異世界より”超高校級”が参戦するようですよ!   作:ヤッサイモッサイ

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もはや語るべき言葉もありませんが生存報告。
思い出したかのように続きを書いてはやめてを繰り返して、何を書こうとしていたのかもはやという感じですが、まぁ元々まともな構想も構築力も文章力もねぇんだ気にすんなという勢いで書きました。
例に漏れず番外編ですが、ジャブ程度に見てくださいな。


番外 黒く泣く少女へ、幸運は舞い降りる

─────。

 

 

 

──────────。

 

 

 

「アハハ、すごいな.......これが異世界か」

 

月面。荒れ狂い、吹き荒んだ紛うことなき死の荒野にて、少年が1人倒れている。

 

────否、一人ではない。その傍らには少年と同じ歳の頃と思わしき少女も伏せっていた。

 

「久遠さんは.......のびちゃってるか、ずいぶん遠くまで飛ばされたみたいだね」

 

ハハッ、月で遭難とは.......僕もほとほと運が無い。

故に不運ではなく、無運という。

 

「いや、異世界に来てもなお異星に飛ばされるなんて経験をして、それは違うか。月面旅行なんて人類の夢だからね」

 

夢、言い換えれば希望。

あぁ、なんて素晴らしい響きだろうか。宝くじが当たるよりもなお少ない可能性を引き当てて腐れるほど、僕は幸せじゃない。

 

「とはいえ、遭難したこともまた事実……か。超高校級の宇宙飛行士なんて存在が居たとすれば頼もしかったのかもしれないけど」

 

残念ながら僕の才能はそれじゃない。その程度のものでこの状況を打破出来るとは思えないけど

 

まぁ、打破できると思って行動するしかないか。

 

「ねぇ、君もそう思うでしょ───黒死斑の魔王様」

 

地球の6分の1。月面における星の引力の話は有名だろう。

だからといって静かに宙に漂う姿に現実味は追い付かない。

なんというファンタジー、空想科学なんてものでも勉強しておけばよかっただろうか。

 

「妄言、虚言、狂言…初めは面白いとも思ったけど、流石にここまで続けられるとうんざりだわ」

「心外だな、僕が口にするのは常にひとつ。希望という金言のみだよ」

「ほざけ道化」

 

酷いなぁ。まぁ金は金でも貧金に違いないけども。鍍金よりも薄っぺらな僕にはお似合いだよね。

収束する黒死の風、空に描き出されるその影は、大地より逆上がる月光をものともせずに踊り狂う。

 

「月の兎とは言えども、天から地を見上げるばかりのお月様じゃ、その膝下までは見えないよね」

 

超高校級の幸運…僕の身に宿る所詮は小さな才能。他の3人とは違い、僕のこれはギフトとは言えない。

 

 

 

 

 

 

けれど、僕のギフトはそこから形作られる。

 

「セピア色より淡きその憧憬《ノーバデイズ・クラッキングオフホワイト》━━━それが僕のギフトだ」

“影は消滅する”。突き出した腕の先で、そんな超常現象を目の当たりにした少女は目を剥いた。なにかの干渉を受けた感触すらなく、自身が掌握している力がそのままどこかへと消えてしまったのだからさもありなん。

 

「逆算する幸運、とでも言おうかな。超高校級の幸運である僕にとって奇跡は当たり前の事なんだ」

 

宝くじが当たるとわかっていたら、家を買うかな、仕事に着くかな、勉強をする必要があるのかな。

そうだとも、幸運が起きるとわかっていれば人の行動は変化する。不確定要素に備えるのが凡人なら、確定要素にこそ備えるのが僕なのだ。

 

「だから僕は幸運ありきの行動をする。人はそれを未来予知とでも思うのかもしれないけど違うんだよ。僕にだって誰を殺したかったのか分かりはしないんだから。でもその毒は確かに僕が殺してほしかった誰かの手に渡ったはずなんだ」

 

つまり、それこそが逆算する幸運の正体。

僕が思い描いた理想の通りに、未来が当てはまる。

未来予知ならぬ未来確信のギフト。

 

「この世に灰色の事実なんて存在しない。全ては黒か白かハッキリした確定事項なのさ」

 

それがどちらであるのか、僕が知る必要は無い。僕自身が選ばずとも、才能が僕の都合のいいほうを選んでくれる。

 

「君の黒は、僕の白に飲まれて消えた。この先何度打っても結果は変わらないよ」

 

未来の黒も全て、既に白色に塗り潰した後だ。

非現実的な世界にふさわしい理不尽な能力さ、全くもって摩訶不思議…

 

「━━━意味不明よ」

「わからなくてもいいよ、そこが君の底だったっていう話だからさ」

 

