アレンの冒険[世界は広いなぁ~]編   作:チョモランマ斉藤

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下からビューン!

 

 

 

この町に着いて2日目の朝を迎えた俺は眠たい目をこすりながら大あくびをする。

昨晩慌てて宿屋の女将さんに手紙の出し方を教わって、夜遅くにドライグ国へ向けて手紙を出すためにずいぶんと走り回った。

 

 

さぁて、今日は朝からジンさんと東ギルドで待ち合わせだったな!

女将さんに挨拶をして宿屋を後にする。

うーん!今日も良い天気だ!

気持ちの良い朝日を体に浴びて、俺は東ギルドへと走り出した。

 

 

 

東ギルドに到着した俺は、朝から賑わう人の多さに相変わらずドギマギしてしまう。

キョロキョロと周りを見渡せば、居た。

 

ジンさんは刀を立て掛けて1人で座っていた。遠くにはレベッカさんがソワソワと髪の毛を弄りながらジンさんを気にしているのが見えた。

 

 

「ジンさんおはようございます!」

 

 

「おはようアレン」

 

 

とても簡単な挨拶を交わし、ジンさんが立ち上がる。

今日は何処へ行くのだろうか?部屋は決まったしお金も預けた。ルナさんとの約束の時間までまだ大分余裕がある。

 

 

「今日はクエストを受けてみようか」

 

 

「クエスト」

 

 

うっひょー!キタよキタキタ。ついに来ました初クエスト!討伐すか!?護衛すか!?何でもござれってなもんですよ!!

一気にテンションの上がった俺はクエストが貼り出されるボードへと向かうジンさんの後ろを小走りで追う。

 

 

ボードは全部で4つあり、左から初級・中級・上級・緊急と分かれているとジンさんが教えてくれた。

初級ボードの前でジンさんがクエストを吟味している。

他の人が何個かクエストを受注したのか、ボードに規則正しく並んだクエスト用紙が所々剥がされていた。

 

 

チラリと隣を見れば、他の冒険者もクエストを吟味している。彼らはみんな俺よりランクが上なのだろう。先輩って奴か!

 

 

「コレにしようか」

 

 

 

俺が先輩冒険者を観察していると、ジンさんがボードから1つのクエスト用紙を手に取った。

そのまま窓口へ向かうのかな?と思えばさっきまで座っていた場所へ向かう。首を傾げてジンさんの後を追う。

 

 

あ、説明してくれるのか。そうだった。俺は字が読めなかった。

ジンさんからの説明によると

 

 

いいかアレン。クエストを受ける際はボードに貼り付けられたクエスト用紙を持って窓口へ向かう。

クエスト受注には条件があり、必要な人数が指定されている場合もあるから気を付けろ。

この用紙の、この部分だ。数字は分かるな?

 

 

この上に文字が書かれているだろう?これが受けられるランクを示している。

今回受けたのはFランクのクエスト…ここだ。

ソロだと自分のランク以上のクエストは受けられないからな。

上のランクを受けたくなったら俺に声をかけるといい、Dランクまでなら俺と同行という形でクエストを受注できる。

この場合は人数も気にするな。レベッカが融通を効かせてくれる。

 

 

それから、このマーク。採取系なのか討伐系なのか護衛系なのか。クエストの種類が記されている。

今回は採取系だ。西区の農耕地帯へ向かう。

モンスターの討伐の場合はモンスターのイラストが書かれているが、Fランクじゃ討伐クエストは殆ど受けられない。護衛もな。

 

 

ここには受けたクエストの報酬金が書かれている。

今回は…そうだな。半日で4000エルだな。

依頼人の意にそぐわない結果に終わればクエスト失敗として報酬金は出ないのでこれも注意だ。

 

 

大体こんな感じか。近々研修があると言っていたな。それに参加すると良い。

冒険者としての基礎を教えてくれるはずだ。

俺か?俺は行かなかった。

 

 

 

俺はジンさんの説明を受けて少し落胆する。

そっか。一番下のランクだと受けられるクエストも少ないのか…まあ、実績もなにもない新人に討伐やら護衛やらは任せられないもんな。

ランクを上げるのを頑張ろう!

