ロキ「ちきしょう…畜生ちきしょう畜生!!青空 翔めぇ……我の可愛い子ども達を次から次へと……くぅぅうううう〜〜〜〜!!」
キャンプ場で過ごす翔を、憎たらしい眼差しで睨み付けるのは…ジャマトの産みの親である悪神『ロキ』だ。デザイアグランプリにジャマトを送り込んでいるのも彼だ。最近では善悪問わず数多くの転生者を騙して退場させた後、その場に残ったデザイアドライバーを強奪…それをジャマトに使用させ、ジャマトライダーへとパワーアップさせた。最初こそ、翔を敗北に追い詰める事に成功したが…殺害にまでは至らなかった。更に、そのジャマトライダーも新たなバックルを手にしたライダー達に次々討伐され、憤りを感じていた。
ロキ「確なる上は、より強力なジャマトを」
「貴方ですね?」
その時、ロキの前に1人の女性が姿を現した。茶髪のボブヘアーにマイク付きヘッドフォンを身に着けた若い女性だ。
ロキ「な、何だ貴様は…?」
カナ「…カナと申します。」
彼女の名前は『南田 カナ』、ドールハウス専属の特殊公務員であり、斑目 セツナの秘書を務めている。また、日程調整やマネージャー業務、メンバー達の相談にも応じているマルチな女性でもある。翔の事が大好きで、まるで我が弟のように可愛がっている。それ故、彼の邪魔をする者を決して許さない。大人しそうな見た目とは裏腹に、高い戦闘力を持っている。彼女はロキに冷たい視線を向けている。
カナ「ロキ…本来貴方は、デザイアグランプリへの介入は認められていません。つまり、存在していない筈の不具合……」
そして、カナが取り出したのは…斑目が使用しているドライバーと全く同じドライバーだ。
カナ「リアリティーを汚すフィクションです…!!」
カナが身に着けたのは斑目と同じ『ヴィジョンドライバー』。
カナ「よって……私が抹消します。」
そう言ったカナは、ドライバー上部の生体認証装置バイオメトリクサーに親指を直に触れて指紋認証させる。
ドライバーから待機音が響き始めると、カナは目の前で両手をクロスし、頭を抱えるようなポーズをする。その後、両腕を華麗に回し、左手を前に、右手を後ろに移動させ、右手でプロビデンスカードを取り出し、天高く掲げる。
…と、呟いたカナはドライバーのヴィジョンリーダーにカードをスキャンさせる。
ドライバーから音声が響くと、カナは仮面ライダーへと姿を変えていく。
彼女の周囲に5機のドミニオンレイが飛び回り、光に包んで行く。やがて、光が消えると…鎧に身を包んだカナの元に、ドミニオンレイが収束…胸部、両肩、両脚へ装着された。その姿は、仮面ライダーグレアと酷似しているが…装甲は金と白、下地のスーツは紺色をベースとした気品のある明るいカラーリングになっており、電子回路のような幾何学模様のラインが施されている。そのため元のグレアと対照的かつ、更に機械的な印象を受ける。この仮面ライダーの名はゲイザー、『仮面ライダーゲイザー』である。ヴィジョンドライバーを使ったカナが、翔を守る為に…また、彼の楽しみを邪魔するロキを成敗する為に変身した姿である。
ロキ「…お前達、行けぇ!!あの仮面ライダーを殺せェ!!」
ロキがそう言うと、地面からは無数のポーンジャマトが現れ、ゲイザーに襲い掛かる。ゲイザーがその場で回し蹴りを一発放つと、ポーンジャマト達は次々吹き飛ばされ、爆散した。
ロキ「次ィ!!」
次に、チャリオットジャマト達が出現し…高速でゲイザーに向かって来る。しかし、ゲイザーはまたも回し蹴り1発でチャリオットジャマト達を撃破した。だが、1体だけ爆風から逃れた個体がいた。それでも、ゲイザーは落ち着いて対処する。ステップで突進を避けた後、カウンターキックを打ち込む。そして、チャリオットジャマトに騎乗していたポーンジャマトに向かって歩く。襲い掛かって来たジャマトの攻撃をヒラリと躱し、もう1体のジャマトの攻撃を左手で受け止める。その後、1体のジャマトを投げ飛ばし、もう1体のジャマトには右ストレートを打ち込んだ。
チャリオットジャマト「ジ、ジャ……!!」
