カタ...カタカタ...
「フフ...ククク...!時は満ちた...さぁ、今こそ我が力を解放する時...!」
カタカタッターン!!!
『来店予約が完了しました』
「あとは我が眷属が召喚されるのを待つのみ...」
「ふぅ...あ、ママ〜!この車でよかったんだよね〜?」ドタドタ バタン!
メルセデス・ベンツ SL55 AMG
花丸「ずらぁぁぁぁああああ...」
ルビィ「どうしたのヘナールチャァ、そんなにため息ついて」
花丸「オークションでまたブロックされたずら...マルはただ質問を送っただけずら!酷い輩ずら!」
ルビィ「へ、へぇ〜、ちなみになんて送ったの?」
花丸「これを見るずら!」ズイッ
ZRMR『恐縮ですが質問させていただきます。こちらのEJ20エンジンは以前スバル インプレッサスポーツワゴンで使用されていたと書かれておりますが、日産 モコに搭載は可能でしょうか?お返事頂けると幸いです。』
出品者『逆になんで載ると思うんですか?』
この出品者にメッセージを送ることはできません
ルビィ(日産モコにEJ20エンジンを積もうなんて、ヘナールチャァ、気でも触れちゃったのかな)
花丸「もうこれで5件目ずら...なんでこんな簡単な質問しただけで突っぱねられるずら...世間は世知辛いずら」
ルビィ(どう考えても乗るわけないって気付かない方もなかなかだよ、ヘナールチャァ...)
花丸「オラのモコに今必要なのは絶対的なパワーずら!圧倒的なトルク!そこから生み出される加速力!パワーずら...パワーずらあぁぁぁ!!!!」
ルビィ「ピギィ!ヘナールチャァがついに壊れちゃったよぉ!」
担任「ホームルーム始めるので席に着いてくださーい。出席を取ります…って、津島さんは今日も来てないのね...。」
花丸「善子ちゃん...」
ー昼休みー
ルビィ「あ、そうだヘナールチャァ!最近ね、峠に面白い車が来てるんだよ!」
花丸「面白い車?」
ルビィ「そう!見た目はただの軽トラなんだけど、ものすごく速いんだ!おねいちゃあのセンチュリーでもちぎられちゃったんだよ!」
花丸「ダイヤさんのセンチュリーがちぎられたずらか!?にわかには信じ難いずら...それは是非とも見てみたいずら!」
ルビィ「でしょ!だから今週末の夜、一緒に峠行こ?」
花丸「あ〜でも、オラのモコはエンジンの調子悪いから〜。もしその軽トラと会えても走れないずら。」
ルビィ「大丈夫だよ!ルビィが迎えに行くから、横乗りしてもらえれば一緒に行けるから!」
花丸「ずら?ルビィちゃんって車持ってたっけ?」
ルビィ「ふっふーん!それは今週末のお楽しみだよ!」
善子ママ「ありがとうね、善子。あなた学校行ってないからってこのまま引きこもりになっちゃうんじゃないかって、母さん心配してたのよ。」
善子「ママには浦の星にいた時から迷惑ばっかりかけてるから...学校には行けてなくても、自分の力で生きていけるってことを証明したかったの。」
善子「その証明としてこの車をママにプレゼントするわ!」
私、堕天使ヨハネは学校へ行っていない。この世に生まれ落ちたその瞬間から、この世の叡智を授けられたから行く必要などないのよ。決して周りに馴染めなかったとかじゃないわ。もし仮に、万が一そうだったとしても、堕天使という存在は元来孤独なもの...一人で生きる運命にあるのよ...。
しかしこの世界での私は仮にも学生。私は同居人に己の力を見せるため、リトルデーモンのアーティファクト、スパチャを使って同居人に車を買い与えたわ。実に2年...堕天使の寿命からすればほんの一瞬だったわ。車はよく分かんなかったから、べんつとかいう高級車にしたわ。
善子ママ「ありがとうね...善子!大切にするわ!」ウルウル
善子「ッ...!!うん!!」
...いけないいけない。危うく絆されるところだったわ。
ヨハネが車を手に入れた目的は、本当はもう一つあるのよ...。
キュキュキュ フヴォオオン!!!
善子「フフフ...堕天使は夜の漆黒の闇でこそ、輝けるというもの...いざ!約束の地、ラグナロクヘ!」
フゥゥヴォォォアアアアア!!!!
花丸「ルビィちゃん、迎えに来るって言ってたけどどうやって来るんだろう...いつもダイヤさんのセンチュリーに横乗りしてただけだったのに。」
...バアアアアアアアア!!!
花丸「遠くでもうるさいずらねぇ...こんな夜中にど直管で走ったら警察呼ばれることくらい察しろずら...」
バアアアアアアアア!!!!
花丸「って、音がだんだん近づいてくるずら...まさか...!」
バアアアアブアアブアアブアアアアア!!!!!!!!!
ルビィ「花丸ちゃ〜〜!!!」
花丸(げぇぇ!!音の正体はルビィちゃんだったずら...!)
ブアンブアンブアンブアアアババババ!!!!!
ルビィ「迎えに来たよ〜!!!」
花丸「わ、分かったから人の家の前でレブ当てするのはやめようね…」
バアアアアアアアア...
花丸「それにしてもアリストなんて、どこから引っ張ってきたずら?」
ルビィ「おばあちゃあの形見だよっ!おばあちゃあ丁寧に乗ってたから、すっごくキレイなんだよ!」
花丸「おばあちゃんの形見でこんなことしてるずらか...だいぶバチあたりずらね」
ルビィ「ヘナールチャアだっておばあちゃあのモコで魔改造してるじゃん!言いっこなしだよ!」
花丸「マルのおばあちゃんはまだ死んでないずら」
ルビィ「そんな事より!今夜もあの軽トラ来てるといいね!」
花丸「そうずらね、センチュリーを振り回して沼津一を取った、あのダイヤさんをちぎる
ほどの腕前、絶対に見てみたいずら...!」
ガヤガヤガヤ...
ヴォヴォヴォヴォヴォオ...
バタン
善子「着いたわね...約束の地、ラグナロク...」
同居人の車が小さな軽だった時からヨハネはここに足繁く通っている。人の道を外れた堕天使たちが夜な夜な集うこの場所が、とても心地よい。皆、夜の闇の中でこそ輝ける夜の眷属...堕天使ヨハネもその一人であるッ!!
でも流石に鉄馬を駆る堕天使たちには辟易したわね...なんて言ってたっけ、確か『繚乱弍死牙裂愛弗同好會』だったかしら...まぁでも、そんな並外れたアウトローすらも包み込むのが夜の闇の素晴らしいところ...
...バアアアアアアアア!!!!
今宵もまた、闇に飢えた堕天使が来たわね…
「今日も来るといいね、あの軽トラ!」
「そうずらねぇ...もし来たら追走お願いするずら!」
ずら...ずら丸!?なぜここに!堕天使ヨハネの過去を知りし者!気づかれる前にここから行方をくらまさなければ!いやしかし間に合わない...ならば!闇の精霊の力を借りてこの夜の闇に溶け込む術式を使えば...!となれば詠唱を!我が名は堕天使ヨハネ...数多の闇の精霊たちよ...我にその力を与え、我の糧となれ...」ボソボソ...
ルビィ「...あの人何言ってるんだろう...」
花丸「シッ!聞こえちゃうずらよ!ああいう手の人は近づかないことが...って、」
「善子ちゃん?」