ONE PIECE “IF” RED 【完結】   作:巨象先輩

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“信じてみる”

 

 一晩明けた後のマース村は、海賊たちの襲撃を受けたとは思えないほど活気に満ちていた。

 戦いのなかで敵の使った毒で傷ついた者もいるにはいるが、麦わら帽子の青年の仲間とゴードンが持ってきた薬が効いたおかげか後遺症が出るものはおらず、みな命に別条のない状態だったそうだ。

 村の中でひどく荒らされた場所といえば酒場くらいしかなく、その修理も多くの者の協力によってほとんど終わっているようだった。女将は重傷を負っているものの、営業の再開はそう遠くないだろう。

 さて、そんな村の通りをウタはゴードンと共に練り歩いていた。普段着に着替えた上からジャンパーを羽織った姿で歩く彼女の頭には、白と赤の大きな髪の輪が一つずつ。そんな彼女の見慣れた姿に、二人を見つけた村人が顔をほころばせながら駆け寄ってきた。

「ウタちゃん! もうケガはよくなったのかい?」

 若い男からの質問に、ウタは微笑みながら首を縦に振る。

「うん、元々たいしたキズじゃなかったからヘーキ! ありがとう」

 それを聞いた村人たちからよかった、と安堵の声があがる。ウタの元気な姿を見て安心したらしい村人たちに、今度はウタが質問した。

「ところで、キョウコさんって今は入院中? 医院に行ったら会えるかな?」

「ああ、女将さんはそこだよ。顔見せに行ってやりな、きっと喜ぶ」

 応えてくれた中年の女性にありがとうと笑いウタが歩きだすと、ゴードンも村人たちへ会釈をしながらそれについて行く。

 またな、と村人たちが手を振りながらかけてくる言葉を背に受けながら、ゴードンはウタに近寄って耳元でささやいた。

「その、ウタ……〝大事な話〟というのはいつしてくれるんだい?」

 そう、てっきりあのまま宿で話してくれるものかと思っていたのだが、ウタはおもむろに着替えて外に出て、それから件のことについて何も話してはくれない。まさか忘れているわけではあるまいね、と確認するつもりでゴードンが聞いてみると、ウタは目線を彼の方へ向けて静かに、そして穏やかに答えた。

「ごめんねゴードン。ちゃんと今日のうちに話すから」

 だからこちらから話すまで待っていてほしい、と。そう言っているように聞こえるウタの回答に疑問はありつつも、ゴードンはこくりと頷いて話題を変える。

「そういえば、お見舞いの品は何にしようか?」

「んー、お花と果物がいいのかな……」

 ウタの言葉に再び頷いて、ゴードンは彼女と共に通りにある店に足を伸ばすのだった。

 

    †

 

 花束とカゴに入った果物を手に、ウタとゴードンが大通りから外れた場所にある医院へと向かおうとすると、彼女たちの目に見覚えのある人物の姿が見えた。

「あれ、ウソップさん……だよね?」

「ん? おおウタ! それにゴードンさん。昨日ぶりだな」

 店の棚に並べられた卵を眺めていた長鼻の男ウソップは、声をかけてきたウタたちに気づくと手をあげて反応する。

 ウタにとっては一昨日の晩ルフィと再会した夜に会ったのが最後だったが、その特徴的な外見とゴードンから聞いた話から、彼がウソップであることは何となくわかった。

「ウソップ君、昨日は本当に――買い物かい?」

 棚の卵を指差すゴードンにウソップはおうよ、と返す。聞けば生卵も目つぶしなどのために弾として飛ばすこともあるという。ウソップの戦闘スタイルを知らないウタにはさっぱりな話だったが、ゴードンはパチンコがウソップの武器であることは聞いていたためなるほどと納得している様子であった。

「そういえば、他のみんなは船にいるのかな?」

「だなあ。ゾロは寝てるし、ナミは次の島への針路を考えるってさ」

 ウタはウソップと同じく酒場で出会った緑髪の剣士とオレンジの髪の女性を思い出しながら話を聞いていると、肝心のルフィの名前が出てこなかったことに反応する。

「あれ、ルフィは船にはいないんだ?」

「ああ、医者に引き止められてな。まあケガしたまま連れてくのも大変だしなあ……」

 海軍には通報しないでくれるって言ってたし、と付け加えるように呟くウソップの言葉を聞いて、ウタがゴードンの方へ振り返ると、彼は頷いてウソップの言葉を肯定する。

 ゴードンが言うには、村を襲ってきたクラゲ海賊団のことを海軍に伝えると、島に停泊させているゴーイング・メリー号を含めルフィたちの存在もバレてしまう。しかし船長のルフィは傷を負って治療中。村を救った恩人を叩き出すわけにはいかないと村人たちも合意の上で、海軍への通報を遅らせているということであった。

