遊戯王GX 徒然アカデミア日記   作:mobimobi

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第二話 サブデッキのテストをしよう

俺です。試験が終わったのは良いけれど、どうすれば良いか分かりません。まず家が何処にあるかも分からないしね! オウチドコー?

 

なんてなってたのも今は昔。携帯電話で家族に助けを求めた結果、あっさりと帰り付く事が出来ました。

ちゃんと登録してあって良かった……。覚えてるから良いや、って登録しなかった事もあったからなぁ。

携帯に家族の連絡先が登録されていなかった場合、街の中でこれが俺のブルーアイズだ! フハハハハー! をやって黒服の人たちに連行されると言う最終手段を取らざるを得なかった。

仮に海馬社長がその情報を耳にしたらまず間違いなく俺の連行を命じるだろう。ブルーアイズ大好きだし。そんな事にならなくって一安心である。

 

あ、二週間くらい経ったけどI2社からもKC社からも出頭命令とかは出なかった。

まあ、そりゃそうだよなぁ。テスト受けた子が珍しいカードを使ったらしいよ、くらいでいきなり出頭命令とか有り得る筈もない。

そのレアカードが邪神でなければだが。まあ、凄いレアカードを使った新入生が居るらしい、くらいの情報しか広まらなかったのだろう。多分。

邪神の存在が発覚するまでには多少の時間が掛かりそうだし、暫くはまったりやることにしておく。

…こっちも色々覚悟を決めたいし。何せ、二週間以上も続く夢なんてあるはずもない。痛みも感じれば、味も感じる。

ベッドに小指をぶつけた時はマジで痛かった。あの痛みを夢の中で味わうとかマジで有り得ん。

 

救いがあるとすれば、こっちの家族も“向こう”の家族と然したる差はなかったことだ。ちょっと若返ってるけれど。まあ、そこは俺も同じだし、仕方あるまい。

 

一人暮らしには慣れている事だし、これからアカデミアで過ごす四年間でゆっくりと折り合いを付けて行こう。焦ることはない。

……って、四年間だったよな? 一期に付きアカデミアの一年、だったと思うんだが。ううん、微妙に自信がない……。

でもまあ、なるようになるだろう。チートドローな十代だって居るんだし。と言うか十代に任せておけばあいつが全部やってくれるよ!

 

もう全部あいつ一人で良いんじゃないかな。

 

 

と、色々と考えながら過ごしている内に制服が届いた。色は黄色である。まあ、順当だよな。邪神様大暴れしてたし、テストもそこそこの出来だっただろうし。

アカデミアへのフェリーは一週間後に出航だとか。それまでどうしたもんか。邪神以外の当たり障りのないデッキでも調整しておくのも手かも知れない。

 

何をするにせよ、とりあえずは外に出てから考えるとしよう。デッキケースを腰の左右に一つずつくっ付けると、俺は気だるげに立ち上がった。

カードはどうやらデッキケースから取り出せるらしい。それも、特に制限はなしに、だ。他人が持ってもただのデッキケース、だがしかし俺が手にすると四次元ポケットとか…。

なんかもう色々便利すぎじゃね? いや、ありがたいけどさ。……やっぱりこんな便利な補正?みたいなもんがあるって事は夢なんじゃないか、と思うが、世の中には胡蝶の夢と言う言葉がある。

ここに来る前に俺が居た世界と、こっちの世界。どっちが夢かなんてそこに居る人物からしたら分かったもんじゃないのだから、流されるままに過ごすが吉だ。深く考えずにそう言うもんだ、と思っておこう。

……と、つらつら考えている内に外出準備完了。そろそろお昼の支度でも、と立ち上がろうとしていた母親に一声かけて、俺は外に出た。

目指す先はカードショップだ。週末の昼だし、まあデュエルスペース的な場所には幾人かいるだろう。

 

 

 