 

 

 

説明を終えたジンさんが今度こそ窓口へと向かう。

ジンさんは採取系と言っていたが、初クエストな事には違いない。

俺はウキウキしながら付いていく。

 

 

 

うーん。相変わらずレベッカさんの担当する窓口は空いているなぁ。

流石に時間帯もあるのだろう、レベッカさんの前にも冒険者が隣ほどではないが列を作っていた。

 

 

あ、俺達の番になったらめちゃくちゃ丁寧に座り直した。

 

 

「おはよ!ジンさん!あとアレンも」

 

 

いや温度差ァ!

ジンさんとレベッカさんの元へ行くと前の冒険者との扱いの差が凄い。

さっきまでニコリともせずに淡々としていたのに。

ジンさんに花の咲くような笑顔で挨拶をしている。俺には凄く適当だけど。

 

 

「おはよう、レベッカ。よろしく頼む」

 

 

「あいよ!」

 

 

うーん元気な返事。

ニコニコと嬉しそうにジンさんとやり取りをしている。

さっきまで無表情で対応していたのが嘘のようだ。

 

 

「西区の農耕地の手伝いクエストだな!アレンは初クエストか、ジンさんに迷惑かけんなよ!」

 

 

がんばれよ!

なんて、そんなレベッカさんの応援に力強く頷く。

さあ!初クエストだ!

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

ジンさんと2人、サイズの小さいバスに乗って西区の農耕地へたどり着いた俺の前に、真っ青な空の下、一面の畑が出迎えてくれた。

ふわぁ、でっかい。

西区は工業地帯と聞いていたが。なるほど、農業も西区で行ってるのか。

 

 

 

住宅街から離れたどこか牧歌的なエリア、そこを2人で歩いていると

畑の近くに民家が見える。

おじいさんが1人で農機具の準備をしていた。あの人が依頼人かな?

 

ジンさんと依頼人であるおじいさんの元へ向かう。

 

 

「すまんね、うちの倅が腰をイワしちまったみたいでな、2~3日でこの畑を耕さにゃならんのだが、ワシ1人ではどうもな。そこでお前さん等に頼んだ訳だ。早く来てくれて助かるよ」

 

 

どうやら急ぎの依頼だったようだ。西区はモンスターの討伐が主に貼り出されるため、手伝い系のクエストは見向きもされないらしい。

だから東区に回ってきたのかな?

 

 

なにはともあれ。

目の前には、広大な畑。

この場所を、2人で……?

 

 

ジンさんを見ると、上着を脱いで腕まくり。

早速仕事に取りかかろうとしていた。

なんというか…似合わない。

この人はモンスター相手に戦っている姿がとても似合っている気がする。

 

 

「さ、やろうか。アレン」

 

 

おじいさんから麦わら帽子を借りたであろうジンさんが帽子をかぶってそんな事を言う。うーん……。

 

 

「はっはっは、お前さん麦わら帽子似合わんなぁ!」

 

 

「はわわ!おじいさんシー!シー!いやっジンさん!似合ってるよ!そんな落ち込まないで!さあおじいさん俺にも帽子を貸しておくれよ!よっしゃあジンさん耕そう!耕しまくろう!」

 

 

 

少しテンションの下がったジンさんと、俺のフォローなんて無視して未だに大笑いしている依頼人のおじいさん。

おじいさんから道具を借りて、俺達は広大な畑へと立ち向かう。

 

 

よっしゃあ!やったるぜー!!………大丈夫だからジンさん!!似合ってるって!!

