戦車!動かします!(急)
愛宕「ん…ふん!!」
ギギギィと少々嫌な音を立てていた。
そう、現在自動車部は会長に言われた通り、戦車の整備に取り掛かっていた。
?「ホシノ、ネジ頂戴。」
現在、1年生チームの戦車を整備しているのが中嶋
ホシノ「これで、合っているかい?」
そして隣で整備を手伝っているのがホシノ先輩。
?「アタゴちゃん、手が止まっているよぉ。」
愛宕「あ、すみません。」
私は自分が乗るⅣ号の戦車をスズキ先輩と一緒に整備している。
スズキ「全く、生徒会長さんも無茶振り言うものね、この戦車を明日中までに整備ってさぁ。」
ナカジマ「ははは、良いじゃないか、普段車を整備している僕達にしか出来ないことだよ、これは。」
ホシノ「確かに、こんな天職は滅多にないかもね…」
愛宕「そうですねぇ。」
明日までに戦車を万全に動かせられるように整備するのはとてもじゃないが大変という域を超えているような気がする、しかし動けるように整備しなければ授業も始まらないため急いで整備に取り組んでいた。
愛宕「そういえば?ツチヤちゃんは?」
スズキ「買出しに行ったよ、さっき皆のお金をツチヤに上げたでしょ?」
愛宕「けど、かれこれ30分以上帰ってきていませんが…」
ナカジマ「多分、買い物途中でドライブでもしているんじゃないかな?自由気ままに。」
と、会話をしながら整備をしていると軽快な足音が近付いてきた。
ツチヤ「ただいまぁ!かつ丼買ってきたよぉ!」
スキップしながら戦車倉庫に入ってきたのは、自動車整備部の部員で唯一の同学年のツチヤであった。
生徒会長に言われて以降、ナカジマが「今夜は徹夜覚悟で整備をするから、夜食を買ってきておいで。」
と、言われ全員で夜食代をツチヤに預け、買ってきてもらう事になったのだ。
愛宕「そういえば、この戦車のエンジンって勝手に改造しても良いのでしたっけ?」
ナカジマ「いやぁ。会長さんにもそれ聞いたんだけどさぁ、エンジンは規定があって派手には弄れないらしいんだよねぇ。モーターとかなら別だけどさ。」
愛宕「じゃあこのまま綺麗に整備してしまいましょう。」
と言ってエンジンを閉じていると横から。
スズキ「そうしておいた方が良いよぉ、後が怖いからねぇ。」
スズキさんが隣でニマニマしながら見つめている、探求心を前面に出し過ぎた…
ツチヤ「皆ぁ、食べないの?」
何処からか持ってきた机を置いてそこに皆の分のかつ丼を置いた。
ナカジマ「よし、じゃあそろそろ休憩するか、ホシノ、引っ張って」
ホシノ「ハイハイ」
そう言って戦車の下からナカジマ先輩が出てきた。
スズキ「ほら、僕らも休憩しよ。」
愛宕「あ、分かりました。」
道具を片付けて、部員皆で夜食を取ることにした。
やっと一台が終わったが、既に時刻は午後11時、眠くなってくる時間帯だが、やらなくてはならないので学校に居残りの書類を提出しているので許されている。
先輩方の方もそろそろ一台が終わりそうではあるが、まだまだ時間がかかりそうだなと思いながら夜食を頬張った。
ー-翌日ー-
みほ「あわわ…昨日皆と一緒に夜食取れて楽しかったから全然眠れなかった!」
タイマーに気付かず、寝過ごしてしまい、大慌てで家を出たみほであった。
そして・・・
愛宕「まずいよぉ!遅刻確定だよぉ!!」
昨晩の戦車の整備は終わったものの満身創痍でベッドに寝た為こちらも大慌てで通学路を駆け抜ける。
みほ・愛宕「あっ!!」
ばったり会ってしまった。
愛宕「おはよ、みほちゃん!」
みほ「お、おはよ…て、ん?愛宕さん、あれ…」
