ハプニングはあったものの、フォージャー一家は無事に面接本番へ突入する事ができた。
面接官2「そんな事も知らずに、家を受験しようとしていたのか?」
男の子「えっ?」
面接官2「どうなんだ、あぁっ?」
面接の様子を見てみると、面接官は終始威圧的で、男の子は言葉を詰まらせてしまっていた。そして…
父親「ありがとうございました…お前、何だあの答えは!?」
男の子「うわああぁぁん!!」
面接を終えた親子はしょんぼりしながら退室した。父親が怒ったことで、男の子は泣き出してしまう。母親は俯いていた。
ロイド(スパイ歴十数年…俺は今初めて、緊張している……)
ロイドの手には汗が滲んでいる。
ダパーン「おいおい、ありゃあねぇだろ…いくら何でも酷すぎねぇか…?」汗
バッファ「あぁ、あんな威圧されちゃあ答えられるモノも答えられなくなる…」汗
ちゃっかり、応接室前にいるバッファとダパーン。面接官の高圧的な態度に、不服を感じていた。
職員「次の方、フォージャー様。」
やがて、フォージャー一家の出番がやって来た。「「「はいっ。」」」と綺麗に返事をし、応接室に入っていく。
バッファ(アーニャ、お前なら行ける…!!)
ダパーン(いっぱい頑張ったんだ、自分を信じるんだぞ?)
アーニャ「…!」キリッ
バッファとダパーンの思いが届いたのか、堂々と応接室に入っていくアーニャ。
面接官1「ではまず、ご両親への質問から始めさせていただきます。」
面接官1の名は『ウォルター・エバンス(59)』、第5寮〈マルカム〉寮長、担当教科:国語、性格:温厚・実直・保守的。生徒からの信頼も厚い。
ウォルター「お二人は再婚だそうですが、どういったご関係だったので?」
ロイド「妻とは貴校の制服を請け負っている仕立て屋で出逢いました。彼女の存在輪とした立ち振舞に惹かれまして…僕は前妻との死別以来、娘のこともあって慎重になっていましたが、会話を重ねる内に、意気投合しました。彼女は家族思いのとても優しい人です。娘とも上手くやって行けると考えました。」
ウォルター「うーむ、奥様の方は?」
ヨル「えっと…ろ、ロイドさんは子ども思いの素敵な方です。私のことも気遣っていただいていますし…」
ロイドもヨルもスムーズに答えられた。
ウォルター「うーん、良好なご家庭のようで何より。」
面接官2「奥さん綺麗なのに何で態々コブ付きなんか選んだんだい?」
マスター「はしたないですぞ、スワン先生。」
面接官2の失礼な言葉に、注意するマスター。面接官2の名は『マードック・スワン(47)』、第2寮〈クライン〉寮長、担当教科:経済学、性格:高慢・強欲・無神経、先月妻から離婚を突き付けられ、娘の親権も失ったばかり。そのためか、今までの面接では他人の家庭を妬み、当たり散らす始末…下手に刺激しないほうが得策だとロイドは考える。
ウォルター「では次の質問を…本校を志望した理由を、お聞かせ願いますか?」
ロイド「それは人より、今日におられる先生方のレベルの高さに尽きます。質の良い知識、教養はもとより、愛国理念やエリート精神に至るまで、広くご共同くださるのは、誇り高きイーデンの先生方を置いて、他にはないと考えております。」
マスター(エレガントだロイド・フォージャー。流石は儂の見込んだ男。)
マスターの名は『ヘンリー・ヘンダーソン(66)』、第3寮〈セシル〉寮長、担当教科:歴史、性格:エレガント、立ち振る舞い方もエレガントである。
ウォルター「では、ご両親から見て娘さんはどんなお子さんですか?長所、短所、それぞれお聞かせください。」
ウォルターのこの質問に、緊張し始めるアーニャ。ロイドが質問に答える。
ロイド「アーニャはとても好奇心旺盛な子です。何にでも首を突っ込んでしまうのは短所とも言えますが、とても賢い子です。」
ヘンリー(賢い、これが!?)
アーニャ(ガン…!!)
