一海達の卵が孵ったが、翔の卵だけはまだ孵らない。それどころか、数ヶ月経っても、未だ微動だにしていない。それでも翔は、卵と共に様々な経験をし、旅をさせていた。この日は料理番組の収録で、とあるレストランのシェフと共に料理をしていた。
シェフ「翔様、そちらの卵は一体…?」
翔「寝坊助だ。」
シェフ「ね、ねぼすけ…?」汗
翔「あぁ、全く起きねぇからな…」
翔とシェフが作った料理は、グルメフェスにて売り出させる予定である。そのため、失敗は許されない。
ディレクター「それにしても、翔様は何でもできるんですね。スゴイな…」
スタッフ「多特技なんですね。」
翔「……。」
ディレクターやスタッフの言葉を聞き流しつつ、どんどん料理を完成させていく翔。やがて、会場に次々と客がやって来る。そこに、お馴染みの彼女達も…
ゆい「あっ、翔さ〜ん!!」
翔「よぉ…ん、見ねぇ顔もいるな?」
らん「紹介するね!こっちはあまねん、らんらん達の友達だよ!!」
あまね「初めまして、わたしは『
翔「…青空 翔だ、よろしく。」
翔(コイツ、どこかで見たような……)
ゆい達の新しい友人『菓彩 あまね』を怪しんだ翔だが、それ以上考えないようにした。
ここね「って、その卵も一緒なんですね…」汗
翔「当たり前だろ?」
背中に卵を背負いながら、次々と料理を作っていく翔。
翔(おい寝坊助、美味そうな香りが広がってんだろ?まだ起きねぇのか?)
会場には美味しそうな香りが一面に広がっている。それでも、卵はまだ孵らず…ピクリとも動かない。
翔「それより、お前達も食ってくか?」
ゆい「やったー!丁度腹ペコってたところなんだ。」
翔から料理を受け取り、席へと移動するゆい達。ゆい達と共に楽しそうに話すあまねを見て、翔は思う。
翔(ジェントルー…だったっけな、多分アイツで間違いねぇだろう……そうか、新たな居場所を見つけたって訳か…)
そして、ジェントルーの正体があまねであることを察し…新たな居場所を見つけたのを知り、どこかホッとしていた。
翔「おい、もう大丈夫そうか?」
シェフ「はい、助かりました。いやぁ、翔様は手先が器用ですな〜♪」
ディレクター「お疲れ様でした〜!」
スタッフ「では翔様、ここからは会場を満喫してください!」
翔「はいよ。」
収録を終えた翔は、寝坊助を抱えて会場へと出てきた。
ゆい「翔さんが作ったこの料理、デリシャスマイル〜♪」
翔「パワーワードか…」汗
ここね「美味しいってことですよ、きっと…!」
翔「それは分かってる、コイツの顔を見りゃな。」
らん「翔さんの卵、まだ割れないの?」
翔「…そうだな。」
翔(ほれ、中々の美少女だろ?それでも起きねぇのか?)
中々割れない卵を見て、思わずジト目になる翔。
あまね「ところで、それは一体…何の卵ですか?」
翔「俺が教えるとでも思ってんのか?ネタバレしちゃあ、つまんねーだろうが。」
ゆい「産まれてからのお楽しみってことだね♪」
翔「…そうだ、そういうことだ。」
翔が持っているのはレイズバックルの卵だ。だが、何のバックルが出てくるかは分からないのだ。
翔「…お前達にも、パートナー的な奴…いんのか?」
ゆい「モチロン♪」
コメコメ「コメッ♪」
ここね「はい、わたしのパートナーはパムパムです。」
パムパム「よろしくパム〜♪」
らん「らんらんはメンメンだよ!」
メンメン「よろしくメン♪」
あまね「わたしのパートナーはパフェのレシピッピです。」
パフェピッピ「ピッピ〜♪」
プリキュア達のパートナーは個性的だ。コメコメだけは知っていた翔、パムパムとメンメン、パフェのレシピッピ『省略:パフェピッピ』と話すのは初だ。
翔「俺が青空 翔だ、よろしく。」
エナジー妖精達を目にしても、翔は全く表情を変えない。
らん「あれ、驚かないの?」
翔「…慣れてるからな。」
らん「…?」
幾つものファンタジックな展開を潜り抜けて来た翔にとって、エナジー妖精は驚きの対象では無かった。そんな時…翔のスパイダーフォンが鳴った。
翔「何だ?」
アフロディーテ『ジャマトが現れました!場所は、グルメフェス会場です!!』
翔「…ここか。」
やがて、翔の視線に禍々しい渦が出ると…そこから、ジャマトが姿を現した。
翔「…なに?」
しかし、現れたジャマトの姿を見て…翔は目を見開いた。
「ジャバウゾォォオオオオッ!!」
何と、プリキュアの敵であるウバウゾーとジャマトが1つになっていたのだ。
翔「おい、どういうことだ!?何故ジャマトとウバウゾーが合体してんだよ!?」
アフロディーテ『そ、そう言われましても…』オロオロ
翔「…ちっ、使えねぇな…!!」
デザイアドライバーを身に着けた翔は、レイズバックルを取り出す。そこに、一海が駆け付けた。
一海「翔!!」
翔「…丁度良い…おい一海!!ブースト以外のバックルを寄越せ!!代わりにこれをやる!!」ヒュンッ!