――さて。目的の店へと辿り着き、入店した俺の視界にまず飛び込んでくるのはカウンターに飾られたレアカードの群れである。

現実ではどんなに高かろうが五千には届かなかったはずのカードが、0を一つ二つ増やして並んでいる様はまさに圧巻だと言わざるを得ない。

レッドアイズ数十万とか。0が三つくらい増えてるじゃねえか。それなら九枚あるから売るぞここで。

……何度かこの店には足を運んでいるが、それでも思っちゃうんだよなぁ。この世界のカードの値段設定にはツッコミどころしかない。

そんな認めたくない現実に、はふ、と溜め息を吐いて横の道へと折れる。

今日は売り場に行く必要はない。現実には存在しなかったカードをバラ売りの中から探し出す作業は前にやったし、今回の目的はデッキの調整も兼ねたデュエル……おお、いるいる。

デュエルスペースは十分に賑わっていた。デュエルディスクが普及している事もあり、店側からしても空間だけ確保しておけば良いので楽だろうしなぁ。むしろスペース的な問題以外では設置しない理由がないだろう。

そんな事を考えながらたむろしている小学生くらいの少年たちの方へと足を向けると、どうやら手持ち無沙汰だったらしい彼らの方もこちらに気付いたようだった。

 

「よっ、兄ちゃん。今日はカード漁りはおやすみ?」

 

「ああ、まあな」

 

バラ売りの箱の中身を楽しそうに探し回る姿は、既にデッキを持っている人間から見ると微笑ましげに映るらしい。

お小遣いが少ない少年たちなら更にその上、同族意識すら抱く。デッキを作り上げた後も尚、彼らはより良いカード探しに余念がない。

それ故の必然と言う奴だろう。同じ箱の中をがさごそと漁っていたのが縁となって、この少年たちとは一応は顔見知りになっていた。

一区切り付いた後の雑談の中でアカデミア入学が内定している事を伝えてやったらちょっとデッキ見せて、アドバイスしてと纏わり付かれたのは記憶に新しい。

 

え、どうアドバイスしたかって? いや、レアカードの値段とか酷い事になってるし、自動的にカードプールが少なくなっちゃうから……。

サーチカードやドローカードって重要だぜとか、リクルーターで場を繋げとか、特殊召喚を上手く使えとかそのくらいは言ったけれど。

 

いやまあ、今はそんなこたぁどうでも良いのだ。

 

「今日はデッキの調整でもしようかと思ってな。人は居るだろうと思ってきたんだが」

 

「んー、そういや兄ちゃんとデュエルってしたことなかったなあ」

 

そーだなー、と相槌を打つ少年たち。いや、だってお前らンな暇くれなかっただろ。誰のせいだと思ってるのか。

 

「あ、じゃあ俺やる!」

 

「お、そうか。んじゃ頼むわ」

 

そんな中で元気良く声を上げた約一名。確か……あー、確かだけど戦士族デッキだったかな、こいつは?

割とスタンダードなビートダウンデッキだし、ありがたいと言えばありがたい。

お互いに空いているデュエルスペースへと入り、デッキをセット。ディスクを掲げる。

 

「おっし、それじゃあ――…」

 

音を立てて変形するディスク。お互いに相手を見据えて、始まりの言葉を口にした。

 

「「デュエル!」」

 

五枚のカードをデッキからドロー。手札は、……うん、悪くはない。

先行を取ったのは少年。さて、何を出してくるのやら。

 

「ドローだぜ! よーし、アックス・レイダーを攻撃表示だ!」

 

現れたのは斧を手にした軽戦士。攻撃力1700のバニラモンスターだ。

効果はないが、下級モンスターとしてはそこそこの能力を持っている。そう悪くない出だしだと言えるだろう。

 

「更に永続魔法、連合軍! 場にいる戦士、魔法使いはその数×200ポイント攻撃力がアップ!」

 

そこに加えられるのが永続魔法での強化。これで攻撃力は1900ポイントになる。もうこの時点で俺の下級モンスター単体では突破不可能になってしまった。

……いや、うん。素でも突破できなかったんだけどね。下級は攻撃力1600までしかいないからなぁ。

 

「俺はこれでターンエンド。兄ちゃんのターンだぜ」

 

「あいよ。それじゃあ俺のターンだ。ドロー!」

 

まあ、それは問題ない。その気になれば上級モンスターは容易く召喚できるし、そもそもこの手札であれば殴り合う必要は然程ない。。

 