ロイド「時よりこちらの心を見透かしたような言動を見せるので、ドキッとさせられます。短所は少し変食な所でしょうか。」
ウォルター「うん、ではお母様なりの教育方針等はありますか?」
次にヨルが答える番だ。
ヨル(練習通りに…)
ヨル「私はご存知の通り、この子の実母ではありません。初めは好かれようと、つい甘やかしてしまいがちでしたが、この子の将来を思えばこそ、時には厳しくなれるよう心掛けております。」
ウォルター「先程娘さんは変食だとお伺いしましたが、いつもご家庭ではどんな料理を?」
ヨル「へっ!?りょ、料理ですか…えっと……」
予想外の質問に戸惑うヨルだが、すかさずロイドが彼女のフォローに入る。
ロイド「料理は主に僕が作っています。勿論忙しい時には、妻が作ってくれる事もありますよ。」
ロイド(まだ一度も無いけど…)
フォローに成功し、その場を凌げた。だが…
スワン「嘘!!飯作らない嫁とか存在するの!?娘の前に、自分に厳しくしたほうが良いよ!?」
スワンのこの発言に、ヨルは恥ずかしいのか顔を赤くする。
ロイド「人には得て不得てがあります。彼女はとても綺麗好きで、掃除も完璧ですし、子どもの世話に関しても申し分ないです。」
スワン「いやまぁそれ、どっちも女がやって当たり前の奴だし。」
ロイド「それは」
ヨル「良いんですロイドさん…!」
余計なアドバイスや偏見をぶつけるスワンをなだめるウォルター。愛妻を侮辱され、ロイドも心の中ではイライラしている。
バッファ(今は共働きが普通だっての…いつの時代の考え方だよ……!?)
ダパーン(あのとっつぁん坊や、失礼なことばっか言いやがって…マジでムカつく…!!)
スワンの態度に、バッファもダパーンも沸々と怒りが込み上げていた。だが、ここで感情的になってはおしまいだ…フォージャー一家の未来のためにも、ひたすら堪えるしかなかった。
ロイド(落ち着け、何を苛立っている…?)
平常心を保ち、心を落ち着かせようと自分に言い聞かせるロイド。そもそもヨルは、本当の妻ではない…あくまでも表向きは夫婦というだけの、偽りの家族なのだ。
スワン(美男美女のおしどり夫婦だと?虫酸が走る、腹を突きまくってボロを出させてやるか…こんな奴ら不合格にもらうにゃあ……)
アーニャ(はっ!?父と母嫌われている…!?アーニャが頑張らないと)
両者の心を読み取ったアーニャは焦った。だが、ウォルターが次の質問をする。
ウォルター「つ、次はお子様の方への質問にしましょう。」
それは、アーニャへの質問だ。
ウォルター「まずは、お名前と住所、言えるかな?」
ウォルターは優しくアーニャに質問する。
アーニャ「アーニャ・フォージャーです!住所はバーリントン西区、公園通り百、二十八です!!」
しっかり答えられたアーニャ。
ウォルター「お休みの日は、どんな事をしてますか?」
アーニャ「美術館行ったり、オペラたべたり(?)。」
ロイド(よしよし、順調に想定内の質問だ。)
一生懸命答えるアーニャを優しく見守るロイド。
ウォルター「学校に入ったら、何がしたいですか?」
アーニャ「えっとえっと…」
アーニャ(何だっけ…?)
ここで言葉を詰まらせるアーニャ。
ロイド(俺の場合、まずは懇親会に参加し、敵組織とそのトップ『デズモンド』の計画の全容を暴き出す。)
ロイドの心の声を読み取ったアーニャは、予想外の返答をした。
ロイド(何言ってるのおーい!?)汗
バッファ(えぇっ!?そ、組織の秘密って何!?)汗
ダパーン(おいおい、ヤバいんじゃないかこれは!?)汗
予想外の返答に、びっくりするロイド。応接室の外でも、バッファとダパーンはビックリしていた。
ウォルター「組織のボス、校長先生の事かな?」汗
ロイド「あははは、すみません…娘は向上心が人一倍でして、トップまでに登り詰めた校長先生に興味津々なのです。」苦笑
ヘンリー「ほぉう…?」
ヘンリー(その年で先達から学ばんとするその姿勢、中々にエレガント。)
ロイドの言葉を聞き、アーニャに視線を向けるヘンリー。
バッファ(おぉ、流石ロイドさん…!)
ダパーン(ひゃあ、あぶねぇあぶねぇ…!!)
取り敢えず、まだチャンスはあるようだ。
ヘンリー「では、その校長の名前を言えるかなお嬢さん?」
アーニャ「えっと、べ、べ……」
ロイド(そう、ベネディクトアイバングッドヘラー。)
アーニャ「はっ…べねじくそあーばんぐっどへあーさん!!」
校長の名前を正確に言えなかったアーニャ。
バッファ(あぁ、これは…いや、まだだ!!)
ダパーン(頑張れアーニャ!!お前なら大丈夫だ!!)
応接室前で待機するバッファとダパーンも、心の中でアーニャに声援を送っている。
ヘンリー「ふむ、では彼のように大成する為には、どのような努力が必要だと思うかね?」
中々に意地悪な質問をするヘンリー。これに対し、アーニャは…
アーニャ「か、身体1つでジャングルを生き抜いたり、死と隣り合わせのテストを繰り返したりして精神を鍛えます…!!」
…と、返答した。
ロイド(それは昨日のスパイアニメで主人公がやってた特訓な?)
