ンバァアアアアアア...パアアアアアン...
ダイヤ「今宵も多いですわね、ルビィ」
ルビィ「うゆ、そうだね...今夜の走り屋さん達はどう思う?おねいちゃあ」
ダイヤ「そうですわね、有名な言葉を借りるならば…」
「ジャリぞろい、ですわね」
ギャラリー1「おい、見ろよあれ!ジュエリーシスターズのセンチュリーじゃないのか!?」
ギャラリー2「すげぇ...沼津の峠を制覇した伝説の走り屋、ジュエリーシスターズだ...」
ガヤガヤガヤ...
ダイヤ「さ、着きましたわよルビィ」
ルビィ「おねいちゃあ、運転ありがとう!」
ギャラリー「うわぁ、スゲェ美人...あんななのにドラテクも一級品だなんて信じらんねぇよ!」
ルビィ「暇つぶしに来てみたけど、やっぱりめぼしい走り屋さんはいないね」
ダイヤ「そうですわね、いつ来ても全く変わり映えしませんわ。まぁ、その方がかえって落ち着くのですがね。」
今の私を満たしてくれる物はこの峠にはない。
それが分かっていてもここへ来てしまうのは、憂さ晴らしなのか、輝きを追いかけていたあの時の気持ちを忘れたくないからなのか...
今の私にはそれを確かめる術など、持ち合わせていない。ただ、騒がしくこだまするエキゾースト音と、流れ去っていくテールライトを眺めながら、私は3年前を思い出していた。
3年前、私は友人たちとあるひとつの輝きを追い求めていました。
ラブライブ。学生がユニットを組み、アイドルとして活動するスクールアイドルの頂点を決める大会。私達はその頂点の輝きを目指して、日々切磋琢磨していました。
ですが私達は結果として、ステージの上で歌えませんでした。いえ、歌いませんでした。怪我をしても、自分の未来の可能性を捨ててでもラブライブに挑もうとする友人を見ていられなかったから。
しかしそれが原因で私達はすれ違いを起こし、ユニットは解散になりました。
私は、自分の全てを投げ打って挑んでも叶わない夢、届かない場所があることを知り、そこへ挑むことの虚しさを感じました。程なくして、私は無免許で車に乗るようになりました。自暴自棄になっていました。この虚しさを忘れられるなら、どんな事だってすると...
ルビィ「おねいちゃあ、そろそろ帰ろ?これ以上はここにいても何もないよ。」
ダイヤ「ここへ来てもう2時間ですわね...帰りましょうか。」
沼津一帯の峠を制覇してもなお、この虚しさは消えてはくれません。あぁ、この虚しさは、いつになったら消えてくれるのでしょう...
ヴオオオオオオオ...
ルビィ「うゆ?何この音?聞き慣れないね、このエンジン音」
ダイヤ「? えぇ、あまり聞いたことのないエンジン音ですわね...近づいてきてるみたいですし、確かめてみましょうか。」
ヴオオオオオオオオオオオオバアアアアアアアアァァァァン
「!!!!!!!!!!」
ダイヤ「行きますわよ!ルビィ!!!」バタン!!
ルビィ「お、おねいちゃあ!?どうしたの!?」
ダイヤ「早く!!!!」
ヴバアアアアアババババババ!!!!
ギャギャギャギャギャギャギャギャ!!!!!!
ギャラリー「ジュエリーシスターズのローンチコントロールだ!!!!スゲェーーー!!!!!」
久しぶりにローンチコントロールなんてやってしまいましたわ。ですが、それほどまでにあの車は私の心を強く惹き付けたのですわ。私達の目の前を駆け抜けて行った白い流星の正体、それは...
軽トラですわ。
バアアアアアアアアアア!!!
ルビィ「ど、どうしちゃったのおねいちゃあ!こんなに飛ばして!」
ダイヤ「あの軽を追いかけてるのですわ。」
ルビィ「確かにあの軽トラしゃんけっこう速かったけど、おねいちゃあが相手するほどじゃないと思うよ!ストレートでスピードが乗ってただけだし!」
ダイヤ「...いいえ。あの軽は只者ではありませんわ。見た瞬間、身体中に電流が走りましたもの。」
ルビィ「け、軽トラしゃんだよ!?いくらなんでもこのセンチュリーしゃんに勝てるわけないよ!」
ダイヤ「ッ!!...それは、走ってみてからでないと分かりませんわよ、ルビィ。」ニヤリ
あの軽トラの姿を捉えましたわ。日産のクリッパートラックですわね。ナンバーは...白!?...あぁ、オリンピックナンバーですのね。ですがこの車から発せられるオーラは、只者ではありませんわ!どこまでやれるのか、見せて頂きますわよ!!!
ヴォオオオオオオオ!!!!!
バアアアアアアアア!!!!!
ギャギャギャギイイイイ!!!
フフフ、なかなかにやりますわね。ですがそれくらいでないと拍子抜けですわ。
しかし!この緩いコーナーの先はタイトな低速コーナーセクション!私のセンチュリーではパワーがありすぎて踏んでいけませんが、それは向こうも同じ!軽トラの車体と足回りでは、どうしても横Gで車体がロールして姿勢が崩れるため、踏んでいけない!さぁ、どう切り抜けるんですの!
ヴォオオオ ヴァオッッ ヴァオオオオオ!!!!
ギャギャギャギャギャ!!!!!
ヴァアアアアアアア!!!!
ダイルビ「!?!?!?」
ルビィ「どうしてあんなスピードで!!」
ダイヤ「コーナーをクリアしていけるんですのおおお!?!?」
不可解ッ!不可解ですわ!あんなスピードで突っ込んでおきながら、リアを滑らせてはいなかった...ドリフトではなく、グリップでクリアした…あんなスピードで突っ込んだら、間違いなく横転クラッシュだと言うのに...!
ルビィ「見てた?おねいちゃあ...あの軽トラしゃん、車体が全くロールしてなかったよ...!!!」
「!?!?」
もしや、サスペンションのセッティングを変えている?いえ、軽トラなどの足回りはマクファーソンストラット式...セッティングを変えたくらいで曲がっていけるわけがありませんわ...だとすれば一体何なのです!?くぅぅぅぅ!ますます理解不能ですわッ!!!
ルビィ「おねいちゃあ!もうすぐ峠が終わっちゃうよ!」
ダイヤ「ハッ!離されるまいと必死で、コースの現在地を失念していましたわ...」
ダイヤ「大人気ないようで少々心苦しいですが、エンジンパワーに任せて、この先のハイスピードセクションで取り返させて頂きますわよ!
吠えなさい!1GZォ!!!!!」
バアアアアアアアア!!!!!!
ヴォオオオッ ンヴァアアアアッ ンヴァアアアアアアア!!!!!
ダイヤ「そんなッ!?!?!?」
ルビィ「ピギィ!!!!」
差が縮まるどころか...離れていく...!!!
有り得ませんわよ…だってここはハイスピードセクション、しかもストレートですわ...
それなのに、5リッターV12のセンチュリーが、たかだか660CCの軽トラに、加速勝負で負けるなんて...!
悪い夢でも見てるんですの!?それとも片バンク死んでしまったんですの!?
有り得ません...有り得ませんわッ!!!
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ルビィ「軽トラしゃん、すっかり遠くに行っちゃったね…」
ダイヤ「...えぇ...久しぶりですわ...」
ダイヤ「こんなにも心が踊るのは...!」