ダイワスカーレットと異世界勇者トレーナー   作:グリングリン

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チョコとお返し

 

 

「はい、これ。何って、チョコに決まってるでしょ。言っとくけど義理じゃないから。お返し、ちゃんと用意しときなさいよね!」

 

 

「大神さんバレンタインのチョコです。おかわりも沢山ありますから、いっぱい食べて下さいね! ふふっ、お口に合ったようで良かったです!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「うひょひょひょひょひょひょひょ!! まさか自分がバレンタインのチョコを二つも貰える日が来るとはなぁ!! 世も末じゃない?」

 

「そうか、良かったじゃないか」

 

 ある日の昼下がり、食堂の一角で同僚の霧島和也と飯を食べていた俺は感情のままに叫ぶ。余りの音量に周りにいた生徒達は何事かとこちらを振り向いているが、隣に座った友人は慣れていると言わんばかりに済ました顔で食事を続けていた。

 

「ねえ、もっと反応してくれてもよくない? 『もしかして今まで貰った事ないのか?』とか『お前ほどの男がチョコ二個で浮かれるとは、まだまだだな』とかよー!」

 

「そんな反応を俺に求められても困る。それにどうせ義理なのだろう? ダイワスカーレットとお前と仲が良いスーパークリークあたりか。そこまで珍しい訳でもなくないか?」

 

「いやそれが……どっちも本命っぽい感じでさ……」

 

 それまで淡々と箸を進めていた和也の手の動きが止まり、指から落ちた箸がカタンと音を立てた。

 

「な、なんだよ……? なんか言えよ……」

 

 盛り付けられた皿を向いていた首をぎぎぎと回し、俺を驚愕の瞳で見つめる和也。一瞬の静寂が訪れたかと思うと、すぐに和也が動き出し先程の俺に負けず劣らずの声量で叫んだ。

 

「それをはやく言わんかいっ!!」

 

「えぇ……急になんなんよ……?」

 

 身を乗り出して食いかかってくる和也に若干引き気味の俺。しかしそんなのお構いなしに和也は俺を問い詰める。

 

「それで! 返事はどうしたんだ!?」

 

「いっ、いやまだしてねぇし……する気もねぇけどよ……」

 

「なんだ……そうか……」

 

 露骨にテンションが下がった和也は落とした箸を拾って椅子に座り直し、そのままおしぼりで箸を拭いて食事を再開する。初めて見る友人のジェットコースターの様な勢いに俺は面食らってしまう。

 

「和也って恋バナとか好きだったの……?」

 

「色恋沙汰が嫌いな者なんて男女問わず少ないと思うぞ。俺だって人並みには興味はあるんだ。しかも学園裏掲示板で絶大な盛り上がりを魅せる『おまえらいつくっつくんだステークス』で断然1番人気の大神とダイワスカーレットのコンビに進展があったんだぞ! これが興奮せずにいられるか!!」

 

「待って、情報が追いつかない」

 

 いつもクールでどんな事にもフラットに対応する和也が恋愛話が好きだったのも意外なのに、その口から聞き慣れない単語が続出しまくりで脳がパンク寸前だ。

 

 何、学園裏掲示板って。何、おまえらいつくっつくんだステークスって。怖いよ。

 

「それで? わざわざこの話をしたんだ、何か聞きたい事があるんじゃないのか?」

 

「急に元に戻ったな……まあそうなんだけどよ……」

 

 冷静さを取り戻した和也は俺の考えを読んでいたのか、箸を置いて話を聞く態勢を取る。その目は至って真剣で数秒前の有り様が嘘の様だった。

 

「和也もウオッカからチョコ貰ってんだろ?」

 

「ん? まあそうだが……?」

 

「その……よ……。お前はホワイトデーに何渡すんだ?」

 

「ああ、そういうことか」

 

 まだ本当の目的を言ってもいないのに、俺の話の意図を察して頷く和也。自分はそこまで分かりやすいのかと疑問に思っていると、和也が質問に答えてくれた。

 