呆れ顔をするロイドとは裏腹に、ヘンリーは声が出ない程驚いていた。
ヘンリー(な、何という覚悟…このお嬢さんを少々見くびっていたようだ…!!)
ウォルター「そ、そこまでしなくても大丈夫だと思うよ?」汗
苦笑いするウォルターは、話題を変えてアーニャに質問する。
ウォルター「じゃあ話題を変えて、お父さんのお仕事は何ですか?」
アーニャ「すぱ」
ロイド(ん?)
アーニャ「すぱらしい心のお医者さんです。」
ウォルター「ん?鼻が詰まっているのかな?」
危うくスパイと言いそうになったが、何とか誤魔化せたようだ。
バッファ(よし、アーニャよく誤魔化した。)
ダパーン(大丈夫大丈夫!!)
バッファとダパーンもホッと胸を撫で下ろす。
ウォルター「それじゃあ、新しいお母さんはどんな人ですか?」
アーニャ「とってもやさしいです。」
ヨル「ほっ…」
アーニャ「でもたまにおっかないです。」
ヨル「ッ!?」汗
ウォルター「お父さんお母さんに点数をつけるとしたら、何点かな?」
ウォルターの質問に対し、アーニャはこう答えた。
アーニャは続ける。
アーニャ「父も母も面白くて大好きです!ずっと一緒が良いです!」
アーニャ自身から出た本心とも言えるこの言葉に、ロイドとヨルは驚いた。ウォルターも納得して頷いている。
スワン(だからそういうの要らねぇっつの…)
スワンは何故か不安げな顔をしている。そして、こんな質問をする。
スワン「じゃあ、今のママと前のママどっちが高得点かな?」
ウォルター「スワン先生…!!」
スワン「何か?」
スワンの無神経過ぎる質問に、ウォルターは慌てて彼を優しくなだめる。
バッファ(あのボンクラ野郎、余計な事聞くんじゃねぇよ!!)
ダパーン(おいバッファ、俺マジで我慢できねぇんだけど…)
バッファ(気持ちは分かる、だが感情的になったら終わりだ。)
ダパーン(それは分かってる…だけど…!!)
スワンの無神経さに、バッファとダパーンもいい加減我慢の限界だった。すると…
ロイド「質問の変更をお願いします。」
ロイドがスワンに質問変更を申請する。しかし…
スワン「駄目だ、答えなきゃ減点だ。」
…と、スワンは言う。その時…アーニャの目から涙が零れる。
ロイド「アーニャ…」
スワン「そうかそうか!!やはり前のママが良いか!!」
泣き出してしまうアーニャを見下すように声を上げるスワン。
ヨル「あんまりです!!」
ロイド「ヨルさん落ち着いて。」
ヨル「だってこんな…!!」
ロイド(任務の為、我慢だ…)
スワン「ウチは親元を離れた寮生も大勢いる!そんな些細な事でいちいちべそかいてたら、この学校ではやって行けんぞ!!」
ヨルもロイドも、我慢の限界を超え…今にもスワンに殴りかかろうとした。だが、次の瞬間…
応接室内に轟音が響いた。
スワン「…!!」
バッファとダパーンが乱入してきたのだ。バッファは右手でスワンの頭をがっちりと掴み、ダパーンはスワンを見下すように睨み付けていた。バッファとダパーンの表情は仮面に隠れて見えないが、スワンにはその怒りが十分過ぎる程伝わっていた。そのため、スワンは言葉を失って、脂汗をかいていた。ロイドは拳で机を叩き壊していた。
バッファ「てめぇ、いい加減にしろよ…さっきから言いたい放題言いやがって……」
ダパーン「大人の癖に、言って良い事と悪い事の区別もできねぇのか…?」
バッファ「それに、学校ってのは…未来の宝物である子ども達が、社会で生きていくために必要な事を学ぶ場所だろ?子ども達の居場所にもなる場所だろ!?」
ダパーン「子どもの気持ちを平気で踏み躙るのが、この学校の教育方針なのかよ!?そんなの、学校なんかじゃねぇ!!そうやって平気で子どもにトラウマを植え付ける真似をすんなら、教員を名乗んじゃねぇ!!アンタみてぇな奴、教員失格だ!!」
バッファとダパーンの勢いに圧倒され、スワンは思わず失禁してしまう。
ロイド「子どもの気持ちを軽んじるのが貴校の教育理念なのであれば、選ぶのを間違えました。」
そして、フォージャー一家とライダー達は、応接室を退室した。彼らが退室した後、応接室から鈍い音が聞こえたのは言うまでも無い。
その夜、フォージャー一家と一海達は……
全員落ち込んでいた。
ロイド(ぜ、絶対落ちた…)
ヨル「あ、お茶淹れますね…?」
