大洗整備士の名に懸けて   作:天空 海翔

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投稿にお時間をお掛けしました!物語構成やキャラ崩壊を起こさないように慎重に書いていても、起こっている可能性が御座います。申し訳御座いません!
作戦会議、始まります!(急)


作戦会議です!

――翌日――

 

みほ「それで…愛宕さんが見つけてきたのが…」

 

愛宕「うん、これが会長の地図に示してあった戦車なんだけど。優花里さん分かる?」

 

優花里「はい!これは三式中戦車チヌですね!しかし…」

 

優花里の表情が曇る。

 

優花里「その…申しづらいのですが…この戦車は5人乗りなのですよ…」

 

沙織「5人!?由衣一人じゃあとてもじゃないけど無理よぉ!」

 

華「人数的に無理そうですし…どうしましょう。」

 

愛宕「ナカジマ先輩から聞いたけど、部品が所々足りないから会長に経費で部品注文するらしいよ。だから綺麗にするだけで手一杯だってさ。」

 

現状動かせないことが分かり、更に悩めるみほ達であったが。

後ろから足音が聞こえてきた。

 

角谷「愛宕ちゃん、動かせられない間はウチの戦車で経験積んだらどうかな?」

 

皆が振り返る。

 

角谷「ウチの戦車の乗員は4名なんだよね、一人空いているんだけど、乗るかい?」

 

と、38(t)らしからぬ何かを親指で差す。

 

沙織「何…あれ…」

 

華「豪華ですね。」

 

そこには金色で塗装された38(t)が佇んでいた。

他にも、Ⅳ号以外の戦車は前とは比べられないほど個性丸出しの色で染められていた。

Ⅲ突は武将の旗が掲げられている為、38(t)同様に凄く目立っている。

 

沙織「バレー部とか復活!って意気込んで書いちゃっているよ…」

 

華「一年生チームの皆さんはピンク一色で可愛らしいですね。」

 

麻子「生徒会の戦車は金ピカ過ぎて目立ち過ぎているな。」

 

愛宕「Ⅲ突はもう、なんだろう?武将…がベースなのか…な?」

 

優花里「あぁ!?38(t)が!Ⅲ突が!M3リーが!八九式が何か別のモノにぃ!!」

 

優花里はそう言って悶え苦しんでいた。前の泥臭い迷彩色が好みだったのだろう。

いや、優花里にとってそれが戦車というものなのだろう。

 

優花里「あんまりですよねぇ、西住殿!!」

 

優花里はみほに共感の念を放った。

みほは驚いていたが、徐々に笑顔へと変わっていった。

 

みほ「あははは!戦車をこんな風にしちゃうなんて、なんか楽しいね!私、戦車道やっていてこんな楽しい事初めてだよ!」

 

みほの発言により、愛宕を含む沙織達も笑顔になった。

 

角谷「そう言えば、戦車道の履修を行った後に連絡事項があるから、先に帰らないようにね〜。」

 

生徒会達はそう伝えて自分達の戦車へと足を運んで行った。

 

華「なんでしょう、伝えたい事って…」

 

沙織「由衣の戦車道復帰祝いとか?でもそれって履修後にわざわざ集める必要ってあるかなぁ…」

 

優花里「何を言うのですか武部殿、愛宕殿も我々と同じ仲間です、祝わなくてどうするのですか!」

 

と、優花里は沙織に近付く。

 

麻子「まぁ、生徒会がそれの為に全員を呼ぶとは限らんけどな…」

 

みほ「取り敢えず、頑張って取り組みましょう!」

 

BRRRR!!!!!

