さぁ、ゲームの時間だ   作:やさぐれショウ

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55. ジャマトエスケープ

恵那「ふんふんふ〜ん♪」

 

本栖では、あまり商業施設が見当たらない。そのため、買い出しに行く際は鉄道やバス、タクシー等の公共交通機関を利用し、隣町まで行く必要がある場合も……この日の休日、斉藤 恵那は愛犬の『ちくわ』の為に物品を購入しに行っていた。

 

恵那(早くちくわに会いたいなぁ、一緒に遊びたいなぁ♪)

 

愛犬を思い出しつつ、最寄り駅まで向かう恵那。今彼女がいる商業施設は、最寄り駅から片道(徒歩で)15分程度の距離だ。

 

恵那(そういえば、ウチの高校を守ってくれた仮面ライダーって…一体誰が変身してるんだろう?)

 

本栖高校では、仮面ライダーは有名となっている。ジャマトと呼ばれる怪奇生命体から本栖高校を救った9人のライダー達…その正体が誰なのか、恵那はまだ知らない。やがて、もう少しで最寄り駅に着く途中……

 

ジャマト「ジャッ……」「ジャアッ…!!」ザザッ…

 

恵那「えっ、何…!?」

 

どこからかジャマト達が現れ、恵那の前に立ち塞がる。

 

恵那(これって、もしかして…リンが言ってた『ジャマト』って怪物…!?)

 

ジャマト達はジリジリと恵那に歩みを寄せる。その時…恵那の前に1人の男が立ち塞がり、ジャマトを攻撃した。彼の左腕には、銀色に光る奇妙な腕輪を身に着けられいる。

 

翔「…大丈夫か?」

 

恵那「あ、貴方は…?」

 

翔「青空 翔、ったく…こんなとこにもジャマトが居んのかよ……」

 

翔はデザイアドライバーを装着すると、フィーバースロットバックルをドライバーに装填する。

 

 

《SET FEVER!!》

 

 

特に変身ポーズをする事も無く、装填後すぐにバックル操作を行う。

 

 

《ZONBIE!!》

 

《HIT》

 

《FEVER ZONBIE!!》

 

 

スロットはZOMBIEの所で止まり、ゾンビフォームとなったギーツ。左手のバーサークロー、右手にはゾンビブレイカーを装備したギーツは、まずバーサークローを地面に叩き付ける。すると、地面から無数の手が現れ、ジャマト達を拘束する。その直後、ゾンビブレイカーのスライドカバーを蹴り、エネルギーをチャージする。そして、トリガーを引いて紫色に光る無数の衝撃波をジャマト達目掛けて飛ばした。それらがジャマトに命中すると、ジャマト達は爆散した。

 

恵那「お〜、やっつけた〜!!」

 

ギーツ「……。」

 

恵那「私はリンの友達の斉藤 恵那、助けてくれてありがとう青空君♪」

 

ギーツ「…気にするな。」

 

一先ず、恵那を守る事に成功したギーツ。これがきっかけで、彼女も仮面ライダーを信頼するようになった。

 

ギーツ(コイツ、南田さんに似てるな……)

 

そう思いつつ、ギーツは変身を解いて翔の姿に戻った。その後、最寄り駅まで共に歩いて来たのだが…

 

恵那「あっ、これじゃあ帰りの切符が買えないなぁ……」

 

切符を買うための所持金が足りないそうだ。

 

翔「金貸すぞ?」

 

恵那「それは流石に悪いよ〜。」

 

翔「なら、ICカードはあんのか?」

 

恵那「あ、そっか…うーんと、ICカードICカード……」ゴソゴソ

 

恵那は鞄に手を入れ、ICカードを探す。だが……

 

恵那「…家に置いてきちゃったっぽい…」

 

運悪く、家に置いてきてしまったようだ。それを聞いた翔は、彼女にヘルメットを渡す。

 

翔「乗れよ、送ってくぞ?」

 

そして、ブーストライカーの後ろを親指で差した。

 

恵那「えっ、良いの?でも、私の家知らないよね?」

 

翔「良いから乗れ、何とかなる。」

 

恵那「それじゃあ、お言葉に甘えちゃおっかな。」

 

恵那はヘルメットを被ると、翔の後ろに乗り、彼に掴まった。それを確認した翔はハンドルを握り、エンジンを吹かせてゆっくり走り始める。恵那から自宅までの道のりを尋ね、彼女宅に向けて出発した。

 

 

 

ロキ「ヒッヒッヒッヒッ、よいゲームを思いついたぞ…♪」

 

それを見ていたロキは、ジャマトを召喚…すぐに解き放った。

 