「永続魔法、種子弾丸を発動。植物族モンスターを召喚する度にこのカードにプラントカウンターを一つ載せる。更に永続魔法、世界樹を発動する」

 

ぽん、と音を立ててフィールド上に生まれ落ちたのは見るからに刺々しい植物だ。ぶつかったら実に痛そう。

しかし、そんな小さな植物などその後を追うようにして生えてきた巨大な樹の前では存在そのものが霞んでしまっていた。

青々と茂った葉が、太く逞しい幹が鳴動する大地から生え、大樹より舞い落ちる粒子がきらきらと光を反射させる。

実に美しく、壮大な光景にちょっと感動してしまった。やっぱりソリッドビジョンぱねぇわ。

 

「植物族モンスターが破壊される度に、世界樹にはフラワーカウンターが乗る。キラートマトを守備表示で召喚し、ターンエンド」

 

が、その後に出てきたのは何とも場違いな気がする顔付きのトマトが一つ。何とも可愛らしい姿のそれがフィールドに飛び出し、ぽよんと跳ねた。

合わせて、プラントカウンターの増加により種子弾丸の植物がぷくりと膨らむ。臨界点ではどんな大きさになるんだろうなぁ、これ。

ともかく、俺のターンはこれにて終了である。

 

「よーし、俺のターン!ドロー! ……よし、切り込み隊長を召喚だ!更に、切り込み隊長の効果で隼の騎士を特殊召喚!」

 

現れたのは鎧を纏った歴戦の戦士と、二刀を携えた異形の騎士。頭部を隼に置き換えた姿は――…あれ、なんか可愛いぞ?と、そんな事はさておきまして。

切り込み隊長は、召喚時に手札から追加で下級モンスターを召喚できるカードだ。確かに、モンスターを展開するには便利なカードだと言える。

更に、そこから現れてきたのは隼の騎士。こちらは低ステータスだが二回攻撃を行えるモンスター。……畜生、早速教えた事を生かしてくれやがって。

 

「後続を呼べるモンスターは便利だけど、大抵攻撃表示で特殊召喚される。そこを上手く攻撃できれば一気にダメージを与えられる――って、兄ちゃんからの教えだぜ!更に俺は重力の斧-グラール-を隼の騎士に装備だ!」

 

空中から降ってきたバトルアックスを、隼頭の騎士が持ち上げる。アックスレイダーのそれよりも遥かに重量があるはずのそれを、木の葉の様に振り回して見栄を決める姿は迫力があって実に良いと言わざるを得なかった。モンスター効果由来だと分かっていても、何か凄いモンスターに見えてくるんだよなぁ、ああ言う事されると。

まあ、それはそれとして。連合軍が場にある状態で、相手フィールドには3体のモンスター、よって600ポイントの全体強化。隼の騎士はグラールによって更に500ポイントアップと来た。攻撃力はアックスレイダー、切り込み隊長、隼の騎士の順で2300、1800、2100ポイント。……何と言う。

 

「バトル!切り込み隊長でキラートマトに攻撃!」

 

バトルフェイズ。その名の通り、切り込み役が真っ先に向かってきた。哀れキラートマトは真っ二つにされ、爆散する。

キラートマトの守備力は1100ポイント。抗えるはずもなかった。

 

「言うまでもないがモンスター効果!闇属性、攻撃力1500以下のモンスター、キラートマトを特殊召喚! 世界樹にフラワーカウンター、種子弾丸にプラントカウンターを一つずつ載せる!」

 

「まだまだぁ!隼の騎士でキラートマトに攻撃だぁ! 疾風一閃!」

 

続いて向かってくるのは隼の騎士。戦斧を携えたその姿が、新たに召喚されたキラートマトの直前でふっ、と掻き消えた。

直後、その背後に現れるのは既に斧を振り切った騎士の姿。音も残さずに両断されたキラートマトが弾けて消える。

攻撃力2100からキラートマトの1400を差っぴいて700ポイントのダメージ。結構痛い。

 

「くっ……続けてキラートマトを召喚する!」

 

「こっちも続けて疾風一閃!」

 

振り返った隼の騎士が横一閃。真ん中から真っ二つに断ち切られたキラートマトが再び弾け飛ぶ。

 

「キラートマトは種切れだ! イービルソーンを特殊召喚!」

 

更に700ポイントのダメージだが構ってられるか! 続けて召喚されたのは棘棘とした実を携えた小さな植物だ。攻撃力は100。盾にもならねえよ畜生!

