さぁ、ゲームの時間だ   作:やさぐれショウ

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41.ジャドウライダーを討伐せよ『ナッジスパロウ編・その3』

最近、この世界ではとある番組が流行り始めていた。それは、『今からガチ恋♡始めます』(通称「今ガチ」)という恋愛リアリティーショー番組で、アクアやMEMちょを初め、芸能界で有名な人物が出ている。当然、紫と友香もこの番組を知っている。何故なら、最近知り合ったあかねも出演するからだ。しかし、この番組に出演しているあかねが炎上してしまっていた。その理由は、共演者である鷲見(すみ) ゆき』の頬に引っかき傷をつけてしまったからだ。これは、あかねの演技であるものの、視聴者にはそれが分かっていない。その為、SNSを中心にあかねに対する誹謗中傷が広がってしまっていた。

 

友香「紫さん、これ…」

 

紫「あぁ、非常事態だな…」

 

これに対してあかねは、SNSで謝罪文を投稿したものの、炎上は治まるどころか悪化してしまった。更に、あかねは学校でも誹謗中傷を受けるようになってしまったらしく、紫と友香がメッセージを送っても既読すらつかない状態になった。

 

友香「あかねさんが心配です、私行ってきます!!」

 

紫「私も行く!!」

 

これはマズいと感じた友香と紫は、急いであかねを探しに向かった。外は既に暗くなっており、大雨が降っていた。何の手掛かりも無い状態で彼女を見つけ出すのは困難だ。だが、情報収集をしている場合ではない。

 

紫(このままではあかねは確実に命を落とす…その前に見つけなければ!!)

 

今でもSNSでの誹謗中傷が続いており、あかねは自殺をする可能性が高い…そう思った紫と友香は、必死であかねを探して街中を走り回る。やがて、大通りにある歩道橋近くに来た時……

 

友香「あっ!?」

 

歩道橋にあかねの姿が見えた。

 

紫「マズい!!」

 

慌てて歩道橋を駆け上がる紫と、紫の後を追う友香。あかねは歩道橋の柵に乗ると、身を投げ出そうとする。そこで、紫があかねを引き寄せた。

 

紫「バカな真似はよせ!!」

 

あかね「…えっ?」

 

困惑するあかねを強く抱き締める紫。

 

あかね「…嫌!!離して!!離してよぉ!!」

 

紫「あかね!私だ、東雲 紫だ!!」

 

暴れるあかねに呼び掛ける紫。それでも彼女はまだ暴れ続ける。

 

友香「あかねさん!!私です、友香です!!」

 

友香が彼女の前に出てくると、あかねは漸く大人しくなった。

 

あかね「……紫ちゃん…友香ちゃん……なんで…?」

 

紫「メッセージを送っても既読すらつかなかったし、もしやと思ったんだ…辛かったんだろう?」

 

そのタイミングで、星野 アクアがやって来た。

 

アクア「…黒川 あかねの知り合いか?」

 

友香「はい、そうです。浅井 友香と申します。」

 

紫「東雲 紫だ。」

 

アクア「…助かった。」

 

続いて、警察官がやって来る。

 

警察官「ちょっと君たち!!危ないでしょ、あんなところに…何してんのさ!?」

 

 

 

その後、あかねは無事に保護され、警察署にて事情聴取を受ける事になった。友香と紫も同行した。声を上げて泣くあかねの側には、あかねの母親がいた。

 

あかね母「娘からは、番組は見ないでと言われていて…私はネットにも疎く、こんな事になっていたなんて……どうして話してくれなかったの!?」

 

あかね母は目に涙を浮かべながら、娘に問い掛ける。

 

あかね「だって…心配掛けたくなかったからぁ……!!」

 

あかねは母に心配を掛けたくないと思い、1人で抱え込んでいたのだ。母だけでなく、友人にも心配を掛けたくなかった。

 

紫「…あかね。」

 

友香「…あかねさん。」

 

外で彼女の叫びを聞いていた紫と友香は、言葉を失っていた。

 

紫(恐らく…あかねはまだ、私達に心を開けていない……)

 

友香(ましてや、知り合ってばかりですし…お互いの事をあまり知れてないですし、尚更言えませんよね……)

 

もう少し早く彼女と知り合っていれば…そう思い、俯く紫と友香。

 

ミヤコ「呼ばれた時には色々覚悟していたけど、よくやったわ。」

 

アクア「俺じゃない、助けたのはこの2人だ。」

 

やって来た女性斉藤(さいとう) ミヤコ』に説明するアクア。

 

ミヤコ「貴女達だったのね、初めまして。私は苺プロダクション社長『斉藤 ミヤコ』です。」

 

紫「お初にお目にかかります、私は東雲 友香です。」

 