みほが何かに気が付いたのかその方向に指を向けた、その方角を見ると、今にも倒れそうな女学生が同じ通学路をゆらゆらと歩いている。
愛宕「みほ、助けに行くよ!」
みほ「うん!」
その子に近付いて何とか支える。よく見ると同じ学校の生徒であった。
みほ「だ、大丈夫ですか?」
愛宕「救急車呼びましょうか?」
?「…結構だ。」
意識は辛うじてあるようだが、何故ここまで深刻な状態に陥っているのかが分からなかった。
?「・・・辛い」
みほ・愛宕「え?」
?「生きているのが…辛い…だが…行かねば…」
そう自分を奮い立たせながらゆっくりと歩を出した。
みほと愛宕は、また倒れそうになるのが怖いので両側で支え合いながら登校した。
ようやく学校の入り口に差し掛かった時、声を掛けられた。
?「今回は随分と豪勢な待遇ね…」
朝は風紀委員が遅刻の取り締まりをしているため、この時間帯は絶対に声を掛けられてしまうのだが…
?「冷泉さん、これで245日連続の遅刻よ。少しは改善しようとは思わないの?」
愛宕「え?245日?しかも連続?」
みほ「え、えぇ…?」
みほも愛宕も困惑の表情を浮かべた。
?「えぇ、冷泉さんは頭がとても良いんだけど、遅刻魔なのよ。幾ら成績が良くても、このままじゃ留年になってしまうわよ。」
冷泉「・・・そど子」
そど子(?) 「何か言いました?」
愛宕「取り敢えず、早く学校行かないと!」
そど子(?) 「後、えーと西住さんと、愛宕さん?今後からは冷泉さんを見かけても無視して登校して頂戴ね、これ以上遅刻魔を増やしたくないから。」
愛宕・みほ「わ、分かりました…」
そうして、風紀委員から解放され、ようやく昇降口へと歩み始めた。
「おーい!」
そう大声を上げて呼んでいたのは会長さんだった。
角谷「戦車道の授業始まっているよぉ?」
片手に干し芋の袋を大事そうに抱えながらニコニコ笑顔で出迎えてくれた。
みほ「え?か、会長、授業は?」
角谷「んー?まだ教官が来ていないからせっかくだし待っていたんだよ。」
愛宕「沙織さんや、五十鈴さん、優花里さんは?」
角谷「彼女達も一緒に連れて行きたかったけど、かーしまが許してくれなかったから私一人で来た訳。」
みほ「は、はぁ。」
冷泉「…有難う、ここまででいい。」
そう言って二人をゆっくりと払いのけ、立ち去ろうとした間際。
冷泉「いつか、借りは返す。」
そう言ってクラスの方へ行ってしまった。その後会長についていく形で戦車倉庫に付いて行った。
その後
武部「教官来るの遅いよぉ。焦らすなんて大人のテクニックだよぉ。」
そう愚痴を零しながらつま先を地面に叩きながら退屈そうに待っていた。
五十鈴「何か特別な用意でもしているのではないのでしょうか?」
と、花を束ねるような動作を手で何度も行いながら時間を潰していた。
その時・・・
キイイィィィン・・・
こちら側に大型の飛行機が向かってきた。どうやら教官のお出ましのようだ。
ある程度距離が近くなると、後ろの方からパラシュートが開かれたかと思ったら降りてきたのは戦車だった。丁度先生方の駐車場に落ちて行き・・・
GHASHAAAAAAN!!!
とてつもない音が辺り一面に響き渡った。戦車と車がまともにぶつかったのである。
小山「学園町の車が!?
」
両手で驚愕していたり。
角谷「おーやっちったね。」
と、呑気に干し芋を頬張っている会長…
GGGRRRRRYYYY!!!
戦車がバックして学園長の車を再度引く、完全にオーバーキルである。
BRRRRRR!!! GGGGKYUUUUU!!!
