模擬戦、始まります!(急)
本格戦闘の模擬戦が開始され、3分辺りが経過したが、何も動きはなかった。
愛宕「生徒会チームの戦車って確か38(t)でしたよね?」
優花里「はい、だけど地図を見た限りではどの戦車がどの位置にいるかはもう分かりませんね。」
と、地図を丸めて愛宕に渡す。
皆はハッチを開けて周囲の様子を伺っていた。
武部「こんなにも周りが見渡せないんじゃ、敵を見つけられないよぉ。」
みほ「逆に考えれば、相手も私達を見つけにくい筈です。今の内に場所を移動して、奇襲攻撃を仕掛けるのはどうでしょう。」
みほそう言って五十鈴に指示を出すよう促した。
五十鈴「では、戦車前進…でも、何処へ行けば…」
と、華が考え込んでいると。
DOOOOOOONNnn!!!
と、すぐ近くで砲弾が着弾する音が鳴り響いた。
愛宕「ななな、何事だぁ!?」
砂埃によって戦車が雨あられのように砂に打たれる。
みほがハッチから顔を出し、周りの状況を確認する。
みほ「右後方に八九式戦車、バレー部チームの戦車です!」
優花里「愛宕殿、戦車前進を!」
愛宕「分かった!パンツァーフォー!!」
愛宕はその指示を聞いてすぐさまガコンッと、レバーを切り替え、アクセルを全開にする。
GYUUUBRRRRRRR!!!
DAAN!!!
間一髪被弾を避けて、全速力で逃げ始める。
五十鈴「すみません、次は右へお願いします。」
左方向にⅢ突の姿を目視したので命令を出す。しかし、操縦手は聞こえていないのか、はたまた高さ的に相手の戦車が見えていないのか、真っ直ぐ左に進んで行く。
五十鈴「あ、あの…右に曲がって欲しいのですが…」
愛宕「えぇ!?よく聞き取れないよぉ!!」
そう叫びながら必死に戦車を動かす。
みほ「あ、操縦手はエンジン音で指示が聞き取りにくいの、だから足で方向を指示するの。」
と言って、蹴る素振りを見せた。
五十鈴「アクティブですねぇ。」
その素振りを見て感心していた。
優花里「五十鈴殿、指示を早めに出さないと取り返しがつきませんよ!」
と言って優花里が急かした。
武部「華に友人を蹴る事をさせないでよぉ!」
武部がそれを阻止しようとしたが、五十鈴の決断に迷いはなかった。
五十鈴「行わなければ、負けるだけです!」
そう言って大きく振りかぶり・・・
五十鈴「すみません、右に寄せて下さい!!」
と言って、愛宕の右肩を思いっきり蹴った。
ドンッ!
愛宕「ぐぇ!?」
衝撃で両手を手放してしまい、戦車がゆっくりと停止してしまった。
武部「停止しちゃってどうするのよぉ!」
愛宕「ごめん!ビックリしちゃって…右に寄せればいいんだよね?」
と言ってすぐさま右に戦車を寄せて再度走り始めた。
武部「華!本当に大丈夫なのぉ!?」
と、心配そうな顔で華を見つめる。
みほ「敵は私達が確認できても、山の傾斜であまり見えていない筈です、なので勢いをつけてすれ違えば、乗り切れると思います。」
優花里「何より、相手はⅢ突戦車です。回転砲塔がない為、近距離ではそもそも報道の回転が間に合わないかと思われます。」
武部「な、成程ねぇ…」
理解に苦しんでいる表情だが、今の危機を乗り切れる事は確かであった。
愛宕「行きます!」
GYUURRRBRRRRR!!!!
と、アクセルを全開にして全速力で走行し、見事すれ違った。
愛宕「衝撃に備えて!」
武部「えぇ!?急に?」
優花里「そもそも道幅が狭いですからね、こうなる覚悟も勿論出来ておりますよ!」
五十鈴「楽しみですね。」
みほ「私も戦車同士が激突する経験なんて初めてだよぉ…」
その瞬間、凄まじい音が響き渡った。
GYARRRRRRYYYYY!!!