「俺はウオッカとツーリングに行く。あいつがバイク好きなんでな、ついでに観光もしていく感じだ」

 

「なるほどな……ほぼデートだな……」

 

 思っていた以上に甘々だった。しかも物を贈るもんだと勝手に考えていたからデートなんて目から鱗である。流石モテる男はやる事が違うってばよ。

 

「でだ、大神はバレンタインのお返しを未だ決めかねているんじゃないか?」

 

「うっ……そうなんだよ……。二人へのお返しが全然思いつかなくてさ、どうすりゃいいか分かんねぇんだ! 和也〜、助けてくれぇー!」

 

 和也の言う通りホワイトデーで何を渡すか決まっておらず、アドバイスを貰うためにこの話を振ったのだ。バレンタインからまだ数日しか経っていないが今の内に考えておかないと当日に困る事は明白。だからこそ経験豊富そうな和也に相談したのだが。

 

「別にそこまで深く考えなくてもいいんじゃないか? 何でもいいと思うぞ俺は」

 

 期待していた返答は返ってこず、随分と淡白な解答に俺はがっくりする。和也のウオッカへのお返しはぶっちゃけ参考にならないしアドバイスも碌に貰えないとなると、やはり自分で決めていかないといけないのか。

 

 スカーレットとクリーク。二人に渡すのだからその間に差があってはまずいし、両者が喜ぶモノとなると何が最適なのだろう。一人唸りながら考え込んでいると、それを見兼ねた和也が口を開く。

 

「例えばお前はダイワスカーレットやスーパークリークにプレゼントで特に必要のない物を貰ったとして、彼女達への好感度が下がると思うか?」

 

「いや? 何とも思わねぇし、ふつーに嬉しいけどな」

 

「そういうことだ。一定以上の友好関係がある相手には余程ふざけた物でなければ殆ど許容できるもんだ。相手が本当に欲しい物なんて分かる訳ないし、贈り物なんて言ってしまえば自己満足なんだ。自分が納得できた物を渡せばいいんじゃないのか?」

 

「……自己満足かぁ……。それもそうだなー……」

 

 急に真面目な話をしてきたので戸惑ったが、確かに和也の言い分も一理あるというか十理ある気がしてきた。それにスカーレットもクリークも人から貰った物なら何でも喜びそうなくらい人間できてるからな。俺がウダウダ考えていても結果は変わらない気がする。

 

「よし、なんかいける気がしてきたぜ! ありがとな和也!」

 

「お役に立てたのなら結構だ。まあ、一つ言うと……」

 

「……?」

 

「彼女達が欲しいのは大神からの愛の告白だと思うぞ」

 

「無理無理カタツムリ」

 

 

 

 

 

 

 ──────────────────────

 

 

 

 

 

 ホワイトデー当日。俺はスカーレットとクリークを学園の裏山に呼び出した。友人のありがたいお言葉により気を負わずにプレゼントを用意できた俺は自信満々で彼女達の前に立つ。

 

「こんな所に呼び出して何するわけ? アタシだけじゃなくクリーク先輩もいるし」

 

「そうですね〜。今日はホワイトデーですし、それに関係あるんでしょうか〜?」

 

「おう、そのとーりだクリーク! この前貰ったチョコのお返しをするために二人には来てもらいました! いえーい!」

 

「やけにテンション高いわね……」

 

 怪訝そうな顔のスカーレットと苦笑いのクリーク。二人の反応は想定内である。しかし今から何をするかを聞けば否が応でも心が沸き踊る筈だ。でなければここまで連れ出した意味がない。

 

「色々考えたんだけどな、やっぱお菓子かなと思いまして……よいしょ……っと。ほら、ケーキを用意しました〜!」

 

 俺は空間魔法でしまっておいたケーキを取り出す。光沢のある真っ白の生クリームに水々しい赤い苺が幾つも乗ったホールケーキ。シンプルながらも一目で分かる高級感を放つ芸術品を前に、二人の目の色が変わる。

 

「アンタッ……! そのケーキって……!」

 

「もしかして『ロロワ』のケーキですか? それも一日10個しか作られないという苺のホールケーキ……!」

 