ロキ「第して『ジャマトエスケープ』!!ジャマトから逃げ切れないもしくは女が殺されれば即脱落!!クフッ、我が新型ジャマトに、青空 翔はどう対処する?女もいるからなぁ、守れるのかぁ?フハハハハハハハ♪」

 

ジャマトを解き放った後、ロキは高笑いしながら姿を消した。

 

 

 

翔「……!?」

 

ふと、異変を感じた翔。

 

恵那「…どうしたの?」

 

不穏な空気を察したのか、翔に話し掛ける恵那。

 

翔「…斉藤、しっかり掴まってろ。できるだけ配慮はするが、振り落とされるなよ?」

 

そう言うと、ブーストライカーのスピードを上げる翔。

 

恵那「ちょっと待って?一体何が起こってるの?」

 

翔「来るぞ。」

 

やがて、後ろから何やら下半身に車輪が着いたジャマトがこちらに迫って来ているのが見えた。このジャマトは『チャリオットジャマト』と言い、ロキが生み出した新型個体である。ジャマトライダーへの変身はできないが、装備している武器ジャマーボウガンにジャマトバックルを取り付けて必殺技を撃つことができる。また、下半身の車輪の出力は、最高速度330kmと高速走行が可能である。また、チャリオットジャマトには2体のポーンジャマトが騎乗している。

 

恵那「えぇっ!?さっきのとは違うジャマト!!」

 

翔「ちっ…」

 

翔はブーストライカーのエンジンを唸らせ、ぐんぐんスピードを上げていく。だが、チャリオットジャマトとの距離が中々広がらない。やがて、2体目、3体目、4体目のチャリオットジャマトが姿を現し、翔と恵那を追って来る。

 

 

 

その頃、デザイア神殿は大騒ぎになっていた。

 

一海「おい、これを見ろ!!」

 

リン「…恵那!!」

 

なでしこ「翔君も!!」

 

諒芽「何だあのジャマトは!?」

 

紫「古代戦車のような見た目だ…!!」

 

友香「神様、女神様、助けに行かせてください!!」

 

アフロディーテ「そ、それが…特殊な結界が張られていて、皆さんを転送できません…!!」

 

N「えっ!?それじゃあ黙ってここで見てろって事になるじゃない!!」

 

ヘルメス「さては…ロキの仕業か…!!」

 

突如始まった『ジャマトエスケープ』…ヘルメスとアフロディーテは急いで一海達を転送しようとしたが、ジャマーエリアには何やら特殊結界が張り巡らされ、転送不可能となっていた。つまり、デザイア神殿で翔と恵那の無事を祈るしかないのだ。また、レイズバックルを贈る事も、通話をする事も出来ない。

 

幸喜「翔!!」

 

幸喜はモニターに近付き、

 

 

幸喜「翔ー!!頑張れー!!」

 

 

…と、全力応援を始めた。

 

幸喜「やってる事は無意味かもしんねぇ…けど、友達がこうして頑張ってるんだ……応援1つできねぇで何が出来る!?」

 

彼の言葉を聞き、他のメンバー達も翔の応援を始める。寧ろ、それ以外に方法が無いのだ。

 

 

 

その頃、山道では…チャリオットジャマトから追われ、逃走を続ける翔の姿があった。

 

翔(殺気!?)

 

背後から殺気を感じた翔は、ブーストライカーを左に寄せる。その直後、ジャマーボウガンから放たれた矢が、隣を通過した。尚、背後からは矢が次々と飛んでくる。それらを躱し続ける翔。だが……

 

 

ドガァァアアアアン!!ドガァァアアアアン!!

 

 

何故か地面が爆発し、黒煙を撒き散らす。

 

恵那「嫌ぁぁああああ!!」

 

恐怖のあまり、悲鳴を上げる恵那。

 

翔(クソが、あの矢…爆発まですんのか、1発でも受ければ終わり……斉藤には待っている家族も居る、だから死なせるわけには……だったら…!!)

 

フィーバースロットバックルを取り出した瞬間、

 

ガァンッ!!

 

翔「ッ!?」

 

チャリオットジャマトはそれを待っていたのか、ボウガンの矢でフィーバースロットバックルを落とした。

 

翔(…野郎!!)

 

バックルを失った翔は、ブーストライカーの速度を上げる。それに釣られ、チャリオットジャマト達もスピードを上げ始める。坂道を登り切り、下り道に差し掛かったタイミングで、翔はブレーキをかけて急激にスピードを落とす。チャリオットジャマト達は翔達を通過し、慌ててスピードを落とす。

 

翔(よし、かかった…!!)