転輪付近が凄まじい勢いで擦れ合い、火花が散り、何とかすれ違う事に成功した。
武部「や、やったぁ!無事成功したよぉ!」
優花里「流石愛宕殿!やりましたね!」
みほ「凄いよ愛宕さん、あんな大胆な行動が出来ちゃうなんて…」
愛宕「いやいやぁ、そんな事ないですよ。」
武部「ヒヤヒヤしたよぉ…」
五十鈴「アクティブな感じで良いのでは?」
と、パッチから敵の姿を確認して無事乗り切れた事に安堵する。
一方歴女チームのⅢ突は・・・
エルヴィン「凄まじいな、西住流は…ぐっ…」
おりょう「根性あるぜよ…」
カエサル「あんな事は我々には真似できないな…」
左衛門佐「恐れ入るな・・・」
と、衝撃に備えていなかったので、皆バランスを崩し、唖然としていた。
一方、Ⅳ号の愛宕チームは、順調に戦車を進めて行き、目的へと辿り着いた。
愛宕「ここで合っているの?」
みほ「ここなら見晴らしも良いし、何より橋のお陰で敵の的を絞る事が出来ます。」
と、皆に改めての作戦の概要を説明される。
武部「だから此処にしたんだぁ。」
五十鈴「これなら、後は追いかけてくる敵の戦車が来る前に向こう岸に渡って、迎撃出来ますね!」
優花里「流石みほ殿!今の内に渡ってしまいましょう!」
と、目を煌びやかに輝かせる優花里。
愛宕「そうだね、じゃあ今の内に渡っちゃおう」
そう言ってレバーを動かし、慎重に戦車を動かし始めた。
BRRRGTGTGTGTGGG…
みほ「現在後ろの敵戦車の姿は見えていないので焦らず慎重に動かして下さい」
優花里「たた、大変ですぅ!後ろではなく、前方向に敵戦車が1台程こちらに向かってきておりますぅ!」
と、大慌てで車内に告げる。
武部「えぇ!?どうしよう、八方塞がりになっちゃったよぅ!」
みほ「ならば、この橋を軸にして、戦車を斜めにして少しでも被弾を抑えるようにして下さい。」
愛宕にアクセルを離させて橋中央に戦車を鎮座させる
みほ「お昼ご飯の角度、約斜め45°の角度で止めると、ダメージが抑えられるからそれもお願いしていいかな?」
愛宕「斜め45°…こ、こう…道が狭いからちょっと難しいな。」
と、狭い駐車場で縦列駐車をするかの如く、何度も何度も動かしていた。
五十鈴「優花里さん、そろそろ敵さんの姿がお見えになりますので、打つ準備を始めて貰えませんか…?」
優花里「は、はい。まずは前方向の敵さんの撃破ですね!」
そう言って優花里は砲塔を回旋させ、迎撃の用意を始め、みほが砲弾を取り出し、装填する準備を行う。
武部「わ、私は何をすればいいの!?」
五十鈴「最近趣味で行っている事でも良いではないのですかぁ?」
武部「え、最近は結婚情報誌を読み漁ってぇ…って、何言わせるのよぉ!」
五十鈴「夫、居ないのにですかぁ?」
武部「読んどいて損はないでしょう!?」
と、痴話喧嘩をし始めた。はたから見たら冗談で言い合っているので別段止めようともしなかった
優花里「そろそろ敵戦車を迎え撃ちますぅ!」
そう言った瞬間大きな揺れが戦車全体を襲った。
武部「な、何!?一体何が起きているのよぉ!」
と、狼狽える武部、戦車は大きな揺り籠のように、決して穏やかな音を立てず、大きく、上下に揺れていた。
GGGYYYyyy…GGGYYYyyy……
愛宕「撃たれていないのにどうしてこうも揺れているのぉ!」
みほは素早くパッチから外の様子を確認、すると驚くべき事実が告げられた。
みほ「橋の糸が片方切れていてバランスを大きく崩している様です。先程の作戦は中止し、まずは安全確保を優先してこの橋を渡り切って下さい。」
愛宕に前進するよう指示を出す。しかし、先程斜め45°に車体を傾けていたので、この狭い橋の中で戻すのは少々時間が掛かると告げた。
五十鈴「敵さんからは丸見えですし…これはもう無理なのでは…」
と、少々諦め気味の五十鈴
武部「なんでこんな目に遭うのよ~!!」
と、泣き叫んでパニックになっている武部
優花里「橋と戦車によって全然照準を合わせられないですぅ!」
と、必死に敵に狙いを定めているが、縦方向の橋の揺れと、横方向の戦車の移動により、照準が全く定まらなかった、その時。
「打てえぇ!!」
DOOONN!!!! GAAOONN!!!
と、一時の衝撃が貫いた。
優花里「うわぁ!?」
武部「痛っ!何々!?」
五十鈴「とても大きな衝撃でしたね。」
みほ「皆、怪我はない!?」
と、慌てている中、落ち着きを取り戻した後、皆は冷静に被害報告を告げようとしたが。
優花里「愛宕殿の反応がありませんが…?」
と、みほが操縦席を見ると酷くぐったりした状態の愛宕が居た。
みほ「愛宕さん、大丈夫ですかぁ!?」
みほが大きな声で呼び掛けると
愛宕「うん…平気…」
と、グッと拳を高く上げ、辛うじて返事はくれた。傍から見たらどう考えても重症患者である。
みほ「運転は私が変わります!愛宕さんは武部さんの所で休んでいて下さい!」
そう言ってパッチを開け、操縦席へと急いで向かい、愛宕さんは席を何とかずらした。
武部には装填手へと役割を行って下さいと指示を出した。
みほ「運転は苦手だけど…やるしかない。」
そう言ってギュッと決意を込め、戦車を動かした。
GGG…GGYY…GG…BRRRR!!!
