ファアアアアアアアアン......
『信じて送り出したいずら!』
『千歌さんなら絶対にあの二人に勝てますよ!』
本当にそうなのかな...?
ファアアアッ ファアアアアアアア!!!!!
花丸ちゃんは全力で私に向かって来てくれた。『負けたくない』って気持ちもすごく伝わってきた。それに対して私は、あの2人とバトルする理由どころか、車に乗って走る理由すら見つけられてない。ただ美渡ねぇ志満ねぇに言われたから乗ってるだけで、みんなといるのは楽しいけど車が好きな訳でもない。
花丸ちゃんと比べたら何もかも中途半端なのに、あのバトルで勝ったからって、本当に私でいいのかな...?
ウヴァアアアアアアア...
善子「千歌さん、だいぶこの道にも慣れてきたんじゃない?タイムも上がってきてるし。これなら明日は問題なく勝てそうね。」
曜「そうかな?私はなんか引っかかるんだよね〜。」
善子「そうなの?とてもそんな感じには見えないけど。」
曜「なんか元気ないって言うか、上の空って言うか...ここもうちょいイン寄せられるよ。」
善子「オッケー。」
ギャアアアアアアアアア!!!
善子「元気の塊みたいな千歌さんにそんなことあるの?」
曜「どんなイメージなのそれ...見てれば分かるよ。千歌ちゃんとはずっと一緒にいるし」
善子「おぉ...!魂の契約!友人という関係を超越した、まさに闇の眷属!」
曜「闇って!悪者みたいになってるじゃん!そんなんじゃないよ〜!次キツめの右カーブだよ。」
善子「承知!!†インフェルノ・コーナリングッ†!!!」
ギャギャギャギャ!!!!!
曜「うわあぁぁ!!やりすぎだよ!」
バタン
千歌「はぁ...」
全然ダメだ...いつもみたいに走れなくなってる...バトルは明日なのに、こんなんじゃみんなに合わせる顔がないよ...
曜「千歌ちゃん。」
千歌「曜ちゃん...」
曜「千歌ちゃん、無理してない?」
千歌「っ...!だ、大丈夫だよ!コースもだいぶ頭に入ってきたし、明日は調子よく走れそうだよ!」
曜「そっか。でも千歌ちゃん、無理は絶対にしちゃダメだよ?私ができることだったら何でもするからね?」
千歌「うん...ありがとう、曜ちゃん!頑張るよ!」
ー翌日、待ち合わせ場所にてー
梨子「いよいよね。千歌ちゃん、準備はいい?」
千歌「うん。大丈夫だよ。」
曜(千歌ちゃん、やっぱり元気ない...みんなは気づいてないみたいだけど)
花丸「千歌さんなら絶対勝てるずら!自信を持って走って!」
ルビィ「千歌さん、がんばルビィ!」
ダイヤ「気持ちを強く持つのですよ!北海道に負けてはなりませんわよ!」
千歌「うん!精一杯やってみるよ!」
ブオオオオオオオ...
善子「来たわね。」
ルビィ「あ、来たよ!」
善子「それにしても、曜の言う通り千歌さんが本調子じゃないって言うなら、このバトル勝てるの?」
曜「私の予想でしかないけど、このままだと千歌ちゃんは...負ける。」
善子「!!」
聖良「お待たせして申し訳ありません。」
梨子「いえ。約束の時間まではまだありますから。バトルの詳細をもう一度確認しておきましょうか。」
聖良「そうですね。バトルのコースは西伊豆スカイライン、同時スタートで先にゴールに着いた方の勝ちということで。」
梨子「スタートはこの広場で、ゴールは戸田峠駐車場でしたよね。」
聖良「えぇ。ところで、対戦相手はどなたでしょうか。」
ダイヤ「高海千歌さん。この方があなた方の対戦相手ですわ。」
千歌「...高海千歌です。よろしくお願いします。」
聖良「鹿角聖良です。いいバトルにしましょう。」
理亜「鹿角理亜。よろしく。」
梨子「ではそろそろ始めましょうか。車をスタート位置に並べてください。」
千歌「いつまでもウジウジしてられない!みんなのために勝たなきゃいけないんだから!」
勝たなきゃ...勝たなきゃ!!
