それに今日は休日だ、生徒達が出歩いているのだろう」

 

 

「生徒?学園は王都にあるんじゃ?」

 

 

「王都に有るのはセルフィー学園。この町にはドミオン学園がある。生徒達の中にも冒険者が居てな、王都からこの町にクエストを受けに来るセルフィー学園の生徒も多いから休日は更にギルドが賑わうぞ」

 

 

学園かぁ。俺と同い年くらいの人達が勉強をしに行く施設だったよな。俺の知ってる学園の知識なんてそんなもんだ。

ドライグ国にも学園とか有ったのかな。

 

 

 

「今からレベッカの言っていたナルベル通りへと向かう」

 

 

俺が今は遠き故郷に想いを馳せていると、ジンさんがレベッカさんのおすすめしてくれたナルベルという通りへ案内してくれようとしていた。

 

 

「あ、その前に換金所みたいな所あります?コレなんですけど、見て貰おうと思って」

 

 

俺はジンさんにリュックの中から石を出して見せる。無一文な俺としてはさっさとお金を手に入れたい所。拾った石に価値があるかは分からないけど。

 

 

ジンさんは石を見て頷き、良い所を知っていると進路を変えて歩きだした。

 

 

 

俺達はギルド近くの賑やかな通りから一転、薄暗い路地をジンさんと歩いていく。

すれ違う人達もどこか剣呑な気配を放っている。

 

 

「お前ならば大丈夫だと思うが。まあ、用がない限り近付かん方が良いかもな……ここだ」

 

 

ジンさんが薄暗い路地の中でも一際不気味な雰囲気を放つ扉の前に立つ。

ここがそのお店なのだろうか?看板も何も出ていない。

ジンさんは慣れた様子で扉を開けて入っていく。

 

 

「エリィ、客をつれてきた」

 

 

「おや、ジンじゃないか…久しぶりだねぇ」

 

 

店の中は意外にも綺麗に整頓されていた。

とても薄暗かったが。

棚にはドクロやら、モンスターの標本やら城でも見かけたことが無い用途不明の物だらけで凄く不気味だったが。

 

 

ジンさんにエリィと呼ばれた青い肌の女性。

うぅん?オーガ族なのかな。頭から角が1本生えている。

エリィさんは店のカウンターで寛いだ様子で本を読んでいた。

気付いて居るのか居ないのか。ジンさんに声を掛けられるまで本から顔を上げなかった。

 

 

 

「ジン…君がカイ以外の人と一緒にここに来るのは初めてだね…どちら様かな?」

 

 

「アレンと申します。アレン・ニンバス」

 

 

エリィさんが俺に声をかける。カイというのはジンさんの友人だろうか?

 

 

「よろしくアレン…本日はどのようなご用件で…?」

 

 

「えと……ジンさんにコレを見せたら、良い所を知っていると」

 

 

俺はエリィさんに見えるように魔の森で拾った石をカウンターに置いた。

エリィさんは妖艶な美女というかなんというか。

彼女はゆっくりとした動作で石をつまみ上げ、眺める。

 

 

「これは……ふふ、成る程。コレを売ってくれるのかな…?」

 

 

「は、はい…良ければ、ですけど…」

 

 

この人に見つめられると圧倒されるというか。

この店の雰囲気も相まって彼女の妖しい雰囲気に拍車がかかっている。

 

 

「200万エルでどうかな…?」

 

 

「ひえっ!?そんなに!?」

 

 

「…相変わらず君達は良いモノを連れてくるね…ふふ…確かにこの石の価値は私にしかわからない…」

 

 

「そうか。金はすぐ用意できそうか?アレンはこの町に来たばかりでな。まとまった金が必要なのだが」

 

 

「ふふ…用意するよ」

 

 

 

ええ…あの石にそんな価値があるの…?

俺が唖然としているとジンさんとエリィさんがどんどん話を進めていく。

エリィさんがカウンターの下から箱を取り出してお札を取り出す。あれがこの国の紙幣なのかな。

 

 

「…さあアレン…これで商談成立だ…よいかな?」

 

 

「え、あ、はい。有難うございます…」

 

 

「ふふ…これからもご贔屓に…」

 

 

「世話になったなエリィ。良かったなアレン、行こうか」

 

この国で一年近くは過ごせるくらいの思わぬ収入に未だに唖然としている俺をよそにさっさと外に出ていくジンさんに、石を引き出しに仕舞って話は終わりだと言わんばかりに本を読み始めるエリィさん。

こちらを見ていないエリィさんに一応お辞儀をして、店を出たジンさんを追う。

 

 

 

「…ドライグ国の魔鉱石…ふふ…アレンと言ったねぇ……」

 

 

 

なにやらエリィさんが呟いていたようだが、思わぬ大金を手にした俺には聞こえていなかった。

ドアを閉めるときにエリィさんが俺に笑いかけていた気がするが、薄暗くてよく分からなかった。

 

 

 

 

「さあ、次こそナルベル通りに行こうか」

 

「よろしくお願いします!」

 

薄暗い路地から再び明るい大通りへ。少し眩しくて目を細める。

俺は再びジンさんと共にシュライグの町を歩きだした。

 

 

 

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