生徒会の犬となりまして   作:秋月月日

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Day Game:4

 野田やら椎名やら小夏やらの活躍で一回戦目を圧倒的点差でコールド勝ちした俺たちは、その後の試合も同じようにコールド勝ちで制していった。何でこんな雑技団チームがここまで圧勝できるのかが不思議でたまらねえが、そこを気にしたら負けな気がするのであえて考えないようにする。

 これは死んだ世界戦線のオペレーターである遊佐という少女から聞いた事だが、どうやら他の戦線チームもそれなりに勝ち上がってきているらしい。流石は運動神経だけは無駄に良いバカ集団、凄い戦果を挙げている。

 そういう訳で戦線メンバー全員が優勝目指してちょうどよく盛り上がり始める―――まさにその時だった。

 ザッ、と運動場に現れたユニフォーム姿の集団。

 先頭には我らが生徒会長が帽子を被ってジャージを羽織って立っていて、その後ろには相変わらずの学ラン姿の副会長が立っていた。とりあえずアンタらそんな格好でよく暑くねえな。なんだ、身体ン中に保冷材でも埋め込んでんのか?

 そんな俺の心境など知る由もないであろう生徒会長はこちらのベンチまで歩み寄り――って、ここでばれたらいろいろとマズイ!

 そそくさーっと岩沢の背後に隠れ、俺は日向と生徒会長のやり取りを静観する。

 

「あなたたちは参加登録していない」

 

「俺たちも一応、この学校の生徒だぜ? 参加することに意味がある」

 

 凄い言い分だ、流石はひなっち。屁理屈を言わせればゆりの次には凄いかもしれない。

 日向の言葉に生徒会長は「むぅ」としかめっ面を浮かべる。わーお、生徒会長意外と可愛い。守りたい、その拗ね顔。

 生徒会長が論破されかかっているのを察したか、副会長が自信満々に前に出――

 

「よう。やっと見つけたぞ、直井……っ!」

 

「ひぃぃっ!? な、何故あなたがここにいるんですか!?」

 

 目にも止まらぬ速さで岩沢に捕縛されていた。流石は岩沢、自分が気にかけているものに対しては凄い執念を見せますね。あ、因みに、岩沢が飛び出すことを瞬時に悟った俺は神速で野田の背後に隠れました。

 

「(オイ、貴様、俺の後ろで何をやっている)」

 

「(ええい、いいから生徒会長たちが向こうに帰るまで俺の方を見るんじゃねえ!)」

 

 小声で野田を牽制し、一応の安全を確保する事に成功。どうせ後からばれちまうとは思うんだが、今のこの瞬間だけでも生き延びられるのなら問題ない。少しでも生存時間が伸びれば、彼女たちを納得させられる言い訳も思いつくだろうしな。

 両手を突きだして迫ってくる岩沢を抑えつけながら、副会長は言う。

 

「わ、我々は、あなたたちをルールに則って粛清するため、生徒会チームを結成しました。勝てば官軍、ということわざがあるように、罰を与えられたくなかったら我々のチームに勝利する事です――ちょっと誰かこの音楽キチを抑えてて!」

 

 生徒会長たちが一緒に連れてきていた野球部のメンバーが岩沢を羽交い絞めにし、解放された副会長は安堵の表情でほっと息を吐いていた。……因みに、岩沢を羽交い絞めにしている野球部員は若干嬉しそうな顔をしている。まぁ、岩沢って音楽キチだけど美少女だから、触れられること自体が幸運なんだろう。良かったな、見知らぬ野球部員!

 副会長から言い渡された宣告に日向はひくひくと顔を痙攣させ、

 

「野球部のレギュラーで編成されたチームかよ……絶対に無理ゲーじゃん、こんなの」

 

「正々堂々かかってこいやハゲ共がぁーっ!」

 

「アレは衛生上の身嗜みだよく覚えとけこのピンク頭がぁあああああああああああああっ!」

 

「い、いだいいだいいだいいだいいだいですー!」

 

 相っ変わらずユイに自身の怒りをぶつけていた。

 

 

 

 

 

  ☆☆☆

 

 

 

 

 

 野球部のレギュラー陣を従えた生徒会チームは怖ろしい程に強かった。

 まず最初に高松のチームが敗れ、次に挑戦した藤巻のチームまでもが惨敗。他にもオタクメガネのチームなんかがあった気がするが、それについての情報は定かではない。……だって興味すらなかったし。

 そういう訳で戦線最後のチームとなってしまった我らがチーム日向。他の面子が総崩れしたせいでゆりからの期待を一身で受ける羽目になってしまったこの状況。心なしか、キャプテンの顔色が悪いです。

 綺麗に円陣を組んでいる野球部を引き攣った表情で眺めた後、日向は諦めたような表情にシフトしてこう言った。

 

「あ、諦めたらそこで試合終了だからな!」

 

「精一杯の強がりと空元気をありがとう」

 

「春野黙れ! そして遊馬は腹ぁ抱えて笑うんじゃねぇ!」

 

 涙を流しながらケラケラと抱腹絶倒している放送室の都市伝説に日向のツッコミが炸裂する。っつーかコイツ、相っ変わらず笑いのツボがよく分からんな。この間なんか、俺がコーヒーを飲んでたら「似合わないねー」って必死に笑いをこらえてたし。……まぁ、精神が子供だから仕方ねえか。

 どこまでいっても言う事を聞いてくれないチームメイトに日向は溜め息を吐き、

 

「いいか、ここで負けたら罰ゲーム決定だからな」

 

「俺は無関係だけどな」

 

「わたしもー」

 

「いちいち話を逸らすなよ! 試合開始までもう時間はそこまで残されてねぇんだよちょっと黙ってて!?」

 

「へーい、キャプテンビビってるー」

 

「「へいへいへい!」」

 

「キャプテンビビってるー」

 

「「へいへいへい!」」

 

「うるせぇええええええええええええええっ! なにユイまで巻き込んで挑発してきてんだぁっ! こんな所で仲間割れなんてしてる場合じゃねぇんだよ少しは察しろよ、もう!」

 

「「「分かってやんよ!」」」

 

「それは一体どういう意味だーっ!」

 

 俺とユイと小夏のおふざけに全力で振り回される日向。やはりコイツは弄り甲斐があるなぁ。ちゃんとボケにツッコミを返してくれるし、そのツッコミも全力が込められていて面白い。こんなにボケ甲斐がある奴なんて音無以外にはそうそういねえだろう。やっぱりツッコミキャラは偉大ですね。

 とまぁ、それなりにふざけたところで、俺たち三人は真面目モードへと意識をチェンジ。日向からの打順及び守備位置の指示を頭に入れ、相手方の野球部と同じように見よう見まねで円陣を組んだ。

 

「ゆりっぺからの罰ゲームを避けるため――死ぬ気で勝ちに行くぞーっ!」

 

『『『応!』』』

 

 その掛け声を合図とし、死んだ世界戦線と生徒会の試合が幕を開けた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 あれ? 何で生徒会側の俺が死んだ世界戦線側として戦ってるんだ?

 

 




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 次回もお楽しみに!
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