 クリークの言う通り、俺が買ってきたのは超有名店ロロワのケーキ。朝イチで並んでどうにか手に入れた至極の一品だ。若者の間でもかなり人気の様で、それを証明するかの如くスカーレットもクリークも興奮に胸を弾ませている。

 

「ただし! こいつを食わせるのには一つ条件がある!」

 

「「条件?」」

 

 俺の意味深な発言に息ぴったりに首を傾げる二人。そう、ここからが本題なのだ。ケーキを渡すだけならここじゃなくてもいいのに、わざわざこの場所を選んだのは今から行う事の為だ。

 

 人目がつかず、どれだけ大きな音を出しても心配のいらないこの裏山だからこそできる事柄。それは──。

 

「俺と闘って二人が勝ったら、このケーキをプレゼントするぜ!」

 

「はぁ!? 何よそれっ! そんなの無理に決まってるじゃない!」

 

「スカーレットちゃんの言う通り、その条件はかなり厳しいと思いますよ……?」

 

 俺が提示した条件に二人はやる気を出すどころか弱気になってしまう。スカーレットなんて逆に怒り出してしまうほど。プンスカ怒るスカーレットを宥めて、彼女達を納得させるために話を続ける。

 

「確かに普通にやったらお前らは勝てないだろう。仮にも俺はお前達の師匠だからな。でもそれは一対一の場合だ。今回はスカーレットとクリーク、弟子二人で協力して俺と闘ってもらう。どうだ? これならちょっと勝ち目がありそうじゃないか?」

 

「ま、まあ……それなら何とかなる……かも?」

 

「攻撃型のスカーレットちゃんとサポート型の私。相性で言えばバッチリですし、可能性はなくはないですねぇ……」

 

 個人戦ならば確率はゼロに近いだろうが、二人がペアを組むとなると勝率は一気に跳ね上がるはずだ。それにこの先、もしも敵が現れた場合に彼女達が共闘する事はあり得るはず。その時に備えて今からコンビネーションを育てるのも悪くない。これは特訓の意味合いも兼ねているのだ。

 

 そしてもう一つ。肝心な事がある。俺がホワイトデーに似つかわしくないこんな発想をするに至った理由だ。

 

「それにさ、スカーレットもクリークも最近こう思ってんじゃないか? 思いっきり闘ってみたい、自分がどこまで強くなったか試してみたいって」

 

「「!」」

 

 胸の内を見透かされ驚きを隠せない二人。やはり思った通りである。ウマ娘は人よりも闘争心が強い種族であり、その衝動をレースにぶつけて昇華する。しかも第一線をひた走る彼女らは尚更この想いが強いはずだ。

 

 レースに向けてトレーニングを行う様に、修行を続け成長を重ねた二人はこの力を思う存分発揮する本番が欲しい筈だ。だからこそ俺はこの提案をした。スカーレットとクリーク、二人のくすぶるハートに火を点けること、これが真の目的だ。

 

 まあぶっちゃけストレス発散だな。おまけにご褒美のケーキも付けてやる気も上がる、一石二鳥で俺らしいホワイトデーのお返しである。

 

「おめぇたちは全力で闘えるしケーキも食べれる。俺はおめぇらがどれだけ強くなったか身を持って知れる。win-winだろ?」

 

「……わかった、やりましょクリーク先輩。アタシも自分がどこまでやれるか試してみたい……!」

 

「そうですね……大神さんと闘うのは気が進みませんけど、ケーキがかかっているとなると話は別です。私も本気でいかせてもらいます……!」

 

 二人の目に闘志の炎が宿る。どうやら闘う気になってくれたみたいだ。二人が上着を脱ぎ軽くストレッチをしている間に、俺は彼女達に渡した魔石のペンダントの抑制効果を一時的に消す。これで全力で闘う事ができる。

 

 クリークの前にスカーレットが立ち、構えを取る。クリーク自体は攻撃手段が乏しいので、後衛でスカーレットを支え彼女に前衛を任せるつもりだろう。

 