と、勢いよく接近して来たかと思ったら急ブレーキをして停止した。その運転裁きは見事である。
そしてキューポラから顔を出したのは今回の戦車道の教官であった。
河嶋「整列!!」
武部「騙された…カッコいい人だって聞いたのに…」
愛宕「確かにカッコいい人だね。」
五十鈴「それに、素敵そうな人です。」
そう言って河嶋先輩からの説明が入る。
河嶋「特別講師の、蝶野亜美一尉だ。」
蝶野「宜しくね!」
そう言ってにこやかな笑顔を周りに向ける。
蝶野「皆戦車道は初めての人が多いと聞いているわ、しっかり頑張っていきましょうね!」
と言って周囲を見ながら励ましていた。
蝶野「あら?貴女もしかして?西住師範のお嬢様では御座いません?」
愛宕「に、西住師範!?」
蝶野「えぇ、西住師範は、戦車道の中で最も由緒ある西住流を築き上げたお方よ。」
「えぇ!?」
「西住さんってそんな凄い人だったんだ…」
周囲は驚愕してざわついていたが、西住さんは教官から目を逸らすように、まるで何かから避けている様な行動をと
っていた。
武部「教官は、モテますか!?」
みほの嫌悪感を感じ取ったのか、武部がすかさず場を濁す。
蝶野「モテるというより…狙った的を外したことはないわよ!撃破率は120%なんだから!」
と、意気揚々に話している。
優花里「教官!本日はどの様な練習を行うのでありますか!」
と、後ろで天高くピシっと手を伸ばして質問してきたのは秋山だった。
武部の行動から恐らく読み取ったのか、優花里が更に割り込む。
蝶野「んー、そうね。では早速、本格戦闘の模擬戦からやってみましょうか。」
澤「えぇ?」小山「いきなりですか!?」左衛門佐「風のように素早く、だな・・・」
愛宕「あの、戦車すら乗ったことがない初心者なのに大丈夫なのでしょうか…」
蝶野「大丈夫よ、戦車なんてバーッと動かしてダーッと操作してドーンッと打てば良いのよ。」
と、凄くやけにざっくりとした説明をされて列の先頭に地図を渡された。
蝶野「それでは各チーム、この地図の場所に移動してね。」
そう言って説明が終わった。
その後、教官からは3人組は車長と砲手、それと操縦手。4人組はそれに加えて装填手、5人組は通信手を担当してね。
と言われたので、Ⅳ号に集合して役割を決めることにした。
愛宕「じゃあ、役割はどうしようか?」
武部「何とか手とかぁ、もう訳が分からないよぉ。」
優花里「やっぱりコマンダー(車長)は西住殿ですよね?」
みほ「えぇ!?無理だよぉ。」
五十鈴「どうしましょう…。」
と、状況が長引くかと思いきや。
愛宕「私は運転してみたい!」
と、第一声を張り上げ。
優花里「私、戦車をドーンっと打ってみたいですぅ!」
と、続けて優花里が声を上げる。
みほ「あはは…じゃあ、私が装填手をするね。」
五十鈴「では、車長をお任せしても宜しいでしょうか?」
武部「え?う、うんいいけど…」
と、あっという間に役割が決まったのであった。
そうして、皆の役割を務める場所に移動する為に戦車に乗り込んだ。
五十鈴「凄く…鉄臭いですね…」
と、物珍しそうに戦車内部を見渡す。
武部「何かジメジメするぅ…こんな状態で戦車を動かすのぉ?」
と、不満の声。乙女の嗜みと言われる戦車道とは言え、中身は本物の戦車であり、優雅なものではない。
愛宕「わぁ、沢山装置がある!ってまぁ、車のように簡単に動かせるようなモノでもないかぁ…えーとマニュアルは何処かなぁ…早く動かしてみたい…!」
優花里「遂に戦車を動かす時が・・・!ウズウズします!」
と、半ばワクワクを抑えきれない人達も居た。
みほ「えっとぉ、マニュアルは私が持っているけど、使う?」
と、みほがマニュアルを取り出す。
愛宕「あ、有難うみほちゃん!下手に機械を弄れないから困ってたんだぁ。」
と言ってみほからマニュアルを受け取る。そしてマニュアルのページを捲って操縦方法を確認する。
愛宕「えーっと、エンジンスタートは、イグニッションを押せば…」
カチッとボタンを押すと・・・
DON!!GGG…GGG!!!!
と、戦車が目覚めたかのように大きな排気音を響き渡す。
優花里・愛宕「いやぁほう!最高だぜぇい!!」
と、人が変わったかのように突拍子もなく大声を出す。
武部「え…人が変わっちゃったよ…」
と、少し引き気味な武部。
五十鈴「楽しそうで何よりでは?」
興奮している姿を見て楽しんでいる五十鈴。
みほ「…パンツァー…ハイ…」
と、冷静に判断するみほ。
優花里・愛宕「はっ!!」
と、同時に我に返る…二人は恥ずかしそうに縮こまった。
五十鈴「可愛らしいですね。」
武部「華は余計な事言わなくていいの!」
愛宕「コホン…気を取り直して…えーと、動かすにはシフトレバーを引いて。」
と言ってシフトレバーを動かし始めたが
愛宕「んぬぅ!シフトレバー…硬いってぇ!」
長年動かしておらず、しかも元々錆び付いていたのもあってか、シフトレバーが異様に硬く、苦戦していた。
愛宕「ぐぬぬぬ…動けぇ…うわっ!!」
ガタンっと大きな音を出してシフトレバーが動いた。
BRRROONNnn…
と、大きなエンジンから急に静かになった。
武部「止まってない?大丈夫なの?」
みほ「大丈夫だよ、これで動くから。」
愛宕「じゃあ動かすよ。」
と、アクセルを踏んだ。
BRRRRR!!!!