ルビィ『各ポイント準備OKです!対向車もいません!』
梨子「わかったわ、ありがとう。それじゃあカウントいきまーす!」
「5!4!3!2!1!」
ファン!ファン!ファン!ファアアアアアアア!!!!
ヴォン!ヴォン!ヴォン!ヴォオオアアアア!!!!!
梨子「ゴーーー!!!!!」
ファアアアアアアアアア!!!!!!
バアアアアアアアアア!!!!!
ギャギャギャギャギャギャ!!!!
梨子「インプレッサの立ち上がりが速い!さすが4WDね。でも千歌ちゃんも負けてない!」
聖良「まずは様子見、お手並み拝見させてもらいますよ。」
ファアアアアアアア!!!
千歌「前をとった!これなら何とか持ちこたえられそう。」
バアアアアアア!!!!
理亜「白ナンバー。エンジンの排気量が変わってるみたい。」
聖良「えぇ。この軽らしからぬパワーとスピードはそれが原因でしょうね。侮りがたい相手です。」
千歌(大丈夫、このコースはきついカーブが少なかった。私ならブレーキをかけずにギアを落とすだけで突っ込んでいくこともできる!)
ファアアアアアッ ファアアアアア!!!!!
理亜「!」
聖良「車の性能もさることながら、ドライバーのテクニックも相当なものですね。それでこそ私たち、『セイントスノー』の相手に相応しいというものです。」
善子「第一セクション、千歌さんが先頭で通過したわ!」
(曜が心配してたの、やっぱり思い過ごしだったみたいね。あのキレのある走りなら大丈夫そう!)
ファアアアアアア!!!
ヴォアアアアアア!!!!
千歌(ほぼ全開で走ってもなかなか離れない...やっぱり向こうから条件を言ってくるくらいだもん、相当自信あるはずだよね。)
千歌「でも...絶対に勝ってみせる!」
ダイヤ「これはマズいですわね...このバトル、いよいよ分からなくなってきましたわ。」
ダイヤ『こちら第2セクション戸田駐車場。辺り一帯に霧が立ち込めてきましたわ。』
梨子「霧が...!分かりました。一般車の情報はまだ入っていないのでバトルは続行しますが、事故などのトラブルに注意してください。他のオフィシャルの方にはこちらから伝えておきます。」ピッ
霧...バトルに限らず、運転において夜の闇よりもドライバーにとって脅威になる存在...千歌ちゃん、気を付けて...
フッ
千歌「なにこれ...霧!?うぅ、急に視界が悪くなった!」
アクセルを踏みたくても、視界が悪いせいで踏んでいけない!でもそれはきっと相手も同じはず!条件は全部同じだよ、焦るな私!
聖良「霧ですか...。どうやら気候は私たちの肩を持つようですね。準備はいいですか、理亜。」
理亜「オッケー。いつでもいいよお姉様。」
聖良「任せましたよ。ッ!!」
ヴォアアアアアアアアアア!!!!
千歌「な、なにっ!?追い上げてくる!?」
ギャアアアアアアアアア!!!!!!
ヴァアアアアアアアア!!!!
カーブ手前で追い抜かれた!霧のせいで視界が悪いはずなのに、私よりも上のスピードでカーブを抜けていった...!どういうこと!?
千歌「ッ!!追いかけなきゃ!」
ファアアアアアアアアア!!!!
テールライトの光がうっすら見える。霧が晴れるまではあの光を追いかけていれば、引き離されるなんてことはないはず!そこから、追い越してみせる!
理亜「次キツめの左。ブレーキ使って。」
ヴァアアアアアオオオオ!!!!! キャアアアアアアア!!!
理亜「3速で踏めるだけ踏んで。」
ヴォアアアアッ ヴォアアアアアアアアアア!!!!!!
理亜「緩めの右。そのまま突っ込める。」
ヴァアアアアアアアアアアアアアアア!!!!! キャキャキャキャ!!!!
恐らく相手は『土地勘のある方が有利』だと考えたことでしょう。従来であれば全くもってその通りです。ですが私たちは違う。私たちの前では土地勘などという曖昧なものは意味をなさない。私たちなら悪天候ですらも味方に付けられる。
さぁ千歌さん、あなたがどうやって私たちに
挑んでくるのか、見せてもらいますよ。