友香「同じく、浅井 友香です。」

 

ミヤコに簡単な自己紹介を済ませた紫と友香。

 

紫「誰かが悲鳴を上げたら、助けなければ手遅れになってしまう…あかねは私にとって、大切な友人だから……」

 

友香「友人であってもそうでなくても関係ありません…綺麗事に聞こえてしまうかも知れませんが、困っている人を助けるのは当たり前の事です。」

 

友達だから、ファンだから…そういう問題ではない、本気で困っている者には手を差し伸べる。それが、紫と友香のポリシーなのだ。そこに、今ガチの共演者達がやって来る。取り調べ室から出て来たあかねに声を掛ける。

 

ゆき「あかね!!」

 

ゆきは思わず、あかねの頬を叩く。

 

あかね「ッ!?」

 

ゆき「うっ…うぅ……なんで、こんなに心配させて……」

 

ゆきは涙を流しながら、あかねを抱き締める。

 

ゆき「何でよもう!!相談してよぉ!!」

 

あかね「…ごめん……」

 

MEMちょ「…えっと、そちらのお二人さんは…もしかして、あかねの友達?」

 

紫と友香に目を向けるMEMちょ。

 

紫「東雲 紫です、あかねの友達の…」

 

友香「同じく、浅井 友香です。」

 

MEMちょ「そうなんだ…私はMEMちょって呼ばれてる。あかねを助けてくれてありがとう!!」

 

ゆき「あっ…そうだよ……私は鷲見 ゆき…紫さん、友香さん……ありがとう、あかねを助けてくれて…クスンッ…ありがとう…!!」

 

紫と友香にお礼を言うMEMちょとゆき。

 

ケンゴ「俺は『森本 ケンゴ』、東雲さん、浅井さん、あかねを救ってくれてありがとうございます!!」

 

ノブユキ「俺『熊野 ノブユキ』、あかねを助けてくれてありがとうございます!!」

 

白髪の男性『森本 ケンゴ』と、黒髪の男性『熊野 ノブユキ』も、紫と友香にお礼を言って頭を下げる。

 

友香「そ、そんな…顔を上げてください…!!」オロオロ

 

紫「困っている者には手を差し伸べる。それが、私達のポリシーです。」

 

戸惑う友香とは反対に、冷静な紫。

 

友香「あっ、そうです……あかねさんあかねさん。」

 

すると、友香はワイヤレスイヤホンを1つ取り出し、あかねに手渡した。

 

あかね「…?」

 

友香「目を閉じて聴いてみてください。」

 

あかねがイヤホンを装着すると、優しくも壮大さを感じさせる和風チックな音楽が聞こえてきた。(イメージ…信長協奏曲『by Mr.Taku Takahashi』)

 

あかね(何だろう、この曲……何だか、切ない…でも、心地良い……)

 

目を閉じたあかねは、ゆきに抱き締められ、温かさを感じ始める。そこに、心配して駆け付けてくれた仲間たちの顔を思い浮かべ、目に涙を浮かべる。

 

友香「目を開いてみてください?」

 

友香の言葉を聞き、目を開くと…自分に優しい笑顔を向ける仲間たちの顔があった。

 

友香「例え世界中が敵になったとしても…音楽はいつでも、貴女の味方です。ほら、ここに居る人達も皆…貴女の味方ですよ。」

 

あかね「…!!」

 

ゆき「あかね…友香さんの言う通りだよ、困った時にはいつでも相談して?少なくとも、ここにはあかねを責めようとする人はいないから。」

 

MEMちょ「そうだよあかね!!私にも何かできることがあったら言って?」

 

メンバー達の温かい言葉を聞き、再び涙を溢すあかね。そんな時……

 

「な、何なんだお前達は!?ぎゃあっ!?」「おい、大丈夫kぐあっ!?」

 

ジャマト「「「ジャジャッ!!」」」

 

何やらペンライトを持ち、赤や青、黄色のハチマキを頭に巻いており、I LOVE ジャマトという文字がプリントされたTシャツを身に着けたジャマトが現れた。

 

ノブユキ「うぉっ!?何だよあれ!!」

 

ケンゴ「な、なんかヤバくないか…?」

 

現れたのはポーンジャマトの派生『ドルオタジャマト』だ。

 

紫「こんな時にジャマトか!?」

 

メンバー達の前に立ち塞がる紫。その時、友香が前に出て、こう言った。

 

友香「皆さん、私に任せていただけますか?」

 

ゆき「えっ…友香さん、危ないよ!!」

 

MEMちょ「そ、そうだよ!!逃げたほうが良いって!!」

 

友香「大丈夫です、必ずやっつけますから。」

 

