フォオオオオオオン...
千歌「ふわ...眠いなぁ〜...」
プルルル プルルル
千歌「誰だろ、こんな時間に...って、ダイヤさんだ。車停めよ。」
ヴォボボボボボ...
千歌「もしもし?」
ダイヤ『こんな朝早くに申し訳ありませんわ。』
千歌「家の手伝いしてたから大丈夫ですよ〜。でもどうしたんですか?こんな時間に電話なんて。」
ダイヤ『その事なんですが、ひとつお聞きしたいことがございましてね。』
千歌(急に改まった...なんか嫌な予感がする...)
ダイヤ『千歌さんのお宅に、有名な方ってご宿泊されてますわよね?』
千歌「い、いや〜?そんなお客さんはうちには泊まってなかったような〜...」
(やっぱりあの二人、有名人だったんだ...でもだからってダイヤさんにだって教えられないよ!教えて広まっちゃったら私が怒られるんだもん!)
ダイヤ『そうですか...では少し質問を変えましょう。十千万旅館に『西木野』か『矢澤』名義で宿泊しているお二人を知りませんか?』
千歌(うちに泊まってることどころか、名前まで分かっちゃってるよ〜!尚更教える訳にいかないじゃん!!)
千歌「い、いやぁ〜、なんのことだかさっぱり...たはは...」
ダイヤ『ふむ...あくまで口は割らない、ということですか...』
千歌(口ぶりが頭脳派の悪役みたいになってるよ...!)
ダイヤ『分かりましたわ。あなたが口を割らない以上、こちらも実力行使に出るまでですわ。では。』ピッ
千歌「え?実力行使?」
......バアアアア......
千歌「っっうわあぁぁ〜...」
...キャキャキャ...バアアアアア......
千歌「うわぁ〜、うわぁ〜!!」
ファン!!! ファアアアアアアアアアアアア!!!!!!
バアアアアアアアアアアアアア!!!!!!!
千歌「うわあぁん!やっぱり来ちゃったよ〜!!!」
ダイヤ「絶対に逃がしませんわよ!!!!」
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
ー十千万旅館、駐車場にてー
ファアアアアアン!!!
バアアアアア!!!!
バタン!!
千歌「うわあああ!!!」
バタン!! ガシッ!!
ダイヤ「もう逃がしませんわよ!往路では上手く撒かれましたが、あなたの実家であるここまで来ればもう逃げ場はありませんわよ!観念して教えるのです!」
千歌「嫌ですよ!お客さんのこと勝手に教えるわけないじゃないですかぁ!」
ダイヤ「そんなものそちらの都合ですわ!いいから教えなさい!」
千歌「い〜や〜で〜す〜!!」
ダイヤ「分かりましたわ!どうしても口を割らないのであれば、このフルストレートアリストの爆音をここで響かせるまでですわ!覚悟しなさい!!」
千歌「そんなことしたら、ダイヤさんと縁切りますよ!」
ダイヤ「そんな!?クッ...卑怯な...!」
千歌(あっさり食い下がった!?)
未渡「コラァバカチカ!!朝っぱらからうちの前で何騒いでんの!!」
千歌「うげ!未渡ねぇ!最悪だぁ...!」
ダイヤ「ほれみなさい!縁を切るなどと脅した天罰ですわ!」
未渡「アンタもだよ!こんっなうるさいアリストでウチまで乗り付けてきて、一体どういうつもりなの!!」
ダイヤ「ピギィ!す、すみません...」
真姫「朝から賑やかね。」
一同「!!!」
未渡「こんな朝早くに申し訳ございませんお客さま〜!」
真姫「あぁ、私は別に...眠気覚ましに浜を歩いてただけだから。」
真姫「それよりそこのあなた、私たちに何か用があるんでしょ?そのアリスト、この前私たちを追っかけてきたのと同じだし。」
ダイヤ「ピギッ!!え、えと、その、あの...」
にこ「ちょっと真姫ちゃん!先に起きたんならにこも起こしてよ〜!」
真姫「ちょっ!にこちゃん!人前で『ちゃん』付けはしない約束でしょ!?」
にこ「どーせ誰も気にしないわよ...ってこのアリスト!この前の!」
真姫「そう。この子の車みたい。」
ダイヤ「あ、あの!!私、『BiBi』の大ファンで!それで、それで...」
にこ「なるほどね...だからこの前ずっと追っかけて来たわけね。ってことは、あの夜にこと真姫が車に乗ってるのも見てるってことね。」
ダイヤ「は、はい!2台とも、すごくお似合いでステキでしたわ!」
にこ「アンタ、チームとか入ってんの?」
ダイヤ「あ、はい!走り専門ではないですけれど、一応あの峠最速ということになってますわ!」