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

「おーい!そろそろ休憩にしようかぁー!」

 

 

俺とジンさんで畑を耕していると、おじいさんが俺達に声をかける。

時間は何時くらいだろうか。太陽がずいぶんと高いところにある。

ジンさんは慣れているのか黙々と畑を耕していたが、俺は初体験。初めての鍬にとても苦労していた。

終わってみればジンさん6割俺4割と、ジンさんの半分も畑を耕すことが出来なかった。

 

 

体力に自信はあったんだけど、とても疲れた。

おじいさんの言葉はすごくありがたい。後半から魔力で体を強化しながらなんとか午前中の仕事を終えた。

 

 

「おつかれさん!いやぁ若い2人に来てもらって助かった。この分じゃ予定よりもかなり早く終わりそうだ」

 

 

おじいさんの家に招かれて、食事をごちそうになる。

うーん!仕事の後のご飯はとても美味しい!

俺が出された食事を食べていると俺の食べっぷりに気を良くしたのか、もっと食えとおじいさんが料理を沢山出してくれた。

 

 

 

「あの畑は何を作る予定なんだい?」

 

 

「ジャギーモという芋だよ。ワシの畑では芋やらデーコンやらの根菜をつくっとるんだ」

 

 

ふぅん。そうなのかぁ。

 

 

「昼からは何を?」

 

 

食事を終えたジンさんがおじいさんに聞く。

そうだなぁ。とおじいさん。

 

 

予定よりも早く耕し終わったので、次からは畑全体に肥料を撒いていくのだという。

それが終われば種まきなのだが、それは後日息子さんと2人でやるらしい。

 

 

ということは、後は肥料を撒いたらクエストは達成なのかな?

おじいさんの家でしばらく休憩してから、俺達は再び畑へと向かった。

ジンさんの麦わら帽子も見慣れたものさ。

 

 

 

「ありがとよ」

 

 

「んん?どうしたんだい?」

 

 

「西区じゃ武器や魔道具ばっかりに目が向けられて農業の方は依頼を出してもなかなか受理されることがなくてな。大体は家族で作業をしてるんだが、こうしてお前さん達が来てくれて本当に助かったよ」

 

 

おじいさんと一緒に肥料を畑に撒いていると、おじいさんから感謝の言葉。

おじいさんは2~3日でこの畑を耕したかったそうだが、間に合わなかったらどうしていたのだろうか。

危険度の無いクエストとはいえ、やりたいかどうかと言われれば…うーん。

もし俺に字が読めて、ジンさんが居なかったらこのクエストは受けなかったかも知れない。

 

 

だけどまあ、こうして感謝されるのならば、やってよかったと心から思える。

 

 

「さ!あともうひとふんばり!頑張っていこうかの!」

 

 

「おっしゃー!」

 

 

おじいさんと俺とで、2人して畑に肥料を撒いていくのだった。

 

 

 

 

全ての作業が終わり、おじいさんが言うように予定よりも早く終わった俺達は帰宅の準備をする。

おじいさんがシャワーを貸してくれたので、俺とジンさんが交互に入る。

うーん!気持ちいい!!

 

 

とてもさっぱりした俺が部屋に戻ると、ジンさんとおじいさんが待っていた。

?…どうしたんだろう?

 

 

「アレン、今回のクエストは達成だ。報酬金はお前が受け取ると良い」

 

「えっ!でもジンさんの方が働いていたし…」

 

「なに、あの程度。お前の初クエスト達成の祝いだ。待たせると悪いぞ」

 

 

そんな事をいってさっさと外へ出て行ってしまうジンさん。

俺が戸惑っていると、おじいさんが「なんだ、初クエストだったのか?これからがんばれよ!」なんて報酬金を渡してきた。

 

 

きっちり4000エルある。

自分で働いて、自分で得た報酬。

エリィさんの店で手に入れた200万エルよりも俺にはよっぽど価値があるように思えた。

 

 

言い知れない感動にうち震えている俺を、おじいさんがとても気持ちのよい笑顔で見ていた。

 

 

 

俺はおじいさんから受け取ったお金を懐にしまって、2人して来た道をもどる。

これにて初クエスト完了!俺は冒険者としてのスタートを晴れやかな気持ちで終えたのだった。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

「お!戻ってきたな!おつかれ!……なんだよニヤニヤしてからに…ジンさん、アレンの奴どうしたんだ?」

 

 

「なに、初クエストを終えたんだ、そんな顔にもなるさ」

 

 

 

東ギルドに戻り、クエスト完了の報告をしに来た俺とジンさんを見てレベッカさんが言う。

む。ニヤニヤしてたかな、してたかも。だって嬉しいもの!

