ダイワスカーレットと異世界勇者トレーナー   作:グリングリン

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新キャラ、ウオダスじゃねえかぁ!!





トリプルティアラと進む侵食

 

(くそっ! なんでだっ、なんでなんだよっ!? 俺はダービーに勝って強くなった……、夏の間も相棒と特訓を重ねて強くなったはずなのにっ!)

 

『さあ、直線を向いた! 切れ味勝負、先頭はダイワスカーレットだ! ダイワスカーレット、踏ん張るかっ!? 外からダービーウマ娘が襲ってくるぅぅぅぅぅぅぅっ!! ウオッカが来たっ! 弾けるかっ!? 残り100ッ!!』

 

(この距離がッ……縮まらねぇっ!! あの脚にッ……届かねぇっ!!)

 

『ダイワ粘るかっ!? いや、突き放すっ! ウオッカ上がってきたが、差は縮まらないっ!!』

 

(スカーレットッ……!! 俺はまた負けるのかっ……?)

 

 

「くッッッッッッそォォォォォォォォォォォォッ!!!」

 

 

『ダイワスカーレット! 勝ったのはダイワスカーレットだっ!! トリプルティアラです、ダイワスカーレット! ティアラ最強世代の頂点はダイワスカーレット!』

 

『G1の舞台でまたしてもウオッカを破りました! 4コーナーから早め先頭、そのまま堂々と押し切りました! 文句なし世代の頂点です!』

 

『ウオオオオオオオォォォォォ…………!!』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「『圧倒的な先行力』『史上最強のトリプルティアラウマ娘!』ねぇ……おい、スカーレット見ろよこれ。どこの記事もお前一色だぞ、つい全部買っちまったぜ。この写真とか超カッコよくね? 俺がっ!!」

 

「ちょっとアンタ、デスクの上散らかしすぎ! 嬉しいのは分かるけど、少しは落ち着きなさいよね。ほら、片付けるから手伝って」

 

「はいはい、わかったよお母さん」

 

「は?」

 

 夏合宿終了から一月半の時が過ぎ、一回りも二回りも成長したスカーレット。

 

 彼女はレースの感覚を思い出すため、前哨戦である「ローズステークス」に出場し勝利。

 

 そして最後のティアラ「秋華賞」を、ライバルであるウオッカに打ち勝って、トリプルティアラの座を手に入れていた。

 

 まだ秋華賞から一日しか経っていない事もあり、国民達の熱は冷めやまず、国全体がお祭り騒ぎだ。

 

 それだけスカーレットが掴んだ称号は大きく重い。これからはその名に恥じぬ走りをして力を示さなければならない。さらに厳しいレースが続くだろう。

 

 まあ今は素直に喜んでいていいだろう。スカーレットも口ではああ言っているが、口角は上がりっぱなしで尻尾も振りに振りまくっている。嬉しさを隠し切れていない。

 

 それもそうだ。ずっと目指していた目標を達成した、その喜びは俺なんかの比じゃないはず。本当によかった。

 

「どうしたの? ニヤニヤしちゃって。ちゃんと手も動かしてよ」

 

「いやぁ、俺のスカーレットは今日も可愛いなと思ってよ」

 

「アンタねぇ…………いつアタシがアンタのものになったのよ? まだ早いわよ、もうっ」

 

 スカーレットの発言に若干違和感を覚えるも、聞かなかった事にして片付けを進める。広げたスポーツ誌をしまい、ついでにトレーナールームの掃除も軽くする事にした。

 

 俺が床を箒で掃いていると、テーブルを拭いていたスカーレットが何か思い出したように話しかけてきた。

 

「そうだトレーナー、この前貰ったペンダントのトップが割れちゃったの。これ、直せる?」

 

 そう言うとスカーレットは首に下げたアクセサリーを手に取り、俺に渡してきた。見るとチェーンに繋がれた石が、ぱっくりと割れているのが分かる。

 

「トップ? ああ、石の所な。まかせろ、すぐ直る。だからそんな申し訳なさそうな顔すんな、怒ってねえからよ」

 

