ー果たし状をもらってから2週間後ー
松月にて
曜「ダイヤさん、本当にセンチュリーを廃車にしちゃったね...これからどうするんだろ?」
花丸「これでダイヤさんの車はなくなったずら...バトルは2週間後、こんなタイミングで車を手放すなんて、理解できないずら...」
ルビィ「そんな...おねいちゃあ、センチュリーのことすごく気に入ってたのに...!一体どうしちゃったんだろう?」
梨子「でもダイヤさんは、センチュリーを廃車にすることが対抗策の第一段階だって言ってたよね?」
善子「もしや、『センチュリーはかりそめの姿...ヴェールを脱いだ真のセンチュリーは、誰にも止められない...』ってこと!?さすがダイヤさん!堕天使とは何たるかを分かってる!」
梨子「よっちゃん、今はそういうノリじゃないのよ...」
一同「......」
千歌「...私たちが不安になっても仕方ないよ。それに、あのダイヤさんだよ?私の軽トラとバトルする時だってちゃんと対抗策を考えて来るんだから、スーパーカー相手に何も考えずに挑むなんてこと、絶対ないよ!」
「だから信じよう?ダイヤさんを!」
ダイヤ「完成まではあとどれくらいかかりそうですの?」
メカニック「そうですね、大体10日くらいを目処に考えていただきたいですね。」
ダイヤ「そうですか...できればあと一週間で完了させていただきたいですわ。車のフィーリングを少しでも体に覚え込ませたいので。」
メカニック「分かりました。できるだけ急ピッチでやってみます。しかし黒澤さん、今回のは間違いなく今までで一番ピーキーな乗り味になると思いますよ。いくらあなたとは言え、今回ばかりは保証できませんからね。」
ダイヤ「えぇ、重々承知しております。そのうえで誓約書にサインをしたのですから、遠慮なく作業を進めてください。」
メカニック「分かりました。どうかお気を付けて。」
ルビィ(車庫の隅に置かれたセンチュリー...おねいちゃあ、あんなにお気に入りだったのに、どうしてあんなに簡単に廃車にするって言ったんだろう...)
すごいや、いつもおねいちゃあがお手入れしてたから、ピッカピカだよ…もう、おねいちゃあがこの車と走ることはないと思うと、なぜか寂しくなる...
「あれ...?」
ボンネットが閉まりきってない...エンジンでも眺めてたのかな?乗り換えるって決めても、ずっと一緒に走ってた車だもん、きっと名残惜しいよね…
「ルビィも眺めとこ...」
おねいちゃあがいつも自慢していた1GZ-FE、これで見納めになっちゃうけど、忘れないよ… ガパッ
「!!!」
どういうこと!?センチュリーの車体から...
エンジンだけがきれいになくなってる...!
千歌「鞠莉さんとダイヤさんのバトルって、確か高速道路だったよね?」
梨子「そうね。新東名高速道路の駿河湾沼津サービスエリアから、浜松サービスエリアまでの区間ね。」
花丸「LFAの力を遺憾無く発揮できる場所はそこくらいしかないずら。でもいくら深夜とはいえ、一般の車もいるから常に危険と隣り合わせずら。」
善子「私たちはどうやって観戦するの?」
曜「いつもみたいに途中で観戦はできないから、スタートとゴールのサービスエリアで二手に分かれて待っとくしかないかも。」
千歌「そうだよね〜。着いていくって言っても、そんなにパワーのある車って私たち持ってないもんね。」
花丸「あるずらよ。1台だけ。」
一同「......」ジーッ
善子「え、私!?」
花丸「持ち主のせいであんまりパッとしなかったけど、善子ちゃんの乗ってるSL55は最大で500馬力出るずら。あの二人に追いつけるスペックの車は現状で善子ちゃんだけずら。」
善子「我が眷属にそんな力が秘められていたとは...さすがは堕天使ヨハネ、眷属も超一流ね!まさにデスティニー!」
曜「じゃあ誰かが横に乗ってビデオ通話しながらだったらバトルの様子も見られそうかも!」
千歌「あ!それいいね!じゃあそうしよっか!」
ヴォボボボボボボボ...