「け、けど……じゃあ〝クラゲ海賊団〟のやつらはどうなったの?」

 ウタからの当然の疑問にウソップが答えた。

「ああ、それはな……」

 

    †

 

 場所は変わりゴーイング・メリー号。

 甲板では三刀流の剣士ゾロがいびきをかきながら壁に背をつけ居眠りをし、ナミは室内で海図とともに今後の航路について考えながらしきりに紙に何かをメモしていた。

 船員が二人しかいないメリー号は静かなものであったが、今この時船上には来客が乗っていた。

 まずはヨサクとジョニーである。彼らはこの日、元々ルフィたちが求めていたコックの居場所についての情報をナミに伝えに来たのだが、その後ある仕事を頼まれ船に残っている。その〝仕事〟というのが――

「ぜえっ、ぜえっ……で、でめえら、さっさとこの縄ほどきやがれ……っ」

「船長、あまりムチャは……」

「いぎっ……き、キズが傷むわ、ワシのもほどいてんか……‼」

 そう、クラゲ海賊団の主要メンバーの見張りである。

 現在メリー号に乗せられ縛られている彼ら以外の下っ端船員たちは、今朝の時点で全員村から逃げ出してしまった。というよりもナミ達が逃がしてやったのだ。

 ナミ達は直接関知していないが、村の人間たちが自分たちに気を遣って海軍へ通報しないでいてくれていることは薄々感じ取っていた。ではこのまま海軍の来ない村に、無力化したとはいえ荒くれ者の海賊どもを居座らせるわけにはいかないだろうと考えた結果このような対応にしたのだ。

 無論、逃がしてやるやつらにもナミは容赦しなかった。武器や海図などの物資などに始まり、船に積んでいた食料を数日分残しての没収、そして極めつけに船の燃料もギリギリまで減らしたうえでの解放である。彼らは今後戦う力を持たないまま海を漂い、食料と燃料の枯渇を気にしながら次の島にたどり着くまでに生きていくことになる。海賊活動どころの話ではないだろう。

 もちろん海賊たちもはじめは抵抗していたが、ナミの詰め寄り様やゾロからの無言の威圧に屈し泣く泣く出航していった。本当ならこのまま村の者には海軍に通報してもらった方が後顧の憂いを完全に断てるのだが、ルフィの身体のこともありそこまで言うことはナミにはできなかった。燃料のこともあるので、クラゲ海賊団がこの近辺に潜もうとしても難しいだろうし、来たとしてゾロに任せれば大丈夫だろうとタカを括っているのが現在のナミである。

 さて、そんなナミから仕事を任されたヨサクとジョニーは、縄で縛られたまま恨み言を呟くゼリフィス達にガンを飛ばしながら吐き捨てる。

「大人しくしてやがれコンチクショウども」

「部下どもとちがって、おめえらはあとからキッチリ安全な監獄まで送ってもらえるようにしてやらあ」

 ゼリフィスたちは殺意のこもった瞳で二人を睨みつける。だが意識を取り戻したといえ武器も取り上げられている状態では大した抵抗もできない。すぐに全員が悔しそうに歯軋りしながら顔を俯けるのだった。

 今後彼らはルフィたちが出航するタイミングで村人たちに引き渡され、そのまま海軍へと通報される予定である。主要メンバーのみを捕まえられた理由については怪しまれるかもしれないが、まあどうとでもなるだろうというのはナミの言である。

 こちらの為すがままにされるしかない敵のことを見張りながら、ふとヨサクがジョニーへと言う。

「なぁ、アニキたちはこのまま出航するんだろうけどよ。ウタの姉貴はどうするんだろうな?」

「そりゃあ、姉貴次第としかいえねえだろうがよ」

 サングラスを手で直しながらジョニーが答えると、けどよ、とヨサクが食い下がる。

「ゴードンさんは姉貴と別れるつもりだぜ? 聞いたろ、昨日のあの話」

「聞いたがよ。だからこそ姉貴が自分で決めるべきじゃねえか」

「……? ……???」

 そんな風にやいのやいのと言い合う賞金稼ぎ二人組の様子を前の前で見せつけられるゼリフィス達は、相手が何の話をしているのか分からず訝しげな顔をするのだった。

 

    †

 

「おや、ウタじゃないか」

「キョウコさん!」

 部屋へ入ったウタたちの目に、血色の良いキョウコの顔が映る。

 ベッドから上半身を起こしたキョウコの肩には包帯が巻かれ、布を使って腕を吊り下げていた。

 見舞いの果物カゴををベッド隣の机の上に置きながら、ウタがほっとした様子で言う。

「元気そうでよかった、ほんとに……」

「あっはっは! あそこで死んじまうかと思ったけど、運がよかったね!」

 カラカラと笑いながら答えたキョウコは、ウタからゴードンの方へと視線を移す。束になっていた花を花瓶に移し替えていたゴードンは、キョウコからじっと見られていることに気が付くとにっこりと笑みを浮かべてみせる。