 渡されたペンダントを握り魔力を注ぎ込む。すると、みるみる内に割れ目が修復していき綺麗に元通りになった。

 

「ほれ、直ったぜ」

 

「あ、ありがとうっ! よかった……本当に……!」

 

「しかし何で壊れたんだ? 昨日は割れてなかったよな?」

 

「うっ……それは…………昨日帰ってから魔気力の特訓をしてたら……その、壊れちゃって……。ごっ、ごめんなさい!」

 

 なるほど、それでか。大方、レースで興奮した勢いそのままで魔気力を使い、魔石の許容量を超えたパワーで修行を始めてしまったんだろう。

 

「気にすんなって。俺がスカーレットの成長力を見誤ってただけだ。前よりその魔石も強化してあるから、もう大丈夫だよ」

 

 この魔石のペンダントは俺の魔力で作った特製のアクセサリーで、夏合宿の終わりにスカーレットにあげた物だ。

 

 これはスカーレットの魔気力を抑える事が出来る優れ物で、こいつを身に付けていれば他のウマ娘と同じく、純粋なフィジカルだけで競い合えるのだ。

 

 俺との修行で人の領域を超えた彼女は、このままレースを行ったらどんなウマ娘でも相手にはならないからな。そこでスカーレットには制限をかける事にしたってわけだ。

 

 ちなみにスカーレットが強く想えば、少量の魔気力は扱える。これで力の修練は可能なのだが、今回はその際に彼女の魔気力が高まり過ぎて、魔石の方が耐えきれなかった。

 

 つまり、当初俺が想定していた量を超えて、スカーレットの魔気力が成長した結果というわけである。一月半でここまで強くなるとは読めなかった、この勇者の目をもってしても……。

 

 というか、やけに心配してたなスカーレットのやつ。今も直ったペンダントを心底大事そうに握りしめてるし。

 

「なあスカーレット、別にそこまで大切にしなくてもいいぞ? それいくつでも作れるし。普段からつけてろって言ったけど、最悪レースの時だけつけてればいいしな」

 

「アンタがよくてもアタシがダメなの! これがトレーナーからの初めてのプレゼントだったのよ……大切にしたいじゃない…………」

 

 そういえば俺から何かあげたのって、こいつが初めてだったか。スカーレットからは財布だったり貰ってたしな、俺はもうちょい日々の感謝を形として伝えた方がいいのかもしれない。

 

「そっか……。んじゃ、今度ちゃんとしたプレゼントを贈るよ。ちょうどクリスマスももうすぐだしな! 楽しみにしてろぉ〜」

 

「ほっ、ホントにっ!? 絶対、絶対よ! 言質とったからね! あっ、でもアンタのセンスって結構ぶっ飛んでるわよね……ちょっと心配だわ、ふふっ」

 

 思った以上に喜んでるな……。今の内に考えておかないとヤバそうかもしれん、何をプレゼントするか。いやでもまだ一月以上あるし、未来の俺に任せても大丈夫かな?

 

 

 

 

 その後、ウキウキしたスカーレットが俺の3倍のスピードで掃除を進めていき、見事なまでに部屋が綺麗になった。

 

「よし、こんなもんだろ。それじゃ今日は終わりだ、スカーレット帰っていいぞ」

 

「え? トレーニングは? まだ時間あるわよ?」

 

「おめぇは今日休みだ休み! 昨日思い切り走ったばっかだし、エリ女も近いんだ。休める時に休まないとだめなの! それに俺、これから用事あるからお前のこと見れねぇし」

 

「用事?」

 

「ああ、何でも近くの森に熊が出たらしくてな。俺と風太で見てくるようたづなさんから言われてんだ」

 

 正確には熊に似た化け物って目撃情報らしいが。まあこんなとこに熊がいるはずもないし、十中八九──

 

「魔物──なの? それって……?」

 

「おそらくな。ったく、最近平和だと思ったらこれだよ……」

 

「ねえ! それアタシも──」

 