 

河嶋「一列横隊!!M3!ズレているぞ、もっと速度を上げろぉ!」

 

梓「はい!!」

 

河嶋「敵の射線に入らないよう、迂闊に境界を超えるな!Ⅲ号!」

 

エルヴィン「イエッサー!」

 

河嶋「次は砲撃訓練だ!的を狙って発射しろ!」

 

沙織「えぇっと…距離ってどうやって求めるんだっけ?」

 

辞書を引きながら調べているが、分からず頭を抱えていたので経験者のみほに聞くことにした。

 

みほ「距離は目標÷シュトリヒ×1,000で求めて下さい。」

 

沙織「シュトリヒって何?」

 

みほ「角度を表しています。真ん中が4シュトリヒ、小さい三角が2シュトリヒ、隙間が1シュトリヒ」

 

沙織「えっと…2分の1で…掛ける1,000だから…500メートルか!」

 

優花里「装填完了しました!」

 

みほ「周囲確認準備良し!撃て!」

 

華「はい!」

 

DGAN!!!

 

飛んで行った砲弾は綺麗な弧を描き、的へと飛んで行った・・・

 

ーー放課後ーー

 

河嶋「諸君、今日の訓練は御苦労だった。連絡事項の事だが、急ではあるが今度の日曜日に聖グロリアーナ女学院と練習試合を行う事となった。」

 

その発言により周囲はザワついた。

 

「遂に来たか。」

 

「緊張するねぇ。」

 

その中、優花里だけ反応が違った。

 

優花里「聖グロリアーナ女学院って…準優勝をした事がある強豪校ではありませんか!」

 

周囲もその発言より更にザワつき始めた。

いきなりの練習試合の相手が強豪校により不安を掻き立てる。

 

「勝てるかなぁ…」

 

「怖いよぉ…」

 

河嶋「そういう訳で、朝6時に学校へ集合!!」

 

朝6時、と告げられた瞬間。麻子の顔色が急激に悪くなった。

 

麻子「…辞める。」

 

みほ・愛宕「はい?」

 

麻子「…やっぱり戦車道辞める…」

 

優花里「ちょちょちょっと!急にですか!?」

 

華「もう辞めちゃうのですか…?」

 

沙織「麻子、朝は低血圧で起きられないんだぁ…」

 

沙織はやれやれと言った感じで肩を落とした。

麻子は颯爽と足早に去ろうとした。

その姿を見て愛宕達は追い掛ける。

 

みほ「ま、待ってください!」

 

優花里「朝起こしに行きますぅ!」

 

華「家から学校まで送りますから…」

 

愛宕「目覚めし用意しましょうか!?」

 

麻子は立ち止まった。

 

麻子「朝だぞ…人間が朝の6時に…起きられるか!?」

 

鋭い視線で睨みついてきた、が。

 

優花里「いえ、学校集合が朝6時なので、起きるのは5時くらいかと…」

 

姿勢が崩れたかに見えたがすぐさま立て直した。だが麻子の顔は更に青ざめた。

 

麻子「西住さんに借りを返すと言ったが…朝が早いとなると話は別だ…今まで世話になった。」

 

愛宕「え、えぇ!?」

 

麻子は立ち去ろうとすると大急ぎで沙織が麻子に駆け寄った。

 

沙織「麻子ぉ!戦車道履修しなかったら単位が足りなくて留年しちゃうわよ!おばぁに怒られても知らないんだからね!」

 

麻子「おばぁっ…!!」

 

おばぁちゃんの事を思い出したのか…しばらく考え込んだ。

沙織は更に叩き込む。

 

沙織「それに、戦車道履修しないと私達と一緒に卒業出来なくなっちゃうんだから!私達の事、先輩って言ってみて!!」

 

麻子「…っ!!」

 

麻子の身体が固まった。

頭の中で葛藤を起こしているのだろう、身体が震えていた。

やがてその震えも止まり、拳を強く握りしめた。

 

麻子「………分かった…やろう…」

 

とても小さな声で告げた。

 

愛宕(恐るべし、おばぁちゃんの怒り。)

 

角谷「ま、まぁ…取り敢えず、各チームのキャプテン達を集めて今から生徒会室で作戦会議を開くから。んじゃ、全員解散。」

 

沙織「えぇ…急過ぎるよぉ…後由衣の事何も言われなかったし…」

 

頬を膨らます沙織。

 

華「試合。楽しみですねぇ…」

 

麻子「私は寝ていてもいいか?」

 