「きみが撃たれたと聞いたときはキモが冷えたものだが、流石は酒場の女主人だな」

 鼻を鳴らしながら不敵な顔でキョウコがだろう?と答えた。

 と、ゴードンはウタが部屋の中をキョロキョロと見渡しているのに気づいて、彼女に声をかける。

「ウタ、どうしたんだい?」

「ぅえっ⁉ あ、ああいや、何でも……」

 驚きの声と共に輪を跳ね上げてウタがもごもごとしていると、キョウコが思い出したように言った。

「ああ、麦わらの子ならさっき脱け出していっちまったよ」

 するとそれを聞いたウタが先ほどよりも大きな声で驚く。

「ええ⁉」

 飛び出んとばかりに目を見開いて声を上げるウタの様子を見て、なるほどルフィに会うのが目的だったか、とゴードンとキョウコは察する。

 そんな二人の視線を受け、慌てて釈明するウタ。

「ち、違うの! ルフィがいるなら会おうかなって思ってただけで‼

 キョウコさんをダシにしようとしたとかじゃなくて……‼」

「ウタ、その言い方だとダシにしようとしていたように聞こえるぞ……」

「はうぁ……っ⁉」

 しどろもどろになっていくウタを見て、キョウコが再び笑う。実際に自分への見舞いがあの青年に会うための口実なのだったとしてもキョウコは気にしないのだが、みたことのないウタの狼狽えっぷりを見るのが楽しいのでそのままにしておく。

「ち、ちがうのキョウコさん……。

 ル、ルフィがいたらあいつと話したいことがあっただけで……‼」

 次第に泣きそうな顔になっていくウタにそろそろ頃合いか、とばかりにキョウコがルフィの行先を伝える。

「あの坊や、あんたが良くいく場所を聞いてきてね。

 村はずれの丘のことを言ったら〝じゃあそこに行ってくる〟って飛んでいっちまってね」

「え……!」

 村はずれの丘。ウタが毎日酒場でのステージ前に立ち寄っていたところだ。

 ウタの馴染みの場所を聞き、その場所へ向かったというルフィ。ただ単にこの島での幼馴染の生活に興味があっただけという可能性もあるが、それとは別にウタとゴードンの頭には同じ考えが浮かんでいた。

(ルフィが、待っている……?)

 今日相手が来るかも分からないというのに、彼がそんなことを考えるのだろうか? 自分の思い過ごしではないだろうか?

 ……行くべきだろうか? いや、行かないとダメだろう。話をしなければならないんだから。

 ああ、でもどんな顔をして行くべきだろう。昨日はもうすぐ和解というところでクラゲ海賊団の襲撃を受けて、そのまま有耶無耶になってしまったから……。

 何だか気恥ずかしいような、不安なようなどっちつかずな感情に襲われ、ウタの表情は端から見ても異様な速度で変化していく。そんな彼女をみたキョウコが、ため息をつきながら言った。

「ああもう、そうやって考え込むからいけないのさ。

あんたはもう少し坊やを見習ったほうがいいね」

「だって……」

「ひどいこと言った覚えでもあるんなら謝ればいいし、納得いかないことがあんなら問い質せばいい。

言いたいことは、言わなきゃ先には進めないよ、ウタ」

「!」

 〝言いたいこと〟。つい昨日もルフィの口からそんな言葉が出ていたっけか。

 シャンクスに言いたいことがあるように、自分にはルフィにも言いたいことが、言わなければならないことがある。

 受け入れてもらえるかは、分からないけれど。彼とは、きちんと話をつけなければいけないのだ。

 少しの間をおいて、ウタがキョウコに向かって話す。

「……キョウコさん、ありがとう。あたし、行ってくるね」

「ああ」

 そうしてドアの前まで行ったウタが、くるりとキョウコの方へ振り返り、笑う。

「あっ、キョウコさんのお見舞い、ついでなんかじゃないからね‼」

 そう言ってガチャリとドアを開け、外へ駆けていくウタの後ろ姿をベッドから見守っていたキョウコが、まだそばにいるゴードンにぼそりと言った。

「あんたも行かなくていいのかい?」

「……あっ」

 まだ大事な話とやらを聞いていないことを思いだしたゴードンが慌てて部屋を出ていくのを見届けると、キョウコは息をつきながら壁に背中を預け、窓から外を眺めてみる。

 誰かの話し声や、遊ぶ子どもたちの楽しげな声。

 海賊の襲撃があったとは思えないほどいつもと変わらぬ日常、いつもと変わらぬ平穏を感じながら、キョウコは小さく呟いた。

「……旅立ちってのは、あっという間に来るもんだねえ……」

 

    †

 