「行かせません! 休みだって言ったろ? それに本来こういう事に巻き込みたくねぇんだこっちは。大人しく留守番してなさい、わっーたな?」

 

「わっ、わかったわよ……。気をつけてね、怪我しないでよ?」

 

 渋々了承し、俺の事を心配してくれるスカーレット。彼女の気持ちはありがたいが、まだその時ではないんだ。わかってくれ。

 

 それにスカーレットが出るまでもないしな。風太くんが全部やってくれんだろ、たぶん。

 

「じゃ、行ってくるわ。スカーレットはちゃんと体休めろよ〜?」

 

 

 

 

 

 ──────────────────────

 

 

 

 

 

『グワアアァァアアア…………!!』

 

「やっと倒れたか、少々手間取ったな」

 

「いやー疲れた疲れた。結構タフだったな、コイツ」

 

「貴様は何もしていないだろうが」

 

 学園から北に5km程、都会にしては珍しく人の手が入っていない森の一角で、俺と風太は目的の魔物の討伐を果たしていた。

 

 俺達の目の前でうつ伏せになって倒れている魔物は「ギガーズ」。熊のような見た目に、鋭利な牙と頭に生えた短い角が特徴的なモンスターだ。

 

 こいつの危険性は極めて高く、人間の事も当然のように襲ってくるので被害に遭った人がいないのが奇跡なぐらいだ。

 

 まあそこまで戦闘能力が高いわけではないので、ウマ娘10人ぐらいで囲めばなんとか倒せる程度の強さなんだけど。

 

 そんな事を考えながら死体を眺めていると、不意にギガーズの体が光の泡になって消えていく。体が魔力でできているモンスターは、命を落とすとこんな感じに空気中の魔力と融け合って霧散してしまうのだ。

 

「しっかし何でまたこんなとこに魔物が現れたんだ?」

 

「わからん。時空の裂け目、【ゲート】と呼ばれる世界と世界を繋げる扉が開かれた形跡はないしな……。案外、この間のイカと同じくこの世界で生まれたのかもしれん」

 

「いや、確かあいつタコって言ってたぞ」

 

「む、そうだったか。どちらでもいいが」

 

 風太の言ったように、この近くでゲートが使われた様子はない。数ヶ月前にやってきたライアムって魔族はちゃんとゲートを通って来てたんだけどな。

 

 それに風太の話によると、魔物が現れたのは今回だけではないらしい。俺が気づく前に風太が速攻で対処していたようだ。なんと2回もあったそうで。

 

 そいつらもゲートを使ってないらしく、一体誰が、どうやってこのウマ娘の世界に魔物を送ってきているのか。正直検討もつかない。

 

「なんか嫌な感じはするが、これからも魔物が現れてからすぐ倒すしか方法はなさそうだな。後手に回るのは避けたい所だが、いかんせん俺達だけじゃどうしようもねぇし」

 

「神の奴に協力を仰げないのがここまで痛いとはな。ままならん」

 

 この場にいる2人の力は戦闘に特化しすぎているため、こういう調べて答えを出すという局面でクソほど役に立たない。勇者時代も神さまからお告げを聞いて解決する、という流れが大半だったし。

 

 ここで嘆いていても仕方がないので、最悪の事態にならぬよう頑張るしかないんだけどな。

 

「話は変わるが貴様、今どこまで変身できる?」

 

 風太が突然そんな事を聞いてくる。変身という言葉が指す意味は、サイヤ人である俺達からすれば一つしかないだろう。

 

「あー……。2までだな」

 

「ほう、やはりそうか。では今の時点で俺と貴様ではそこまで差はないのだな?」

 

「よく言うぜ。俺に一度も勝ったことないくせに」

 

「ふん、平和ボケして鍛錬を怠った貴様と、ストイックに修練を続けた俺ではどちらが強いかは明白だがな」

 

 何故か勝ち誇った顔をして胸を張る風太。急に変なこと聞いてくるし、何がしたいんだこいつ。まさか、前より強くなったのを自慢したいのか?