 

 

「ふぅん?…これからどうする?またクエスト受けるかい?」

 

 

「いや、夕方に少しアレンと用事があってな」

 

 

「そっかぁ…あー。明日にゃ学園かぁ。なぁジンさんも南区のクエスト受けてくれよー」

 

 

とレベッカさん。窓口でおもいっきり伸びている。

なるほど、レベッカさんは生徒さんなのね。

休日を利用してギルドの窓口で働いているのか。

しかし生徒ではない俺達は学園街である南区でクエストを受けられるものなのかな?

ジンさんの反応を見る限りでは、無理そうだ。

 

 

「良い時間だな。アパートへ行ってみよう」

 

 

「おっす!それじゃあレベッカさん!おつかれさまです!」

 

 

おーう。と手を振るレベッカさんと別れて、俺達は再びあのバケモノが住むアパートへと向かう。

俺以外の2人の住人も気になるところだ。

だってバケモノ住んでるんだぜ?どんな人達なんだろうか。

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

「あ!来た来た!もう!遅いよ2人とも!あ!でも夕方としかいってなかったね!あはは!」

 

 

アパートに着くとルナさんが既に来ていた。

元気な人だなぁ。

これが言っていた家具なのかな?

ルナさんがソファーやら机やら一通り生活に必要な家具を準備してアパートの下で待機していた。

 

 

「ルナさんこんにちは。コレ貰っちゃって良いのかい?」

 

 

「はーい!こんちわ!貰っちゃって貰っちゃって!ドワーフの同級生が暇を持て余して作った家具なんだ!」

 

 

暇を持て余して作ったにしてはクオリティが随分と高いなぁ。

ソファーとか暇だからって作るものなのかな?

なんにせよ、ありがたい。

さっさと部屋へ運んでしまおう。

 

 

「鍵は開いているから、手分けして運ぼっか!」

 

 

「はーい」

 

 

「アレン、俺が上に行くから下から投げてくれ」

 

 

「おーす!」

 

 

「えっ」

 

 

なるほど、それなら階段とか昇らなくて良いから効率が良いな!流石ジンさん。頼りになるぜ!

さて、部屋は2階だったな。

 

ジンさんが部屋の前へとジャンプする。

そんなジンさんにビックリしているルナさん。

 

 

「えっ」

 

 

「ジンさん行くよー!」

 

 

「ああ」

 

 

俺はソファーを抱えて、ジンさんがいる所へとぶん投げる。

ジンさんがそれを難なくキャッチして、部屋の中へと運んでいく。

 

 

「えっ」

 

 

「次は机ねー!」

 

 

「ああ」

 

 

?ルナさんがなにやら驚いているが、どうしたんだろうか。

まあ良いや、さっさと終わらせないと日がくれちゃうな。

俺は次々と家具をジンさんに向かって投げ、それを危なげなくキャッチして次々と部屋へ運んでいくジンさん。

 

 

放心しているルナさんを余所に、下に置いてあった家具は全て部屋の中へと運び込まれたのだった。

 

 

「ふー。終わった終わった!…どしたん?ルナさん」

 

 

「えっ!?……終わったの!?」

 

 

「?うん、後は俺が家具の位置とか整えるだけだね」

 

 

「えと……そっか!うん!仕事早いね!あはは!」

 

 

なにやらどうでもよくなったようなルナさんと2階に上がって、3人で家具を配置する

助かるなぁ!ルナさんもジンさんもとても良くしてくれる。

ジンさんに至っては別にこんな作業しなくても良いのに、当たり前のように手伝ってくれる。

初日に出会ったのがジンさんで本当に良かった。

あ。そうだ!