 

「アックスレイダーで攻撃ぃ!」

 

LP:4000-700 → 3300-700 → 2600-2200 → 400

 

豪腕から振り下ろされた斧の一撃があっさりとイービル・ソーンを打ち砕く。

2200のダメージ、同時に爆風のソリッドヴィジョンが俺に叩き付けられ、衝撃などないのに思わず顔を庇ってしまった。

ダメージの合計は3600ポイントだ。――8000環境なら笑ってられるダメージなんだがなぁ。

 

「カードを一枚伏せてっと…ターンエンドだぜ兄ちゃん!」

 

ああ、輝くような笑顔が眩しいぜ。でもこれじゃあ調整にならないじゃないか。目的忘れてないか、お前?いいけどさぁ。

 

「あいよ! 俺のターン、ドローだ!」

 

このカードは……と。フラワーカウンター、プラントカウンターの数はトマト三体、イービル・ソーン一体の召喚及び破壊で共に4。

手札も4枚、十分にある。よし引き次第で十分にいける!

 

「世界樹の効果だ! フラワーカウンターを取り除き、その個数で効果を決定する! 三つ取り除いてイービル・ソーンを墓地から特殊召喚! プラントカウンターも乗るぞ」

 

ふわりふわりと舞い落ちていた粒子が渦を巻き、小さな植物が生まれ出た。

その背後では今にも弾け飛びそうな棘棘植物が聳えている。頃合だな、うん。

 

「種子弾丸に乗るプラントカウンターは5つまでだ。種子弾丸を墓地に送り、プラントカウンター×500ポイントのダメージを相手に与える!」

 

「んなぁ!?」

 

LP:4000-2500 → 1500

 

パァンッと音を立てて爆ぜ割れた植物から、嵐のように種が少年へと吐き付けられていく。地味に痛そうだな、あれ。それと怖そう。

少年も心なしか涙目になっているような? まあ、それはそれ、これはこれだけど。……まだまだ続くぜ。

 

「イービル・ソーンを生贄に捧げる事で、相手ライフに300ポイントのダメージだ!」

 

「またかよー!」

 

LP:1500-300 → 1200

 

今度は大分可愛らしい音だった。ポンッと言う音と共に棘が飛ぶ。が、さっきのに比べたら可愛い可愛い。

 

「更に、デッキから同名カードを特殊召喚できる。二体のイービル・ソーンを召喚だ! ――あ、この効果で召喚したイービル・ソーンは効果の発動はできないぞ」

 

何か微妙にいやそうだったので一応注釈を入れておいた。さて、これで準備オーケーだ。

 

「魔法カード、トレードインを発動。レベル8の椿姫ティタニアルを墓地に送って、カードを二枚ドローだ」

 

先にこれを使ってイービル・ソーンを引いちゃうとあれだからなぁ。ドローした二枚に視線をやる。……よしよし、良いカードだ。

 

「イービル・ソーン二体を生贄に捧げて、俺はフェニキシアン・クラスター・アマリリスを召喚する!」

 

二体のイービル・ソーンが燃え上がり、灰となっていく。その中心からゆっくりと、翼を広げた不死鳥が生まれ出た。

炎に包まれて生誕するその姿の美しさに思わず口元が緩む。いやあ、本当に綺麗だわ。

実はこのカード、通常召喚も可能なのである。特殊召喚に制限はあるけどね。地味に使うことがあるので覚えておいても損はない。

 

「いくぞ、バトルフェイズ! フェニキシアン・クラスター・アマリリスで切り込み隊長を攻撃する! フレイム・ペタル!」

 

攻撃力2200で戦闘ダメージは400ポイント。更にこいつにはとある効果がある!通れば勝ち!