ヨルはトボトボとキッチンに向かった。
ロイド(俺はスパイ失格だ……)
アーニャ「父…ごめんなさい……アーニャ、テスト頑張れなくて、ごめんなさい……」
ロイド「良いんだ、アーニャ。謝る必要なんて無い、あんな学校行きたくないだろ?」
アーニャはロイドに謝罪するが、ロイドは別に怒っていなかった。すると、アーニャはロイドに寄って来る。
アーニャ「アーニャ学校行きたい…任務が失敗になったら、学校行かないと…一緒が終わっちゃう……」
ロイド「アーニャ…!」
ヨル(もし不合格になれば、この生活も……)
アーニャから言葉に全員が固まる。すると、一海と諒芽がアーニャの手を優しく握る。
一海「けどな、アーニャ…お前よく頑張ったじゃねぇか!!しっかり自分の言葉で伝えられてたんだ!!練習の成果が出てたと思うぞ!!」
諒芽「まだ不合格って決まった訳じゃねぇって!!あんなに努力したんだ、きっと大丈夫だって!!な!?」
特に諒芽の言葉を聞き、フォージャー一家はハッとする。
ロイド(確かに、諒芽君の言っている事は最もだ…)
ロイド「だが、合格は絶望的だがな。」
アーニャ「がーん!!」
ヨル「諒芽さんの言う通り、きっと大丈夫ですよ!!」
一海「ふと気になったんですけど、おえらいさん的な人…最後まで皆さんを見ていたんですよ?」
アーニャ「あっ…メガネのおっさん、半分メガネのおっさんいい人だった!!」
ヨル「そうですそうです!!彼らがフォローしてくれますよ、信じましょう!!」
スワンは最悪の面接官だったが、ウォルターとヘンリーは良い面接官だった。
ロイド(スパイは己以外の者を信じない…常に最悪の事態を想定して備えるモノ……だが、少しだけ……)
ロイドの耳には、アーニャの本心から出た言葉…
これが、ずっと残っていた。だから…
ロイド「…そうだな。後はなるように任せて、一先ずは試験の労を労うとするか。」
皆はお茶が入ったカップを持ち、乾杯をしようとする。
ロイド「我が家の明るい未来を祈って」
だが、次の瞬間…家族写真が棚から落ちた。
諒芽「はっ!?…よっと!!」パシィッ!!
すかさず諒芽が左手でキャッチする。
一海「ナイスキャッチ!!」
諒芽「ふぅ〜、あっぶねぇあぶねぇ〜…よっこいしょっと。」コトッ…
フォージャー家「「「おぉ〜!!」」」
諒芽の身のこなしに、関心するフォージャー一家。一海と諒芽は、そんな彼らの前に出る。
一海「俺達は仮面ライダーです、悪の組織から貴方達をお守りします!!」
諒芽「家族の時間も、子どもの未来も、俺達が守って見せます!!」
フォージャー一家にニッと白い歯を見せて微笑む一海と諒芽。
ロイド「ふふっ、期待してますよ。」
ヨル「頼もしくてカッコいいです、頼りにしています♪」
アーニャ「かめんらいだー、ボンドマンみたいにかっこいい!!アーニャわくわく!!」
ブラーリとの一見があり、フォージャー一家と早い段階で信頼関係が構築されていた。その日の夕食は、皆でピザやパスタを作ったりと…少し豪華な食事となった。
九頭夫「…ちっ、イーデン校にいるスワンって奴…殺してやりてぇな。アーニャを泣かせやがって……」
その頃…とある廃ビルでは、九頭夫がスマホにて『SPY×FAMILY』を見ていた。
半グレ1「兄貴、どうしました?」
九頭夫「イーデン校にいるスワンって野郎、殺さねぇか?何でも、妻子から逃げられたらしいぜ?金もたんまり持ってるだろうし、こっそり拐って根こそぎ搾り取ってやろうぜ?そんで最後はこう…」
九頭夫は右手の親指を自身の首の前で通過させた。
半グレ2「オレもアイツうぜぇって思ってたんすよねぇ、何か見下されてる気がするっす。」
半グレ3「アイツ、誰でも見下してるよなぁ?そんな自分大好き人間には、ちっとお仕置きしねぇとなぁぁ?」
九頭夫「そんじゃあ、明日から行動するぞ?時間帯は夜、路地裏で拐ってここまで連れて来る。幸い、ここからイーデン校には片道15分程度だ…ここをアジトにして正解だったぜ。」
九頭夫率いる半グレ達は、スワンを殺害する計画を練り始める。狡猾な手段で資金を調達している為、金はある。ヤクザや裏社会で名高い格闘家を雇い、確実にスワン殺害を成功させる為、行動を開始するのであった。
SPY×FAMILYのスワン先生、本当に嫌な人だったなぁ…