 走る。走る。

 通りを横切り、家々の間を駆け抜ける。

 自分の姿を見かけ手を振りながら何か声をかけてくる村人の横を通り抜ける。

 

 走る。走る。

 建物が少なくなり、目の前には草の緑色が広がってくる。

 目指す丘はこの先、森を突っ切ったその先。

 

 走る。走る。

 段々息が切れてきて、口の中がカラカラに乾く。

 額の汗が目に入ってきて痛い。

 足の力が抜けて今にも転んでしまいそう。

 

 それでもウタは走る。

 待っているかもしれない男のために。

 伝えたいことを、この口から伝えるために。

 

 ――医院から走り出しておよそ数分。

 まだ日の傾いていない時間帯の丘からの景色は、普段と少し印象が違って見えた。

 青い空に、白い雲。日の光を反射して煌めく海はエメラルドのごとき輝きようだ。

 ……そして、普段ならいないはずの彼もそこにいた。

「……ルフィ」

 ウタの声に反応して、仁王立ちで海を眺めていた青年が彼女の方へ振り向く。

「おおーウタ!」

 声を上げたルフィの身体には、包帯がサラシのように巻かれ、顔にもガーゼらしきものがあてられている。

 そんな傷だらけの風貌には似つかわしくない、嬉しそうな明るい彼の声に気が抜けたのか、ウタは口角を上げて大きく息を吐きながら膝に手をついた。

「はぁっ、はあぁっ……な、なんか元気そうだね、ルフィ……」

「ああ、昨日飲んだクスリが効いたんかなあ」

 それってもしかして解毒薬のこと?と言いそうになったが、まだ息の整っていないウタは枯れた声ではは、と笑うしかできなかった。

 しばらく深呼吸をして落ち着きを取り戻したウタが、ルフィに言った。

「でもダメじゃん、脱け出しちゃ。ケガ人はベッドで寝てなきゃ」

 すると、うーんと考え込むような素振りをみせてからルフィがポツリと答える。

「けどよ、ここで待っとけばお前が来てくれる感じがしちまったからなあ」

「! ……ふふっ」

 やはりルフィは今日自分と会うことを予感していたようだ。変なところでカンの鋭いやつだな、とウタは思わず笑いをこぼす。急に笑った彼女に不思議なものを見るような顔をするルフィ。そんな彼に、ウタが切り出した。

「あのね、ルフィ。あたし、言いたいことがあってここに来たの」

「おっ、なんだなんだ?」

 興味を持った様子のルフィが地面に座り込んだので、ウタもその向かいに腰を下ろす。

 一瞬もじもじとした様子をみせたウタだが、ほどなくして意を決した顔でルフィへと話し出した。

「あの、ね。まずはこれまでのこと、謝ろうと思って。

 せっかくまた会えたのに、ひどい言い方とかしちゃって……ごめんっ‼」

 座ったまま頭を下げるウタ。

 ルフィからの反応はない。彼がどんな顔をしているのかウタには見えないので、沈黙が続くと気になって仕方がない。

 そっと顔を上げてウタがルフィの顔色を窺ってみると、彼は――

「…………?」

 何をしているんだ?とでも言いたげに両の眉を下げ、への字口になった顔でウタを見下ろしていた。

「……そんだけか?」

「へぇ……っ?」

 予想以上、いや以下のルフィの返した言葉にに思いがけず上擦った声で反応してしまうウタ。

 まぁ確かに、昨日話した時点でルフィが怒ったりしている様子もなかったのだから、今更謝られたところで反応に困るというのも頷ける話だ。

 木魚が鳴るかのような間を置いて、ウタは頭をブルブルと振り身振り手振りを交えながら言う。

「いや、こ、これはその…そう!〝ケジメ〟ってやつ⁉

 アンタは気にしてないかもだけど、謝らないままっていうのはあたしがイヤだからっていうか……。うん。だから…これはあたしの勝手でね」

 徐々に勢いをなくした話し方になりながら、ウタは続ける。

「けど、本当にごめんなさい。

 あたしのせいで、ルフィや仲間の人たちも戦わせることになっちゃったし」

 そこまでウタが言ったところで、ルフィが頭を掻きながら言う。

「うーん。それを言うなら、ウタがシャンクスの娘だってのもおれがしゃべっちまったのが原因でバレたんだしなあ」

「それは……そうだけど」

「まぁ……」

 そして、ポンと膝を手で打ったルフィがニッと笑って言った。

「おれは気にしてねェ! くたびれ海賊団はおれもムカついたから殴ったんだしな!