沙織「家で寝て!」

 

優花里「お供しますよ!」

 

沙織と華と優花里は麻子を抱えて帰って行った。

 

武部「じゃあね!由衣!みほ!」

 

愛宕とみほは沙織達に手を振り返した

 

愛宕「あ、私は部活動に行きますね。」

 

学校に戻ろうとしたところで、角谷に呼ばれる。

 

角谷「あ、愛宕ちゃんも作戦会議参加しちゃって。」

 

部活動に向かおうとした愛宕を止めるかの様に告げる。

行く気満々だった為か、愛宕は大きく姿勢を崩した。

角谷は愛宕が聞こえたのを確認してそのまま河嶋と小山の元に向かった。

 

愛宕「え…えぇ…?」

 

ガクンと項垂れてみほと共に生徒会室へ向かった。

 

ーー生徒会室ーー

 

河嶋「良いか?相手の聖グロリアーナ女学院は、強固な装甲と連携力を活かした浸透強襲戦術を得意としている。」

 

皆が席に座り、河嶋が作戦会議を運行していた。

現在は相手の戦車に対しての対策案を河嶋が提示したのでその作戦を聞いているところであった。

 

河嶋「つまり、相手の戦車はとにかく硬い為。主力のマチルダⅡに関しては、こちらは100m以内の攻撃ではないと話しにならないと思え。」

 

つらつらと述べながらホワイトボードに今回行う作戦を書き込んでいく。

 

河嶋「であるから…一両が囮となり、我々のキルゾーンへ誘き出して全員で叩く!」

 

バンっ!とホワイトボードに叩き込んだ。

周りはその作戦に頷いていたが、みほと愛宕は俯いていた。

その様子をじっと見ていた角谷が問いかける。

 

角谷「愛宕ちゃん、西住ちゃん、何か考えがあるなら言ってみ?」

 

愛宕「え?えっと…」

 

みほ「言っても宜しいのですか?」

 

角谷は笑顔で頷いた。

 

角谷「作戦に支障な点があると、そもそも成り立たないからね。反対意見は必要だよ。」

 

角谷の問いによりホワイトボードに釘付けになっていた皆もみほや愛宕を見つめる。

みほは周囲が向き直ったのを確認してから言い始めた。

 

みほ「相手も、私達が囮を使う事を予測するかもしれません。なので、逆包囲されないように対策をした方が良いのではないかと…」

 

愛宕と周りは確かに、と頷いた。

続いて愛宕が意見を述べた。

 

愛宕「私達はまだ50mの動いていない的にすら当てられない初心者の集まりなのに、動いている的を100m圏内で当てられるとは到底考えられませんが…。」

 

愛宕の意見を述べ終えると、嫌悪で一杯の河嶋が叫んだ。

 

河嶋「黙れ!!私だってこんな作戦通ると思っとらん!そこまで作戦に口を挟むならお前が隊長をやれ!!!」

 

猛烈に激怒しながら愛宕に指を差し、河嶋の激怒により周囲も距離を置き始めた。

 

小山「えぇ…愛宕さんに任せちゃうの…?」

 

角谷「まぁまぁ…かーしま落ち着いて…。」

 

河嶋「し、しかし会長…」

 

角谷は大っぴらに開いていた足を閉じ、姿勢を正してみほに身体を向ける。

 

角谷「まぁ、かーしまが隊長を交代するのなら、私は元から西住ちゃんを指名しているのだけど、どうかな?」

 

河嶋「良いのですか、会長。」

 

角谷「うん、私は西住ちゃんが隊長で何ら支障はないよ。頑張ってくれたまえ。」

 

バシッとみほの肩を叩く。

 

みほ「わ、分かりました!!」

 

みほは叫んだ。その様子に角谷は静かに頷いた。

と思ったら愛宕に身体を向き。

 

角谷「そうそう、次いでに愛宕ちゃんが副隊長で。」

 

ビシッと干し芋を持った手で愛宕を差す。

 

河嶋「は?」

 

小山「えぇ!?」

 

