3653日の記憶   作:おみのSS部屋

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第1話

高校の受験が終わったあの日、僕は事故に遭った。

その事故から7年経った日、僕は白紙の手紙を送った。

そこには何も書かれていない。いや、何を書くか忘れたというべきなのか。

これは、数年前に事故で記憶を失った僕、諒也とその幼馴染、美帆の物語……

 

ー--------------------------------

 

午前7時、僕は目が覚めた。

そこには、昨日書こうと思っていた白紙の紙とボールペンが置かれていた。

 

「あれ?なんて書こうとしたんだっけ?」

 

僕は駿。事故で数年前に過去の記憶をなくした大学生。

元は東北に住んでいたけど、今は上京して神奈川に住んでいて、今日は就活の面接の日だった。

そんな大事な日を前に、書くことを忘れるなんて本当にやっていいことなのか?

僕はそんなことを思いつつ朝ご飯を食べる。

朝はご飯というよりパン派だ。なぜなら簡単にできるから。

今日もいつものルーティーンを崩さず、家を出た。

面接は9時からと少し早いが、面接が終われば今日はオフにしている。

なぜなら今日は土曜日だから。

本来、土曜日は休みだが、3連休ということもあって今日が面接になったとか。

とはいっても、僕は7年前から先の過去の記憶を失っている。

というより、今も後遺症に苦しんでいて、大学でのこともまともに覚えていない。

それでも、この面接を受けるまで、努力をしていた結晶だけは持っていたことは確かだった。

その確かな自信をもって、僕は白紙の手紙をポストに入れて、面接を受けた。

 

―3時間後―

 

面接が終わり、時刻はお昼ごろになっていた。とはいっても、記憶を失ってから友達との楽しみ方がわからなくなっていた僕にとって、これから何をしたらいいのかとかはわからなかった。

現に、半分記憶障害になっているから、大学の同じ学部の顔と名前がいまだに一致していない。

だから、周りの人からも少し距離を遠ざけていた。

そう、彼女を除いては。

 

―7年前-

 

「諒也!大丈夫?」

 

「諒也?それって僕の名前?」

 

「そうだよ。何寝ぼけてるの?」

 

「え?寝ぼけてなんかないよ?」

 

「それって……」

 

ー---------------------------

 

今、彼女は何をしているのかな。

きっとこんな僕よりは裕福な生活を送っているに違いないのだろうな。

なんであの時僕が事故に遭ったのだろう。

自分を責めることしかできなくなっていた。

そんな自責にかられながら一人寂しく家に帰った。

 

ー数日後-

 

僕は毎週1回ポストを見ている。

なぜなら僕と関わる人は少ないし、別にポストにろくなものが入っていないから。

たいていの広告は捨てるし、人からの手紙も来ない。

そんなことを思いながら除くと、この前美帆に送った白紙の手紙が返ってきた。

僕はその手紙を開ける。

 

 

 

おはよう。元気にしてた?

でも諒也はいつも元気に学校来てたから大学でも元気だと思うけどね。

あの事故があった日、私は信じられないくらいショックを受けたんだ。

諒也が記憶を失ってて記憶障害になっていることなんて思いもしなかったから。

それでも、今元気にいてくれていることが何よりうれしいけど。

覚えているかな、7年前の話。

中学を卒業する前の高校受験の日に事故に遭って卒業式に出席できずにクラスの皆が悲しんでいたこと。

そして、私と諒也が同じ高校に受かってたけど、その喜びを分かち合えなかったこと。

諒也は感情があまり揺れ動かないタイプだけど、どんな感じで喜んでいるのか見てみたかったな。

きっと、うれしかったに違いないよね?

わたしは、あの時はすごく悲しかった。

第一志望に合格できたことも、諒也と同じ高校になれたことよりも、悲しかった。

なぜなら、諒也と気持ちを共有できなかったから。

それでも、うれしかったけどね。

当時、諒也はどんなことを思ってたのか、また聞きたいな。

 

P.S. 卒業式の日、諒也と部活の後輩たちも悲しんでたよ。

 

 

 

 

最後の一言で僕の記憶は少しよみがえる。

後輩たちにも悲しい思いをさせてしまってたっけ?

それすらわからないし、今更わかりたくもない。

それでも、彼女がこれだけ心配してくれていたことには何か見覚えがあった。

それと同時に、僕は彼女のようにはなれないんだなということを悟った。

また彼女に白紙の手紙を送ることにした。

そしたら今度は何が書かれているのか……

その続きが気になって仕方がない。

それでも、彼女が元気なことがまずは何よりだった。

 

そんなことを思いつつ、僕は面接の結果を見た。

結果はダメだった。

まあ、倍率は毎年高い会社だから多少は仕方ないと思っていた。

それでも、少しだけ記憶が戻った気がするのは気のせいか。

いや、きっと気のせいだ。

僕はその日の夜、ゆっくり目を閉じ、過去の自分について考えてみることにした。

 

 

 




みなさんこんにちは。執筆者のおみです。
この度は「3653日の記憶 第1話」を読んでいただきありがとうございます。
かつては二次創作を書いていましたが、今回は完全オリジナルストーリーとなっています。
原作等ございませんので、気軽に見ていただけるのではないかなと思います。
執筆能力はそこまで高くないですが、完結させていきたいと思いますので、是非最後まで応援してくださるとうれしいです。
文字数は2500字以内を考えています。(あまり長いと読んでいる人も疲れると思いますので)
是非読んでくださるとうれしいです。
それでは次話もお楽しみに
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