「私が後ろから補助魔法や防御魔法でお手伝いしますから、スカーレットちゃんは好きな様に闘って下さい!」

 

「……わかりました、お願いします……!」

 

「準備はよさそうだな……じゃあ、始めるぞっ!!」

 

 二人が呼吸を整えたのを見計らって試合開始の合図を出す。一瞬の静寂の後、スカーレットは魔気力を、クリークは魔力を一気に全開まで解放した。

 

「【ブーストアップ】」

 

「……ッ!」

 

「へっ!?」

 

 初手クリークが発動した魔法により、スカーレットの魔気力がグンと跳ね上がる。見たことも無い技で面食らったが、おそらく対象の力を倍増させる補助魔法だろうか。

 

 魔法を受けたスカーレットは自信に満ちた顔で拳を握り、さらに力の出力を上げていく。

 

「これなら……いける……!」

 

「くっ……!?」

 

 ニヤリと獰猛な笑みを見せると同時に力強く踏み込み俺に突貫するスカーレット。大地を蹴る衝撃で地面はひび割れ、超高速で移動する彼女の後には突風が吹き荒れる。

 

 勢いのままにスカーレットは右の拳を振ってくる。あまりの速度に反応が遅れるが、ギリギリのところで腕を十字に出して彼女の拳を受ける。ワンテンポ遅れていたら一発で意識を持っていかれただろう埒外の威力を抑える事が出来ず、俺はガードした態勢のまま後方へと吹き飛ばされる。

 

 痺れが残る腕の回復を待つ間も無く、スカーレットの追撃が迫る。一足で間合いを詰めたスカーレットは、先程俺を殴った右手に魔気力をこれでもかと込め、拳に纏うエネルギーが緋色に燃える焔の様に唸る。目に入るほど凝縮された力に危機感を覚え、ガードを崩し避けようとするが──

 

(体が……動かねえ……! まさか……!)

 

 俺の体は完全に硬直してしまっていた。もしやと思いクリークの方を見ると、両手を前に出し何か魔法を発動しているのが分かる。十中八九金縛りの魔法だろう。この間受けたものとはレベルが違うこの技を解除するために、すかさず体の芯から気を爆発させる。

 

 これによりどうにか体の自由を取り戻したが、あまりにも遅すぎた。時間にすれば刹那にも満たない僅かな隙。しかしそれは今の俺達にとって大きすぎる隙だった。

 

「やあああああああああああああああああああああああっ!!!!」

 

「ぎっ……!?」

 

 スカーレットは一瞬の硬直を見逃さず拳を振り抜いた。ガードの下をすり抜けて腹に直撃し、拳に込めた魔気力が炸裂する。全身を巡るエネルギーの奔流に俺の体は焼かれる様な痛みに襲われる。

 

 またも停止した俺に手を緩める事なく、スカーレットは自分の体を逆さに一回転してサマーソルトキックを放つ。彼女のつま先が俺の顎を捉え、空中へと投げ出された。

 

 華麗に着地したスカーレットはそのまま脚をバネの様に曲げ、俺を追いかけて跳び上がる。弾丸の様な速度でやってくるスカーレットは、彼女愛用の長剣を顕現させトドメを刺しにかかってくる。

 

「ちいっ……! 止まってくれい──って、うそぉ!?」

 

 何とか態勢を立て直し一度息を入れるために、牽制で気弾を放つ。少しでもスカーレットの動きを止めるために打ったのだが、剣で振り払う事も、避ける動作をする事もなく、彼女に当たる手前で気弾が掻き消えてしまった。

 

 一体どうして。原因を探していると、スカーレットの周りに何か薄い膜の様なものが展開されているのが分かる。

 

(クリークの防御魔法!? 信じらんねぇ、結構本気で放ったんだぞ! そいつを完璧に防いじまうなんて、なんつー強度だよっ!?)