戦車を元の角度に戻し、アクセルを全開にして急いで橋を渡り始めた。
カエサル「むむ、Ⅳ号の戦車が橋を渡り切ろうとしているぞ。」
エルヴィン「向こう岸に渡らせるな!的が絞れる内に撃滅せよ!」
左衛門佐「横方向に回旋させられないのがもどかしい…」
おりょう「今戦車の向きを変えるぜよ!」
と、先程攻撃してきたⅢ号の歴女さん達が再度攻撃を仕掛けようとしてきた。
五十鈴「敵がゆっくりと此方に砲を向けてきています!」
優花里「砲塔は後ろ向きで宜しいのですかぁ!?」
と、砲塔を回旋させようと装置を掴む。
みほ「はい!Ⅲ号の火力はまともに当たっちゃうと致命傷を負います。なので優先して倒して下さい。」
そう大声で指示を出しながら戦車を動かす。戦車は橋を4分の3を渡り終える。
みほ「照準が合いましたら合図を下さい、それに合わせてブレーキを掛けます。」
優花里「は、はいぃ、分かりましたぁ!」
お互いの砲がジリジリと向き、そろそろ照準内に収まる頃合いであった。
愛宕達の戦車は、まるで大波かのように揺れる橋を進んで行く。
優花里「よーい!!」
その時、優花里が大声で砲撃する準備が完了した事を告げる。
それに合わせ、みほは急ブレーキを掛け、打てるように静止させる。
GYUUGGYy...GAGY...GYURRRGASYANnn...!!!
大きな音ともに揺れが起き、更に斜めに傾いて静止した。
普通の静止よりも違和感があるので思わず声を漏らしてしまう。
みほ「えっ?」
五十鈴「今です!!」
優花里「はいぃ!」
次の瞬間、五十鈴は優花里に発射を命じ、優花里はカチッと発射ボタンを押した。
優花里「申し訳ありません…外してしまって…」
と、優花里は申し訳なさそうに謝っていた。
武部「謝ることないよ!私達初心者なんだし、私なんてほとんど何もしていないんだから!」
アタフタしながら優花里を慰める武部。
結果はあの後砲弾は途方もない方角へと飛んでいき、装填している間にⅢ号戦車の砲撃により、無残に散った。
五十鈴「あの橋の揺れが無かったら、もう少しだけマシに戦えていましたでしょうか?」
みほ「分からないと思う。
仮に揺れてなかったとしても、戦車は履帯が外れていて避けようがなかったし、いずれ撃破していても他の相手で負けていた可能性も捨てきれない。」
と、考え込むみほ。
どんなに考えても、あの状況で全車撃破は厳しいだろう。
武部「由依は今は治療してもらってるし、回復するまで待っておく?でもその間代わりの戦車道出来る人っているの?操縦はみほしか出来ないし…」
みほ「あ…私は操縦が苦手だし、あまりしたくないかも…」
控えめな姿勢になる。いかに戦車道をしていても、苦手な事はやりたくないようだ。
優花里「私も、今回の砲撃で分かりましたが、とてもではありませんが、足でまといになるだけです。私は装填手辺りが適任かと…」
みほ達を見つめ、自分が役に立てる分野を選択した。
五十鈴「アクティブな事をしたいとは仰りましたが、私は西住さんみたいに素早く判断が出来ませんし…代わりに砲手を務めても宜しいでしょうか?」
と、優花里が砲撃する時の仕草を見よう見まねで行っていた。
優花里「そうなると、その間の車長はどうなるのでありますか!?愛宕殿は!?」
みほ「落ち着いて優花里さん、まずは愛宕さんの容態が回復してから考えても…」
顎に手を添え、考え込んでいると声を掛けられた。
角谷「いやぁでもそんな暇はないんだよねぇ…」
皆は角谷が告げた言葉に疑問を持った。幾ら初心者の集まりだとは言え、そこまで切羽詰まってやる必要があるのかと。
しかし、その疑問は勝ちたいからという単直な理由で終わらせた。
角谷「戦車道全国大会までの時間は全然足りないんだ。だから皆には頑張って貰うしかないんだ。」
と、少々申し訳なさそうに言う。
みほ「たけど、由依さんは帰ってきとしても全快ではないと思うし、無理させるのも…」
河嶋「そうとは言え、我々に残された時間はない。一刻も早く戦車道を活動しなければ」
小山「本校はお終いですぅ…」
小山は両手で自身の顔を覆い隠す。
優花里「それは過剰表現過ぎなのでは…」
角谷「まぁ、言い過ぎなのかもしれないけど、戦車道は一刻も早く再開しなければいけないのは分かるよね?」
みほ「それはそうですが…」
角谷が考え込んだと思った時、急に顔を上げた。
角谷「1人…心当たりがあるんだけど。」
と、人差し指を立て、周りに目を配る。
みほ・華・沙織・優花里「え?」
みほ達は驚きの表情を隠せなかった。思い当たる人物が会長に居た事自体驚いているのもあるだろう。
角谷「その人に頼んでみよっか。」
会長はまるで確信が持てるかのように、口角をニンマリと上げたのであった。
如何でしたでしょうか?
今後も楽しんで頂けられるよう、頑張って書いていきますので宜しく御願い致します!
誤字脱字・文章表現・物語構成に違和感があるかもしれませんが、その時は優しく御報告なさって下さい、
それではまた次回もお楽しみに!