さぁ、ゲームの時間だ   作:やさぐれショウ

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54. ハチャメチャ!?鍋パーティー

リン「…鍋?」

 

なでしこ「うん!餃子鍋!!冬は鍋が一番だよ、お外で食べたらすっごく美味しそう♪」

 

なでしこはせっせとシートを敷くと、カセットコンロに鍋をセットする。

 

翔「俺達も準備するぞ。」

 

鍋を見た翔は、メンバー達に指示を出しながらどこかへ去って行く。紫も彼に着いて行く。その間に、なでしこは籠から食材を出し始める。

 

友香「なでしこさん、何かお手伝いできることありますか?」

 

なでしこ「良いよ、皆はゆっくりしてて♪」

 

V「…でも……」

 

なでしこ「大丈夫!!切ってぶち込んで煮るだけだもん♪」

 

リン(すげー不安…)汗

 

なでしこはハサミを使って野菜をカットし始める。リンとライダー達は彼女の言葉に甘え、ゆっくりしている。

 

リン「ねぇ、まさかここまで自転車で来たの?南部町から40kmあるけど……」

 

なでしこ「ううん、お姉ちゃんに車で送って貰ったんだよ?」

 

N「あぁ、キウイのお姉様。」

 

幸喜「おっ、N知ってるのか?」

 

N「前になでしこちゃんを助けた時、お礼にキウイをくれたのよ。」

 

なでしこの姉は、翔とNが知っている。初めてこの世界に来た時、なでしこをジャマトから救ったライダー達…翔とNが彼女に付き添い、姉の元に送り届けた。その際、お礼としてキウイを貰ったのだ。ちなみにそのキウイは、ライダー達がチョコフォンデュにして美味しくいただいた。

 

なでしこ「今回は私も明日まで、ちゃんとキャンプするからね〜♪」

 

手際よく野菜をカットしながら言うなでしこ。

 

なでしこ「…って言っても、テント持ってないから車で寝るんだけどね。布団も持ってきたし。」

 

リン「…そうなんだ。」

 

なでしこ「あれ?車で寝たら、ちゃんとしたキャンプじゃないのかな?」

 

リン「…良いんじゃない?」

 

キャンプ場を見ると、キャンピングカーがちらほらいたり…数台であるが、普通自動車もいる。ここのキャンプ場は、オートキャンプとしても機能しているのだ。そのため、車中泊も可能である。その後、なでしこに姉はどこに居るのか聞いてみると…どうやら友人と遊びに行っているそうだ。

 

なでしこ「はっ、はっ、ハックシュ!!うぅ〜、やっぱり寒いねぇ……」

 

くしゃみをするなでしこ。この世界の今の季節は冬、厚着をしていてもじっとしていれば次第に寒くなって来る。

 

リン「貼るカイロあるけど、使う…?」

 

なでしこ「ありがと……せ、1000円?」汗

 

リン「…金取らんよ、てか何があった?」汗

 

翔達に助けて貰ったなでしこは、彼らと共にキャンプをした。その際、翔が絶品料理を作ったのだが…「1000円だ。」と彼の冗談を真に受け、なけなしの小銭を渡そうとした。翔が「冗談だ」と言い、ホッとした。そして、彼の絶品料理を口にし、身も心も温まった。

 

リン「…成る程。」

 

一海「なでしこ、あん時はマジで悪かったな…ただでさえ不安だったろうに……」

 

なでしこ「もう大丈夫だよ、翔君良い人だし。それに、翔君達にお礼をしたかったし…肉巻きおにぎりの♪」

 

なでしこはまだ、助けて貰った翔達にお礼を出来ていなかった。だが、偶然にもこのキャンプ場に翔達の姿を見て、今しかないと即行動したのだ。やがて、カッとした食材と餃子を鍋に投入すると、カセットコンロを着火…鍋をセットする。

 

なでしこ「出来るまで、鍋を覗いてはダメですよ?」

 

幸喜「おう、分かった!!」

 

リン「…なでしこの恩返し…」

 

リンから貰った貼るカイロを首の付け根、みぞおち、肩甲骨の間(リンに貼って貰った)等、太い血管が通る箇所に貼り、上からマフラーやダウンを着るなでしこ。余程温かいのか、のほほんとした顔をしている。

 

なでしこ「5分だけ横になって良い?」

 

リン「…やめたほうが良いと思う。」

 

リンに止められ、横になるのをやめたなでしこ。

 