 

「まあ、戦えば分かる話だ。構えろオレオス、その腑抜けた精神叩き直してやる!」

 

 やっぱりかよ。俺が3に変身できないのをいい事に、勝負して勝つつもりだな。卑怯すぎない?

 

 風太の方は戦うつもりマンマンだし、これは拒否するのは難しそうだなこりゃ。

 

「ちょっと待て! 本気でやるつもりか!?」

 

「当たり前だろう! さっきの戦闘で何もしなかったんだ、少しは付き合え!」

 

「ちっ、わかったよ。でも、変身するのはなしだ! 目立ち過ぎるからな」

 

 それに、そこまで本気でやったらここら一帯がぶち壊れるし。俺と風太がやり合うだけでかなり危ないのだから、通常形態でギリギリ安心できるって感じだな。

 

「別にそれで構わん。変身せずとも、俺は貴様より強いのだからな!」

 

 というわけで、急遽始まった風太との手合わせ。こちらが準備を整えて気を高めていると、近くに()()()()()()()()()が感じられる。

 

(この気は……何でこんな場所にいんだ、あいつ!?)

 

 木の陰に隠れているのか、俺のよく知る人物がこの場にいるのに驚いていると、風太はそれに気づかず気を溜め終えて攻撃を仕掛けてきた。

 

「いくぞっ!!」

 

 掛け声と共に風太が俺の視界から消え、気づくと後ろに回っている。

 

 そのまま死角から右足での蹴りを放ってくるが、当たる前に空中へと飛んで回避する。風太も飛んで追いかけて来るがそのスピードは俺より速く、追い抜かれた。

 

「ざぁっ!!」

 

「ぎっ!?」

 

 俺より高く飛び上がった風太は、回転しながら足を振り下ろし踵落としを浴びせてくる。頭の上で十字を作り腕での防御がギリギリ間に合うが、あまりの威力に地面に叩きつけられる。

 

 なんとか踏ん張って着地に成功するが、腕がビリビリと痺れダメージをかなり負ってしまった。

 

「本当に強くなってるじゃないの……、想像以上だぞ……!」

 

「はっ、この程度で驚かれては困るな。これから更に上げていくぞ?」

 

(こりゃ本気でやらないと駄目みたいだな。アイツは…………よし、ここから離れたな。流石に危ないって分かったか、これなら思う存分やってもいいだろ)

 

 気を探って隠れていた子が居なくなったのを確認し、俺もこれで何の憂もなく戦える。

 

 こっちも本気で気を解放し、パワーをぶち上げる。

 

「はぁっ!!」

 

「っ! どうやら衰えたわけではなさそうだな……!」

 

「たりめーだ。てめぇに負けるなんて事があったら、末代までの恥だぜ」

 

「なら貴様を末代にしてやるっ!」

 

 俺の言葉が逆鱗に触れたのか、怒りを露わにして突っ込んでくる。

 

 目前まで迫ってくると、またも超速移動して後ろに回ってきた。先程よりも速く重い蹴りを繰り出すが、俺はその一撃が入る前に風太の後ろへと移動する。

 

「ふっ!」

 

「があっ!?」

 

 ガラ空きの背中に肘打ちを一発。綺麗に入った肘は風太の肺から空気を奪い、体勢が崩れる。それはさらに隙を晒す事になり、俺の追撃を許す羽目になる。

 

 横に回り込み腹に右足の蹴りをぶち込む。避ける間も無く打ち上げられた風太に飛んで接近し、今度は顔面に拳がめり込む程のパンチをおみまいした。

 

「くぅっ!!」

 

 縦回転しながら空中に吹き飛ばされた風太は、どうにか力を入れて体勢を立て直す。だが、目に見えて体力も気力も落ちているのが分かる。

 

 肩で息をしてるし、今ので相当ダメージを負ったようだな。

 

「はぁっ! はぁっ! やれば出来るじゃないか……!」

 

「減らず口だけは一丁前だな、昔っからよ。無理はしない方がいいんじゃないの? 手加減するのも楽じゃないんだぜ?」

 