 ウタが謝って気がすむなら、おれもそれでいい」

「ルフィ……」

 澱みないルフィの満面の笑みを見ていると、

 ウタもルフィにつられてクスクスと笑っていると、後ろの方から何やら声が聞こえてきた。

「ウタァ~! ぜぇ、ぜえっ……ま、待って……」

「あ」

 汗だくになりながらヨタヨタとした走りでやってきたのは、先ほどウタが医院に置き去りにしてきてしまったゴードンであった。途中で暑くなったのか、コートを脱いで小脇に抱えながら走ってきた彼は、ウタたちの座っている丘のふもとまで辿り着くと、荒い息をしながら立ち止まった。

「おお、ピアノのおっさん!」

「あ、あぁルフィぐん……いだのか、よがっだ……」

 今にも倒れそうな顔色のゴードンの元へ、慌てて丘の斜面を滑りながらウタが向かう。

「ゴードンごめん、あたしすっかり……」

「ああいや、問題ないとも……はぁ……っ」

 最後に大きく息を吐いて呼吸を整えたゴードンがウタに聞く。

「それよりもウタ。言いたいことは言えたのかい?」

「……うん」

 微笑みながら頷くウタの顔に安心しながらゴードンが背伸びをしていると、彼のシャツの裾を引っ張りながらウタが付け加える。

「けど、まだあいつと話があるの。……ゴードンにも聞いてほしい話が」

「!」

 〝大事な話〟が今から始まるのだとゴードンは察する。

 ルフィも交えての話となると内容は限られてくるだろうが、まずはウタの話を聞いてみることにし、ゴードンもまた丘の上で腰を下ろした。

「ん? なんだ、ピアノのおっさんも混ざんのか?」

「あぁ、幼馴染二人水いらずだったろうにすまないね」

 余計なこと言わんでいいとばかりにウタに肩をはたかれるゴードン。それに対して笑い返す彼とルフィとの間に座ったウタが、ルフィへと話し始めた。

「ねえルフィ。確認なんだけどアンタは〝海賊王〟を目指してる、そうだよね?」

「おう、そうだ!」

 胡座をかいて座っていたルフィが力強く肯定する。それを見たウタも頷いて、続けて聞く。

「じゃあ、アンタはその夢を成し遂げるために無関係な人を傷つけることは躊躇しない?

 例えば、あのクラゲ海賊団のやつらみたいにさ」

「……」

 つまり、名を挙げるために町を襲ったり金品を奪ったり人を傷つけたり……。そんな行いをするつもりはあるのかどうかをウタは問おうとしているのだ。だが、自分から海賊を名乗っている人間への質問にしてはいささか矛盾を孕んでいるだろう。この〝大海賊時代〟、海賊を名乗る人間が略奪や殺生を働かないことなど無いに等しい。

 そんな質問をして一体どうしようと言うのだろう。ウタの横顔を見つめて妙な緊張感を覚えながらゴードンが考えていると、ルフィが口を開く。

「ない‼」

「おお、ないのか。そうかそうか〝ない〟ね。

 ……言い切るのかい⁉」

 ルフィの口から「はい」などの言葉が出るとは思えない信頼は確かにあったが、それでもすんなり否定されたことに驚いたゴードンが声を荒げる。そんな彼をよそに、ルフィは付け加えるようにウタへ言った。

「あっでもな、困ってるやつをわざわざ助けようとか、そういうこともしねェぞ!