この車が『完成』してから5日...扱い方がやっと分かり始めてきましたわね...ですがあのメカニックが言った通り、ピーキーすぎる...じゃじゃ馬ですわ。
ですがこれくらいでないと鞠莉さんには勝てない。
貴方が全力で来るのなら、私も今の全力をもって迎え撃つ...
それが、「かつて友人だった方」への私なりの礼儀ですわ。
ーバトル当日ー
駿河湾沼津サービスエリア
鞠莉「チャオ!みんなギャラリーとして集まってくれたのね!Maryも嬉しいわ!」
千歌「果南ちゃん!果南ちゃんは鞠莉さんを応援するの?」
果南「いや、応援っていうよりは見守り役って感じかな。このバトルは私たち三人の話だからさ。それに、鞠莉1人だけだったら可哀想だしね。」
鞠莉「んもぅ、果南ったら優しいのね!」
「ところで、私の決闘相手はどこかしら?」
曜「それが...まだ来てないみたいなんです。」
鞠莉「まさか、土壇場になって逃げ出した、なんてことないでしょうね?」
ルビィ「お、おねいちゃあは絶対来ます!ただちょっと遅くなってるだけで...」
鞠莉「It’s joke!ちょっとからかっただけよ。ダイヤがそんな人じゃないのはずっと昔から知ってるから。」
ヴォオオオオオオオオ...
果南「お、来たみたいだね。」
花丸「!!あの車は...!」
ヴォボボボボ...
ダイヤ「皆さん、お待たせして申し訳ありませんわ。」バタン
鞠莉「wow...!驚いたわ。まさかセンチュリーじゃないとはね。」
善子「すごい...真っ赤なスポーツカーに変わっちゃってる...ずら丸、あれなんて車なの?」
花丸「あれは...トヨタ スープラずら。トヨタきっての名車中の名車ずら...でも、本当にあれに乗り換えただけで勝てる見込みがあるとは思えないずら...」
ルビィ「そうか...そうだったんだ...ルビィ分かった...!」
梨子「ルビィちゃん、何が分かったの?」
ルビィ「お姉ちゃんがしたこと...どうやって鞠莉さんに勝とうとしてるのか...」
ルビィ「お姉ちゃんは、千歌さんや花丸ちゃんと同じことをセンチュリーでやったんだよ!」
曜「同じこと...?......もしかして!」
花丸「そんな...!確かにそうすれば互角以上に戦えるけど...でも非現実的ずら!第一上手くいったとして扱えるかどうか...!」
ルビィ「お姉ちゃんは本気なんだ...それくらいお姉ちゃんは鞠莉さんに勝ちたいんだ!」
千歌「どういうこと?私たちとやってる事が同じって...」
梨子「つまりあのスープラには、センチュリーのエンジンが丸ごと載せられてるってこと。あの車はスープラであってスープラでない...それだけじゃなく、多分スペックを上げるためにかなりチューニングしてあると思う。文字通りモンスターマシンよ。」
ダイヤ「まずはお礼を。私の得意分野で勝負しようと言ってくださり、本当にありがとうございます。」
鞠莉「そんな事は気にしなくていいのよ。あなたの目を覚まさせるために、あなたの得意分野で勝負して、勝つ。それが挑戦者としての私なりの礼儀よ。」
ダイヤ「私の土俵で勝負を挑まれた以上、負けるつもりはありませんわ。」
鞠莉「お互いに士気は十分みたいね。」
ダイヤ「さぁ、そろそろ始めましょうか。」
そして終わらせましょう。過去のわだかまりに決着をつけるのです。
鞠莉「えぇ、そうね。」
あなたには戻ってきてもらう。その世界を捨てて、あの時のように私たちの元へと。
だから。
だから。
負けられないっ!!!