だが、緊張していたのか、勢いよく進んでしまった。
武部「ちょ、ちょっと早すぎない!?」
五十鈴「戦車って、意外と早いのですね。」
優花里「凄い勢いで進んでいますよぉ!」
みほ「愛宕さん!ブレーキを踏んで下さい!」
愛宕「え?わ、分かった。」
と、勢いよくブレーキを掛ける。
GGG…GGGYYYY!!!
武部「口から肝臓が飛び出してきそうだったよぉ…」
五十鈴「それを言うのなら心臓では…」
優花里「今のはスリルがありましたねぇ!」
と、ぐったりしている人も居れば、興奮している人もおり、中々賑やかであった。
そこでみほは緊張している愛宕に声を掛けた。
みほ「焦らず、落ち着いて動かして下さい。」
愛宕「うん、今度は慎重に…」
そう気を付けながら目的地へと慎重に戦車を進ませた。
BRRRrrr…GYUUNNNNnnn…
と、静かに制止させた。
愛宕「よ、ようやく目的地に着いたぁ…」
武部「思ったよりもお尻がブルブルしてたよぉ…」
五十鈴「戦車の外から見る景色は中々良いものですね。」
優花里「いよいよ戦車と戦車の戦いが!ワクワクしますぅ!」
みほ「愛宕さん、疲れている所悪いんだけど、今からが模擬戦だから、もう少しだけ頑張れるかな…?」
愛宕「ふえぇぇ、今から模擬戦かぁ。だけど、操縦できるのは私しか居ないからね、頑張らないと!」
みほ(運転出来ないとは言ってないんだけど、気合入った様だし、まぁいっかな。)
と、静かに見守るみほであった。
蝶野「全員目的地に着いたようね?ルールは簡単、敵車両を全滅させたら勝ち、つまりどんどん動いてバンバン打っちゃえって事。」
と、ざっくりな説明が戦車内に響き渡った。
角谷「いやぁ、随分ざっくりですねぇ。」
と、干し芋を片手に言う。
小山「会長に言われたくはないんじゃあ…」
と、冷静にツッコミを入れる小山。
蝶野「戦車道は礼に始まり、礼に終わる。一同、礼!」
そう告げると。
全員「宜しくお願いします!!」
と、皆は一礼をした。
蝶野「うん、それでは試合開始!!」
と試合開始の合図を告げ、通信をが切れた。
五十鈴「まずはどの戦車から倒しに行きましょうか…」
武部「生徒会潰さない!?カッコいい人だって聞いたのに…女の人だったんだから…!!」
と、皆次々に意見を出し合った。
みほ「愛宕さん、行けます?」
と、みほに声を掛けられたが。
愛宕「御心配なく、ガンガン行けますよぉ!あ痛っ!」
と、ただで狭い戦車の中で腕を回したので何処かに当たってしまったようだった。
みほ「アハハ…では気を取り直して…」
「パンツァー…フォー!!!」
武部「所でそのパンツの阿保って掛け声どうにかならないの?」
優花里「パンツの阿保ではないですぅ!パンツァーフォー!戦車前進って意味ですぅ!」
五十鈴「やっぱり聞き間違いでしたね。」
みほ「アハハハ…」
愛宕「まだ気にしていたのね…」
本格戦闘の模擬戦の始まりであった・・・
如何でしたでしょうか?
今後から取り敢えず大きい音は、英語表記で行きます。勿論、只爆音の表現のみならず静かになっていく表現は英語を小さくしたりして工夫を施しています。
もし英語での表現に違和感等があれば、日本語に戻すことも出来るので。仰って下さい。
それでは次回もお楽しみに!
(追記:文章を読みやすいように変えました。2022年9月29日)