諒芽「そうだ、俺達も火を起こそうぜ?」

 

リン「あ、マッチ使う?」

 

N「大丈夫よリンちゃん、今からアタシ達…火起こしをするのだから!!」

 

なでしこ「えっ、でもマッチ使った方が早いんじゃ?」

 

V「確かにそう…でも、昔の人はその場にある物で火起こしをしてたって、お兄さんが言ってた。」

 

ライダー達が取り出したのは、何やら幾つもの窪みがある木の板と、キャンプ場近くの森で拾って来たと思われる丈夫な棒切れだ。もう一つは、何やらナイフのような形をした棒と長い溝がある木の板だ。

 

リン「…まさか……」

 

彩羽「まさかまさかと聞かれたら」

 

リン「いや聞いてない…」

 

彩羽「答えてやるのが世の情…」

 

リン「…おい聞け。」汗

 

困惑するリンを余所に、何やら語り始める彩羽。

 

彩羽「翔君と紫ちゃんが戻るまで、火を起こすという試練…今からアタシ達は、きりもみ式火起こしをしまぁす!!」

 

諒芽「まだまだあるぞ!!俺達は火溝式で火を起こす!!」

 

何やらライダー達の間で、火起こし勝負をするらしい…友香、彩羽、N、Vはきりもみ式で、一海、諒芽、幸喜は火溝式で火を起こし、先に火が着いた方の勝ちと言う事になっている。男性陣の火溝式は、加工した棒切れを溝をつけた板材に力強く擦り続ける事で火種を作るというやり方で、ポリネシア等で昔から行われている火起こし方法だ。女性陣(1人オカマ)のきりもみ式は、垂直に立てた木の棒を下に押し付けながら擦るようにして火種を作るというやり方で、最も原始的な火起こし方法だ。

 

N「オカマ!?言ったわね、誰だか知らないけどレディーに対して最大の侮辱を!!ンムッキィィイイイイ!!」

 

V「N、トップバッターよろしく…」

 

N「あたぼうよ!!」

 

幸喜「こっちは俺から行くぜ!!」

 

一海「頼んだぞ幸喜!!」

 

諒芽「任せたぞ幸喜ぃ!!」

 

幸喜「おう、任せろ!!」

 

きりもみ式のトップバッターはN。火溝式のトップバッターは幸喜。両者位置について……

 

 

《READY》

 

 

N&幸喜「「……。」」

 

 

《FIGHT!!》

 

 

N&幸喜「「うぉぉおおおおおお!!」」ズリズリズリズリ…

 

 

どこからともなく掛け声が流れ、FIGHTと同時にNと幸喜は全力で木と木を擦り始める。

 

なでしこ「おぉ〜、もう煙が出て来た〜!!」

 

両者すぐに煙が出て来るが、まだ火種は出来ない。開始から約1分後、両者は次のメンバーに交代を申し出た。

 

友香「私が行きます!!」

 

一海「俺が行く!!」

 

Nは友香と、幸喜は一海と交代し、火起こしを再開する。周りにいる他のキャンプ客も、何か何かと見に集まって来る。

 

友香「昔の人は、ふぅ…このようにして、はぁ…火を起こしてたんです、ね…!!」

 

一海「くうぅぅ…こりゃあキッツいぜ……」

 

両者煙は出ている物の、まだ火種は出来ていない。

 

友香「Vさん、交代お願いします…!」

 

V「…ん。」

 

一海「諒芽、頼めるか?」

 

諒芽「おうよ!!」

 

メンバーチェンジ後、火起こしを再開する。

 

リン(一体何の勝負なんだ、コレ…)汗

 

困惑するリンだが、周りの人達はライダー達を応援し始める。

 

男性客A「頑張れー!!」

 

女性客A「どっちも頑張ってー♪」

 

子ども「おにいちゃん、おねぇちゃん、がんばれー!!」

 

周囲からの応援を糧に、木と木を擦り続けるVと諒芽。

 

V「…彩羽さん。」

 

彩羽「は〜い♪」

 

諒芽「わりぃ、幸喜…!」

 

幸喜「おっしゃあっ!!」

 

メンバーチェンジ後、すぐに木と木を擦り始める。やがて…

 

一海「幸喜、火種だ!!」

 

N「彩羽さん、火種が出来たわよ!!」

 

両者共に漸く火種が出来た。

 

幸喜「火種来t…って、ヤベ!?息を吹きかけねぇと!!」

 

彩羽「よっしゃあ、後は…!!」

 

次にそれを鳥の巣状にした極細の枯れ葉に移し、優しく息を吹きかける。

 

リン「…優しい顔だな。」

 

なでしこ「段々煙がクリーミーな色になって来てる。」

 

ある程度息を吹きかけた後、それをブンブンと振り回す。そして……

 

 

ボワッ!!