 

 

「2人共手伝ってくれてありがとう!お礼にご飯をご馳走したいんだけど、どうかな?」

 

 

「ああ、良いのか?」

 

 

「わあ!ありがとうアレン君!」

 

 

俺の提案に2人とも喜んでくれた。

とはいえこの町のご飯屋さんは不動産屋さんから教えてもらったご飯屋さんしか知らないのだが。

さてどうしたものかと悩んでいると、ルナさんが東区のギルドで食事をしてみたいと言い出した。

 

 

なんでも、東区のギルドはあまり行かないみたいで、とても気になっていたのだという。

ジンさんもそれで大丈夫だと言っていたし、もちろん俺としても断る理由がない。

作業を手伝ってくれた2人にご馳走するために、再び東ギルドへと戻っていく俺達だった。

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

時刻は夕方が過ぎて夜といっても差し支えない時間帯。

ギルド内は食事をしている人で賑わっていた。

あれま、座れるかしら。

 

 

 

「あ!ジンさん!………おいアレンちょっとこっち来いや」

 

 

「?なんだいレベッカさん」

 

 

賑わうギルドで俺達が座る場所を探していると、仕事終わりであろうレベッカさんに出会った。

俺達を見つけて、というかジンさんを見て嬉しそうにしたあと、顔が強張った。

そんな様子のレベッカさんに俺が首をかしげていると、チョイチョイとレベッカさんが俺に向かって手招きする。

近付いたら肩を勢い良く組まれた。そして小声で

 

 

「あの女ダレよ」

 

 

「え?ルナさんかい?ルナさんは俺の住む所の大家さんだよ。今日色々お世話になったから、食事をご馳走しようと思って」

 

 

「ジンさんもか」

 

 

「もちろんさ。ジンさんが一番手伝ってくれたんだから」

 

 

「アタシだってまだジンさんと飯行ったことないんだぜ」

 

 

「それは知らない」

 

 

「アレン、アレン、アレンよ」

 

 

「なんだい?」

 

 

「アタシだってアンタに色々教えてやったろ?そんなアタシは誘わなくて良いのか?アンタはそんな冷たい奴なのか?どうなんだよ、どうなんだよアレン?ええ?おい」

 

 

ぎゅうぎゅうとレベッカさんが肩に回した手に力を込める。痛い。

そんなレベッカさんの小声にあわせてつい俺も小声になってしまう。

 

う。確かにそうかもしれない。最初こそどうかと思ったが、後半はとても丁寧に教えてくれた…気がする。

 

 

「確かにそうだね!レベッカさんも…

「いやしょーがねぇな!お世話んなったレベッカ姉さんにもご馳走したいって!?ったくしょーがねー!行ってやるよアレン!」…うん」

 

 

レベッカさんがご機嫌に笑って俺の背中をバシバシ叩く。だから痛いて!

 

 

結局4人での食事となった俺達はなんとか空いてる席を見つけて、今日一日を振り替えるのだった。

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

「へー。アンタもドミオン学園の生徒なんか」

 

 

「うん!レベッカちゃんも?」

 

 

「あー、一応な。歳は?」

 

 

「19!」

 

 

「同い年かよ」

 

 

一通り食事を楽しんだ後に、まったりとした時間が流れる。レベッカさんはジンさんの隣に座ってずっとニコニコしていたし、ルナさんも美味しそうにご飯を食べていた。

ジンさんは淡々と食事をしていたけど。

女性陣の会話を聞きながら改めてジンさんにお礼を言う。

 

 

「ジンさん、今日は一日ありがとう!とても良い経験になったよ!」

 

 

「ああ、そう言って貰えてなによりだ」

 

 

「あ!そういえばアレン君も冒険者だったよね!今日が初クエスト?」

 

 

「うん。今日はジンさんと畑を耕したんだ!」

 

 

「迷惑かけなかったかよ」

 

 

「大丈夫だよ!……大丈夫だったよね?」

 

 