にこ「ふ〜ん...」
真姫「はぁ〜...ほどほどにしてよね。にこちゃん。」
ダイヤ「?」
にこ「じゃあさ、アンタのチームとにこたちでバトルしましょうよ。そっちが勝ったら言うこと聞いてあげるわ。」
ダイヤ「え!?」
にこ「ただし!アンタはバトルに出ちゃダメよ。」
ダイヤ「えぇ~~~!!!」
未渡「...何がどうなってんの、これ?」
千歌「さぁ...」
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
ー昼、学校にてー
曜「それで、その『BiBi』って言う人たちとバトルすることになったんだ?」
ルビィ「はい。だけど、お姉ちゃん以外のメンバーがバトルするのが条件らしくて...」
花丸「主力中の主力が走っちゃいけないなんて、手痛いハンデずら...」
梨子「千歌ちゃんはお家のお手伝いがあるからダメだし。果南さんはどうなの?」
ルビィ「この前お姉ちゃんが戸田の駐車場で騒いだり、千歌さんのお家に迷惑かけたことに怒っちゃって、『そんなくだらないことには絶対に手を貸さない』って、断られちゃいました。」
梨子「う〜ん、自業自得だけど手痛いわね...」
曜「そうなると...花丸ちゃんは確定として、残り一人...梨子ちゃんかルビィちゃん、かなぁ。」
花丸「そもそもこれって、絶対に勝たないといけないバトルずら?」
花丸「話を聞く限りだと、オラたちが負けた時のことは何も言われてないんだし。バトルする以上全力で挑むのは当然だけど、デメリットがないんだから、何もエースが走るってことはないと思うずら。」
一同「確かに...」
花丸「だからオラは走る気はないずらよ。」
曜「あ、そうなんだ...」
(そりゃそうか。)
ルビィ「なら、今回のバトルはルビィが出てもいいですか?」
「元はと言えば、お姉ちゃんがみんなに迷惑をかけて生まれた話だし、お姉ちゃんが走れない分、勝てなくてもルビィが走りたいです。」
梨子「異論なしよ。でも、絶対に無理はしないでね。」
ルビィ「はい!」
曜「なら、残るはあと一人...」
花丸「じゃあ、オラは保健室に行ってくるずら。」ガタッ
梨子「えっ?どうして?」
花丸「残りの出走者を決めに行ってくるずら!」
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
ー保健室ー
「......」
いつまでもこんな調子じゃ、ダメダメね...
勇気を出さなきゃ、これから先は変わらない。分かってる、分かってるんだけど...
善子「やっぱりダメだぁ〜〜」
花丸「失礼します。2年1組国木田花丸です。」ガララッ
花丸「善子ちゃん、いつまでも惰眠を貪ってちゃダメだよ〜。」シャッ
善子「『堕眠』...それは、天界を追放され人の世に降り立った堕天使が、秘められし力を解放するために必要不可欠な儀式...何人たりともその眠りを妨げてはならない...おやすみ」
花丸「漢字が違うずらよ〜。そんなんじゃ、せっかくルビィちゃんや他のみんなと仲良くなったのに、一緒に過ごせる時間が少ないまま卒業しちゃうよ?」
善子「...分かってる、けど〜...」
花丸「まぁそれはそれとして、善子ちゃん、バトルに興味はないずら?」
善子「バトル?ないことはないけど...私が走ったところで結果は分かってるでしょ。」
花丸「それはやってみないと分かんないずら。それに今回のは負けても何も問題ないから大丈夫ずら。」
善子「それってほんとにバトルって言うの?つまりは誰でもいいってことよね。」
花丸「そういうこと。善子ちゃん、練習して走りは良くなってるから、実際にバトルして雰囲気を掴んでおいた方がいいと思ったずら。」
善子「そういうことなら...でもあんまり期待しないでよね?私プレッシャーに弱いし、他の人に比べたらそんなに上手くないし。」
花丸「心配しなくたって、みんな善子ちゃんに期待するし応援するずらよ!」
善子「なんでよ!」
花丸「だって善子ちゃんは大事なともだちだし、同じチームメイトだから。走る以上はやっぱり勝ってほしいし、負けたとしても笑ったりガッカリする人なんていないずらよ。だから自分のやってきたことに自信を持って走るずら!」
善子「ずら丸...!」
「フッ、良かろう...この堕天使ヨハネ、秘められた力を全て解放して、
戦いに臨もう...!」
「しかと刮目せよ!!!」