 

 

幸喜「あっちぃ!?」

 

彩羽「っしゃあ!!」

 

両者同時に火が着いた。それを素早く焚き火に移し、火起こしは成功した。その瞬間、周囲から拍手が上がった。

 

なでしこ「お〜、着いた〜!!」

 

リン「…スゴい。」

 

勝負は引き分けとなったものの……

 

 

ファイヤー

 

来たぁぁああああああ!!

 

 

ライダー達は勝負の事をすっかり忘れ、火起こしが成功した事を互いに喜んだ。

 

 

気付けばもうすっかり日も落ち、夜の空には星が光り始める。

 

なでしこ「さてさて、そろそろいいかな?」

 

なでしこが鍋蓋を外すと、真っ赤な餃子鍋がグツグツと煮えていた。

 

リン「…真っ赤だ。」

 

なでしこ「簡単餃子鍋!!そんなに辛くないから心配しなくて良いよ♪辛そうで辛くない、少し辛めだよ奥さん方!!美味しいよ〜?」

 

リン「スーパーの実演販売か…」汗

 

なでしこの言葉にツッコミを入れるリン。なでしこはお玉を使い、餃子鍋を茶碗によそる。

 

なでしこ「はいはい、たぁんとおあがり♪」

 

リン「田舎のおばあちゃんか…」汗

 

またしてもなでしこにツッコミを入れるリン。

 

なでしこ「はい一海君♪」

 

一海「お、ありがとう。」

 

なでしこ「はい、友香ちゃん♪」

 

友香「ありがとうございます♪」

 

なでしこ「はい、諒芽君♪」

 

諒芽「サンキュー!!」

 

なでしこ「はい、幸喜君♪」

 

幸喜「おう、ありがとななでしこ!!」

 

なでしこ「はい、N君♪」

 

N「あら、どうもありがとう♪」

 

なでしこ「はい、Vちゃん♪」

 

V「…ありがとう。」

 

リン「そういや、あの2人はどこへ?」

 

翔「俺達がどうかしたか?」

 

リン「…!?」

 

いつの間にか戻って来ていた翔と紫。2人は何やら大きめの鍋を抱えている。

 

諒芽「その鍋、何が入ってんだ?」

 

翔「俺が教えると思ってんのか?」

 

鍋の中身を答えようとしない翔。紫が答えようとすると、翔は鋭い目つきで彼女を睨む。

 

なでしこ「翔君と紫ちゃんも、餃子鍋どうぞ♪」

 

紫「良いのか?」

 

なでしこ「うん♪あの時は助けてくれて、ありがとう♪翔君も、肉巻きおにぎり美味しかったよ♪だから、せめてものお礼♪」

 

翔「見返りは求めねぇが…まぁ、受け取ろう。」

 

メンバー全員が揃ったタイミングで、食事が始まった。出来立てほやほやの鍋を口の中へと運ぶメンバー達。

 

リン「…!!う、うまい…」

 

なでしこ「よしっ!!」

 

諒芽「ふぃ〜、疲れた身体に染み渡る〜♪」

 

幸喜「おっ!?う、うめぇ!!」

 

友香「美味しいです、なでしこさん♪」

 

なでしこ「えへへ、良かった〜♪どうじゃ〜?身体の芯から温まるじゃろ〜?」

 

リン「田舎のおばあちゃん、気に入ったのか…」

 

一海「あぁ、内臓にかけて全身が温まってく!!」

 

唐辛子がじんわり効いており、なでしこの言う通り身体の芯からポカポカと温まっていく。ポカポカと、ポカポカと…ポカポカと……そのうち………

 

 

「「「「あっつい!!」」」」

 

 

身体が温まり、厚着を脱ぎ始めるメンバー達。だが、翔だけは程よく着こなしているからかそれ以上服を脱がなかった。

 

なでしこ「あっ!?締めのご飯忘れたぁ!!」

 

リン「いや、そんな食えんし…」

 

翔「各務原。」

 

なでしこ「…ん?」

 

翔「その心配は無用だ。ほらよ…」

 