一海「よっと…これって、ゾンビ!!」パシッ…
翔「ソイツとブーストを合わせろ!!お前の底力、見せてやれ!!」
一海「…あぁ、ありがとう翔!!」
一海は翔から受け取ったゾンビバックルと、手持ちのブーストバックルをドライバーにセットし…
仮面ライダーへと姿を変えた。
ゾンビブーストフォームになったバッファは、ウバウゾージャマト目掛けて猛スピードで突進していく。その間に、ゆい達もプリキュアへ変身…新たな戦士『キュアフィナーレ』と共にウバウゾージャマトへ立ち向かう。
バッファ「おらっ!!どらぁっ!!」ドゴッ!バキッ!
ウバウゾージャマト「ジャバッ!?」
プレシャス「仮面ライダー!!」
フィナーレ「我々も行くぞ!!」
バッファと連携しながら、プリキュア達もウバウゾージャマトに攻撃を当てていく。
ウバウゾージャマト「ジャバウゾー!!」
ウバウゾージャマトは、巨大な腕を振りかざすと…バッファとプリキュア達目掛けて振り下ろしてきた。咄嗟に、キュアスパイシーがメロンパン型の盾を生み出し、攻撃を防いだ。
スパイシー「ヤムヤム!!」
ヤムヤム「よぉし、バリカッターブレイズ!!」
キュアヤムヤムは両手からエネルギー刃を発射し、ウバウゾージャマトを怯ませた。その隙を見逃さなかったバッファは、ブーストエンジンを加速させ、ウバウゾージャマトに向かって走って行く。そして、角を突き刺し…上空へぶっ飛ばした。
バッファ「今だプリキュア達!!」
バッファがそう叫ぶと、プリキュア達は必殺技を放つ。
プレシャス、スパイシー、ヤムヤムの必殺技を受け…ウバウゾージャマトは浄化されていく。
バッファ「…よし!!」
しかし…
フィナーレ「いや、まだだ!!」
翔「プリキュアの浄化技が、効いてない…!?」
ウバウゾージャマトは浄化されず、地上へ落下…咆哮を上げた。
翔「…!」
思わず翔は、MY卵を見る。卵は相変わらず、ピクリとも動かない。
翔「…まだ寝てんのかよ!!」
ヤムヤム「き、きいてない!?」
スパイシー「そんな…!」
プレシャス「みんな、来るよ!!」
ウバウゾージャマトは泡だて器のような右腕を、振り下ろしてきた。
バッファ(やばい!!)
そんな時、翔がメンバー達の前に立つと…MY卵を突き出した。
プレシャス「しょ、翔さん!?」
バッファ「お、おい…何やってんだよ翔!!」
翔「いい加減、コイツを起こさねぇとな?」
ウバウゾージャマト「ジャバ…?」
翔は前を向くと、大声で怒鳴り立てる。
ローズマリー「そ、そんなことしたら卵が…!!」
ローズマリーが慌ててもお構い無しに大声を上げる翔。
翔「世界が危機に晒されてんだよ!!いつまで寝てんだ、さっさと起きろ!!」
すると、卵にヒビが入り…そこから目映い光が発生した。
ヤムヤム「はわっ!?う、産まれたぁ〜!!」
やがて、光が消えると…青い帽子を被った、猿にも見えるクマのようなポップ調のモンスター型という異色のバックルが姿を現した。
フィナーレ「な、何だあれは…?」
バッファ「おぉ、何か強そうなバックルだな!!」
プレシャス「か、可愛い〜♪」
すかさず翔は、バックルをドライバーにセットする。
ドライバーにセットされても、バックルはいびきをかいて眠っている。
翔は右手の拳で、バックルの頭をぶっ叩いた。
翔が変身した仮面ライダーギーツは、青い複眼を光らせ、胸部には黄色と青2色に黄色い星のシルエットが描かれたプロテクターを、両腕には大きなナックルグローブを装備した姿となった。
バッファ「す、すげぇ…!」
ローズマリー「何だか、強そうな姿!!」
プリキュア「「「「おぉ〜!!」」」」
その時、ウバウゾージャマトが起き上がり…
ウバウゾージャマト「ジャバウゾー!!」
凄まじい咆哮を上げた。だが、次の瞬間…モンスターバックルは目に涙を浮かべ……
火が着いたように、激しく泣き出した。どうやら、ウバウゾージャマトの咆哮にビックリしてしまったようだ。
スパイシー「あの赤ちゃんが、泣いてる…!?」
バッファ「なぁおい…ジャマトの様子がおかしいぞ?」
ウバウゾージャマトを見ると、両耳を塞ぎ、悶えていた。どうやら、このジャマトはモンスターバックルの泣き声が苦手なようである。
ギーツ「…!!」ダンッ!!
