この依頼書に記載されている報酬のpmは『pocket money』の略であり、いわゆる『おこづかい』、お金の事である。
PMOは、日本だけではなく、世界各国に同時にリリースされている。
それぞれの国ごとにサーバーが別れてはいるが、俺達がセカンドプレイヤーとしてPMOの権利を手に入れる前、ファーストプレイヤー達の世界大会が開催された。
その時には、世界同時に翻訳ソフトが試験的に機能したらしく、その時に通貨単位も統一されて開催されていた。
その通貨単位をそのままセカンドプレイヤー達に適用した。
という経緯である。
「この、『ランク』っていうのは、何のことなんですか?」
「それは、『トレーナーランク』のことだな。
誰でもいいが、そこのカウンターテーブルの上の装置に、ポケモン図鑑を接続してみろ。」
と、リオンの質問に、兄貴が言うので、俺のポケモン図鑑をその装置に、スマホを充電するように、接続すると、ピピッっという音をたてて、ポケモン図鑑からレンズのような部品が現れて、ホログラムが投影された。
トレーナー名:トリガー
ID:********
図鑑登録数:1
プレイ時間: 1:18
現在の時間:2XYZ/○/● 14:28
トレーナーランク:1
ジムバッチ数:0
ロールワーク達成数:0
現在の場所:カイナシティ
「これは?」
「プレイヤーのトレーナー情報だ。
もう外していいぞ。」
そう言われて、装置からポケモン図鑑を外すと、レンズのような部品がポケモン図鑑内に、収まった。
「それは、ポケモン図鑑に登録されているトレーナー情報が、見えるようになる装置で、基本的には、あまり使う事がない装置なんだが、このゲームで、改造ツールやチートツールが使われているトレーナーが、この装置を使うと、文字化けするようになっているらしい。
プレイヤー達からの要望で、プレイヤー達にも見えるように運営の対策の1つって事らしいがな。
実際に、海外の方では、何人か摘発されているらしい。
…が、今はそんな事じゃあなくて、トリガーのトレーナーランクが1だったのは見たな。」
「「「「お、おぉぉおぉ。」」」」
ちょっと、『そんな事』どころじゃない情報があったが、話しを進めてもらう事にした。
「このPMOにログインした時点での、トレーナーランクはゼロ、そして、ポケモンセンターでポケモン図鑑を入手すれば、トレーナーランクは1になる。
そして、ジムバッチを計8つ集めると、トレーナーランクは9まで上げられて、9まで上げたトレーナーが、とあるロールワークを完了すれば、トレーナーランクは10になるという寸法だ。
ランクが上がるにつれて、ジムリーダーの使用するポケモンのレベルが上昇していく。
というシステムになっている。」
「じゃあ、トレーナーランクは最大10なんですか?」
トレーナーランクの説明に、マナさんが、聞くが
「いいや、現時点で判明している最大は、13だ。
ランクを、10まで上げたトレーナーは、ランクを上昇させるために、プレイヤーのロールによってさまざまな条件を満たす必要あってな。
実際に、俺もトレーナーランクを10から11に引き上げるためのロールワークの最中という訳だ。」
「じゃあ、そのロールワークを行う場所が、カイナシティで、俺達を集めたのは、その条件とやらに合致していたって事なんですか?」
「まあ、そういうことだな。
今の俺のロールは、見てわかる通り『アスリート』というロールだ。
ランクが10になると、『ジムリーダーへの弟子入り』という、すでにバッチを手に入れている。
かつ、自分が使用するタイプと同タイプのジムに弟子入りして、それぞれのロールを基準に、ジムリーダーから下されたロールワークを達成していかなければならないんだ。
俺の場合は、『後輩10人への指導』というロールワークだったんだが。
お前達の前に、すでに、2人と、3人のグループにチュートリアルを終えているから、お前達にチュートリアルを教えることで、ちょうど良いタイミングで、ジムリーダーから出された依頼を、達成できると踏んでいたということだ。」
「そういうことだったのね。だから、私がチュートリアルを手伝おうかって言った時に、一度断った訳ね。
そういうことなら、言ってくれてもよかったのに。」
「あらかじめ、ジムリーダーからは、一人でやらなくてもいいと言われていたからな。
今回は、大人数になるかもしれなかったから、手伝ってもらう事にしたんだ。」
二人の会話に割り込むように、
「マグナムさんが、弟子入りしたジムリーダーって、どこのジムなんですか?」
とシキが聞く。
「お前達が、乗っていた船が通ってきた、109番水道から分岐して通れる『ムロタウン』にあるジムのジムリーダーの、『トウキ』さんだ。
格闘タイプで、格闘タイプのジム巡りをするのも、PMOならではだな。」
一同は、へ~と、言葉が出るが、最後の言葉に理解が追いつかない者もいるようだった。
「何人かは、何か勘違いをしていそうだから、あらかじめ言っておくが、一つの地方で、バッチを8つ集めなければ、トレーナーランクを9にできない、という訳ではないぞ。」
「タイプ統一パーティーを組んでいるんだから、自分がどうしても、苦手なタイプ相性のジムが、必ずあるわ。
そういう時には、無理をするよりも、別の地方に行って、タイプ相性の良いジムで、バッチを手に入れる。
そうやって、『合計8つのバッチを集める』ことで、ランクを9まで、上げることができるのよ。」
「逆に言えば、9個以上のバッチを集めても、ランクは、それ以上、上がらないということになるがな。
まぁ、例外はあるがな。」
「そうね。…全ての地方で、全てのバッチを集めることで、ランクを上げたトレーナーもいるにはいるわ。
まあ、そんな戦闘狂みたいなことは、おすすめできないわね。」
「え、無理なんですか?」
と、ゼオンが聞くが
「考えてもみろ。
先ほども言ったが、ランクが上がるごとにジムリーダーのレベルがアップした状態で、闘うことになる。
複数のタイプ相性があるなかで、複数のタイプのポケモンのレベルを上げやすくするためには、複数のロールで、同時に育てなければならない。
しかも、このPMOではポケモンのレベルは45以上になると、途端にポケモンのレベルがあがりにくくなる。
このPMOというゲームで、複数のシステムや遊び方があるのにもかかわらず、
『ジムリーダーに勝ってバッチを集める』
という一つのことに膨大な時間をかけることなってしまう訳だ。
そんな狂ったようなプレイをお前達にすすめないのは当然のことだろう。」
「まあ、今のPMOでは、そんな狂人でもなければ、ランクを最大の13まで、上げられないということでもあるのは事実よ。
ランク13ともなれば、NPC達から、各地方のチャンピオンクラスと同等の扱いをして貰えるようになって、主人公NPCと一緒にこのPMOの世界の主要キャラクターとして『グランドクエスト』に関わっていけるから、最大ランクを目指すプレイヤー達は後を絶たないのが現状ね。」
「他にどんな事で、最大ランクを目指せるんですか?」
なるほどと、一様なうなずいていると、マキナから、声が上がった。