翔が鍋を開けると、そこにはツヤツヤの白米がぎっしり入っていた。紫の鍋にも、入っている。特に男性陣の胃袋がスゴい為、多めに米を炊きに行っていたのだ。

 

なでしこ「さっすが翔君!!またお礼を」

 

翔「気にすんじゃねぇよ。」

 

なでしこ「あっ、これ実は浜松餃子を入れたんだ、どう?美味しい?」

 

翔「あぁ。」

 

紫「勿論美味だ。」

 

なでしこ「良かった♪」

 

メンバー達はなでしこ特性の餃子鍋に舌を巻いた。

 

リン「…あのさ。」

 

なでしこ「…ん?」

 

リン「この間はごめん…」

 

なでしこ「この間?なんだっけ?」

 

リン「サークル誘ってくれたのに、何ていうか…すごい嫌そうな顔したから……」

 

なでしこ「あー、私も何だかテンション上がってて…無理に誘っちゃってごめんなさい……」

 

なでしこは野外キャンプサークルに入り、リンの事も誘った。しかし、リンは嫌そうな顔をした……その後、なでしこはサークルメンバーにこう言われた。「リンちゃんはグループでワイワイするより、静かにキャンプをする方が好きなんじゃないかな?」と……リンとなでしこは、無事に和解する事ができた。

 

翔「さて、締めの飯だ…食いてぇ奴は居るか?」

 

翔は鍋の米を餃子鍋スープに入れながら言う。リンと紫と友香、V以外が名乗り出た。

 

翔「食いてぇ分だけよそりやがれ。」

 

翔は最後によそり、飯を搔き込む。その後、諒芽が持ってきたチョコフォンデュマシンを準備し、デザートにチョコフォンデュパーティーも行った。食後、片付けを済ませたメンバー達は夜の富士を見ながら過ごしていた。男性陣はトランプ、女性陣はUNOで時間を潰す中、翔は1人で富士山を眺めていた。

 

翔(このゲームの終了条件は何だ?ゲームマスターからの承認はいつになるんだよ……)

 

今回は『キャンプゲーム』と称されて、この世界に来たライダー達。ゲームのクリア条件も明確化されておらず、それどころかゲームマスターからの承認も無い。デザイアグランプリでは、ゲームマスターからの承認が出ない限り、ゲームクリアにはならない。考え事を始める翔。その時、彼のスパイダーフォンが鳴った。

 

翔「……。」

 

通話ボタンを押し、耳に当ててみる。

 

斑目『…翔か?』

 

声の主は、斑目 セツナだった。

 

翔「…何故アンタがスパイダーフォンを持っている?」

 

斑目『いや、神殿のダイヤルを借りている。』

 

翔「…そうかよ。」

 

一瞬スパイダーフォンを所持していると思った翔だが、どうやらデザイア神殿にあるダイヤル電話から掛けて来ているようだ。

 

翔「…で、用件は何だよ?」

 

斑目『キャンプは楽しめているか?』

 

翔「んだよ、そんな下らねぇ理由で電話して来んじゃねぇよ…」

 

中々ゲームクリアにならないせいか、彼の口調は荒い。

 

翔「ゲームマスターに伝えとけ、さっさと承認を出せってな…じゃあな。」

 

乱暴に電話を切り、舌打ちをする翔。そこへ、なでしこがやって来た。

 

なでしこ「あ、ここに居たんだ。」

 

翔「…各務原か。」

 

なでしこ「翔君、怪我の具合は大丈夫なの?」

 

翔「問題ねぇ、しっかり休んだんだ…心配すんじゃねぇ。」

 

なでしこ「そっか…」

 

翔が戦いで負傷した際、他のライダー達と共に彼の手当てをしたなでしこ。彼の怪我の具合を心配していたが、彼の言葉を聞いて安心した。

 

翔「それより、寝なくて良いのか?ここで見る朝焼けが絶景だと耳に来たが…」

 

なでしこ「うん、そろそろ寝る。おやすみ〜。」

 

翔「しっかり休め、警備なら任せろ。」

 

その後、なでしこと共にテントへ戻り…メンバー達の就寝を確認し、警備にあたった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

斑目「……。」

 

その頃、デザイア神殿に来ていた斑目は…外していたマスクを装着する。そのマスクは、ゲームマスターの証である。また、音声変換機能がついており、簡単に正体を見破られないための役割を持っている。

 

ゲームマスター『万が一、フィーバースロットをジャマトライダーに奪われた際…これを試すとしよう。ジャマトの親玉の好きにはさせまい。』

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