チャリオットジャマトはジャマーボウガンにジャマトバックルを装填すると、ゲイザーに向かって必殺技を放った。しかし、ゲイザーは即座にドミニオンレイを飛ばし、目の前にバリアを張った。すかさずもう2機のドミニオンレイを放ち、チャリオットジャマトを集中攻撃し、あっさり葬った。
ロキ「まだだ!!我のジャマトコレクションはこんなものでは終わらん!!」
ロキは最後の切り札と言わんばかりに、5体程ジャマトライダー達を放つ。すると、ゲイザーは5機全てのドミニオンレイを放ち、ジャマトライダー達を攻撃させた。そして、ロキの方へとゆっくり歩いて行く。
ロキ「ッ!!」
ロキは愛用武器である魔剣『レーヴァテイン』を召喚すると、それをゲイザー目掛けて振り下ろす。だが、ゲイザーは攻撃をいとも簡単に避け続ける。
ロキ「このっ!!このォっ!!」
怒りで我を忘れているロキは狂ったようにブンブンと魔剣を振り回す。
ゲイザー「そんなに怒っていては、疲れるだけですよ?」
ロキ「やかましい!!」
ロキは魔剣の切っ先で、ゲイザーを刺そうとしたが…
ロキ「むっ!?」
ギリギリ……
ゲイザーは左手で魔剣を持ち止めたのだ。
ゲイザー「親であれば、可愛い子ども達を心配されてはどうですか?」
ロキ「…!!」
ハッとしたロキはジャマトライダーの方を見ると、今まさに…ジャマトライダーがゲイザーのドミニオンレイで全滅させられた。
ゲイザー「我が子を守れないどころか、我欲の為に利用する…貴方は親失格です。」
ゲイザーはそう言うと、ロキの脚を攻撃して転倒させる。彼の手から魔剣が離れると、ゲイザーは魔剣を握り潰した。その後、ロキの上に乗り、彼を見下ろす。
ロキ「ぐふぅ…き、貴様…神である我を踏み付けるとは、何たる真似をする!?」
ゲイザー「関係ありません、翔君の青春を台無しにしようとするなら…例え神であろうと、私は許しません。」
ゲイザーはプロビデンスカードをドライバーに1回スキャンする。その後、5機のドミニオンレイと共に上空へ飛び立つと…
金色の光を纏ったドミニオンレイをロキ目掛けて射出してぶつけ、ダメージを与えた。まもなく凄まじい断末魔が辺りにこだまし、その場にはボロ雑巾と化したロキと、静かに地面へ降り立ったゲイザーの姿があった。
その頃、キャンプ場では……
翔「……?」
他のメンバー達よりも早く異変を感じた翔が、全神経を集中させ…敵の気配を探る。
翔(ジャマトの反応は無し…だが、別のライダーの気配を感じる……何者だ?それに、きったねぇ叫び声が聞こえたような……まぁ良い。)
特に気にする必要は無いと判断し、撤収作業を始める。今日はキャンプ場をチェックアウトしなければならない日だからだ。チェックアウト後、メンバー達と挨拶を交わし、デザイア神殿へと戻った。
諒芽「いやぁ〜楽しかったなぁ〜!!」
一海「だな!野クルのメンバー皆良い人達だったし!!」
幸喜「良い友達ができて、嬉しいぜ!!」
帰って来たメンバー達を迎えたのは、翔もよく知るあの人。
カナ「あ、おかえりなさい♪」
南田 カナだった。何か良いことでもあったのか、いつもより笑顔が眩しい。鼻血を出して倒れる諒芽と、そんな彼を介抱する一海と幸喜。
翔「……。」
カナ「翔君、キャンプはどうでしたか?」
翔「…どうもしねぇよ。それよりアンタ、何だその憎たらしい笑みは…」
カナ「へぇっ!?に、憎たらしい!?」汗
翔「良い事でもあったのかって聞いたんだ。」
カナ「はい、少しスカッとした出来事がありました♪」
翔「…そうか。」
それ以上の詮索はしない翔。しかし、NとVは詰め寄る。
N「カナさん、どんな事があったんですか?」
カナ「…はい?」
V「えっと、どんな事が」
カナ「…はい?」
ただならぬオーラを感じたNとVは、それ以上質問するのをやめた。
カナ(これで、しばらくロキは好き勝手出来ない筈……どうか翔君が、素敵な思い出を作れますように……)
ロキ「ちっくし…ょぉ……こうなったら、最後の…手段……!!」
その頃、ゲイザーにボロ負けしたロキは……何やら大粒の怪しい種をその場に植えた後、静かに姿を消したのだった。