愛宕「はえ?」

 

皆は何とも間抜けな声を出した。副隊長が軽く決められたのである。

 

愛宕「な、何故私が!?」

 

自身を指差しながらアタフタと戸惑っていたが、その姿に角谷はその反応を待ってましたと言わんばかりにニヤついてきた。

勿論周囲は驚きを隠せておらず、みほも同様の反応を見せ、河嶋は不安になってきているようだった。

 

角谷「いやぁ、かーしまの作戦の矛盾点というか、不足の点に気が付いたのは西住ちゃんと愛宕ちゃんだけみたいだし。ならこの二人に任せたら良いじゃないかなぁって思ってさ。」

 

河嶋「会長…」

 

河嶋は茫然と角谷を見ていた。

角谷はその事を気にも留めず大きく身体を伸ばした。

 

角谷「取り敢えず隊長と副隊長は決まったし、作戦はその二人に決めてもらおうか。君達なら良い案が導き出せるだろうし。宜しく頼むよぉ。」

 

角谷はぶっきらぼうに会話を終えて席を立ったが、皆はその様子に付いて行けていないのか、沈黙していた。

しかし、その沈黙を破ったのは河嶋だった。

 

河嶋「な、何をボサッとしているのだ。作戦会議は終わったのだ、退室して良いぞ。」

 

生徒会メンバーは席を立ち、執務作業へと移った。

皆はそれに合わせ席を立ち、次々と退室していった。

 

愛宕「角谷先輩、私達が隊長だからって作戦を考えさせるのを丸投げするのってどうかしていると思うよ。」

 

みほと廊下を歩きながら頬を膨らませて愚痴を言う愛宕。

河嶋が提示した作戦に明確な矛盾点を指摘しただけで副隊長に氏名され、挙句の果てには作戦を愛宕達に任せるという暴論に出た。

 

みほ「それ程私達を信頼しているとも受け止めなくは…」

 

愛宕「いや、丸投げでしょ、どう見ても。」

 

みほの擁護にあっさりと言い切った愛宕に、みほは苦笑の笑みを浮かべていた。

 

愛宕「うーん…今から作戦かぁ、良いの思いつくかなぁ。」

 

愛宕は顎に手を添え、何か良い作戦はないかと考えていた。

 

みほ「あ、あの。もし由衣さんが良かったらでいいのだけど。私の家で今晩一緒に考えない?作戦。」

 

愛宕「え、みほちゃんの家にお泊りして良いの?というか、上手な作戦考えられるか分からないけど…」

 

みほ「大丈夫ですよ。その時は私が別の作戦を考えるから。」

 

と、若干不安そうな愛宕であったが、みほは心配ないと励ましてくれた。

その後、愛宕は自動車部のナカジマ先輩に今日は部活を休むと告げ、自宅からパジャマを取りに行き、みほの家へと向かった。

 

――みほの家――

 

着替えを入れたバックを担ぎながらみほとのメールを弄る。彼女曰くは部屋の片づけをしている為、玄関前で待っていて欲しいとの事だった。

 

愛宕「友達の家にお泊りかぁ。今までした事がなかったから楽しみだなぁ。」

 

心の内で踊る気持ちを抑えるのに精一杯な愛宕は、自分を落ち着かせようと深呼吸しながら呼び出しを待つ。

すると家の中から大慌てで駆け込む様な足音が此方へと近付いてきた。

 

みほ「ごめんね、由衣さん。入っていいよ。」

 

中から出てきたのは制服姿のみほだった。大慌てで片づけていたのか、息が切れていた。

 

愛宕「そ、そんなに忙しく片付けなくても大丈夫だったんだけど…」

 

みほ「アハハ…ごめんね、ちょっと張り切っていたんだ。さ、ゆっくりしてね。」

 

みほはそう言って愛宕を部屋へと連れて行く。

楽しみにしていたのか、笑顔がいつもより明るかった。それは愛宕も同様であった。

 

愛宕「わぁ、クマのぬいぐるみだぁ!怪我とかしているけど、これが普通なの?」

 