 おれは海賊なんだからな!」

「…………」

 ゴードンが理解しきれないとばかりに彼女とルフィの顔を交互に見ていると、ウタがなるほどと頷いてルフィの言い分をまとめる。

「つまりアンタはあくまで海賊なんだけど、ムカつくやつをぶっ飛ばしたりするときにチカラを振るうってこと?」

「ん。まぁそんな感じだな」

「そんな感じなのか……」

 ボソリと呟く自分の横でウタがやっぱりと言うのを聞いたゴードンが彼女の方を向くと、それに気づいたウタがため息をつきながら話した。

「考えてみたら、コックを探すためにわざわざ聞き込みする海賊なんて聞いたことなかったし。

 人が撃たれたことに腹立ててほかの海賊団と戦うやつなんてもっと知らないよ」

 それは確かにそうだ。ゴードンも同調して頷く。

「まぁとはいえ、アンタたちが無法者であることに変わりはないってことだけどさ」

「……」

 ウタの言葉をルフィは黙って聞いていた。

 と、腕を組み目を閉じて何か考え込むような素振りをみせたウタが、今度はゴードンに聞く。

「ゴードンはどうなの?」

「え⁉ ど、どうとは……?」

 急に話を振られたゴードンがドキリとした表情で聞き返すと、ウタは彼をまっすぐ見ながら再び聞いた。

「ルフィたちのこと、どう思うかってこと」

「な、なるほど」

 どう言おうものか、と顔を俯けて黙るゴードン。

 しばしの時をおいて、ゴードンは口を開いて己の考えを述べ始めた。

「私は……ルフィ君たちがウタや村の人たちを守ってくれたことに感謝をしているよ。無論、君たちにはその気がなかったのだとしてもだ。

 だからウタを仲間にしたいのなら――」

「そんな話はまだしてないんだけど?」

 しまった、と思わず口を手で押さえるゴードンに、ウタからのじとりとした視線が突き刺さる。

 咳払いを一つし、改めてゴードンが話し始めた。

「まぁともかく私は君たちを信用したいと思っている。

 ウタが嫌っているようなそこらの海賊とは、ルフィ君たちは違うんだと……」

 ゴードンの言葉を聞いてししし、と笑うルフィ。

 ウタはというと、さして驚いたりする様子もなく淡々とゴードンに言った。

「まあ、あたしの知らない間にこいつの仲間とも仲良くなってたみたいだし、そう言うとは思ってたんだけどさ」

「えっ、あぁっとそれは……」

「あーそういやおっさん来てたな」

「う、うむ。そうだね……」

 ルフィが思い出したように言うのを聞いて「なんで隠してたのよ」と言いたげなウタの鋭い視線を受けながらタジタジになるゴードン。

 が、ウタはため息をつきつつもすぐに話を元に戻す。

「いや、まぁそれはいいや。

 とにかく、ゴードンはルフィたちを悪くは思ってないってことだね?」

「あ、ああ」

 ゴードンの肯定に分かったと頷き、再びウタがルフィに向かって問う。

「ルフィ」

「なんだ?」

「あたしのこと、まだ仲間に誘いたい?」

「おう‼」

 ウタの問いにすぐさまルフィが答え、テンポよく進む二人の会話。

「あたしが必要?」

「ああ! ウタがいてくれりゃきっとみんな楽しいぞ!」

「ほんとに?」

「なんだよ、ウソじゃねェぞ?」

 唇を尖らせるルフィの顔に思わず笑いそうになるウタ。

「じゃあ、あたしがシャンクスのこと嫌いなままでもいいの?」

「ん。うーん……」

「……」

「……いや、そこはおれが言うことじゃねェもんな。おれは気にしない‼

 あっ! でもおれの前でシャンクスのことバカにされるのはイヤかも……」

 最後にボソリと付け加えたルフィの言い方がおかしくて我慢できずに吹き出してしまう。

 口から漏れ出る笑いを手で抑えながらウタが言う。

「ぷ、くく……っ! 言わないよ! くくく……っ」

「お、そうか? ならいいや!」

 ルフィも一緒になって口を開けての大笑い。互いの笑いに互いがつられ、しばらく二人の笑い声が辺りにこだました。

 そうして落ち着いてから、笑いを堪えたせいか出てきた涙を指で拭き取ってもう一度ルフィの方を向いたウタの顔は、今日の中で一番晴れやかなものだった。表情と同じく爽やかさすら感じさせる声で、彼女はルフィに言う。

「わかったよ、ルフィ」

「?」

 何が分かったんだ?と口角を上げたままの表情で固まるルフィに背を向け、ウタがゴードンの方へ向き直った。

「ゴードン」

「……なんだい、ウタ」

 もう、彼女が何を言おうとしているのかをゴードンは理解していた。けれど、きちんと真正面から受け止めたい。だから敢えて彼は聞き返した。

 正座の姿勢で座っていたゴードンの背筋がピンと伸びる。仰々しすぎやしないかと自分でも思うが、自然とこうなってしまっているのだから仕方ない。そんな彼と同じく正座で座り直したウタが大きく息を吸って、そして言った。

「あたし、ルフィについていきたい」

 時間が止まったかのような静寂の中、丘に吹いた風に草が揺れる音が響いている。

 ウタの言葉を聞いたゴードンは真っ直ぐに彼女を見て、そして目を閉じた。

 瞼の裏に映るのは、まだ幼かった頃のウタの姿。

 暗い顔をして、フラフラと港への道を歩いていく彼女の背中を見送っていた毎日。

 悪夢にうなされ、ベットで涙を流す彼女のそばで夜を明かした日々。そして、エレジアを出ることを決めたあの日。

 次に思い出すのは、〝東の海〟に来てからの二年間。

 辛い現実を目の当たりにしながらも、多くの人々の心を癒そうとした旅の日々。

 海賊に襲われた町で歌を歌い、何事もない平穏な村で歌を歌った。多くの人に囲まれながら歌う彼女のそばで、自身もピアノを弾き続けてきた。

 そして、ここ数日の彼女。

 ルフィと再会してからの彼女は、これまでゴードンが見たことのなかったような表情をみせていた。怒りも、悲しみも、喜びも。これまでの十年と比べても一際激しい感情の発露の連続だった。

 彼と共に旅ができれば、どんなに彼女のためになるだろう。そんなことを考えて一人先走ったりもしたが……。

 結局のところ、結論は彼女自身が出すべきものであり。そして今、目の前でウタは己の決断を自分へぶつけてきている。エレジアから連れ出してきた時のような、他人が説得して、丸め込むようなやり方とは違う。彼女自身が相手を見極めて出した答えだ。