友香はデザイアドライバーを装着すると、レイズバックルを取り出す。それは、ピアノの鍵盤にディスクのような物が着いているのが特徴の大型バックルだった。鍵盤を押した後、すぐにドライバーにバックルを装填する。

 

 

《SET》

 

 

音声が響き渡ると、友香の背後に『BEAT』という文字が出現する。

 

MEMちょ「えぇっ!?な、何!?」

 

ゆき「ゆ、友香さん…!?」

 

ノブユキ「えっ、それなに?」

 

ケンゴ「ま、まさか…」

 

戸惑うメンバー達を背後に、変身ポーズを取る友香。

 

 

友香「へ〜ん身♪」

 

 

その後、バックル上部のディスクをスクラッチする。すると、アーマーが形成され、友香を仮面ライダーに変えて行く。

 

 

《BEAT!!》

 

 

それは、上半身が音響機器を彷彿とさせる姿で、エレキギターのような拡張武器『ビートアックス』を装備した姿、仮面ライダーナーゴ(ビートフォーム)であった。音楽を愛する友香の思いが、力になった瞬間である。

 

 

《READY? FIGHT!!

 

 

ナーゴ「仮面ライダーナーゴ、行きます!!」

 

ナーゴはビートアックスを握ると、ジャマト達に向かって走る。襲い来るジャマト達に蹴り技で応戦した後、アックスに着いているドラム型調律装置『エレメンタドラム』を1度押す。

 

 

《ROCK FIRE》

 

 

そして、ギター演奏を開始すると炎を纏った音符が出現し、ドルオタジャマト達に向かって飛んで行く。

 

紫「…友香…!!」

 

ケンゴ「浅井さん…スゴい…!!」

 

ナーゴ上半身の胸部に音を増幅してスピーカーと腕部のエフェクターが音楽を増強させ、敵にダメージを与えている。

 

ナーゴ「…ふふっ♪」

 

ナーゴはあかねの方を向くと、楽しそうにギターを演奏する。その間にも炎を纏う音符達がジャマトを攻撃する。

 

MEMちょ「おぉ〜、友香ちゃんスゴいよ!!」

 

ゆき「あかね、友香さんカッコいいね!!」

 

あかね「…うん…うん…!!」

 

アクア(浅井 友香…ナッジスパロウとは違うみたいだ。それは東雲 紫もそうだろう……)

 

歓喜する女性陣とは反対に、冷静にナーゴと紫を分析するアクア。どうやら彼も、ナッジスパロウの事を知っているようだ。ナッジスパロウはナーゴとギンペンの信頼を無くすために、動画を出している。しかし、今のナーゴを見て敵とは思わなくなっていた。すかさずナーゴは向きを変えると、ビートアックスをアックスモードとして持ち変える。その後、アックスに着いているインプットリガーを引くと、刀身に炎を纏わせる。

 

 

《TACTICAL FIRE》

 

ナーゴ「にゃああああぁぁっ!!

 

 

ナーゴは雄叫びと共に、ドルオタジャマト達を1振りで斬り払った。ナーゴの勝利である。

 

 

友香(例え世界中が敵になってしまったとしても……音楽だけは、いつまでも…貴方の味方です。)

 

 

曲を演奏しながら勝利を掴んだナーゴ(友香)は、スッキリしていた。

 

紫「よしっ!!」

 

MEMちょ「やったぁ!!」

 

ゆき「友香さんが勝ったんだ!!」

 

あかね「スゴいスゴい!!」

 

ケンゴ「やった…怪人を倒した…!!」

 

ノブユキ「よっしゃあ!!」

 

ナーゴの勝利を見たメンバー達は喜んだ。アクアとミヤコを除いて……

 

ミヤコ「アクア…あの仮面ライダー、悪者ではなさそうね。」

 

アクア「分かってる、多分…東雲 紫も浅井 友香同様……仮面ライダーだろう。あの怪物が出て来た時、誰よりも冷静だった。」

 

ミヤコ「成程ね。そうなると、ナッジスパロウは……」

 

アクア「あぁ、向こうが悪だろう。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

鳳翔鈴「ジャマトがやられましたか…ちっ、雌豚4匹が死ぬチャンスだったというのに……仮面ライダーナーゴ…邪魔してくれましたね。」

 

その頃、鳳翔鈴はスマホを眺め、舌打ちをした。モンスターバックルである寝坊助の世話にはまだ慣れていないものの、段々コツを掴めてきている様子。コツというより、アクアと自分の間に出来た子どもだと思い、前向きに子育てをしているようだ。

 

鳳翔鈴(次は私が直接相手になりましょう。格の違いを見せつけてやります…フフフフフフフフ……)




「ほら、音楽は味方です。」

【ONE PIECE】の登場キャラ『ブルック』の台詞で、一番好きな言葉です
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