 

直後、翔はハンドルを捻ってブーストライカーを踊らせ、チャリオットジャマトに乗っているポーンジャマトを突き落とした。続いて、もう1体のポーンジャマトからはマチェーテ形の武器ジャマチェーテを強奪し、そのジャマトを斬り捨てた。反対方向から、チャリオットジャマトが矢を放って来ると、即座にスピードを上げ、逃走を始める。それを見たチャリオットジャマト達もスピードを上げ、翔と恵那を追跡する。飛んでくる矢を避け、スピードを上げていく翔。彼の背後では、次々と爆発が発生…爆炎の中からは4体のチャリオットジャマトと、6体のポーンジャマトが出て来て、尚も翔と恵那を追って来る。

 

恵那「青空君、怖いよ…!!」

 

翔「後ろを見るな!!しっかり掴まってろ!!」

 

恵那「う、うん…!!」

 

翔を掴む力を更に強くする恵那。そこへ、チャリオットジャマトAが近付き、右隣にピッタリ着く。

 

チャリオットA「ジャアア!!」

 

翔「邪魔だァ!!」ガシュッ!!

 

チャリオットA「ンジャアアァァッ!!??」

 

近付かれた翔はそう叫び、ジャマチェーテ1振りで1体目のチャリオットジャマトを撃破した。そこには2体のポーンジャマトも乗っており、それらも倒せた。すると、チャリオットジャマトBとCがジャマトバックルをおもむろに取り出す。

 

翔(あのバックル…!!)

 

それをジャマーボウガンに取り付け、エネルギーをチャージし始める。そして、引き金を引くと…蔓状のエネルギーが翔達目掛けて伸びて来る。

 

翔「ッ!!」

 

恵那「きゃああああぁぁっ!!」

 

翔は蛇行運転をしながら、迫りくる攻撃を避け続ける。悲鳴を上げる恵那を落とさないように最大限の配慮をしながら……避けられないと感じたエネルギーは、ジャマトから奪ったジャマチェーテで斬り捨てた。チャリオットジャマトはボウガンからジャマトバックルを外し、ジャマトバックルにエネルギーを込め始める。

 

翔(成る程、リロードには時間が掛かるのか…コイツァ好都合だ…)

 

翔はブーストライカーのスピードを落とし、チャリオットジャマトBに急接近する。その直後、ブーストライカーのテールユニット『ボンバーエグゾート』から炎を噴射した。チャリオットジャマトBの身体がたちまち燃え上がり、騎乗しているポーンジャマトの身体にも炎が引火した。次に、右側にいるチャリオットジャマトCに接近すると、足蹴りを繰り出した。

 

チャリオットC「ジャジャッ!?」

 

ポーンジャマト「「ンジャッ!?」」

 

バランスを崩し、よろけたチャリオットジャマトCの手から離れたジャマーボウガンは宙を舞う。翔はそれをキャッチし、ジャマト達目掛けて矢を発射し、距離を取る。チャリオットジャマトCの身体に矢が突き刺さった直後、チャリオットジャマトCは大爆発を起こした。爆発に巻き込まれたポーンジャマト達も消滅…残るチャリオットジャマトは1体だ。

 

 

 

デザイア神殿では…

 

一海「頑張れ、翔!!」

 

諒芽「いっけぇー翔ちん!!」

 

紫「翔!!ジャマトはあと僅かだ!!」

 

友香「翔さん、ファイトです!!」

 

リン「…恵那を死なせたら、タダじゃおかないよ…!!」

 

なでしこ「がんばれー、翔くーん!!」

 

N「後少しよ、翔君!!」

 

V「皆、お兄さんを信じてる……」

 

救援に行けないライダー達と共に、なでしことリンが彼を応援していた。

 

ヘルメス「おい、まだロキを捕らえられんのか!?」 

 

天使1「はっ!!奴は特殊な妖術で姿を消しており、我々では探知できません!!」

 

ヘルメス「…なんて事だ…!!」

 

ヘルメスもすぐさま天使達を派遣し、ロキを懸命に捜索したが…中々見つけられない。他の神々も、血眼になってロキを探しているそうだ。

 

 

 

翔「ちぃっ!!」

 

恵那「嫌ァ!!きゃあっ!?」

 

 

ドガァァアアアアン!!ドガァァアアアアン!!

 

 

残るチャリオットジャマトDはここぞとばかりにジャマーボウガンから爆裂矢を放って来る。スピードを上げれば真似をし、逆にスピードを落としても真似をして来る。

 

翔(今までの作戦じゃあ、奴を倒すのは困難か…斉藤はパニック状態……早く奴を始末しなければ…!!)