不死鳥を象った花が大きく身体を広げ、幾つもの炎を弾丸として打ち放った。標的とされた相手に逃げようなどない。その筈だった。が――…。

 

「へへっ、最上級にしちゃ攻撃力が低いぜ、兄ちゃん! 罠発動! 鎖付きブーメラン!」

 

投げ放たれたブーメランが不死鳥へと絡み付き、それを支点に戦士が高く跳躍する。炎の弾丸が空しく虚空を貫き――その直後、振り下ろされた一刀が花開いたアマリリスを散らしていた。

アマリリスの攻撃力は2200、ブーメランで強化された切り込み隊長は攻撃力2300。僅か100ポイントの差ではあるが、このゲームにおいては厳然とした結果として現れる。

 

「フェニキシアン・クラスター・アマリリス撃破!」

 

LP:400-100 → 300

 

「100ポイントのダメージ、と。……喜んでるところ悪いが、モンスター効果だ。フェニキシアン・クラスター・アマリリスは破壊された時、相手に800ポイントのダメージを与えるぞ。スキャッター・フレイム!」

 

LP:1200-800 → 400

 

が、それだけで済みはしない。散ったアマリリスの花が燃え上がり、再び弾丸と化して降り注ぐ。その爆撃が少年のライフポイントを削り取り、残されたライフは400ポイント。これでライフは並んだ!

 

「と、並んだな。世界樹にフラワーカウンターが一つ乗る」

 

「けど、兄ちゃんのフィールドにはモンスターはいないぜ! 次で俺の勝ちだ!」

 

「さて、それはどうかな。カードを一枚伏せて、エンドフェイズに移行する」

 

一度は言ってみたかったこの台詞。フェニキシアン・クラスター・アマリリスには更にもう一つ効果が存在する訳で、と。

 

「エンドフェイズに墓地に存在する植物族モンスター1体を除外する事で、フェニキシアン・クラスター・アマリリスは復活する。再び咲き誇れ、フェニキシアン・クラスター・アマリリス!」

 

燃え尽きたアマリリスの灰が再び炎を巻き上げ、不死鳥が再誕する。無論、効果も健在だ。

 

「うええっ!?」

 

「仮にも二体生贄が必要なモンスターがあの程度で済む訳ないだろうが。復活したアマリリスは守備表示だし、守備力は0だが破壊されれば勿論800ポイントのダメージは発生するぞ」

 

実際は墓地に送るだけで湧いて出てくるけどな!

 

「それじゃあもう勝てないじゃないかよう…」

 

「貫通ダメージ持ちなら何とかなるな。ほれ、カード引け」

 

まあ、あれだけ削られればなぁ。頭を抱える少年に声を掛け――その手がドローを終えた瞬間、このタイミング!

 

「ドロー終了時に罠発動、火霊術-紅-だ。炎属性モンスターを生贄に捧げ、その攻撃力分のダメージを相手に与える。――行け!」

 

「え、ちょっ」

 

引導火力は元の手札にあったんだよね。轟、と音を立てて燃え上がったアマリリスがフィールドから飛び立つと少年を両翼で包み込み、ライフを綺麗に削り取った。

 

 

 

試合終了後、第一声。

 

「兄ちゃん、効果ダメージばっかりじゃないかよー!」

 

ああ、やっぱ文句言われるのね。趣味的な構築だからギガプラとかも入ってるし、傾向的にはビートバーンなんだけど今回は完全にバーンオンリーだったから……。

 

「あー、今回はなぁ。手札がそっちよりだったんだよ。本当ならこういうのも出てくる」

 

ほれ、と手渡したのは予備の椿姫様。攻撃力2800とか半端ない。これがカード一枚で飛び出てくるとか色々おかしい。

うわあ強っ!?などと騒いでいる少年になんだなんだとギャラリーが集まってくる姿に苦笑が零れる。レアカードには皆興味あるんだなぁ。

そんな人々を後目に、俺は次の相手を探すべく周囲に視線を向けたのだった。




最後に決め手になるはずの霊術を伏せさせるのを忘れていた、と言うポカミスを修正しました。

手札から罠カードとか、インチキ効果もいい加減にしろって言われても仕方がないね。
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