「ああ、とても良く働いていた」

 

 

へっへっへ。

やはりジンさんに誉められると嬉しい。

 

 

「あんな風に人から感謝されるのが冒険者なんだね」

 

 

「まあ、基本的にはな。だが失敗すれば依頼人は怒るし、中には変な依頼人だっている。ギルドの方でそういった人物はある程度弾いているようだが、コレばかりは実際にやってみないとわからない」

 

 

「そうなんだ…そういえば、期限までに受ける人が居なかったクエストってどうなるの?レベッカさん」

 

 

「あ?そーだな、こんだけ人が居りゃあ大体は期限前にクエストが受注されるが、中には期限間近になっても終わってないクエストもある、そん時はギルドの職員が行ったり、手の空いてる門番が行ったりするが……最近はもっぱらジンさんがやってくれんだよ」

 

 

「ジンさんが?」

 

 

「ああ。優先して期限の近いクエストやら誰もやらねーようなクエストを受けてくれてなぁ…めっちゃ助かってんだよ」

 

 

「すごーい!だからあんなに力持ちだったのかな!?違うか!あはは!でもでもレベッカちゃん2人とも凄いんだよ!家具をビューンて!下からビューンて!」

 

 

興奮した様子のルナさんに何を言っているんだコイツはといった顔のレベッカさん。

しかし、そうなのか。ジンさんが…。

なぜだろう?とても強いのに。他の冒険者と一緒にクエストに行ったわけではないけれど、なんとなく感じる。

 

 

この人は、違うと。

カーチャンや姉達と同じような高みに居る人物。

それがジンさんなのだと思う。

ランクはDだと言っていたが…。

 

 

「アレン、俺にはジャギーモやデーコンは作れない」

 

 

「?」

 

 

不意に話し始めたジンさんに3人とも自然と耳を傾ける。

 

 

「だが、ジャギーモやデーコンを作れる人の力になることは出来る。家具を作れはしないが、家具を作れる人の力にはなれる。モンスターの脅威から人を守る事は出来る。だが、武具や魔道具は作れない」

 

 

「…うん」

 

 

「俺はな、アレンよ…その……なんだ………俺は何が言いたいんだ?」

 

 

「はえ?」

 

 

静かに語っていたジンさんが突然俺達にに聞いてくる。腕を組んで首を傾げるジンさん。

そのあまりにもギャップのあるジンさんの様子にずっこけるルナさんと俺。

何故かレベッカさんだけは頬を染めてジンさんを見つめていたが。

復活したルナさんも大笑いだ。

 

 

こ…この人は…!

銀髪に眼帯、鋭い眼差しですこし怖い印象を与えるが、付き合いは良いし面倒見も良い。

麦わら帽子が似合ってなくて落ち込んだりもする…!

そんなジンさんは…実はとてもお茶目な人なのかも知れない……!

 

 

 

「相変わらずとんちんかんなこと言ってんなぁ、ジン」

 

 

俺がジンさんに別の意味で戦慄していると、1人の男性が俺達に声をかけてきた。

ワイルドな印象の、黒髪の男性。

 

 

「あ!カイさん!王都から戻ってきたのかよ!」

 

 

「おーうレベッカ!相変わらず口悪いなお前!」

 

 

「やめろやめろ!頭触んなボケェ!ぶっとばすぞ!」

 

 

「え、怖い。ごめんなさい」

 

 

レベッカさんに怒鳴られてシュンとしているカイと呼ばれる男性。

彼がエリィさんが言っていたジンさんの友人?なのだろうか。

 

 

「なんだよーそんなに怒らなくって良いじゃんよー……さて、お前がアレンだな?珍しくジンが面白い奴が居ると言っていたが…俺はカイだ、よろしくな!」

 

 

「私ルナだよ!アレン君はこっち!」

 

 

「あれぇ!?ゴメン!もう一回最初からやって良いかな!?」

 

 

 

なんだなんだこの騒がしい人は。

こうして、俺はカイさんに出会った。

 

 

 

 

 

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