 

 手厚すぎるクリークのサポート能力に驚き戸惑っている内に、スカーレットはその長剣に魔気力を走らせる。眩いほどに赤く輝く刀身は今日1番の圧倒的なエネルギーを秘めていた。

 

「これで……決めるッ!!」

 

 スカーレットが勝負を決めにいく一撃を放つ。飛ぶ勢いを利用して体を横回転しながら剣を薙ぎる。真横に振り抜いた刀身から真っ赤に迸る斬撃が飛び出し、俺の方へと突き進む。

 

 圧倒的な質量を持った三日月型の衝撃波が空気を斬り裂く。必殺の斬撃に避けることも叶わず、俺はスカーレット渾身の技を一身に浴びてしまった。

 

 エネルギーが爆発し轟音が周囲に響く。爆破した余波で生まれた爆煙が一面に広がり俺は勿論、スカーレットもその中に包まれた。

 

 一見勝負が決まったかのように見えるが、実際の所俺は無傷で事なきを得ている。それは何故か、理由は一つ。攻撃を受ける際、俺はある変身をしてダメージを無効化したのだ。

 

(どうやらこいつらの力を侮ってたみたいだな……。ここまで強いとなると俺も少し、本腰を入れて闘ってやらねぇと失礼ってもんだ……!)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「今のは流石の大神さんでも無事では済まないはずです……」

 

 離れた位置で支援をしていたクリークが呟く。たった数十秒の攻防だったが張り詰めていた緊張の糸を緩め、肩の力を抜いた。長期戦になり手の内が明かされては勝ち目がないと踏んだクリークは、反撃の目も与えない超速攻の短期決着を望んでいた。

 

 スカーレットもその意図を汲んで、この一連の攻撃に全てを出し切ってくれた。私達の作戦勝ち。そう思い胸を撫で下ろしていると。

 

「──スカーレットちゃん!?」

 

 唐突にクリークの真横へ、煙の中から射出される様に凄まじい速度で打ち出されたスカーレットが地面に叩きつけられた。

 

「大丈夫ですかっ!? 一体……何が……?」

 

「くっ……! 油断したわ……あれを喰らってピンピンしてるなんて……!」

 

 慌ててスカーレットに駆け寄り回復魔法を唱えるクリーク。対して当のスカーレットは自分を吹き飛ばした張本人のいる煙の奥へと憎ましげな視線を送っていた。

 

 あの中で一体何が起こったのか。回復を終えたクリークも意識を空に漂う煙の方へと向ける。すると──

 

「ぬんっ!」

 

「「!!」」

 

 煙幕の中心にいた人物から途方もないエナジーが迸り、空を覆っていた幕が晴れる。感じた事のないパワーに全身の毛が逆立ち、脳が危険信号をひっきりなしに送り始める。スカーレットとクリークは先程まで戦っていた男の変わり様に、命の危機すら感じ動けずにいた。

 

「なんなのよ……っ! それ……っ!?」

 

「本当に大神さんなんですか……?」

 

「そーいやおめぇらにはまだ見せてなかったな。誇っていいぜ、この変身を見せた時点でおめぇたちの力は魔王に匹敵するってことだ。すげぇぜ二人共、師匠として鼻が高いってもんよ!」

 

 ゆっくりとこちらへ降りてくる大神は、二人がよく知る普段の彼とは全くもって異なっていた。ツンツンとした黒い頭髪は逆立って金色に染まり、いつものおちゃらけた表情はどこへやら、闘気に満ちた凛々しい顔つきになっている。

 

 話し出すと顔が綻んで常時の大神の一面が垣間見えるが、黄金のオーラを纏い圧倒的な威圧感を放っている彼に、二人は近づこうにも近づけなかった。

 

「こいつが超サイヤ人。オレの強化形態の一つだ。まあ、そんな怖がんなって! ちゃんといい感じに手加減するからよ! こっからが本番なんだ、気ぃ引き締めてこいよっ! さあ、始めようかっ!」

 

 超サイヤ人になった大神が勝手に第二ラウンドの開始を宣言する。絶望的な力の差にもはや笑ってしまうスカーレットとクリークは、半ばやけくそ気味に目の前のバカ師匠に立ち向かうのだった。

 

 






更新日が安定しなくて申し訳ないです!

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