諤々學新聞   作:と十十

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栄爽八年5月3日

【一面】

 2日、乃耶(ノヤ)伊野島(イノジマ)町で俚耳弦歌(リジゲンカ)祭りの決勝戦が行われた、今年で8762回目となる俚耳弦歌祭りは昨年の倍の参加者にも関わらず大きな混乱もなく、参加者たちは三味線の音色にのせ思いおもいに日頃の憂さを詠んだ。

 決勝の舞台では洛陽家(ラクヨウ)が独自の舞を披露しながら声援を送り、青コーナーから禰宜隈(ネギクマ)区代表のヤナギ・ド・イサオ選手が入場したさいには大きな歓声と罵声が飛び交った、その様子をながめ、今回で23回目の参加となる紀保志坂(キホシザカ)町代表のサセボ=ヨドハタ選手は「天津神国津神、八百萬の神等共に聞食せと、恐み恐み申す」と祈りこれを祝辞とし参加者全員に激励を送った。

 試合内容では、四回裏7ラウンド目でのサセボ=ヨドハタ選手の放った「お前って色エンピツに例えたら白色だよな」の発言により過半数の支持を取得し、ヤナギ・ド・イサオ選手が泣き崩れるのを決め手に軍配が上がった。

 赤コーナーのセコンドからは、一方的で不可逆的な発言だと抗議したが実行委員会はこれを退け「不正は無かった」とあらためて審議の公平性を主張した。

 

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【総合】

 昨夜、渇騨(カゼン)曾度(ヒド)市にて老人保護管理調整施設で生活する、八十代以上の高齢者二万名が無許可で施設外に出ていることが判明。

 当該施設は記者会見で「ただちに影響は無い、そうのうち居なくなる」と主張し安全性に問題無いことを強調したが、各所で「無断で息子にお小遣いをあげて困る」「泥棒に入ったら老人が居て困惑した」などの意見が寄せられ対応を迫られた。

 ヤナギ・ド・イサオ会長は、リコールは行わないが施設への再登録は受け付けていると断固な姿勢をみせた。

 また梨乃山(ナシノ)保存の会からは、梨乃山(ナシノ)が30ヘクタール無断で整地されていたことについて釈明を問われるシーンもあったが、会長は「整地は老人たちにとって本能のようなもの」と理解を求めた。

 

――

 

【国際】

 神聖ユミルンダ連邦は、神託議会の決議によりヴィシュヴェディン議長代理補佐を解任することが決定した。

 元ヴィシュヴェディン議長代理補佐は「ヨピーフの野郎が指に力を入れていた」など発言し周囲に大きな波紋を広げたが、ヨピーフ書記長は「謂れのない発言であり、寛仮することは出来ない」と怒りを顕にした。

 これについてユミルンダ社会労働党のユノチュ司祭は、政治と国の根底を基礎から破壊する発言だと不快感を示したが「コックリさんは止めるべきだ」など意味深な発言を残し記者団を後にした。

 議長代理補佐には、後任が決定するまでヨピーフ書記長が兼任することになっている。

 権力の集中を危惧する意見もみられたが、三回に渡る神託議会にて「そもそもあっても無くても良い役職なのだから、まあいいんじゃない」という意見が議員の七割を占め可決された。

 

――

 

【社説】

 先日の川嘉(カワカ)県・髭笊(ヒゲザル)公園の中央広場は、少女匣改正法案に反対する三千名で埋まった。

 鑑賞や芸術性の高さで四祇代(シギヨ)時代から多くの人達を楽しませてきたが、近年より過激にメイクを施したギャル匣を発端にブームが再燃、これまでに無かった形の少女匣が多く作られ海外からも高い評価を受けた。

 しかしその影では、少女達の乱獲や違法業者による粗悪な箱詰めされた物も多く出回り、元来の四季と清楚を追求してきた職人たちのあいだで、大きく問題となった。

 そうして先月の8日に八廼國(ハチダイクニ)少女匣保護委員会は、政府に改正案を提出し審議を求めた。

 しかしこの改正案は、一般には公開されず議会にかけられる可能性が高く、これまで培ってきた伝統の技術さえも規制されるのではないかと、関係者たちのあいだに不安が広がっているのだ。

 一方では、反少女匣団体のメンバーからは対応が遅すぎる、即時持って少女匣の製作を禁止するべきだという声も上がっており、政府は難しい判断を迫られている。

 こうしたことにより、髭笊(ヒゲザル)公園では愛好家や製作者達による大規模デモが行われ、一部では混乱も見られたがすぐに沈静化し、ヤナギ・ド・イサオ代表は、抗議声明と製作者達への自粛とこれからの未来ついての演説を行い、周囲は拍手と喝采に包まれた。

 しかしながら関係者外の人達の目線は冷たい。伝統とはいえ作る必要性の感じられない、むしろ娘の自由を返し欲しいと訴えるのは56歳の男性だ。

 帰宅途中を狙われ無断で少女匣にされたという事件は、近年にて増加の傾向にあり。男性もその被害者の一人だ「娘は帰ってきたが匣に収まり身動きがとれない状態で布に包まれていた、それが悔しくてと悔しくて」男性は製作者を訴えたが敗訴し謂れのない中傷を受けたと語る。また検非違使が現場に居合わせても厳重注意で済ませられることが多く、少女達の安全が守られているとは言いがたい。

 煌びやかな少女匣の背景では、こういったことが日常的に行われている、伝統や芸術ももちろん大事ではあるが、少女達の人生を真に考えるならば、いち早く少女達が安心して暮らせる世の中になってほしい。

 




 新聞の向こうに現実があるのなら、また新聞から現実を作れるのではないか。という実験的作品。と、いうことにしておこう。
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