 ゴードンは確信する。彼女は前に進んでいるのだと。そして、自分が彼女と共にいられるのもここで最後なのだと。

 目を開いたゴードンは、静かに呟いた。

「……そうか」

「驚かないんだね」

「なんとなく、こうなるんじゃないかと……いや、こうなることを期待していたんだろうね、私は」

 頭の古傷の部分をさすりながら言うゴードンは自重気味に笑う。

「思えば、私はずっときみに自分の夢を押し付けてきてしまった。

 きみを世界一の歌姫にするだなんて大層な目標を掲げはしたが、この通り私の体は老いて、いつ旅が続けられなくなるかもわからない。

 二年前、きみに提案をしたときはきみを島から連れ出そうと躍起になっていたから、いずれこうなることを考えていなかったんだ。だから……私は……」

 私は、仮初の夢すらもきみに与え続けてやれない、愚かな人間だったんだよと。そうゴードンはウタに話す。

「けれど、この島でルフィ君たちに出会って、私は彼に希望を見た。

 〝彼らなら、ウタにもっと広い世界を見せてくれる〟と。

 だから船にも直接出向いて、ルフィ君の仲間に頼んだんだ」

 

―頼む、ウタを連れて行ってやってほしい‼―

―⁉―

―あの子には、あの子のこれからのためにはルフィ君のような人間が必要なんだ。

 きみたちが海賊だということは重々承知している、けれどどうか、どうか頼む……‼―

 

「そんなハナシしてたの⁉」

「ああ、だが呆気なく断られてしまったよ」

「え」

 勝手なことをされたことには不満だが、向こうから断られるのはそれはそれでマズイのでは、とウタの頬が引き攣った。そんな彼女の顔を見て、そうではないとゴードンは首を横に振る。

 

―そりゃウタ本人が決めることだろ―

―あと船長のルフィもね―

―あいつは即答でオーケー出しそうだけどな―

―とにかく、まずは本人たちで話し合わせて! 話はそれからよ!―

 

「こんな具合でね」

「あ、ああなるほど……」

 どうやらあちらからお断りされているというわけでもないらしいことに胸を撫で下ろすウタ。と、すぐに眉を吊り上げてゴードンの頭に軽くチョップを数回浴びせた。

「だ・け・ど‼ 勝手なことしないでよね‼」

「ハイ、スミマセン……」

 衝撃で頭部を上下に揺らしながら謝るゴードンに、ウタが頬をうっすら赤くしながら続けて言う。

「それで、あたしの一世一代の決断への答えは……?」

「ああ、それは……」

 頭を揺らしたせいでズレたサングラスを直して、ゴードンが微笑みながら言った。

「もちろん、きみの決断を支持しよう」

 その言葉を聞いたウタの顔が、パッと明るくなった。赤と白の髪の輪が彼女の喜びを示すようにピンと立ち上がり、頬の赤みがさらに増した顔でウタがルフィの方へ勢いよく振り向いて、

「やったぁーーーっ‼‼」

 ハイタッチをするとともに互いの手を握り合わせた若者たちの歓喜の声が丘へ、そして海の彼方へと響き渡るのであった。

 

   †

 

 その日の夜、ウタたちの宿泊する宿にて。

 橙色の明かりがぼんやりと照らす部屋の隅には、なかいっぱいに荷物が詰められたスーツケースが二つ。ウタが明日の出発に向けて先ほどまで準備していたものだ。〝東の海〟での二年間で持ち物も増えていたが、基本的に島から島への流れ旅だったので手持ちの荷物が増える機会というのもそうなかったが、大きな町などを訪れた時には、よく化粧品や服の類を店に覗きに行ったりしたものだ。

 それと、ウタにとって決して手放せないのが楽譜だ。この二年間で随分と書き溜めたのは自覚していたが、いつの間にかそれがスーツケースを丸々一つ埋めてしまっていたというのだから驚きだ。

 せっかく書いた楽譜を捨てるなど論外だし、置いていくというのも忍びないので、その他の荷物を減らすことで帳尻を合わせようとしたのだが、今度は何を減らすかで迷い、荷造りが終わるころにはウタはすっかり疲れ切っていた。

 全ての準備を終えたウタたちは寝間着に着替え、普段のように部屋に二つ並んだベッドに横たわる。

(ウタ! 明日の朝、海岸で待ってる‼)

 布団を首元まで引き上げながら、ウタはルフィの別れ際の言葉を思い出していた。

 〝海岸〟だけでは伝わらないだろう、とゴードンがクラゲ海賊団の船が泊まっていた場所に来てくれるようナミに伝えてほしいとルフィヘ言っていた。ウタも島の地理にはそれなりに詳しかったため、地図を見てすぐに理解できた。

