鞠莉「何とかして前に出ないと...!なにかチャンスは!」
ダイヤ「このまま前を死守しますわ!鞠莉さん、あなたの負けです!」
梨子「このままダイヤさんの勝ち逃げで勝負が決まるの...?」
花丸「いや、バトルは最後まで何が起こるか分からないずら。ほんの少しのきっかけで大どんでん返しが起こるずら。」
ゴアアアアアアアアアア!!!!
キャアアアアアアアアアアア!!!!
ダイヤ(あれは車のブレーキランプ...3車線とも塞いで走って、鬱陶しいですわね。)
(ここはハイビームで気づいてもらいましょう。)
ファアアアアアアオオオオオ...
パッ
鞠莉(あれは...!ダイヤは気づいてない、仕掛けるならここしかない!)
鞠莉「今よっ!!!」
バッ
キュアアアアアアアアアアンン!!!!!
ダイヤ「んなッ...何を...!」
しまった!!あれは!!
善子「あぁっ!!ダイヤさんが!」
一同「抜き返された!!!」
やられましたわ...!!車線を塞ぐ車に気を取られて、完全に見落としていた...
道の左端に、ギリギリ車1台通れる分の路肩があることに...!
もし気付いていてもノーマークだった...鞠莉さんならきっと、砂利の多い路肩を走るなんてリスキーなことしないとタカを括っていたから!
梨子「マズイわね...ダイヤさんが劣勢に立たされつつあるわ。」
千歌「まだ分かんないよ!これくらいの差なら、ダイヤさんはきっと取り返すよ!」
花丸「いや、実際はもっと厳しいずら。鞠莉さんのあのオーバーテイクは、ダイヤさんのメンタルに大きいダメージを与えてるずら。ダイヤさんの意表を突いてアクションを起こしたこと。それによってオーバーテイクを成功させ、ダイヤさんの心の余裕を奪ったことずら。そして鞠莉さん自身は、多少の無茶で突破口を開いたことによる自信と、優位に立てたことで心に余裕を生みだしたずら。」
梨子「この状況で心に余裕ができると、今までかかっていた心のリミッターが解除される...そうなったら」
曜「ダイヤさんはダメージから立ち直るのに時間がかかって、鞠莉さんはその分もっと差を広げられる...」
ルビィ「おねいちゃあ!負けないで!!ルビィも行くから!!!」
千歌「ルビィちゃん、今から行っても追いつけないよ。今はここで信じよう?ダイヤさんが勝つのを」
ルビィ「う、うぅ...!」
なんて速さですの...!?先程までとは全く違う走り、まるで別人ですわ!ジワジワと差が開いていく...!このままでは...!
ダイヤ「余計なことは考えない!私は鞠莉さんに追いついて、追い越してみせます!」
ファアアアアアアアアア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙!!!!
善子「ゴールまであと50kmもないわよ!ダイヤさんは少しずつ差を詰めてるけど、このままじゃ追い越せない!」
ルビィ「おねいちゃあ...!」
千歌「ダイヤさんはまだ諦めてないよ!だから差が詰まっていくんだよ!」
曜「勝負はまだ分からない...!」
鞠莉(また車線を塞がれてる...さっきと同じように、路肩を使わせてもらうわ。)
ダイヤ(こうなったら、一か八かの賭けですわ...。これでダメなら私はここまでというだけの事...覚悟を決めますわ!)
キュウウウウウファアアアアアアアア!!!!!!!
梨子「ダイヤさん、何をするつもり!?」
花丸「トレーラーに突っ込むつもりずらか!?」
ダイヤ(突破口は...ここに!!!)
ギャンッ!!!
千歌「ダイヤさんの車が...消えた!?」
善子「違うわ!隣の車線のトレーラーの前に出たのよ!ダイヤさんは、トレーラーが横一列ではなく互い違いに走っていることを分かっていたのよ!」
花丸「それもちょっと違うずら...ダイヤさんはきっとそうなってる事は分かってなかったずら。」
曜「という事は、トレーラーに追突する覚悟で、互い違いに走ってる事に賭けたってこと!?」
花丸「にわかには信じられないけど、そうとしか言えないずら...!常人離れしてるずら!!」
ダイヤ「やりましたわ...」
上手くいった!!タイヤのグリップのおかげで、辛うじてトレーラーをオーバーテイクできた...これで鞠莉さんとの差が更に詰まりましたわ!
あとは...
ダイヤ「1GZ、力を見せなさい!フラットアウトォーーーッ!!!」
ファアアアアアアアアアアアアア!!!!!
あぁ...1GZが叫んでいるのが分かりますわ...