愛宕はみほの部屋に飾られていたクマのぬいぐるみをマジマジと見つめる。眼帯や包帯を巻いている等、傍から見たら痛々しいぬいぐるみである。

 

みほ「あ、それはボコっていう人形なの。大好きでよく集めているんだぁ。」

 

喜色満面な笑みを浮かべながら持ってきたのは作戦ノートだった。それにしては数が3冊と、戦車道経験者にしては少ない気がしたが、気にも留めなかった。

 

愛宕「あ、みほちゃん。それが作戦ノートってやつ?見せて見せて!」

 

みほからの承諾を得て作戦ノートを1ページ捲る。するとその土地の地形、高さ、木々や岩がどこにあるか等が良く分からないイラストでざっくり描かれていた。

 

愛宕「一個の作戦を練るのに、本来はこれぐらいの情報が必要なのかぁ!」

 

興味津々の様子でみほの作戦ノートを読み漁る。みほはその様子に若干驚きながらも朗らか笑みで愛宕に告げる。

 

みほ「実は私美術が苦手で…作戦を練るのは得意なんだけど…書き起こすとどうしても愛宕さんが読んでいる様な図になっちゃうから、それ以降は頭で考えるようにしているの。」

 

頭で作戦を練っている事実に愛宕の動きが止まってしまった。本来これぐらい書く筈の作戦を全て頭で計算している事実に驚きを隠せなかった。

 

愛宕「凄い、凄いよみほちゃん!私にはこんな作戦を頭で練るなんて無理だよ!」

 

と、半ば興奮気味でみほに大声で気持ちをぶつける。みほもその様子に対して驚いていた。

 

みほ「だ、大丈夫だよ。由衣さんも今後も一緒に作戦練っていったら私みたいになれるから。」

 

みほは愛宕を勇気づけた。愛宕はその言葉が追い風となったのか。更に興奮していった。

 

愛宕「本当!?私も頑張ってみほちゃんみたいに凄い作戦が思いつけられるように頑張るよ!!」

 

バッグから取り出したのは筆記用具とノートだった。どうやら今すぐ考えるらしい。

 

愛宕「そういえば、練習試合というか、親善試合?って、何処の会場で行うんだろうね。」

 

みほ「会長さんによると、大洗で行うらしいよ。うちの高校大洗の地元民が多いから、地元民にとってこれ程有利が取れる地形はないよって張り切っていました。」

 

愛宕「大洗かぁ、私も地元だから確かに地形の有利は取れそうだね。河嶋先輩も地元を使って作戦を練ろうという考えがなかったのかなぁ?」

 

ニシシと笑いながら大洗の地形を大まかにノートに書き込んでいく。

 

みほ「大洗かぁ、私地元が熊本だから良く分からないんだよね。」

 

愛宕「なら沙織さん達を呼んで、皆で大洗の街でも散策する?」

 

と、地形を書き込みながらみほに大洗散策の誘いを受ける。

 

みほ「有難う。じゃあ楽しみにしておこうかな。」

 

皆で楽しく散策する姿を思い浮かべながらニコニコと笑みを浮かべた。

 

愛宕「よし、出来た!!」

 

大まかな大洗の地図を描きこんだ愛宕が叫び、それに続いてみほがノートを覗き込む。

 

みほ「わぁ、大洗ってこんな感じなんだぁ。」

 

愛宕が描きこんだ大洗の図を見て感心する。

 

愛宕「まぁざっくりと描いただけだからね、所々うろ覚えもあるし、これで作戦を練るにはちょっと厳しいかもしれないけど。」

 

みほ「ううん、大丈夫。可能な限り思い付く作戦を提示していこうよ!」

 

二人は日付が変わる頃合いの時間帯まで出来る限り思い付く作戦を考えて行った。

 

――翌日の生徒会室――

 

愛宕「以上により、作戦はこの様に進める予定ですが、何か質問はないでしょうか?」

 