モンスターバックルが激しく泣いている中、ギーツはウバウゾージャマトに攻撃を仕掛ける。両手の『モンスターグローブ』を振るい、舞い踊るように攻撃する。
ウバウゾージャマト「ジャバアアァァッ!?」
ギーツの攻撃は、ウバウゾージャマトに効いているようだ。攻撃するだけでなく…
ギーツ「おう寝坊助、よく泣いてるな。俺はここにいる、お前と一緒だ。だから安心しろ?」
泣いているモンスターバックルに声を掛け、あやしている。
プレシャス「あ、あやしながら戦ってるの!?」
ヤムヤム「はんにゃー、翔さんはやっぱり優しいパパだぁ!!」
スパイシー「あんなお父さんだったら、良いのにな…」
フィナーレ「これは、見事だ…」
プリキュア達が関心する中、ギーツはウバウゾージャマトを追い詰めていく。
ウバウゾージャマト「ジャッ!?」
ギーツ「よしよし寝坊助、泣いたって良いんだ。泣く子は育つって言うからな、俺はお前と一緒に居るぜ?」
やがて、モンスターバックルは泣き止むと…
漸く笑顔を見せ、声を出して笑った。
ローズマリー「んまぁっ!?強くて優しいパパ…カッコよすぎ〜!!」
フィナーレ「泣き止んだな。」
ギーツ「プリキュア、必殺技を同時に撃ち込むぞ!!バッファ、お前もやれ!!」
バッファ「よし!!」
プリキュア達は、再び必殺技を放つため、エネルギーをチャージする。バッファはバックルを操作し、準備を整える。ギーツもモンスターバックルを操作し、再びいびきをかかせる。
プリキュア達が必殺技を撃つと、ギーツとバッファもバックルを操作し、必殺技を放つ。
プリキュアとライダーの必殺技を同時に受けたウバウゾージャマトは、穏やかな顔になる。
ウバウゾージャマト「お腹いっぱい♪」
プリキュアとライダーが手を合わせると、ウバウゾージャマトも手を合わせる。
そして、ウバウゾージャマトは完全に浄化された。
ローズマリー「皆、お疲れ様♪」
ローズマリーは、戦いを終えたメンバー達に軽食とドリンクを差し出した。
翔「気が利くじゃねぇか。」
一海「ありがとう。てか翔、ソイツ抱っこさせてくれよ。」
翔「てかお前…バックルを寄越さなかったな?」
一海「あ…いかん……」汗
翔「まぁ良い…ほれ。」
一海はモンスターバックルを抱っこする。だが……
モンスターバックルは泣き出してしまった。
一海「おぉよしよし、お兄ちゃんは一海にぃちゃんでちゅよ〜?」
一海は一生懸命あやすが、モンスターバックルは全く泣き止まない。
らん「翔さんじゃないとやなのかな?」
ここね「らん、わかるの?」
らん「うーん、その赤ちゃんの気持ちを考えただけだよ?」
一海「そ、そうなのか…翔いねぇと寂しいか?」
一海は翔にモンスターバックルを返した。翔が抱っこすると、モンスターバックルはすぐに泣き止み、キャッキャッと笑う。
らん「あっ、泣き止んだよ。」
ここね「ホントだ…」
ゆい「可愛い〜♪」
あまね「くっ…確かに可愛らしい…!」
翔の腕の中で笑うモンスターバックルに、すっかりメロメロになったプリキュア達。
ローズマリー「ねぇ翔、その子の名前決まってるの?」
翔「寝坊助だが?」
ローズマリー「ええぇぇっ!?」
真顔で答える翔に、驚くローズマリー。
翔「少し抑えろ、寝坊助が驚いちまうだろうが。」
ローズマリー「あっ、ごめんなさいね?」汗
やがて、モンスターバックルはゆっくりと目を閉じると…スヤスヤと眠り始めた。
翔「おやすみ、寝坊助。」
穏やかな笑顔を浮かべる翔は、まるで父親のようにも見えた。
一海「翔、俺…改めてお前に惚れた。」
翔「はっ?気色悪ィぞ?」
一海「いやいや、同じ男として感動したってことだって…」汗
翔「バカ言え。」
ゆい「やっぱり翔さんは、優しいパパだね♪」
らん「ね〜♪」
ここね「あの優しい笑顔が、物語っているよね…」
あまね「青空さん…わたしも見習わなければな。」
翔「…お前ら。」汗
褒められたことに恥ずかしく感じる翔だったが、モンスターバックルこと『寝坊助』への愛着が芽生え始めていたのだった。
この物語のモンスターバックルについて…
飲食物を飲み食い可。
言葉は話せないが、泣いたり笑ったりすることも出来る。