私のセンチュリーが、1GZが死んでいくのが、手に取るように分かる...
それでも。私はあなたの命を削ってでも、鞠莉さんに勝たなければならないのです。私は、あの日からあなたと走り続けてきた日々を、否定されたくはないのです。
だから、もう少し私のわがままに付き合っていただきたいのです。
鞠莉「ダイヤが、追い上げてくる!!」
さっきのオーバーテイク後から調子が崩れていたように見えたけど、持ち直しつつあるって事ね...。ゴールももうすぐそこ、どんな小細工も駆け引きも通用しない。ここから先は、純粋な思いの強さと車のスペックのみの世界!
鞠莉「さぁ勝負よ!ダイヤ!!あなたの意地を見せて!!!」
キャアアアアアアアアアアアアアア!!!!!
ファアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!
ダイヤ「行っっけぇぇええええ!!!!」
梨子「2台とも速すぎて追いつけない!けど、ダイヤさんが鞠莉さんに並びかけてる!」
ルビィ「行けぇーーっ!!おねいちゃああーーー!!!」
鞠莉(あぁ...今、すごく楽しい!!肩書きも地位も全部忘れて、またこうしてダイヤと肩を並べて、しのぎを削ることができてる!!あの時みたいに...Aqoursとして果南とダイヤと3人で、同じ場所を目指してた時みたいに...!)
私の独りよがりだってことは分かってる。ダイヤをこの世界から引き離したとしても、あの日々はもう戻ってこないことも、ダイヤがあの時の輝きを取り戻すことがないことも。
でも私は...私はただやり直したかった。あの時私のせいで、追いかけることを諦めなければいけなかったダイヤに、謝りたかった。そしてもう一度、ダイヤや果南と同じ時間を過ごしたかった。
でも、そんな願いも叶わない。ダイヤの車は私のLFAに並びかけて、私はもうじき追い抜かれる。でも悔いはないわ。こうして最後に、眩いあなたの輝きをもう一度見られたのだから...。
ダイヤ「行ける...!」
私の1GZが、スープラが僅かにパワーで上回っている!あと一息で、あと一息で前に出られる!!
そうすれば私は鞠莉さんに勝てて、この世界を諦めずにいられる!!
なのに...何故、涙が出るのでしょうか...?
本当は嬉しかった。海外に渡って以来音信不通だった鞠莉さんと3年ぶりに会えて、涙が出るほど嬉しかった。でも喜ぶことは許されなかった。否、許せなかった。私のせいで未来を失いかけた鞠莉さんに、私が再び歩み寄ることは許されなかった。例え鞠莉さんが許したとしても、私が私を許すことができなかった。でも、せめてバトルの中だけでも一緒にいたかった。だから勝ち目のないバトルだと分かっていても、形は違っていても、もう一度だけ同じ目標を目指して共に走りたかった。
でもまた私は、勝ちたいという自分の思いを優先して、繋がりかけた糸を断ち切ろうとしている。
勝ち負けなんか本当はどうでもいい。もし許されるなら、私はあの時と同じように3人で一緒にいたい。大切な誰かを失いたくない!
鞠莉「ダイヤの加速が...止まった...?」
ダイヤ「もう二度と会えないなんて...嫌です!!!」
このまま並走してゴールできれば...このバトルは引き分け!あと10kmも持ちこたえれば、それで全て終わりますわ!
ガゴッ!!!
フワッ...
ダイヤ「あっ...!?」
道路の隆起で、車体が...!
今のタイヤでは車体を立て直せるだけのグリップ力はもう残っていない...
ギャギャギャギャギャギャギャ!!!!
鞠莉「ダイヤ!!!」
一同「ダイヤさん!!!」
ルビィ「おねえちゃん!!!!」
私は、自分の願いすら叶えられないまま...
ヴアアアアアアアアアアアアアアアンンンン
梨子「あれは!?」
ギャギャギャギャ ガシャン!!!
善子「あのスポーツカー、ダイヤさんの車に体当たりして止めようと...!」
果南「鞠莉!!!」
鞠莉「果南っ!!!」
キャアアアアア!! ガシャンッ!!
ギャアアアアアアア......
曜「何が起こったのか、全然分かんなかった...!」
梨子「コントロールを失ったダイヤさんの車のスピンを、車二台で両側から挟んで止めたのよ...説明してても信じられないわ...」
シュウウウウウウ...
ヴォオオオオオ...
梨子「よっちゃん!停止表示板と発煙筒出して!」
善子「わ、分かった!!」
鞠莉「ダイヤ!!」バタン!!