キュッキュッとホワイトボードに作戦の概要を書き込んでいく愛宕。みほの作戦も皆に提示済みなので、現在は愛宕の作戦をお披露目している所であった。

説明をし終えて周りを見たところ、質問がありそうな感じではなさそうだったので切り上げた。

それと同時に角谷が拍手を始める。

 

角谷「いやぁ、この作戦なら聖グロリアーナ女学院にも通用すると思うよ。有難うね、西住ちゃん、愛宕ちゃん。」

 

角谷は満面の笑みだった。

 

愛宕「この作戦は実際上手くいったら使われる作戦ですが、そう簡単にうまくはいかないと思われるので、うまくいかなかった時は試合中の時に指示を出す予定です。」

 

と、自分が書いた作戦ノートを閉じ、席に戻る。

皆はおぉっと驚愕していた。

皆これで勝ち筋が見えたと思っている。

だが、対戦相手は全国大会の準優勝。この作戦がそもそも通用するかも分からない。だが愛宕は強豪校の戦車道をこの目でお目にかかれると思うと、ワクワクせずにはいられなかった。

 

角谷「期待しているよぉ。何せ勝ったらご褒美上げちゃうからね。」

 

角谷の一斉に皆は注目した。澤は目をキラキラさせていた。

 

澤「ご、ご褒美…ですか?」

 

角谷「そう!干し芋3日分!!」

 

ビシッと干し芋を持っている手を澤に指した。

皆は干し芋の一言により空気はどんよりとしてしまった。

 

愛宕「じ、じゃあ負けたら…?」

 

恐る恐る愛宕は聞く。それに続き周りの空気もピシッと変わった。

 

角谷「負けたらあんこう踊りでもしてもらおうかな、市街地で。」

 

みほは内心ホッとした、その束の間、周りの空気は更に悪くなった。

 

澤「あんこう…踊り…?」

 

エルヴィン「何たる屈辱だ…」

 

愛宕「あばばばば…!!」

 

皆は悶え苦しみ始めた。

みほはその踊りが何なのかが分からず、周りが悶え苦しんでいるのかが理解出来なかった。

 

角谷「んじゃあ作戦も出来た事だし、明後日の試合に向けて頑張ろうか。」

 

角谷の言葉により、まるで地獄を見ているかの様な顔をしながら皆は退室していった。

 

ーー戦車倉庫ーー

 

愛宕「てな訳で…負けたらあんこう踊りなんですよ〜!」

 

ホシノと共に戦車の履帯をチェックしながら愚痴を零す愛宕。

 

ナカジマ「あはは、あんこう踊りかぁ。いやぁ、あの踊り覚えるのはキツかったなぁ。」

 

ツチヤ「凄い服がピッチピチだったやつだなぁ。」

 

ホシノ「アレは確かに恥ずかしい…」

 

スズキ「アレを着てアタゴが踊るのかぁ!それはそれで楽しみだよ。」

 

愛宕を除いた自動車部員は、所謂対岸の火事なので、ニコニコしながら作業していた。

その様子に愛宕は頬を膨らませていたが、携帯の着信音が倉庫を響かせていたので、作業をホシノに任せて電話に出た。

 

愛宕「もしもし。あ、みほちゃん?どうしたの、こんな時間に。」

 

電話の相手はみほからだった。どうやら前の作戦についての話と、別件の為に電話を掛けてきたらしい。

 

みほ「作戦はまた後で話すとして、試合当日に麻子さんを起こす為に戦車で迎えに行きたいんだけど、準備出来るかな…?」

 

どうやら戦車を使って麻子を起こす作戦らしい。

それについてナカジマ先輩に伺った所、人を起こすのに戦車を使うなんて大胆だね、と驚く反面、当日は動かせられるようにしておくと快く引き受けてくれた。

 

愛宕「じゃあ試合前日、またみほちゃんの家にお泊まりしても良いかな?一緒に登校も出来るからどうかなぁって…」

 

みほ「うん、良いよ。作戦会議も次いでに出来るからね!」

 

試合前日にお泊まり会も快く決まった事により、愛宕の調子は最高潮となった。

 