「ぬかせっ! 本番はこれからだっ!」

 

 一段階ギアを上げたのか、さらに気を強める風太。これは長くなりそうだ。内心辟易しながら、俺は向かってくる風太に迎撃の姿勢をとるのだった。

 

 

 

 

 そして1時間後…………

 

 

 

 

「だあああああああああああああっ!!」

 

「ちぃやあああああああああああっ!!」

 

 

『ピピィ! ピピィ! ピピィ!』

 

 

「っ! 待てっ! オレオスッ!!」

 

「ああああああ────っと! なっ、なんだよっ! 今いいとこだっただろ!!」

 

 戦闘が始まってから1時間弱。風太の驚異の粘りによって両者共ボロボロになり、次の一撃で勝負が決まるという時に突然鳴り響くアラームの音で戦いが止まった。

 

 納得がいかず風太に問い詰めようと近づくと、あの野郎ポケットからスマホを取り出して熱心に画面を見てやがる。どうやらアラームは風太のスマホから鳴ったらしい。

 

「何見てんだてめー」

 

「悪いがこの決着はまた後でだ。俺は時間が来たのでおさらばする」

 

「はあっ!? おめぇから誘っといてそりゃねえだろ!? 第一、時間が来たって何だ!」

 

「芹奈と食事の約束がある。遅れる訳にはいかん」

 

「んだそれっ!? なら最初から手合わせなんかしてんじゃねぇ!!」

 

「うるさいっ! 元はといえば貴様が無駄に強いのがいけないのだっ! 俺は今まで勝てなかった貴様に勝ち、気持ちよく芹奈とのデートに臨めたはずだったのに……!」

 

 つまりなんだ? 櫻井さんとのデートを上手くいかせるために、ゲン担ぎで俺に勝とうとしてたって事か?

 

 ふざけてんだろこいつ。なんなん? すげームカついてきたんだけど。

 

 あと地味に櫻井さんを名前呼びしてんのが腹立つ。前まで苗字で呼んでただろてめー。仲良くなんの早すぎんだろ、もう付き合ってんじゃねえだろうな、ああ?

 

 風太のあまりの恋愛脳に呆然としていると、当の本人は傷ついた服と体を魔法で元通りにして既にここから立ち去る気マンマンだった。

 

「では俺はもう行く。貴様も彼女の一人や二人、作ったらどうだ? 人並み以上の幸せを享受する権利が貴様にはある。女を侍らせてハーレムを作っても、誰も文句は言うまい」

 

「急に真面目な顔で変なこと言うな、今で十分幸せだっての。さっさとお前は櫻井さんと仲良くやってろ、ボケ」

 

「そうか、ならいい。ではな、次は必ず俺が勝つ」

 

 そう言うとすぐに飛び立っていく風太。まさかヤツがここまで女に首ったけになるとは、思わなんだ。

 

 それにハーレムって。あいつなりに俺の事を心配してくれてるみたいだけどよ、発想がぶっ飛んでるわ。ウマ娘の世界に来ただけで幸せ過ぎるぐらいなんだけどな。

 

「ま、いいや。俺も帰ろっと……ん? 何か落ちてるな?」

 

 用も済んだし帰路に着こうかとした時、地面に何かが落ちているのに気づく。近づいて拾ってみるとそれはスマホだった。

 

 風太が落としたのかと思ったが、あいつはきちんとポケットにしまっていた。なら一体誰の物なのか。

 

 よくよく思い出してみれば、この場所は戦闘前にある()()()が隠れていた所に近い。

 

 まさかと思い、俺のスマホで電話をかけてみると、やはりさっき拾ったスマホが反応した。

 

「はあ……何してんだ、()()()()のやつ。仕方ねぇ、寮に届けに行くか」

 

 俺と風太の戦いをこっそり覗いていたスーパークリーク。彼女の落とし物を渡しに行った際、さらに面倒な事態になるのをこの時の俺はまだ知らないのだった。

 

 

 

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