そうとも、僕にも意味は分からなかった。果たして何故僕の幸運はギフトではなく、他の3人の能力、個性、技能はギフトとして処理されたのか。

こちらの世界に来て学んだことは、ギフトとは必ずしも希望とは結びつかないこと、つまりは才能とは限らないということだ。

 

人々を、世を、より良く、美しく、活発に

、そんな希望足りうるギフトというのはその実そう多くもない。何よりもそれは使う本人の資質に由来するところが大き過ぎた。それでは絶対的な希望にはなり得ない。

 

だから、考え続けた。

 

「言葉遊びは飽き飽きだって言ったでしょう?ギフトが効かないのなら、拳を交わせばいい事じゃない」

「そうだね、拳を躱そう」

 

とはいえ避けるのは僕ではなく、拳の方だけどね。

不可解な軌道で攻撃がズレる。僕も魔王も微動だにしないままに、座標がズレたかのように未来は確定した。

 

「━━━ッ!」

 

僕以上に 戦闘経験もあまり無いだろうに、躱された直後には二撃目が、三撃目が、四撃目が、あぁ面倒臭い。こんな存在には言葉が勿体無い。ちょうど飽き飽きだと言われたところだし、ここらで在庫処分と行こう。

 

 

 

 

 

━━━拳が拳が拳が拳が拳が拳が拳が拳が拳が拳が拳が拳が拳が拳が拳が拳が拳が拳が拳が拳が拳が拳が拳が拳が拳が拳が拳が拳が拳が拳が拳が拳が拳が拳が拳が拳が拳が拳が拳が拳が拳が拳が拳が拳が拳が拳が拳が拳が拳が拳が拳が拳が拳が拳が拳が拳が拳が拳が拳が拳が拳が拳が拳が拳が拳が拳が拳が拳が拳が拳が拳が拳が拳が拳が拳が拳が拳が拳が拳が拳が拳が拳が拳が拳が拳が拳が拳が拳が拳が拳が拳が拳が拳が拳が拳が拳が拳が拳が拳が拳が拳が拳が拳が拳が拳が拳が拳が拳が拳が拳が拳が拳が拳が拳が拳が拳が拳が拳が拳が拳が拳が拳が拳が拳が拳が拳が拳が拳が拳が拳が拳が拳が拳が拳が拳が拳が拳が拳が通り過ぎていく。

 

 

 

「何なのよッ!?」

「さァ、地軸でもズレたのかな」

「ズレるわけないでしょう!?月なのよココ!」

 

さてどうだろう。現実で天変地異がその様にして扱われるのは、それを起こせる存在が実在しないからだ。

例えば実際に神様が居たとして、神さまが怒って雷が落ちるのであればそれは果たしてそんなに珍しい事だろうか?

巨人が寝返りを打って地震が起きるのだとすれば、それは本当に稀なことだろうか?

 

少なくとも僕が行動を共にしている少年は、その身一つで地殻変動を起こせる。

少女が無数の拳を打ち出してきたように、それ以下の労力でそれ程の現象が巻き起こるのだ。

 

「だからさ、解るかな。月で、100万回地軸がズレるくらいは、今の僕にとっては幸運でもなんでもないことなんだ」

 

そしてね、拳の雨あられのプレゼントをありがとう。

お礼に僕ももう1つ見せて上げるよ。

 

「そんな何でもない幸運によって未来が確定するという事は、例えばそれをずっと前に確定していたらどうなると思う?」

 

“例えば気まぐれな風が、僕ではなく他の誰かに当たった”

そんな風にあの時未来を確定していたとしたら━━━

“例えば空を切った無数の魔王の拳が、ひと握りの風を巨大な嵐へと押し上げていた”

そんな風に今未来を繋げたとしたら━━━

 

「さぁ、月にも風が吹くよ。それも黒い風がね」

 

未来を確定するということは、未来の自分の現在を確定するということ。

蝶の羽ばたきで竜巻が起こせるのなら、神と巨人が実在するこの世界において、世界なんて

 

「おかえり、黒死斑の魔王。ちょうど今君のいるそこが、一番最初に僕が居た座標だよ」

「だから、それがなんだって…ァ?」

 

簡単に滅ぶのさ。

幸運が織り成した終末の光景、それは天より巻降りる黒死の渦。

 

「ダメじゃないか、僕の虚言(きぼう)に耳を貸したら。僕のそれは幸運にも実現するんだからさ」

 

痛いけな少女が嵐に呑まれる。生まれた場所へと還っていく。

 

僕はそれを見送ること無く、背を向けた。

 

きっと僕にはそれを見届ける資格なんて存在しないのだから。

僕の瞳は、希望を見ることにしか、使えないのだから。

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