ホシノ「アタゴ、ちょっとここ持ってくれない?後、頭上気を…」

 

愛宕「はーi!あうっ!?」

 

ガァンッ!!と、勢いよくぶつける音が戦車倉庫に響き渡った。元気良く立ち上がると上にはチヌの砲塔がぶら下がっていた。

 

ナカジマ「あ…あはは…相変わらずだね。」

 

愛宕「はいっ!」

 

相も変わらず、愛宕はにこやかに返事をした。

 

――試合当日――

 

時刻は午前5時、みほと愛宕は戦車を取りに行く為に一緒に学校へ向かっていると、みほの携帯電話から着信音が響いた。

 

みほ「もしもし?沙織さん?」

 

沙織「あ!みほ!?ごめんねぇ、麻子が起きなくてぇ。今何とか布団を剥ごうとしているんだけど、手間取っちゃって…」

 

沙織からは麻子の起床に手間取っていた。その問題は予測済みなのでみほは愛宕に相槌を打って急いで学校に向かう事にした。

 

沙織「もぉ、麻子起きてよぉ!試合なんだからぁ!!」

 

麻子の布団を一生懸命剥ごうとするが、ビクともしなかった。

 

麻子「無理なものは…無理…」

 

小言を言っているが、沙織には聞こえなかった。

すると、外からラッパの音色が聞こえてくるので窓を開けると、そこにはラッパを軽快に吹いている優花里が居た。

 

優花里「あ、おはよう御座います。冷泉殿は起きましたか?」

 

沙織「優花里!それがね、麻子が意地でも起きようとしないのよぉ。」

 

と、気持ち半ば焦っている沙織だったが、優花里は分かりましたと言わんばかりに合図を送った。

 

BRRRRR…

 

なんとそこに来たのはⅣ号戦車だった。

麻子の家の近くで止まったかと思ったら優花里が耳栓を差し出してきた。

 

優花里「はい、これで耳を塞いで下さい。」

 

沙織の頭は?で一杯だったが、優花里の指示を聞いて大人しく両耳に耳栓を入れた。

 

優花里「準備出来ました、どうぞ!!」

 

優花里の手には通信機らしからぬモノを所持しており、誰かに伝えていたと思った矢先。

 

BKAAAAMM!!!!

 

辺り一面に砲撃が響き渡った。近所の方達は大騒ぎ。

 

「な、なんだぁ!?」

 

「一体何事!?」

 

みほ「すみません、空砲です!!」

 

キューポラから出てきたのはみほだった。恐らく砲撃したのもみほだったのだろう…かと思いきや、他のキューポラから華が顔を出した。

 

GGG…BRRRGYUUUNNnn…

 

Ⅳ号が位置をずらし、運転席のキューポラから出てきたのは愛宕だった。

 

みほ・愛宕・華「おはよう御座います!」

 

麻子「…何事だ…」

 

寝ぼけ眼で様子を見に来たのは麻子だった。完全とは言わないが、目は覚めたようだ。

 

沙織「麻子、今から大洗に降りるから、戦車の中で支度して!」

 

パジャマ姿のまま麻子は戦車に乗せられる。

人数的に全員は入らない為、愛宕はⅣ号の背に乗っておくらしい。

麻子がいそいそと着替えている中、愛宕が華に質問した。

 

愛宕「華さん、どうしてあの時間帯に戦車倉庫に居たのですか?」

 

華「麻子さんを起こすには大きな音を出せば良いのではと思い、戦車を使わせて頂く為に倉庫前に居ました。」

 

みほ「ま、まぁ実際は開いて訳なんだけど。華さんも考える事は一緒だったんだね。」

 

みほの言葉に華は嬉しそうに相槌を打った。

 

優花里「次はこの角を右でしょうか?」

 

沙織「うん、それで行列が見えてくると思うよ。」

 

運転席の優花里は沙織の指示を聞きながら順調に進行し、列に並んだ。

時間が長引く為キューポラから顔を出し、雑談を交わしていた。

ようやく開ける場所に辿り着くと、愛宕はゆっくり立ち始めた。

 