 

翔は独特な持ち方でジャマーボウガンを持ち、後方に向けた。親指で引き金を引くと、ボウガンからは爆裂矢が発射され、チャリオットジャマトDに向かって飛んで行く。だが、チャリオットジャマトDは矢を避け続けるため、中々命中しない。

 

翔(くそが、すばしっこい奴め…!!)

 

翔はジャマーボウガンを持ち直し、ブーストライカーの速度を上げる。チャリオットジャマトDも逃がすまいとスピードを上げて来る。やがて、急カーブに差し掛かり、チャリオットジャマトDの姿が見えなくなった一瞬の時…すかさず翔はジャマーボウガンから無数の爆裂矢を頭上に向かって放った。チャリオットジャマトDの姿が見えたタイミングで、ジャマト達の頭上から爆裂矢が雨のように降り注いだ。まもなく、チャリオットジャマトDとポーンジャマト達は大爆発に包まれ、消滅した。

 

翔「…ざまぁみろ。」

 

恵那「やっつけたの?」

 

翔「あぁ、もう大丈夫だ。」

 

ジャマト達から逃れる事に成功した翔は、無事に恵那を彼女宅まで送り届ける事ができた。父親と愛犬が出て来た時、恵那は今まで堪えていたのが爆発したように泣きじゃくった。

 

翔「……。」

 

父の胸の中で泣いている恵那を見て、翔は罪悪感を感じて何も言えなかった。

 

翔「……すまない、娘さんを危険な目に合わせちまって……」

 

やっとの事で、恵那父に謝罪をする翔。だが、恵那父は怒っていなかった。それどころか…

 

恵那父「…娘を守ってくれたのだろう?ありがとう青空君、君が謝る必要は無い。」

 

…と、翔に感謝をする。

 

翔「…何故俺を知っている?」

 

名前を名乗っていないのにも関わらず、自分の名前を知っている恵那父に少しだけ戸惑う翔。

 

恵那父「娘がメールで教えてくれたんだ。傷1つ着ける事無く、無事に送り届けてくれて、本当にありがとう。」

 

翔「…大したことねぇ、しっかり娘さんのケアをしてやってくれ。」

 

翔はそう言うと、ブーストライカーに跨がる。そして、走り去ろうとしたが…

 

恵那「青空君!!」

 

恵那に呼び止められ、ブレーキを掛ける。

 

 

恵那「ありがとう、本当に……助けてくれて、ありがとう!!」

 

 

涙ながらも、笑顔を見せる恵那。隣では、愛犬のチクワも翔にお礼を言っているのか「キャンキャン♪」と吠えている。それを見届けた翔は、何も言わずに走り去って行った。

 

 

 

デザイア神殿に戻って来た翔を、仲間達が出迎えた。

 

幸喜「スゲェじゃねぇか翔!!」

 

リン「…恵那を守ってくれて、ありがと。」

 

なでしこ「恵那ちゃんを助けてくれてありがとう翔君!!」

 

翔は仲間達に目もくれず、ヘルメスとアフロディーテにクレームを入れる。

 

翔「おい、何なんだあのふざけたゲームは!?何故ジャマトとの戦いに一般人が巻き込まれるんだ!?」

 

ヘルメスとアフロディーテは、彼の言葉に何も言えなかった。黒幕と思われるロキの行方も、未だに掴めていない。

 

翔「……。」

 

翔はスパイダーフォンを起動させ、ジャマトから奪ったジャマチェーテやジャマーボウガンの解析を始める。

 

翔(一体誰だ…こんな馬鹿げたゲームを開催したのは……ヘルメスとアフロディーテがこんな事をするわけがない…それは分かっている。)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ロキ「クソクソクソ!!青空 翔めぇ!!」

 

またもジャマト達を倒され、発狂するロキ。だが、奴の右手には翔が落としたフィーバースロットバックルが握られている。

 

ロキ「ヒヒヒヒッ、良い物を拾ったァ…これをジャマトライダーに使わせれば、青空 翔を……いや、仮面ライダーを倒せる…!!」

 

フィーバースロットバックルを奪ったロキは、ジャマトライダーを再び生み出す為、その場から姿を消した。




チャリオットジャマト(オリジナルジャマト)…中級クラスのジャマト。下半身には車輪がついており、高速走行が可能(最高速度:約330km)で、ブーストライカーと互角に走ることが出来る。ジャマーボウガンという専用武器からは、爆発性の高い矢を放つ。このボウガンにジャマトバックルを装填し、強力な必殺技を放つ事も出来る。ただし、1度必殺技を撃てばジャマトバックルにエネルギーをチャージしなければならないというデメリットがある。

また、ポーンジャマトを2体乗せる事が出来る。
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