 そんな数時間前のことを思い出していると、もう明日にはここを離れるのだという実感がじわじわと胸のうちに湧いてくる。

 と、不意に隣のベッドで寝ていたゴードンが声をかけてきた。

「不安かい、ウタ?」

「……そうだね、ちょっと不安かも」

「私もだ」

 呟くように言うゴードンの方へ頭を傾け、ウタが聞く。

「ゴードンも? どうして?」

「十年も一緒にいたきみが、私から離れていってしまうんだ。

 ケガをしないだろうか、病気になったりしないだろうか、お腹をすかせたりしないだろうかと、先のことを考えるとどうしてもね」

 たしかに、自分がいなくなった後のゴードンのことを思うとウタも心配になる。

 足腰も弱くなってきているだろうし、ちょっとしたことで大怪我を負うかもしれない。病気になれば治るのも遅いだろうし――。

「……あたしもだなあ」

「おや、それは嬉しいね」

「けど、そんな風に心配してくれるなんて、家族みたいだね」

「!」

 〝家族〟という言葉に一瞬反応を示したゴードンが、天井を見上げながら言う。

「……私は、きみの保護者としてしっかりやれていただろうか」

「……」

 自分にではなく、彼自身に問いかけているようにも聞こえるゴードンの言葉に少し考えてからウタが口を開いた。

「……そりゃあもう、シャンクスが見たら〝参った〟っていうくらいには」

 そこで少し間をおいて、もう一言。

「……お父さんだって言いたいくらいには」

「……‼」

 紛れもない本心だ。ゴードンはどう思っているのか、それを考えるのは気恥ずかしいしそもそも烏滸がましいというものだろう。

 けれど、彼はこれまでの十年間ずっと自分を見守ってくれていた。仮初のものだったとしても、ウタはそこに親からのものと同等の愛を感じていた。だからこそ辛いことや大変なことがあっても立ち直ってこられた。旅を続けてこられた。ゴードンがいなければ、自分なんてあっという間に潰れてしまっていただろう。

「だから、ゴードンはあたしにとっての〝先生〟ってだけじゃなくて〝お父さん〟でもあるんだって、自信もって言えるよ」

 余人に知られていなくとも、ウタは「〝赤髪〟の娘」という降ろすことのできない看板を背負わされている。それを変えることはできないけれど、「〝音楽家ゴードン〟の弟子で娘」であるということにだって違いはない。少なくともウタはそう考えている。

「それにゴードンはあたしを〝夢に付き合わせた〟って言うけどね、今のあたしの夢も同じだよ。〝世界一の歌姫〟」

「え……」

「酒場でも言ったのにぃ。

 あ、でもあたしの場合そこに〝世界中の人を幸せにする〟が付くんだけどね!」

「……それは」

 それは素晴らしい夢だ、とゴードンは噛み締めるように言った。それを聞いたウタは自慢げな表情を浮かべながらこうも言う。

「だからもし将来あたしが有名になって、この〝東の海〟にも名が届いたらさ、ゴードンも言っていいよ。〝私はあの歌姫ウタを育てたんだぞ〟ってさ!」

「……‼」

 いや、もうドンドンアピールしていっちゃおう、なんて風に少し照れくさそうにしながらもニッと笑いながら言ってくるウタと目が合った。成長した立派な大人のものながら、どこか幼さも感じさせる彼女の笑顔を映した視界が滲んできたのに気づいたゴードンは寝返りを打ってウタに背を向けた。

 気分を悪くさせてしまっただろうかと不安になるウタだったが、

「そうか…そうか……‼」

 背中を見せたままそう呟くゴードンの肩が小刻みに震えていることに気づいて微笑を浮かべたウタは、そのまま目を閉じる。

「…おやすみゴードン。

 ……ありがとう」

 そう最後に囁くウタの目尻にも、一つ透明な粒が光っていた。

 





 実はこれまでに投稿したエピソードを読み返しつつ推敲を再び行っています。
 「ここもっと詳しく書いたほうがいいだろ」や「ンアーッ!何この文章おかしスギィ!!(生き恥)」と感じた部分を今更ながら変えたりしています。
 昔は自分の書いた文章を自分で読み直すとか苦行過ぎるだろなんて感じてましたが、最後が近づいてきたが故の開き直り的なあれですねクォレハ…。
 出来次第該当エピソードの更新も行う予定ですので、またその時が来たら活動報告とかでお知らせします。

 ぶっちゃけ書き始めた当初組んでいたプロットからはそれはもう逸れに逸れたうえ己の文章力・構成力のなさに散々打ちひしがれたなかで今のエピソードに至るわけですが、読者の皆様に楽しんでいただけているかだけが心残りであります。
 ですがここまでお付き合いいただいたからには締めくくりまできっちり書き切りますので、見届けていただければ幸いです。

 次回、(おそらく)最終回。お待ちください。
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