愛宕「帰ってきた…大洗に!!」

 

一杯の笑みを浮かべて楽しそうにする心を抑えながら大洗を見つめた。

 

沙織「由衣、地元に帰ってきて嬉しいのは分かるけど、まずは試合を終えてからだよ?」

 

愛宕は沙織の試合の一言により落ち着きを取り戻す。

今日、此処大洗で試合が行われるんだ。そう自分に言い聞かせながら、大洗の地へと降り立つ。

 

愛宕「あれが…聖グロリアーナ女学院の學園艦かぁ…」

 

沙織「私達の船よりも二回り大きいね。あ、あれがグロリアーナの戦車なのかな。」

 

優花里「はい、あれがグロリアーナの主戦力となるマチルダとチャーチルです。」

 

華「楽しみですねぇ…」

 

麻子「そう呑気にいけばどれ程楽なものか…」

 

みほ「あはは、大丈夫。私達なら出来ます。頑張りましょう!」

 

愛宕・優花里・沙織・華「はい!」麻子「おう…」

 

みほは皆に喝を送り込み。試合会場へと戦車を向かわせる。

 

――試合会場――

 

対戦相手と、戦車のキャプテン達が順番に並び。河嶋と相手のリーダーが前へ出る。

 

河嶋「お忙しい中、練習試合を受けて下さり、感謝する。」

 

?「構いません事よ…それにしても…」

 

相手のリーダーは真摯に挨拶を受け取ると、口元を隠しながら告げた。

 

?「随分個性的な戦車ですのね…鮮やかで…」

 

あの口元の下は笑っているのか、嘲笑っているのか。どちらにしろ良い会話ではないことは確かであった。

 

?「ですが…サンダースやプラウダみたいな下品な戦い方はしませんの…お互い騎士道精神で頑張りましょうね。」

 

お互いの握手を交わして、キャプテン達は戦車へと戻る。

 

河嶋「くそ…絶対嘲笑っているぞ…」

 

小山「本来戦車は派手な方がおかしいからね、桃ちゃん。」

 

河嶋「桃ちゃんと呼ぶな!!」

 

二人が会話している中、角谷に気になった事を聞く。

 

愛宕「角谷さん、相手チームのリーダーが紅茶を持っておりますが…」

 

角谷「あぁ、ダージリンの事?彼女らは戦車内でも紅茶を啜りながら優雅に戦うスタイルらしいよ。何より、戦車道中では紅茶を零した事がないとか…」

 

愛宕「…お手洗いってどうするんですかね…」

 

角谷「さぁね、向こうのやり方にあまり口を挟まない方が良いと思うよ。愛宕ちゃん。」

 

愛宕はそれ以上口を開かなかった。いや、開かないようにしたのだ。

それ以上口を開くと、パンドラの箱を開けてしまうのではないのだろうかと察したのだ。

 

キューポラを開けてⅣ号戦車を見つめる。そこにみほの姿は無かったが恐らく中で会話しているのだろうと若干羨ましく思った。

すると、ヘッドホンから河嶋の声が聞こえた。

 

河嶋「西住、愛宕。準備は良いか?我が校の運命は貴様らに掛かっているのだぞ。」

 

愛宕・みほ「はい!」

 

愛宕は内心あんこう踊りでそこまで言わなくても…と思っていた。

すると、別の方の声が聞こえた。

 

「両チーム、準備は宜しいでしょうか?」

 

恐らく審判の声だ。いよいよ始まるのだと意識するのと同時に、心臓の鼓動が嫌という程高鳴る。

 

「試合…開始!!」

 

大洗女子学園VS聖グロリアーナ女学院の練習試合に幕を開けた・・・

 




如何でしたでしょうか?キャラの呼び方や表記に何回も試行錯誤してようやく定まりそうです。優柔不断で申し訳ございません。
物語構成や誤字脱字、キャラ崩壊等があるかもしれませんが、温かい目で見て下さい。
それでは、次回もお楽しみに!
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