「よし、それぞれのロールについたな。
どうして、パートナーを決めた時に表れたロールについた方が、いいのかも教えておく。
お前達の中で、『やすらぎのすず』という道具が、どんな効果を持っているか知っているやつはいるか?」
「たしか…ポケモンに持たせておくとなつきやすくなるっていう効果だったはず。」
全員が、そろうところを見計らい、兄貴が俺達に聞くが、いきなり聞かれても、俺はわからなかったが、フロウが、おずおずとそう言うと
「そうだ。そして、育てているポケモンのタイプと相性が良いロールにしておくと、ポケモンがなつきやすくなる。
というのが、ベータ版で、チュートリアルを受けたプレイヤーによってわかっている。」
「えっ…そうしたら、いろいろなタイプのポケモンを捕まえて、育てるのに、ロールを毎回変えなきゃいけないって事ですか?」
と、兄貴の説明の難点をいち早く理解したのは、リオンだった。
「ベータ版の時点では、そういう育成方法をしていた者が多かったが、現在では、タイプ統一パーティーが、主流になっている。」
ええ~と、ちらほらと悲鳴に似た声を上げていたやつもいたが、その事については俺はもう知っていた。
というより、リアルの方で、フロウと何度か情報のやりとりをしていた時に、フロウから聞いていたというのが正しいが。
「トリガーやフロウは知っていたみたいだな。
トリガーは、ナエトルを相棒にしているなら草タイプパーティーにするつもりなのか?」
俺達の反応を見て、うなずいていた俺とフロウの方を見た兄貴が、俺に聞くが
「いいや、俺は、地面タイプの統一パーティーをつくるつもりでいるよ。」
と答える。
フロウとのやりとりで、俺は地面統一パーティーをと決めていたし、メンバーのポケモンも決めて、このゲームを始めているのだ。
「マグナムさんや、ルインさんは何統一なんですか?」
「私達は、それなりに知られているから教えるけど、一般的には、ポケモンを実際に見るまで相手に直接聞くのはマナー違反よ。
私は、エスパー統一、マグナムは」
「格闘統一だ。
そもそも、チュートリアルを指導する上で、お前達をカイナシティに集めたのは俺だ。」
「ん?…そういえば、カイナシティに集まるように言い出したのは、トリガーだったな。」
リオンの疑問に、注意をしながら、答えた2人だったが、兄貴の突然の言葉に、マキナが、つぶやいた。
「そうだ、俺から、トリガーにカイナシティに集まるように言っておいたからな。
そもそもは、俺のロールに関係してくることだが、詳しく説明するためには、ポケモンセンターよりも、フレンドリィショップで説明した方が、わかりやすいだろう。」
「そうね、移動しましょうか。」
と2人は、席を立つと、ポケモンセンターから出ようとしていたので、慌てて俺達も、ポケモンセンターから出ることにした。
ポケモンセンターから出ると、周囲のプレイヤーやNPCが若干色めき立ち、そんな周囲の人に、ルインさんは、小さく手を振る舞いていた。
「人気税といったところだ。
あまり気にするなよ。
それよりも、道路を挟んだ向かい側の建物が、フレンドリィショップだ。」
信号機のない横断歩道の向こう側に、青色の屋根の建物がたっている。
屋根の淵は、赤色で塗装されていて、白い壁面とあいまった、スーパーボールのデザインがされているこの建物が、フレンドリィショップである。
見た目は、コンビニエンスストアそのもので、俺の目には、フレンドリィショップの青色が某コンビニにそっくりに見えていた。
俺達は、兄貴とルインさんの先導で、車の来ていないタイミングを見計らい、横断歩道を渡って、フレンドリィショップへと足を進めた。
『いらっしゃいませ。』
フレンドリィショップの中は、そのまま、コンビニエンスストアそのもの。
入って右手側は、たくさんの商品が並べられている3列の棚があり、アイスや、ドリンク関係のスペースも見える。
左側にはL字型のカウンター越しに、青色のエプロン姿の店員が、こちらに声をかけてきたのは、まさに、日本のコンビニだった。
兄貴は、入ってすぐに、左に曲がり、レジ横のスペースに集まるように指示してきた。
「見てわかる通り、フレンドリィショップはいわゆるコンビニだ。
いろんな街にもあって、全て、このデザインで統一されているからわかりやすいだろう。
プレイヤー用の軽食、『おいしいみず』、『サイコソーダ』といった定番の飲み物に、『ポロック』、『ポケマメ』といったポケモンフーズが売られいる。」
「もちろん、ポケモンを捕まえるためのモンスターボールから、異常状態回復のアイテムに、さっき言ったフィールドでログアウトができるテント一式と、キャンプ用の料理道具なんかも売られているわ。
ちなみに、船に乗るためのチケットもここで売られているのよ。」
「さて、そんなところにつれてきたことを不思議に思っているだろうが、さっきの話の続きは、このレジ横のスペースに関係している。」
そのスペースには、壁側にカウンターテーブルがついていて、イスが並べられたイートスペースのように見えた。
しかし、カウンターテーブルの一人一人の間隔で、何かの機械を取り付けるような充電器のような見た目の装置が置かれており、壁には、大きなコルクボードにハガキぐらいの大きさの紙が、びっちりと並んでいて、画鋲で止められていた。
「このスペースは、『ロールワーク』という設備になる。
最初のログイン時に、それぞれのロールには、できることが多岐に渡り、できることと、できないことがあると説明があっただろう。
そこのコルクボードの紙を見てみろ。」
と兄貴が言うので、俺達は、壁側のコルクボードを見る
依頼名:散歩をお願い!
依頼者:マキコ
場所:ポケモンだいすきクラブ
ランク:1~3
ロール:規定なし
報酬:1500pm
内容:
ウチのラクライちゃんの散歩の面倒をみてもらいたいの。
もちろん、カイナシティから出てはいけないわ。
車にも気をつけてね。
ラクライちゃんが満足するまでお願いするわ。
依頼名:荷物の配達をお願いします。
依頼者:ヨシヤ
場所:クスノキぞうせんじょ
ランク:1~4
ロール:規定なし
報酬:1500pm、ふねのチケット×2
内容:船で入荷した荷物をカイナ市場に届けてほしいです。
きちんと、受け取りにサインを貰って、もう一度来てください。
よろしくお願いします。
依頼名:あなたのゴーストポケモンを見せてほしいの。
依頼者:チヅル
場所:ポケモンだいすきクラブ
ランク:2~4
ロール:オカルトマニア、てつどういん
報酬:きよめのおふだ
内容:
私はゴーストポケモンがだいすきなの。
あなたのゴーストポケモンを見ながら、お話しましょう。
といった内容の紙が貼られていた。
「見てわかる通りに、NPC達から依頼された仕事をこの場所で、受けられるようになっている。
この紙をボードから取って、レジで依頼を受ける手続きをして、現場に行き、終わったら、レジに戻って来て、報告をすれば、店員から報酬が貰えるというシステムだ。」
「つまり、他のゲームでいう、『ギルド』みたいな役割ができるってわけか。」
兄貴の言葉に、俺がうなずいて言った。